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【政治】

「18歳選挙権」月内通知 強い自民色、国会対立が影

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 選挙権年齢の十八歳への引き下げに伴い、文部科学省は月内に高校生の政治活動を認める通知を都道府県教育委員会などに出す。これまでに公表された通知案は、教育現場を萎縮させかねない規制色の濃い内容。安全保障関連法をめぐる与野党対立が影響したとの見方が広がっている。 (高山晶一、安藤美由紀)

 今月五日に発表された通知案は、高校生の政治活動を禁止した一九六九年の通知を廃止すると明記。同時に、生徒による校内での政治活動や選挙運動は、放課後や休日でも制限・禁止するとした。教員には「個人的な主義主張を述べることは避け、中立な立場」を求めている。

 通知案とは別に、全国の高校に配布される副教材や指導用資料も、教員に対して政治的中立を求める記述が、具体例とともに詳細に盛り込まれた。

 十八歳選挙権をめぐっては、改正公職選挙法が今年六月に成立したのを受け、与野党九党派の「選挙権年齢に関するプロジェクトチーム(PT)」が、円滑に運用するための議論に着手。複数の関係者によると、当初、PTとして提言をまとめて文科省に申し入れる動きがあった。

 しかし、安保法をめぐる与野党対立が激化し、共同で提言をまとめる機運は低下。PTとして議論は続けたが、文科省に対しては各メンバーが個別に意見を伝えるにとどめた。

 一方、自民党文部科学部会は七月、独自に「学校教育の混乱を防ぐための提言」をまとめて安倍晋三首相に申し入れた。生徒の政治活動は、学校内外とも「基本的に抑制的であるべき」とし、教員による政治的行為の制限を強化。違反に罰則を科すため教育公務員特例法改正も盛り込んだ。

 民主党も八月、独自に提言を出した。「明快なガイドライン」を確立して自由な議論を促す内容で、教員に対しては「信頼を基本とし、威嚇は行わない」と明記している。

 結果的に、文科省がまとめた通知案や副教材、指導用資料は、自民党の主張通り政治的中立性を強く求める内容になった。野党も加わったPTが提言をまとめていれば、規制色が薄まっていた可能性がある。

 

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