笑顔を見せる井上尚弥(右)と八重樫東=東京都千代田区のホテルグランドパレスで(吉澤敬太撮影)
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ボクシングのダブル世界戦が12月29日、東京・有明コロシアムで行われることが20日、発表された。WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで王者井上尚弥(22)=大橋=が同級1位ワルリト・パレナス(32)=フィリピン=と初防衛戦を行う。また、IBF世界ライトフライ級タイトルマッチでは、国内3人目の世界3階級制覇を目指す同級13位八重樫東(32)=大橋=が同級王者ハビエル・メンドサ(24)=メキシコ=に挑戦する。
井上にとっては約1年ぶりの試合。昨年12月30日に伝説王者オマールナルバエス(アルゼンチン)に衝撃の2回KO勝ちを収め、世界に「モンスター・イノウエ」の名を知らしめた。しかし、その代償として右拳を痛めた。レーザー手術を受け、右拳は一切使わずに練習していた。だが「9月にMAXの力で殴っても大丈夫になった。1%の不安と99%の楽しみがある」と復活宣言だ。
故障中の練習は左ジャブばかりだった。だが、それによって、大橋秀行会長が「左ジャブにストレート並みの破壊力が出てきた。まさに、メガレフト」と呼ぶほど進化した。
相手のパレナスは24勝21KO(6敗1分け)と高いKO率を誇るハードパンチャー。「前半の一発には、気を付けないと」と警戒する井上だが、ここは、軽く一蹴したい。
大橋会長は「アメリカから試合に出てくれという要請がたくさん来ている。来年はアメリカで試合がしたい」と明かした。44戦全勝のニカラグアの怪物ローマン・ゴンサレスの人気が沸騰中だが「ロマゴン(ゴンサレス)が試合をする同じリングに上がってほしいというオファーが来ている。ゆくゆくは、ロマゴンとの対決になれば盛り上がるでしょう」と同会長。井上も「楽しみ。自分がワクワクする。(米国に)呼ばれるためにも次の試合がカギ」とキッパリ。年末の試合が井上の国内での見納めになるかもしれない。 (竹下陽二)
◆3階級制覇今度こそ
ミニマム、フライに続きライトフライ級で3階級制覇を狙う八重樫は「いろいろ考えて再起した。一度王座取りに失敗した階級にこんなに早く再挑戦できて感謝している」と、亀田興毅、井岡一翔に並ぶ3階級制覇に意欲を見せた。
ゴンサレスやペドロ・ゲバラ(メキシコ)ら名王者とグローブを交えてきただけに、今度こその思いは強い。特にライトフライ級は昨年12月30日にゲバラとWBC王座を争い、7回に左ボディー一発でKOされてチャンスを逸した因縁の階級だ。
相手のハビエルは左のファイター。八重樫は「体を一度リセットした。やり残したものをしっかり取り戻したい」。大橋会長も「勝てば4階級も見えてくる」と夢を後押しした。 (山崎照朝)
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