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伊方原発 佐田岬半島の先端側の住民避難が課題10月26日 18時18分
伊方原子力発電所を巡っては、放射性物質が放出される事故が起きた場合、佐田岬半島の原発より先端側に住むおよそ5000人が孤立するおそれがあり、安全な避難方法の確立が大きな課題となっています。
四国電力の伊方原発の周辺は、ことし4月の時点で、半径5キロ圏内に5400人余りが、半径30キロ圏内に12万3000人余りが住んでいます。ほとんどが愛媛県内の住民です。
愛媛県は、事故が起きた場合、状況に応じて半径30キロの外へ住民を移動させる避難計画を策定しています。
この中で大きな課題となっているのが、佐田岬半島の住民の安全な避難方法の確立です。佐田岬半島は、四国と九州の間の豊後水道におよそ50キロにわたって角のように細く突き出していて、伊方原発はその付け根に立地しています。このため、原発事故で放射性物質が放出された場合、原発より先端側に住むおよそ5000人が陸路で避難できなくなり、孤立してしまうおそれがあります。
愛媛県は対岸の大分県と協議して、状況に応じて、孤立した住民を船などで大分県内に避難させることを、ことし6月、新たに避難計画に盛り込みました。来月上旬に実施する伊方原発での事故を想定した国の総合防災訓練でも、実際に一部の住民がフェリーや自衛隊の船で大分県まで避難する訓練を初めて行います。
しかし、地震や津波と原発事故が同時に発生する複合災害では、岸壁が壊れたり、がれきが散乱したりして、港が当面使えなくなる事態も予想されます。天候によっては船が接岸できないことも考えられ、関係する住民からは不安視する声も上がっています。
住民の移動手段の確保や災害弱者対策も万全とは言えず、愛媛県は、今後、国の協力も得ながら、大分県などと連携して避難計画の実効性を高めていきたいとしています。
愛媛県は、事故が起きた場合、状況に応じて半径30キロの外へ住民を移動させる避難計画を策定しています。
この中で大きな課題となっているのが、佐田岬半島の住民の安全な避難方法の確立です。佐田岬半島は、四国と九州の間の豊後水道におよそ50キロにわたって角のように細く突き出していて、伊方原発はその付け根に立地しています。このため、原発事故で放射性物質が放出された場合、原発より先端側に住むおよそ5000人が陸路で避難できなくなり、孤立してしまうおそれがあります。
愛媛県は対岸の大分県と協議して、状況に応じて、孤立した住民を船などで大分県内に避難させることを、ことし6月、新たに避難計画に盛り込みました。来月上旬に実施する伊方原発での事故を想定した国の総合防災訓練でも、実際に一部の住民がフェリーや自衛隊の船で大分県まで避難する訓練を初めて行います。
しかし、地震や津波と原発事故が同時に発生する複合災害では、岸壁が壊れたり、がれきが散乱したりして、港が当面使えなくなる事態も予想されます。天候によっては船が接岸できないことも考えられ、関係する住民からは不安視する声も上がっています。
住民の移動手段の確保や災害弱者対策も万全とは言えず、愛媛県は、今後、国の協力も得ながら、大分県などと連携して避難計画の実効性を高めていきたいとしています。
伊方原発の審査と安全対策
伊方原発3号機は、原子力規制委員会の審査で、原発周辺で想定される最大の地震の揺れの強さ「基準地震動」などが見直され、ことし7月、原発の規制基準に適合しているとされました。
四国電力は当初、敷地の北側にある中央構造線断層帯を震源とする最大570ガルの地震の揺れを想定していましたが、審査では、断層の長さの評価などを巡り想定が甘いという指摘が相次ぎました。このため、複数の断層が連動した場合を想定して、断層の長さを伸ばし、不確かさがあることも考慮して計算し直し、基準地震動を650ガルまで引き上げました。
こうした見直しのなかで、すでに完成していた事故時の拠点となる「緊急時対策所」の耐震強度が不足したため、1号機のすぐ東側に新しい緊急時対策所を建設したほか、配管の大規模な補強工事も行われています。また、重大事故対策として、空冷式の非常用発電機を新たに配備したほか、原子炉や格納容器に注水するポンプや格納容器の水素爆発を防ぐため、水素と酸素を反応させて水に変える装置なども設置しました。
一般からの意見募集では「地震の揺れを過小評価している」、「水素爆発を引き起こす水素濃度の評価が不十分だ」といった指摘が寄せられましたが、規制委員会は「基準地震動は最新の科学的・技術的知見を踏まえ適切に策定しているのを確認した」、「水素濃度は保守的に評価していて、基準で定めた条件を下回ることを確認している」などとしています。
一方、3号機の審査は、1号機と2号機を稼働させないことが前提となっているため、今後、1号機と2号機の審査が申請された場合、事故の体制や手順などを巡って3号機の一部の審査をやり直す必要があります。
四国電力は当初、敷地の北側にある中央構造線断層帯を震源とする最大570ガルの地震の揺れを想定していましたが、審査では、断層の長さの評価などを巡り想定が甘いという指摘が相次ぎました。このため、複数の断層が連動した場合を想定して、断層の長さを伸ばし、不確かさがあることも考慮して計算し直し、基準地震動を650ガルまで引き上げました。
