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ポーランド:政権交代へ 反難民掲げ最大野党が過半数 

毎日新聞 2015年10月26日 11時55分(最終更新 10月26日 12時55分)

総選挙で圧勝し、党本部で支持者に手を振るシドゥウォ氏=AP
総選挙で圧勝し、党本部で支持者に手を振るシドゥウォ氏=AP

 ◇上下両院総選挙 右派の最大野党「法と正義」

 【ウィーン坂口裕彦】ポーランドの上下両院総選挙が25日実施された。地元メディアの出口調査によると、難民・移民受け入れ反対を掲げる右派の最大野党「法と正義」が下院(定数460)で単独過半数を獲得する見通しになり、8年ぶりの政権交代が確実な情勢だ。

 現政権は9月、欧州連合(EU)が求めた難民計12万人を加盟国に割り当てる案を受け入れたが、国内では反移民デモも発生。今回の結果は、キリスト教カトリック教徒が9割を占める国民の難民・移民への警戒感の強さを改めて示し、選挙結果を受けて難民受け入れ方針が変更される可能性が出てきた。

 難民割り当て案の受け入れを表明したコパチ首相(58)率いる中道保守の与党「市民プラットフォーム」は惨敗し、首相も敗北を認めた。2007年から維持してきた政権の座を失うことになる。これに伴ってコパチ首相は辞任し、新たに「法と正義」の女性国会議員で首相候補として選挙を戦ったシドゥウォ氏(52)が首相に就任する見込みだ。

 出口調査によると、「法と正義」は得票率39%で、半数を超える242議席を獲得する見通し。「市民プラットフォーム」は得票率23%にとどまった。

 選挙戦で「法と正義」はカトリックの伝統的な価値観に基づいた愛国主義を強調した。移民受け入れ反対だけでなく欧州の単一通貨ユーロの早期導入にも慎重姿勢を表明。一方、貧困層への福祉充実、銀行やスーパーマーケットチェーンへの新税導入を訴えて支持を広げた。国防面ではウクライナ危機を踏まえ、北大西洋条約機構(NATO)との関係強化を目指す姿勢を示した。

 EUのトゥスク大統領が「市民プラットフォーム」出身ということもあり、コパチ政権はこれまでEUとの協調路線が鮮明だった。政権交代に伴い、EUとのあつれきも顕在化しそうだ。正式な開票結果は26日中に判明する見通しだ。

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