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【政治】

自衛官希望者2割減 募集 安保法審議の最中

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 自衛隊各部隊の将来の現場を支える一般曹候補生の二〇一五年度の応募者が前年度比約二割減で、過去九年間で最少だったことが分かった。募集期間は八月一日から九月八日で、安全保障関連法の国会審議時期と重なる。

 一般曹候補生は十八歳以上二十七歳未満が対象で高校新卒者が中心。採用区分はほかに大卒以上対象の幹部候補生や任期付きの自衛官候補生などがある。

 一五年度の応募者は二万五千九十二人で、一四年度の二割減。二年連続の減少となった。現在の採用区分となった〇七年度以降の九年間でピークだった一一年度から半減した。

 防衛省人材育成課の担当者は、民間企業の高校新卒者に対する求人が大幅に増え、求人倍率が一・五四とバブル経済崩壊直後ごろの水準まで回復したことを指摘。「応募人数は民間の採用状況に大幅に左右され、その影響が大きいとみられる」と説明。安保法の影響に関しては「一概に言えない」としている。

 安保法の審議では自衛隊の海外での任務が拡大し、より戦闘現場に近い場所での活動が可能となり、隊員の危険が高まると野党が追及。中谷元・防衛相は隊員確保の懸念に対し「ここ数年、倍率が七倍で続いていて、集団的自衛権を閣議決定した昨年度も七倍を上回った」と説明した。だが、本年度の陸海空自衛隊の採用人数が前年度と同じ約四千四百人とすると、倍率は五・七倍となる。

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 軍事ジャーナリストの前田哲男氏は「自衛隊の好感度が上がる中、応募者が二割も減るのは安保法の影響と考えるのが自然。法施行後は国連平和維持活動(PKO)の任務が拡大し集団的自衛権を行使する。人道復興支援や救助活動から普通の軍隊に近づく。本人や家族、友人の不安を反映したのだろう」と指摘する。

 一般曹候補生は部隊を指揮する幹部でない一般自衛官として採用。陸・海・空の自衛隊に最下級の二等陸(海・空)士として入隊し、教育を受けて部隊勤務に就く。二年九カ月間の経験を積み、選考を経て下士官の三等陸(海・空)曹に昇任する。 (横山大輔)

 

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