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【日曜経済講座】
相次いだ市場政策の禁忌 中韓は「他山の石」 ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇
金融危機たけなわだった2008~09年、米証券取引委員会は金融機関の経営不安を根拠なくあおる「風説の流布」を監視していた。11~12年にかけての欧州危機では、欧州大陸国が銀行株の動きに過剰反応した。
当局が株価を下げる空売りに目を光らせ、ときには政治的な意図から介入するのは先進国でもみられるが、中国では体を張る必要がある。
投資銀行といったサヤ抜きが生業の仲介業者を除くと、伝統的にウォール街の投資家は東アジアへの投資に慎重だ。建前上、証券・市場関連の法律が整備されているが、その運用が恣意(しい)的とみなされているからだ。
東アジアでは、韓国株もこの夏に評価を下げている。きっかけは、サムスングループの総合商社、サムスン物産と同グループの事実上の持ち株会社である第一毛織が合併発表した際に、サムスン物産の株主だったニューヨークの投資会社、エリオット・マネジメントが合併比率を不服として反対し、訴訟に発展した事件である。