トルコ大使館前で乱闘=在外投票日、9人重軽傷—機動隊出動・警視庁
25日午前6時50分ごろ、東京都渋谷区のトルコ大使館前で、来月1日のトルコ総選挙の在外投票に来た人たちの間で乱闘が起きた。警視庁原宿署によると、乱闘は断続的に発生。男性(23)が鼻を骨折するなど7人が重軽傷を負い、制止に入った警察官2人も負傷した。トルコ人とクルド系トルコ人の対立とみられ、同署は公務執行妨害と傷害容疑で詳しい経緯を調べる。
原宿署によると、騒ぎは午前6時50分から11時ごろまでに計4回発生。最初の騒ぎでは約100人が大使館前に集まり、うち20〜30人が乱闘になった。大型バスの窓ガラスが割られるなどの被害もあった。
岐阜県から来たトルコ人の自営業男性(38)によると、大使館前で反政府武装組織クルド労働者党(PKK)の旗を見せようとしたグループをめぐって乱闘になったという。
警視庁は大使館前の通りを規制。防護盾を持った機動隊員を投入し、投票に訪れた人を整理、誘導するなどした。在外投票は午前9時から午後9時までで、全国から有権者が集結。現場周辺には一時500〜600人が集まった。
愛知県からバスで投票に来た男性(53)は「日本人はみんな静かに選挙しているのに、こんな騒ぎになり恥ずかしい」と肩を落とした。埼玉県から来たクルド系トルコ人の男性(32)は「トルコ人は、いつもクルド人を嫌だ嫌だと言っているからこんなことが起きた」と話した。
トルコでは、今年6月に行われた総選挙で、与党・公正発展党(AKP)が過半数割れとなる一方で、クルド系政党が躍進。トルコ軍は7月、トルコからの分離独立を目指すクルド人のPKKへの軍事作戦を再開していた。
[時事通信社]