(テーマ音楽)
札幌から北へ鉄道で2時間半。
3,300人が暮らす剣淵町です
明治から大正にかけて開拓された農業の町です
ジャガイモや小豆そして米。
9月農家は収穫に追われていました
町を歩くと
あっかわいい看板がありますね。
動物がいっぱい。
かわいいな。
あっこっちはマンホール。
色とりどりできれいですね。
「絵本の里けんぶち」だって。
メインストリートにはためいているのは…絵本のウサギ。
剣淵町は絵本を中心に町づくりをしてきたのです
緑に映える白い建物。
町立の図書館です
中お日様がさし込んで明るいですね。
へぇ〜。
おっ広い。
これ全部絵本か。
随分ありますね。
その名も「絵本の館」。
全国有数の絵本専門の図書館です
世界中の絵本3万5,000冊が並べられ町の外からも多くの人が訪れます
館内ではどこでも声を出して絵本を読む事ができます。
親子で読み聞かせを楽しめる小さな部屋も
「たかいバス」。
ビルみたい。
「まあるいバス」。
「くねくねバス」。
こういうのがあっていいですね。
いいですね。
子育て中のお母さんにはありがたいと思います。
いろんな絵本もそろってて選びやすいので楽しく読ませてもらってます。
何かいつも暇な時はずっと本読んでるから。
何か好きだから。
田んぼの中を走る1台の車
絵本の館から子供たちの元へ本を届けるキャラバンカーです
500冊の絵本を積んで町のあちこちに出向きます
(小柳)靴を履かないと外に出られないよ。
あっ出ないな。
小柳美和さんです。
農作業のかたわら学校などで毎週読み聞かせのボランティアをしています
(小柳)「わたしのゆめはくもにのること」。
(子供たちの歓声)「は」!
(子供たち)う〜っ!
小柳さんは町の外から嫁いできた当初剣淵の人たちが絵本について熱心に語り合うのに驚いたと言います
読み聞かせがほんとに当たり前になってるというのを強く感じるし。
絵本に関わるようになったら最高の町だと思いますね。
この町に来て初めて絵本の持つ豊かな世界に気付いたという小柳さん
仲間たちと読み聞かせの勉強会を開くようになりました
お握りがず〜っと出来てくやつ。
毎月子供たちが喜びそうな絵本を探しては持ち寄ります
(小柳)のりをマントのように。
会の名前は「芽ぶっく」。
絵本を愛する心が芽吹いてほしいという願いを込めました
地域の大人としてただの農家のおばちゃんがやらせてもらってるというのはすごく幸せな事っていうのかな。
ほんとに心の一冊じゃないけど心の中に絵本っていうものが当たり前に存在してくれるといいなって思ってます。
子供たちのそばにはいつも絵本があふれています
剣淵を絵本の里にしようと取り組んだ人がいると聞き訪ねました
こんにちは。
橋さんですか?山田です。
よろしくお願いします。
お仕事中すみません。
カボチャですか?カボチャです。
開拓農家の3代目です
もうカボチャの収穫は終わってハードコンテナに詰めたのを今一生懸命みんなで選別して箱詰めしてもらってます。
一年で最も忙しいこの時期家族総出で作業に追われていました
橋さんが仲間たちと絵本の里づくりを始めたのは27年前の事。
当時都会へと移り住む人たちが増え町は活気を失っていたと言います
「こんなさみしい町早く出てこうな」とか「どこで生まれ育ったの?」って言ったら剣淵って言いたくない子供たちがたくさんいた。
なんとか町を有名にして子供たちが誇れる町にしようっていう思いだったと思うんですよね。
そこで立ち上がったのが農家や商店の後継ぎなど町に残った若者たちでした
「まるで絵本のような町だ」。
剣淵を訪ねた編集者がもらしたひと言に注目したのです
この風景を知ってほしいと考えた若者たち。
お金を出し合って都会に住む絵本作家を招きその美しさをアピールしたのです
絵本作家たちが剣淵を舞台に描いた作品です
「草のなみにゆられると木だっていねむりすることがある」。
「『むかしはこんなみちばかりだったからね』がろろーんぐるるんがろがろーん」。
絵本の原画を集めて展覧会を開いたり絵本の文学賞を作ったり。
小さな町の取り組みは全国から注目されるようになりました
「いえのなかにでーんとひとりおばあちゃんがいるといい」。
橋さんは農作業の合間に孫たちに読み聞かせをします。
お気に入りは「おばあちゃんがいるといいのにな」
「おかえり。
えらかったね」。
開拓農家に生まれた橋さん。
幼い頃の楽しみは祖母が聞かせてくれる昔話でした
「ぼくはおかあさんにおこられるとおばあちゃんのそばにいく。
だまってすわっているだけでなみだがかわくんだ」。
橋さんの語り口っておばあちゃんが語ってくれたのと何か重なります?やっぱり。
そうなんだねぇこれねやっぱり子供の時にばあちゃんが話してたその話し方みたいなものがメロディーとして私の中にしみついちゃってるのかなって。
絵と文とメロディーと合わせて子供たちにどんどん伝わっていってそしてその子供たちがまた気持ちがよかったら同じようにそのメロディーを伝えていってもらえればいいなと思って。
