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HERR*SOM*MER*3251**のブログ

現代ドイツ作家・詩人の紹介を主に・・・

*「古代ワルプルギスの夜」・・/ ゲーテ「ファウスト」第二部 より

   *場面は: ファルザスの古戦場で 、辺りは暗黒である。。。

 魔女・エリヒトーの独白 から

>>>ハーイ、あたしはエリヒトー、夜の魔女よ。。

毎年のことだけど、今宵も魔女たちの祭りに参上したわ。。

やくざな詩人たちが、大げさに悪しく言うほど、あたしは不気味な女では

ないのよ。。。褒めるにしても、貶(けな)すにしても、詩人というのは

際限を知らないんだから。。・・・

あら、見渡せば谷間はもう、灰色のテントばかりで、波打っているわ。。

あの蒼白く霞んでいる波のまにまに、過ぎし日の不安や恐怖が、

夜の幻の中に交じりあっているのだわ。。

もう何年、これがくり返されてきたことかしら。。。そしてまた、

これから先も、何年、繰り返されていくのかしらね。。。

そう易々(やすやす)とは自分の国は、人手に渡したくないものよね。。

力ずくで掠奪し、力ずくで統治しても、長続きするはずはないもの

なのにね。。

・・他の国を奪い取り、他国を支配したがるのは、権力欲と利己的

愛国心と驕慢のためかしらね。。。

 そうよ、ここもそういう大きな戦(いくさ)のあった古戦場なのよ。

暴力と暴力とが対峙した古戦場なのよ。。美しい花や自由の花環が

あえなく引き千切られたところなのよ。。。月桂樹の冠が略奪者の頭を

虚しく飾ったところなのよ。。

 こっちの岸辺では、ポンペイウスが過去の栄光に酔っていたところ

かと思えば、対岸ではシーザーが運命の秤(はかり)の針を覗っていた

ところでもあるのよ。。。やがて、いくさが始まったのだけれど、

勝利の女神はどちらに微笑んだかは、誰も知ってのとおりね。。。

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