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【社会】

原発避難の権利確立を 全国組織、29日に設立集会

 東京電力福島第一原発事故の避難者らが「『避難の権利』を求める全国避難者の会」を結成し、二十九日に東京で設立集会を開く。強制避難と自主避難の壁を越え、全国に散らばった避難者のネットワークをつくり、政府や自治体に、避難の権利を保障する立法や支援策を求めていく考えだ。

 「さまざまな避難者に呼び掛けが伝わる工夫を」「住宅支援問題の取り組みは外せない」

 七日夜、札幌市のアパートで福島市から妻子と自主避難した介護サービス業中手聖一さん(54)が、インターネット電話「スカイプ」で設立準備会の会議に臨んでいた。

 準備会メンバーは、福島県やその近隣から避難し、十都道府県で暮らす約十五人で、今夏ごろから話し合いを重ねてきた。この夜も活動方針や入会方法など、会議は三時間を超えた。

 同会が求める避難の権利を、中手さんは「避難する人もとどまる人も、自分の意思で選択できるよう等しく支援を受けられること」と説明する。

 政府は住民が帰還できる環境が整ったとして、これまでに福島県楢葉町などの避難指示を解除。放射線量が高い帰還困難区域以外の他の地域も二〇一七年三月までに解除する方針だ。福島県も自主避難者に対する住宅無償提供を同じ時期に打ち切ることを決めている。

 こうした状況に中手さんらは「避難の権利が切り捨てられようとしている」と危機感を抱き、政府と交渉できる全国組織が必要と考えたという。

 会では、避難の支援や健康診断の充実を政府に求めていくとともに、避難者の実態把握などにも取り組む方針だ。強制避難、自主避難にかかわらず入会でき、被災当時、どこにいたかも問わない。経済的な理由などで帰還した人も参加可能だ。

 避難者が抱える課題は一人一人異なり、行政からの支援にも格差がある。避難指示の解除により、自主避難の立場に変わる人が増える可能性もある。福島市から京都府木津川市に家族で避難し、中手さんと共に共同代表に就任予定の宇野朗子(さえこ)さん(44)は「お互いに理解して支え合い、分断を乗り越えたい」と話している。問い合わせは、中手さん、電080(1678)5562。

 

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