1985年大会以降の最少ストローク62でホールアウトし、スコアを手にする単独首位の小平智=六甲国際GCで
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◇日本オープン<第2日>
▽16日、神戸市北区、六甲国際ゴルフ倶楽部(7394ヤード、パー72)▽晴れ、気温22・0度、北北西2・7メートル▽賞金総額2億円、優勝4000万円▽120選手(アマチュア14人)▽観衆3484人
小平智(26)=Admiral=が驚がくのビッグスコアをたたき出した。35位スタートから11バーディー、1ボギーで、記録の残る1985年大会以降では最少ストロークとなる62、大会最多アンダーとなる10アンダーで回り、通算11アンダーで一気に首位に立った。1カ月前から脳神経学の権威に師事し、攻撃的思考でバーディー量産につなげた。8位から出た2015年日本アマ王者の金谷拓実(17)=広島国際学院高2年=は66で回り、2打差で続いた。
圧巻だった。小平は前半9ホールで7バーディーを奪い、「自分のプレーに集中して、ゾーンに入れた」。そんな別次元にいながら、勝負どころでは自らの闘争心に火を付け、ギアをレッドゾーンに入れた。
同組で回った17歳の金谷に14番で追いつかれ、15番で追い越されると、キャディーにこう宣言したという。
「アマチュアに負けていられない。ここから2つ、バーディーを取る」
16番パー4。2打目をピン左1・5メートルにピタリと寄せて、まず1つ。だが、続く17番パー3で1打目をグリーン奥にこぼした。ピンまで10ヤード。寄せるのではなく「狙って入れにいった」。サンドウエッジを振ると、スライスラインに乗った球筋を見つめながら、クラブを握った左手を天にぶつけ、右拳を振り下ろした。
約束したのは2つだったが、「攻めの気持ちでやっていた」勢いは止まらない。18番パー4。残り200ヤードの2打目。5番アイアンを振り抜き、ピンそば1・5メートルにつけた。バーディーラッシュを締める心地良いスーパーショットだった。
今季は好調を持続しながら結果が出ず、「何でスコアが出ないんだろうって」。知人に紹介され1冊の本を手に取った。「勝負脳の鍛え方」(講談社現代新書)。心身を制御する脳の仕組みを初めて知り、興味を抱いた。1カ月前。著者で脳神経外科医の林成之さんに会うと、その言葉、考え方にはヒントが凝縮していた。助言を受け、手足、体の動かし方を見直し、スイングも微調整した。
「マイナスのことは考えない。手足を動かしているのは脳。脳をコントロールすればメンタルも制御できる」
もっとも、ビッグスコアが出ても、制御された脳は動じていない。
「きょうのことはもう忘れて、切り替えて優勝を狙いに行く」
日本オープンの第80代王者へ、小平が無心で立ち向かう。 (松岡祐司)
<小平の大会記録> 10アンダーは92年の尾崎将司、02年の佐藤信人の8アンダーを上回る最多アンダー。また62ストロークも同年の佐藤に並ぶ最少記録だが、佐藤はパー70のコースだっため、パー72のコースでは新記録となった。小平はアウトを29で回っており、これは87年のG・マーシュ(オーストラリア)、89年の出口栄太郎(パー35でのコース)に並ぶ最少記録。
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