第2日、18番でバーディーを奪う稲森佑貴。通算8アンダーで首位=袖ケ浦CC袖ケ浦で
|
 |
◇ブリヂストンOP<第2日>
▽23日、千葉市緑区、袖ケ浦カンツリークラブ袖ケ浦コース(7119ヤード、パー71)▽曇り、気温21・3度、北東2・9メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽99選手(アマチュア2人)▽観衆2851人
7位から出た稲森佑貴(21)=グリーンゴルフ練習場=が7バーディー、2ボギーの66で回り、通算8アンダーで今季初の首位に浮上した。師匠でキャディーを務める父・兼隆さんとキャンピングカーで転戦する異色の若手が、待望のツアー初優勝を狙う。69で回った近藤共弘(38)がトップに並び、1打差に堀川未来夢(22)とW・J・リー(オーストラリア)が続いた。
最終18番。8メートルのバーディーパットを沈め、父・兼隆さんに笑顔で迎えられた稲森は、あどけない顔をほころばせた。
「ピンチでよく踏ん張って、チャンスの時に決めることができた。ショットとパットがかみ合ってくれた」
高校2年でプロテスト合格後、バッグを担ぐ兼隆さんの運転するキャンピングカーで全国を転戦。遠征先では「道の駅」の駐車場に車を止め、「一番落ち着く」車内ベッドで寝るという、つつましい節約生活をベースにコツコツと腕を磨いてきた。
今季は出場した18戦のうち、予選落ちはわずか4戦。9月のアジアパシフィックオープン・ダイヤモンド杯で5位に食い込み、初のシード権を確実に。「気持ちに余裕ができ、あとは突っ走っていくだけ」と意欲にも拍車が掛かった。
約10年間、稲森の足となり、寝床となってきた愛車の走行距離が17〜18万キロに及んだため、兼隆さんが新しい大型車を購入し、今季末の納車を待つばかり。触発された稲森も「ぼくも欲しい」と、稼いだ賞金でレクサスの新車を買った。鹿児島市の自宅には火山灰対策でガレージまで作り、こちらも納車を心待ちにしているが、その前に、目指してきた結果を添えようと燃えている。
見据えるのは、ツアー優勝者とランク上位者ら30人で争われる日本シリーズJT杯(12月3日開幕、東京よみうりCC)初参戦。稲森は「今の目標はJTに出ること。トップにいるので、このまま自分のゴルフに徹して、優勝したい」。その言葉には、21歳の初々しさより、苦労を重ね、培ってきたプロ5年目のふてぶてしさがにじんでいた。 (松岡祐司)
この記事を印刷する