ハロウィーン、実は欧州では低調 「日本人はまだまだ」
近年、ますます盛んになっているハロウィーン。日本以外の国々ではどんな風に行われ、外国人は日本人のはしゃぎぶりをどう見ているのだろうか。
2畳ほどの部屋に、巨大なゴキブリのおもちゃや、ゾンビのお面などが、所狭しと置かれている。
米国ミシガン州出身の日本映画研究者スチュワート・ガルブレイスさん(49)は、4年前から毎年10月末に、京都市左京区岩倉の自宅をお化け屋敷として開放している。期間中の3日間、妻・西幸代さん(49)ら家族は8畳の居間のみで暮らす。
米国では、子どもたちを自宅に招く風習があるといい、楽しさを日本の子どもたちにも味わってもらおうと、毎年企画している。
ガルブレイスさんは、日米の最大の違いは「手作りかどうか」だと指摘する。米国では各家で開かれるパーティーに参加し、手作りのゲームをして楽しむといい、「日本人は楽しみ方を分かっていないという印象」と語る。
米国では盛んなハロウィーンだが、ヨーロッパではあまり行われていない。スペイン出身の京都大大学院生ギレム・ドメネクさん(25)は「スペインでは10年くらい前から、パーティーをしたり、仮装したりするようになった。米国の祭りなので本来の意味はよく分からない」と苦笑する。
フランスの文化を発信するアンスティチュ・フランセ関西(左京区、旧関西日仏学館)に問い合わせたところ、「元来アングロサクソン系の文化なので何もしません」と、つれない回答だった。
東欧でもマイナーらしい。ハンガリー出身の京大大学院生サボー・ジュジャンナさん(31)と、ウクライナ出身の京都市国際交流協会職員シガル・オレーナさん(39)はいずれも「盛んではない」という。
一方、海を渡りアジアではすでに浸透が始まっている。韓国・ソウル出身の京都市国際交流協会職員チョン・チャングンさん(48)は「高校生時代に体育館で体験した」と振り返る。
「北京でもカフェにかぼちゃを飾るなどしている」という中国人の京大大学院生陳慕薇さん(23)は、アジアで受け入れられる理由として「アジア由来の祝日は仲間同士でわいわい楽しめるのが少ない。違う文化の祭りなので楽しみやすい」と分析する。
■2000年ごろから再注目
日本や京都でのハロウィーン定着はいつからなのか。調べてみると、21世紀に入ってから急激に浸透を見せた様子が浮かび上がってきた。
京都新聞のデータベースで「ハロウィーン」という単語を検索すると、2004年以降、記事が増え始め、10年ごろからは毎年10件を超す記事が掲載されていることが分かる。
日米の文化に詳しい同志社女子大の関口英里教授(言語文化学)は「1980年代に日本の商戦が始まった」と語る。
ただ当初、暗いイメージで受け止められ広まらなかった。さらに92年、米国でハロウィーンパーティーに際して起こった服部剛丈君射殺事件もあり、日本では「商業的注目度は下がっていた」。再び浸透させようという動きは、東京ディズニーランドを中心に始まった。
運営するオリエンタルランドによると、97年から東京ディズニーランドでハロウィーンを1日限りのイベントとして開催。2000年ごろからは仮装をして行列に参加できる催しを1カ月間に延長した。現在では9月初旬から11月1日まで約2カ月間となっている。
ハロウィーン期間だけの入園者統計は公表していないものの、クリスマスやハロウィーンのある下半期の入園者数は14年度の場合、1627万人で、上半期より約118万人多い。オリエンタルランドは「ハロウィーン期間は最も入園者の多い時期。今やクリスマスと同規模だ」とする。
関口教授はハロウィーンの今後について、昨年東京・渋谷で警官を殴るなどして2人が逮捕されたことを例に挙げ、警鐘を鳴らす。「こういうことが起こると規制が出てくる可能性がある。うまく社会として許容できるかが問われている」
【 2015年10月25日 17時00分 】