【コラム】VW不正問題が韓国自動車メーカーに与える警告

【コラム】VW不正問題が韓国自動車メーカーに与える警告

 ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制を逃れるためディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していた問題は、人々に「信頼の厚いドイツメーカーでどうしてそんなことが起きたのか」という衝撃を与えた。調査が進行中ではあるものの、これまでに明らかになった監査役会の問題点、泥仕合を繰り広げた大株主たちの素顔などを見るだけでも、驚くべき水準だ。もうひとつ気になることは、そんな問題点を抱えた企業がどうやって世界1位に上り詰めたのかということだ。

 実際、世界1位と誠実さなどはそもそも関係のないことなのかもしれない。どうかすると、そうした問題点が一定期間は成長エンジンの役割を果たしたものの、ある瞬間に爆発してしまったという見方も可能だ。その意味で、ロンドン市立大学のアンドレ・スパイサー教授の見解は目を引くものがある。

 同氏は、企業の最高経営責任者(CEO)たちは自身のポストと高い年俸を守るため、実際には不可能なことを約束していると指摘する。今回のケースでも、政府の排ガス規制、安くてパワーのある車を求める消費者のニーズ、投資家の高い収益要求などを同時に満たしてみせると、不可能なことを約束した。

 そのCEOたちは、不可能なことを達成するプロセスで行われる不正に直接関与することはない。ただ経営陣や技術エンジニアたちに無言の圧力をかけるだけだ。VWのケースも、解決策を見つけられず上部に怒られることを恐れたエンジニアたちが、不可能であることを隠してよい結果だけを報告しようとして不正を働いた可能性が高い。不正問題をめぐり引責辞任したウィンターコルン前CEOは、火のような性格の持ち主として知られている。

李仁烈(イ・インヨル)産業1部次長
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