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【日曜経済講座】
相次いだ市場政策の禁忌 中韓は「他山の石」 ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇
投資会社マディ・ウォーターズ・リサーチを率いる米国人、カーソン・ブロック氏は人に会っても名刺を切ることがない。連絡先を聞かれると、「こちらから連絡しますから」とお茶を濁す。
理由を探ったところ、ブロック氏周辺から「家族や彼自分の身の安全が不安だからさ」と返ってきた。
ブロック氏は「アジア株の空売り王」と称される著名投資家で、中国を中心とする数々のアジア企業の会計疑惑を暴いてきた。実体のない森林に投資している企業など事業モデルや会計報告に問題のある中国株に売りを浴びせることで名をはせた。
最近では中国株相場のバブル崩壊を予言。上海総合株価指数が高値をつけた夏前には「バンプ・アンド・ダンプ(他人に買わせた後に自分が売り抜ける行為)」と相場の質の悪さを見抜いた。
脅迫状が届き、中国の当局からは情報収集活動を制限されている-と本人は周囲に語っている。中国企業の調査は隠密活動で、ブロック氏は個人データを守るために名刺どころかクレジットカードをも利用しないそうだ。