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 米軍普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市長選(来年1月24日投開票)まで3カ月となった。政府に近い現職と、翁長雄志(おながたけし)知事派が擁立する新顔による一騎打ちの構図。普天間問題をめぐる政府と県の対決をそのまま反映する格好だけに、両陣営の動きは活発だ。

 新顔で元県職員の志村恵一郎氏(63)は23日、市役所に近いビルで立候補表明の記者会見を開いた。志村氏は「辺野古移設に反対するかしないかの戦いだ。私は断固反対する」と強調。会見には翁長氏も同席し、「沖縄県の将来につながる選挙。絶対に勝たなくてはならない」と語った。

 市長選は来年1月17日に告示。沖縄で長く続いた「保革対決」の構図が昨年の知事選同様に崩れ、安倍政権に近い現職の佐喜真淳市長(51)に、自民党の元県議会議長を父に持つ志村氏が挑む。翁長氏は志村氏を全面的に支え、翁長県政与党の共産や社民も支援する。

 迎え撃つ佐喜真氏。12日にあった支援団体の事務所開きで「町の真ん中に普天間飛行場があるための経済的や時間的なロス、危険性を取り除きたい」と力を込めた。沖縄北方担当相に就任した島尻安伊子参院議員も駆けつけ、「市長になって経済的には右肩上がり。新人の出る幕ではない」と持ち上げた。

 前回市長選は、自公などが推薦する佐喜真氏と共産、社民などが推薦する元市長の一騎打ち。佐喜真氏が27年ぶりの保守系市長となったが、900票という小差での勝利だった。

 志村氏は辺野古移設反対を掲げて共産、社民の支持を受けつつ、自民支持層の切り崩しも狙う。佐喜真氏は、普天間問題については「一日も早い返還」を訴え、移設先には言及しない方針だ。

 昨年来、沖縄の選挙では国政選も地方選も「辺野古移設反対派」が勝ち続けている。政権と対決している翁長氏にとって、宜野湾市長選は負けられない選挙だ。同市が地盤の照屋寛徳衆院議員(社民)は「ここで負けたら、政権は『沖縄の民意は辺野古反対ではない』と言ってくるだろう」と語る。(吉田拓史)