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【ゴルフ】

小平智が初の日本一 勇太と死闘…18番で決着

2015年10月19日 紙面から

◇日本オープン<最終日>

 ▽18日、神戸市北区、六甲国際ゴルフ倶楽部(7394ヤード、パー72)▽晴れ、気温22・7度、西南西1・4メートル▽賞金総額2億円、優勝4000万円▽61選手(アマチュア6人)▽観衆9325人

 単独首位から出た小平智(26)=Admiral=が3バーディー、3ボギーの72でまとめ、通算13アンダーで初優勝を飾った。昨年覇者の池田勇太(29)=日清食品=とのデッドヒートを1打差で制し、逃げ切った。2013年のツアー選手権に続く、国内メジャー2勝目。ツアー通算3勝目。

 一騎打ち、しかも対峙(たいじ)したのは前年覇者の池田勇太。しびれるような緊張感、重圧を感じながらも、「勇太さんとの優勝争いを楽しもう」。そう言い聞かせて、小平は前を向いていた。だが、知らぬ間に力は入っていた。ポーカーフェースの裏側で「逃げなきゃ、逃げなきゃ」と邪念とも戦っていた。

 13番パー4。小平は2・5メートルのパットを外し、痛恨のボギーをたたいた。終盤に入って並ばれた。流れ、勢いは相手にある。でも、小平は弱気になるどころか、あらためて腹をくくった。

 「ここからが勝負。上がり3ホールはラストスパート。全神経を集中した」

 15番。小平は9メートルのバーディーパットを沈めた。17番。今度は池田勇が4・5メートルのパットを決め返した。一進一退。わずかなスキが命取りになる。だから、小平は「背水の陣」を敷き、さらにギアをもう一段上げた。

 「プレーオフはまったく考えていなかった。自分がバーディーを取って優勝することしか考えていなかった」

 そして最終18番パー4。490ヤードと距離があり、グリーン手前にはバンカーが口を開けて待ち構える最難関ホール。以前なら「パーにしよう」と安全策を取っていたが、強気に攻めた。得意のドライバーを力強く振り抜き、残り179ヤードの2打目も7番アイアンでピンを狙った。ただ、球がフォローの風に乗り、ピン奥15メートルまで転がった。

 このとき、師事する脳科学の権威、林成之さんの言葉を思い返した。

 「優勝カップを持っている姿をイメージしなさい」

 バーディーパットはわずかに外れた。それでも、「バーディーを狙って打てたことに成長を感じた」。けなげなプレーを貫徹すると、最後の最後に勝利の女神がほほ笑んでくれた。

 小平は「考え方でゴルフが変わった。本当にうれしい」とクールに喜び、「次は賞金王。(ここから)2、3勝して最後まで突っ走りたい」。世界挑戦を目指す26歳は、歩みを止めるつもりはない。(松岡祐司)

 

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