2015年10月25日00時15分
リニア中央新幹線の工事による環境への影響を考える集会が24日、名古屋市で開かれ、沿線7都県の住民ら約380人が参加した。国によるJR東海への工事認可から1年で見えてきた課題について報告し、連携を進める方針を確認した。
品川―名古屋間の86%がトンネルで、工事での騒音や残土、地下水への影響などが懸念される。沿線約17キロに非常口4カ所と保守基地ができる愛知県春日井市の「春日井リニア新幹線を問う会」によると、付近に9カ所の亜炭坑跡がある。
JR東海は「トンネルは亜炭坑跡より下で影響はない」としているが、事務局長の川本正彦さん(71)は「工事で地下水脈が変わり地表が陥没する不安がある。工事前後の2回、家屋への影響を調査すべきだ」とし、27日に愛知県に申し入れると述べた。
駅や車両基地、変電所ができる相模原市の「リニア新幹線を考える相模原連絡会」の建部由美子さんは「工事は10年間以上で、粉じんなどの影響に関心が高まっている」と説明した。
リニアが市内すべてを高架橋で通過する山梨県南アルプス市の名取泰市議は「騒音や日照の問題で地元側は用地幅を100メートル取るよう求めているが、JR東海は22メートル。話し合いは平行線で、いまだ測量も行われていない」と話した。
沿線住民らは工事認可の前提となったJR東海の環境影響評価に問題があるとして、認可取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こそうと準備中だ。集会では弁護団の関島保雄弁護士が「地域の人たちは今になって問題に気づかされた」と指摘。各地に呼びかけて原告を1千人規模にする目標が報告された。
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朝日新聞社会部
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