その後、日本政府宛てに「慰安婦が強制連行ではなかったとする主張について答えよ」との質問状が届いたのだそうだ。私からすれば、おいおいである。一九九〇年代初頭に慰安婦問題が浮上して四半世紀が経つのに、国連が「初めて聞いた」とは。外務省の仕事ぶりがこれだけでよくわかるのだ。
というか、杉田水脈氏が会合に出席し発言していなければ、慰安婦問題は河野村山両氏および韓国政府の主張がそのまま国連の認識になっていただろう。それを思うと背筋が寒くもなるが、却下されたとはいえ、今回は中国が韓国に加担し、記憶遺産に「慰安婦関連資料」を登録しようとした。何やってんだ外務省!!
ただ、杉田氏の発言で国連が動いたことは、レフトを守る一部の人を除けば、私たちには一筋の光明でもある。この質問状に外務省がしっかりと回答すれば、来年二月に行なわれる委員会の本会議で日本の主張が認められる可能性もあるからだ。だから、慰安婦は性奴隷だったのか、強制連行があったのか否かの真実の全ては外務省にかかっているのである。でも大丈夫かしら、あの人たちに任せて。
慰安婦問題は外務省に挽回のチャンスが与えられ、レフトを守る一部の人を除けば私たちも朝日新聞に塗られた顔の泥を拭う絶好の機会にもなるが、問題は、すでに登録されてしまったでっちあげの「南京大虐殺文書」だ。
週刊新潮は「登録された南京大虐殺文書は十一種類。全てに証拠価値がないことを立証すれば登録は覆せるというが、その道は険しそうだ」とやや悲観的に書いたのに対し、週刊文春にコメントしたケント・ギルバート氏は楽観的にこう言う。
「私は、今回の件で日本が被ったデメリットは、プライドが傷つけられたことぐらいで、むしろメリットのほうが大きいと見ています。中国が提出した証拠をひとつずつ反論して潰していけばいいのだから、議論しやすくなったと言えます。中国が国ぐるみでウソつきだということを世界にアピールするチャンスをもらったわけです。
それにユネスコ予算の日本の分担金は約三十七億円とトップで、中国の割合はその半分にも満たない。カネだけ出して口を出さないじゃ意味がない。外務省は国連ロビー担当を強化する必要があります。
そして、日本人が海外で南京大虐殺について問われたときに、反証のためにすぐに相手に手渡せる外国語の資料を作成するべきです。その過程で外務省職員も歴史の真実を十分勉強してほしい。彼らには国際政治と歴史問題の認識が浅いと感じます(後略)」