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【川崎】波紋を呼ぶ大久保嘉人の「“冤罪”退場劇」。中村憲剛も「説明は受けたけど、到底理解できない」と主審を痛罵

SOCCER DIGEST Web 10月25日(日)8時1分配信

アディショナルタイムに突入した90+3分過ぎに“事件”は起きた。

 その瞬間、大久保嘉人は両膝からピッチに崩れ落ち、両手で頭を抱えた。
 
 第2ステージ15節の横浜戦。1点を追いかける川崎は終始攻め続けるも、時計の針はすでに90分を回っていた。アディショナルタイムは4分。刻々と時間が経過するなか、90+3分過ぎに“事件”は起きた。

 左サイドで川崎の大久保がボールをキープし、横浜のアデミウソンがボールを奪いにかかる。一度は大久保が身体を入れてプレスをいなすも、その直後にアデミウソンが猛然と追いかけ、身体ごと潰すような形で大久保を倒した。

 当然、主審の榎本一慶氏はファウルの判定。倒された大久保は怒りを露わにし、アデミウソンも大きなジェスチャーで抗議する。数秒間のひと悶着が起きたものの、選手たちは次のプレーに向けてすぐさま動き出す。榎本主審はアデミウソンにイエローカードを提示(公式記録上は90+4分)。問題は次の場面だ。

 両軍の選手がポジションを取るなか、主審は静かに大久保の元へ歩み寄りイエローカードを提示(公式記録上は90+5分)。11分に一度目の警告を受けていたエースは、この日二度目の警告で退場処分を受けたのだ。直後、等々力競技場がどよめき、川崎のメンバーが主審に詰め寄る。

 大久保はピッチに座り込み、“なにもしていない”と両手を使ってアピール。中村憲剛や小林悠らが駆け寄って猛抗議するが、主審は首を横に振るばかり。結局判定は覆らず、大久保は怒りを堪えたまま小走りで控室へ。そして、わずか数十秒後に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 3年連続リーグ得点王とJ1通算最多得点の両方に肉薄するなか、大久保は次節のアウェー浦和戦に出場停止。ここに来ての欠場は、まさに痛恨。大久保に残されたゲームは、最終節のホーム仙台戦のみとなった。

【川崎×横浜】大久保嘉人のプレー写真はこちら

「大久保選手が手を顔にぶつけてきて、自分も思わず足を伸ばしてしまった」(アデミウソン)

 
 試合後、審判団がピッチから去ろうとした際、スタンドからは耳をつんざくブーイングが降りかかり、「おかしいだろ!」「もう審判辞めろ!」と痛烈な野次も飛んだ。

 川崎の風間八宏監督もピッチの脇で待ち構え、主審に説明を求める。話し合いはすぐに終わったものの、指揮官の表情は納得していないと言わんばかり。会場の喧噪は、その後もしばらく続いた。

 渦中の大久保は取材陣が待つミックスゾーンに現れるや、「あり得ないでしょ! あれでイエロー(カード)を出されたら、なにもできないよ」とだけ言い残し、足早に会場を去った。

 当事者のひとりであるアデミウソンは、あの場面をこう振り返る。

「倒れる前に大久保選手が手を顔にぶつけてきて、自分も思わず足を伸ばしてしまった。彼の真意がどうだったかは分かりませんが、手が顔に当たった時にこっちを向いたので、一瞬わざとかと思ってしまい、こっちも足を出してしまった。ふたりが同時にやってはいけないことをやってしまったし、審判としては、両方にイエローを出すという判断をしたと思う。ただ、大久保選手は残念ながら二枚目(の警告)で退場になってしまった」

 競り合いのなかで大久保の手が顔に当たり、その行為を故意と感じて思わず倒してしまった。それがアデミウソン側の見解だ。大久保は詳細を語っておらず、まだ片方の言い分でしかない。

 口を開かなった大久保の胸中を代弁するかのように、中村が“疑惑の警告”に関して語り出す。それは、「ひとりの笛で選手の人生が変わる」という切実な訴えでもあった。

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最終更新:10月25日(日)17時30分

SOCCER DIGEST Web

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