こうした見直しのなかで、すでに完成していた事故時の拠点となる「緊急時対策所」の耐震強度が不足したため、1号機のすぐ東側に新しい緊急時対策所を建設したほか、配管の大規模な補強工事も行われています。また、重大事故対策として、空冷式の非常用発電機を新たに配備したほか、原子炉や格納容器に注水するポンプや格納容器の水素爆発を防ぐため、水素と酸素を反応させて水に変える装置なども設置しました。
一般からの意見募集では「地震の揺れを過小評価している」、「水素爆発を引き起こす水素濃度の評価が不十分だ」といった指摘が寄せられましたが、規制委員会は「基準地震動は最新の科学的・技術的知見を踏まえ適切に策定しているのを確認した」、「水素濃度は保守的に評価していて、基準で定めた条件を下回ることを確認している」などとしています。
一方、3号機の審査は、1号機と2号機を稼働させないことが前提となっているため、今後、1号機と2号機の審査が申請された場合、事故の体制や手順などを巡って3号機の一部の審査をやり直す必要があります。
全国の原発の状況
おととし7月に施行された原子力発電所の新しい規制基準の下で原発がある自治体と県から再稼働の同意が得られたのは、すでに再稼働している川内原発がある鹿児島県に続いて、今回の愛媛県が2か所目です。
再稼働の前提となる審査は、これまで、建設中の大間原発を含めて、全国の原発の半数以上に当たる15原発の25基で申請されています。
このうち、申請がいち早く行われた「PWR=加圧水型」と呼ばれるタイプの原発の審査が先行しています。PWRで申請があった7原発15基のうち、これまでに川内原発1号機と2号機、福井県にある高浜原発3号機と4号機、それに伊方原発3号機の合わせて5基が審査に合格しました。
最も早く合格した川内原発は、去年、地元・薩摩川内市と鹿児島県の同意が得られ、1号機がことし8月に、2号機が今月15日にそれぞれ再稼働しました。再稼働に立地自治体と県の同意が得られたのは、鹿児島県に続いて今回の愛媛県が2か所目です。
高浜原発3号機と4号機は、再稼働の前の最終段階に当たる使用前検査を受けていて、関西電力は3号機をことし12月、4号機を来年1月に再稼働させる計画を示しています。しかし、高浜原発3号機と4号機は、ことし4月、福井地方裁判所から再稼働を認めない仮処分の決定が出され、先行きは見通せない状況で、地元の同意の手続きも終わっていません。
このほかのPWRでは、北海道の泊原発、佐賀県の玄海原発、福井県の大飯原発の審査がおおむね終盤に入っているほか、原則40年に制限された運転期間の延長を目指す高浜原発1号機と2号機、福井県にある美浜原発3号機の審査も進められていますが、いずれも合格の具体的な時期は不透明です。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じ「BWR=沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発は、これまでに8原発10基が申請されています。
規制委員会は、ことし8月、新潟県にある柏崎刈羽原発6号機と7号機の重大事故対策などを集中的に審査することを決めましたが、今後も原発で想定される地震の揺れの大きさや重大事故対策の議論が必要で、審査は中盤の段階です。
このほかのBWRの審査も序盤から中盤の段階です。
再稼働の前提となる審査は、これまで、建設中の大間原発を含めて、全国の原発の半数以上に当たる15原発の25基で申請されています。
このうち、申請がいち早く行われた「PWR=加圧水型」と呼ばれるタイプの原発の審査が先行しています。PWRで申請があった7原発15基のうち、これまでに川内原発1号機と2号機、福井県にある高浜原発3号機と4号機、それに伊方原発3号機の合わせて5基が審査に合格しました。
最も早く合格した川内原発は、去年、地元・薩摩川内市と鹿児島県の同意が得られ、1号機がことし8月に、2号機が今月15日にそれぞれ再稼働しました。再稼働に立地自治体と県の同意が得られたのは、鹿児島県に続いて今回の愛媛県が2か所目です。
高浜原発3号機と4号機は、再稼働の前の最終段階に当たる使用前検査を受けていて、関西電力は3号機をことし12月、4号機を来年1月に再稼働させる計画を示しています。しかし、高浜原発3号機と4号機は、ことし4月、福井地方裁判所から再稼働を認めない仮処分の決定が出され、先行きは見通せない状況で、地元の同意の手続きも終わっていません。
このほかのPWRでは、北海道の泊原発、佐賀県の玄海原発、福井県の大飯原発の審査がおおむね終盤に入っているほか、原則40年に制限された運転期間の延長を目指す高浜原発1号機と2号機、福井県にある美浜原発3号機の審査も進められていますが、いずれも合格の具体的な時期は不透明です。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じ「BWR=沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発は、これまでに8原発10基が申請されています。
規制委員会は、ことし8月、新潟県にある柏崎刈羽原発6号機と7号機の重大事故対策などを集中的に審査することを決めましたが、今後も原発で想定される地震の揺れの大きさや重大事故対策の議論が必要で、審査は中盤の段階です。
このほかのBWRの審査も序盤から中盤の段階です。