自らの経験、仕事の楽しさを伝えたいという思い

[写真]元選手と企業関係者が集まる就職セミナー

 和田さんは、再就職やお金のことについて、自らの経験を選手たちに伝えたいといいます。

「お金の使い方もわからないのに、大金を貰います。『また稼げる』『来年頑張ればいいや』と思ってしまうんですね。本当に貯金をしておけばよかったと思います。18歳でプロになり、世の中の仕組みがわからないまま22歳で社会に出ました。学生の就職は学校でサポートしてくれますし、資料を見て会社を決め、試験を受けます。就職活動も何もしていませんから、仕事の探し方も全くわかりませんでした」

 川口さんは、再就職に関して話を聞く人が全くいなかったという経験から、元選手たちに様々な機会を提供しています。

「元選手が社会に出てどうだったかを話す機会を設けたいと思います。自分が引退したときにこういう機会を求めていました」

 さらに、川口さんは仕事の楽しさも伝えたいと話します。

「『自分のやりたいことをプレゼンし、仕事を広げていくことは楽しい』ということを伝えたいです。野球を諦めたくないという選手が多いですが『野球以外もあるよ』ということを教えたいですね」

 今でも再就職に苦労している元選手はたくさんいると言います。和田さんは10月から川口さんと同じ会社に勤務し、営業を学んでから人材ビジネスに携わる予定です。川口さん、和田さんは、プロ野球選手を引退してから社会に出て、実際に経験したからこそわかることを伝え、新たな人生につまずくことがないよう、サポート活動を続けていきます。

(ライター・篠崎有理枝)

《取材協力》
■川口寛人(かわぐち・ひろと) 日本リアライズ株式会社でアスリートのセカンドキャリアを担当。1985年8月7日生まれ。神奈川県出身。大月短大附属高校→山梨学院大学→西多摩倶楽部を経て2010年ドラフトでジャイアンツから育成7位指名→2011年引退

■和田凌太(わだ・りょうた)日本リアライズ株式会社不動産営業を担当。1992年7月20日生まれ。広島県出身。広島工業高校から2010年ドラフトでジャイアンツから育成1位指名→2014年引退

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