厚生労働省は2013年6月「子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆さまへ」と題するリーフレットを作成、配布し始めました。
リーフレットでは「現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません。接種に当たっては、有効性とリスクを理解した上で受けてください。」とされていますが、保護者や本人が接種を受けるかどうかを判断するのに十分な情報は書かれていません。
そこで、当会議では、判断のキーポイントに絞って、独自のQ&Aを作成しました。
ワクチンは、日本人の子宮頸がんのうちの約半数を占める型のウイルスには効果がありませんので、ワクチンを接種すれば、検診を受けなくていいとは言えません。
日本では、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2,700人が死亡していると報告されていますが(厚生労働省人口動態統計)、一方で、検診を受けて早期発見をし、適切な治療をすれば、子宮を失ったり、死亡したりすることを防げる病気でもあると言われています。6)
一般に、医薬品の評価にかかわる専門家が、企業から寄付金・契約金等(研究費や原稿料、講演料、コンサルタント料)などを受け取っている場合には、評価の公正さが歪められる可能性があると指摘されています(このような状態を「利益相反」といいます)。
このワクチンの副反応について検討した委員を見てみますと、委員15人のうち11人(73%)が、参考人2人のうち1人がワクチンメーカーから金銭を受け取っていました。
しかも、サーバリックスのメーカーであるグラクソ・スミスクラインからは5人、ガーダシルのメーカーであるMSDからも8人が、金銭を受け取っていました。
2つのメーカーから金銭を受け取っていた11人のうち6人(55%)は、HPVワクチンの副反応についての審議が始まった2013年5月の時点では金額を正しく申告せず、その後外部からの指摘や厚生労働省の再調査を受けて申告を修正しています。正しく申告しなかったこの6人の中には座長の桃井真理子氏、五十嵐隆氏も含まれています。
WHOは、2009年に、方針説明書(position paper)を公表し、このワクチンの使用を推奨していますが、無条件で「世界全体においてこのワクチンを使用するよう推奨」しているわけではありません。
その国において「子宮頸がんやその他のHPV関連疾患が公衆衛生上の優先課題であること、ワクチン接種戦略に費用対効果が認められること」等が推奨の前提条件であることが明記されています(この点で厚生労働省の回答は不正確で誤解を与えます)。
日本は、子宮頸がんによる死亡率が人口10万人あたり4.2人(厚生労働省2011年人口動態統計)と少ないうえ、がん検診や適切な治療を行うことでほとんど死亡率をゼロにできる医療システムをもっています。従って、日本には、このワクチンを推奨する前提が揃っているとはいえません。