絵本の里づくりに取り組んできた仲間たちが集まっていました
にぎやかですね。
うわ〜もう始まってるんだ。
皆さんお仲間で。
(橋)30年近く前の事だからみんな若くて。
若いよね。
青年だった?若者だった?青年だった。
細かった。
ここで肉食べたおかげで。
かっぷくがよくなったかつての若者たち。
でも町を元気にしたいという思いは変わりません
取り出したのは…絵本です
絵本で町おこしをするからには読み聞かせができなければと腕を磨いてきました
子供が寝た頃に酔っぱらって家に帰って寝た子を起こして読み聞かせるっていう。
男たちが続けてきた読み聞かせです
「おどろくんでない。
おらはこの山にひとりですんでいるばばだ。
山ンばというものもおる」。
「ひとりじゃないんだがんばろうって。
パパはウルトラセブン」。
ジャガイモ農家の下田秀樹さん。
手にした絵本は「じゃがいもポテトくん」です
「ぼくはじゃがいものじゃーむすです。
かぞくしんせきみんなできたのくにからこのやおやさんにきました」。
「『じゃーむすじゃないかー』。
『ととーさんじゃありませんか!』。
『みんなじゃがいもがだいすきなんですね』」。
おしまい。
(拍手)こっちを見せて。
これがこれがこれが一番の見せたいとこなんですよ。
これ私なんで。
裏表紙には下田さんの姿。
絵本の里の活動にほれ込んだ作家が描いたものです
読み聞かせのボランティアをしている小柳美和さんです
小学校6年生の娘颯希さんと絵本を選んでいました
颯希さんが町の保育所で読み聞かせをする事になったのです
「きいろいほしからきたおじさんおやすみなさい」。
何?これ。
「ぼくはあのとってもきれいなきいろいほしにちいさいこえでいいました」。
小さい声。
大きかった。
野菜炒め作ろうかなと思ってるから。
野菜切るの手伝ってくれる?いいよいいよ〜。
畑仕事や家事の合間絵本を読んでくれた母に憧れた颯希さん。
自分も読み聞かせに挑戦する事にしたのです
本番を5日後に控え家族の前で練習です
相手は小さな子供たち。
ただ読むだけでは楽しんでもらえません
かっぱがくぐるから変身しちゃわないといけないの…。
駄目だ。
(小柳)こっちの手で。
これで?
(小柳)「けいとにへんしんです」ってやって。
で「こんどはちいさなぼたんが」みたいなふうに。
閉じてね。
指をさしたり声をかけたり。
子供たちを絵本に引き込むためのコツを母の美和さんから教わります
「ぱかっぱかっぱかっぱかっ」。
あれ?いつの間にかかっぱさんが馬になって出てきちゃったね。
読み聞かせの当日
颯希さん子供たちをうまく楽しませる事ができるでしょうか?
おはようございます。
保育所では子供たちが楽しみに待っていました
本番を前にちょっと緊張気味です
ある時かっぱさんがトンネルをくぐりました。
一生懸命子供たちに語りかけます
みんなも一緒に「かっぱかっぱかっぱ」って言ってくれるかな?「かっぱかっぱかっぱかっぱ」。
へ〜んし〜ん!あれ?馬馬馬。
かっぱさんがお馬さんになっちゃったよ。
「ちょこちょこちょこちょこちょこ…
(颯希)へ〜んし〜ん!「こちょこちょこちょ…」。
颯希さん子供たちの心をつかめたようです
「こらっこらっこらっこらっこらっこらっ…」。
(颯希)へ〜んし〜ん!「へんしんトンネル」でした。
大きい拍手するよ。
(拍手)楽しかったです。
自分が一番楽しかったですね。
一緒にやってくれるところとか聞いてても楽しかったのでまたやりたいなと思いましたね。
心育てる絵本の里です
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2015/10/24(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「ようこそ 絵本の里へ〜北海道 剣淵町〜」[字]
小麦や大豆の畑など、絵本さながらの風景が広がる北海道剣淵町。約30年前、若者たちが始めたのは、“絵本の里”作り。絵本とともに北の大地で生きる人たちに出会う旅。
詳細情報
番組内容
北海道北部の剣淵町は、小麦や大豆などの畑が広がる農業の町です。町の中で目にするのは「絵本の里」という看板です。約30年ほど前、地元の若者たちが絵本を題材に町づくりを始め、今では“絵本の里”として知られるようになりました。町には、読み聞かせに聞き入る子どもたちや、飲み屋にお気に入りの絵本を持ち寄り、語り合う大人たちの姿があふれます。絵本さながらの美しい町で、大地とともに生きる人たちに出会う旅です。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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サンプリングレート : 48kHz
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