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千日のブログ

難波リラクゼーションリンの美人セラピストに鼻の下を伸ばして一時は妻から離婚されそうになりつつも生還した「私」が社会経済問題に切り込みます。小型の海水水槽のノウハウもアリマス。

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三井不動産レジの提示条件 『最高値での買取』は最低の補償条件です

後悔しないマンション選び

全棟建て替えを基本的枠組みとするんじゃなかったの?

どうも千日です。なんだか狐につままれたような感じのするニュースです。

 

パークシティLaLa横浜の販売元である三井不動産レジデンシャルが、今月の27日に正式に住民に対して、販売後の最高相場での買取プラス精神的苦痛への賠償を補償条件として提示する方針である。 


確か、16日に開かれた住民への説明会では、三井不動産レジデンシャルの社長が謝罪し、下記の3点を申し出たということだったはずです。


  1. 全棟建て替えを基本的枠組みとする
  2. 代替住居の費用を全額負担する
  3. 精神的苦痛も賠償する


この中で千日が最も評価したのは

1.全棟建て替えを基本的枠組みとするという申し出です。『さすが!天下の三井は違うな』と感心したんですが……わずか一週間でこの基本的枠組みはなかったことになりましたね。

 そもそも初めから全棟建て替えなんて、する気はなかったのかもしれませんね。

 

三井不動産レジデンシャルの負っている瑕疵担保責任の解除とは、遡って売買契約を無かったことにする効果

民法570条の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)の『解除』の主旨は、もしもその瑕疵(かし)があることがわかっていたら絶対にそのマンションを購入することは無かった買主を保護することにあります。

詳しくはこちら旭化成建材の施工データ偽装 販売した三井不動産レジの責任と購入者が急ぐべき瑕疵担保請求 - 千日のブログをどうぞ。

つまり、

瑕疵担保責任の解除=買う前の状態に戻す

ということです。

もちろん、この瑕疵によって被った損害についても賠償責任は残ります。

 

販売後の最も有利な条件で買取るのは瑕疵担保責任の解決にはなりません。だって、まともなマンションならそもそも住民は売りたいなんて思わないからです。

一番いいと思われるタイミングでの評価額で買い取ることが、最大限の補償

これは、三井不動産レジが16日の住民への説明会の配布資料に書かれていた内容だそうです。

この文章には誰にとっての『最大限』かが抜けています。

一番いいと思われるタイミングでの評価額で買い取ることが、当社にとって最大限の補償

被害住民の立場に立った『最大限』ではなく、自分にとっての『最大限』ということです

 

全棟建て替えには住民=管理組合にもクリアしなければならないハードルがあります

三井不動産レジだけを責めるべきではないかもしれません。そもそも『全棟建て替え』というのは非常にハードルが高いです。なぜなら、区分所有者の全員が同意しなければならないからです。

多数決というものがありますけど、共有部分については多数決で決められるでしょうが、専有部分については多数決ではどうにもなりません。全棟建て替えとなれば、当然専有部分も壊すわけです。

反対した人が居座ったら実質的に工事は始められません。

4棟計705戸の区分所有者=住民が、全員一致で建て替えに同意しなければ実現しないんです。

705人も居たら一人位は変わった人がいるものです。

つまり、

どう考えても最も有利な全棟建て替えを拒否し、あくまで三井不動産レジに買い取れと主張する人

ですね。報道ではこんなことが書いてました。

住民からはマンションが販売された06年以降、価格の上昇傾向が続いたことを指摘する声が上がった

三井不動産レジからしたら神様みたいに見えたでしょうね。『なんていい人だ』と思ったでしょう。

 

三井不動産レジデンシャルの勇み足

売主が全棟を建て替えると申し出たのに、買主が自らそれを拒否して高値での買い取りを要求した。

 だったら、解除までは望んでいないということになります。

  • 責任を最大限追及したい住民側としては不利な状況
  • 責任を最小化しつつ責任を全うした印象を出したい三井不動産レジとしては有利な状況

三井不動産レジとしては、これを上手く使いたいところですが、どうも今回はこの最高値での買取を申し出るタイミングが早すぎるように思います。

だって、一度は社長の口から『全棟建て替えを基本的枠組みとする』と言っているんですよ。それからわずか1週間で『できるだけ高値で買い取ります』というのは筋が通りません。

三井不動産レジは27日に住民に「正式に提示する」と言っていますが、16日だって代表権のある社長が言ったわけですからこれも正式なんです。

全棟建て替えについて住民全員が一致するのはかなり困難だということはわかっています。

住民=管理組合から全棟建て替えの決議に至らなかったという言質を得てから、おもむろに出すべき条件ではないかと思います。

 

住民としては十分な議論を尽くすべき

言うまでもないことですが、簡単にこの条件をベースに交渉に入るべきではありません。三井サイドは、組合に対してこの条件を提示しつつ、既に個人レベルで買い取り交渉を始めている可能性があります

不動産の仲介もやってますから、それ自体悪いことじゃないです。しかし…

三井サイドが買い取ったら、その部分については三井サイドの票になります。

放っておけば、その票はだんだん増えて行くでしょう。 

どうします?二つの道があります。

  • 三井不動産レジが『無理だろう』と決めてかかっている全棟建て替えの決議を取りに行く
  • 面倒なので、三井不動産レジに売却して『イチヌケタ』するか

f:id:sennich:20151024221546j:image 

まだ、あれから1週間位しか経ってません。

こんなの、十分な議論ができる日数ではありません。 

後者を選ぶ前に、まだできることがあるはずです。

以上、千日のブログでした。

千日のブログではマンションの値引き交渉から資産価値、管理組合に至るまで、幅広くマンションについての耳寄りな情報を公開しています。

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