自民:改憲論抑制へ 憲法本部長に森氏、参院選争点避け
毎日新聞 2015年10月23日 23時51分(最終更新 10月24日 00時36分)
自民党は23日の総務会で、船田元(はじめ)憲法改正推進本部長の後任に森英介元法相を起用することを了承した。森氏は当選9回のベテランだが、工学博士で、これまで憲法問題に積極的に関わってきたわけではない。党内では「安倍晋三首相が来年夏の参院選までは改憲でアクセルを吹かせるつもりはないというメッセージ」(閣僚経験者)という見方が出ている。
森氏は総務会後、「人脈を生かし、国民の合意形成に最重点を置いて臨みたい」と記者団に決意を語った。
今回の本部長交代は、先の通常国会の衆院憲法審査会で、自民党推薦の憲法学者が安全保障関連法を「違憲」と表明したのがきっかけ。人選を主導した船田氏の事実上の更迭人事だった。ただ、船田氏に対しては「憲法にあれほど知識と経験のある人はいない。野党も船田さんだから協議に応じてきた」と党内に同情論もあり、引き続き推進本部の要職にとどまる可能性は残っている。
首相は7日の記者会見で「時代が求める憲法の姿について国民的な議論を深めていきたい」と述べ、改憲に重ねて意欲を示した。しかし、同党幹部は「改憲を声高に叫んで参院選の票になるのか」と指摘。改憲に積極的な別の議員も「急ぐ話ではない」と述べ、森氏のもとで改憲論議はペースダウンするという見方を示す。
23日の総務会では、小泉進次郎農林部会長など、政務調査会の各部会長人事も正式に決まった。【高橋克哉】