離散家族再会:結婚半年で生き別れの夫婦「あの世でまた会おう」

第1次再開行事の最終日
北朝鮮の参加者らがバスに乗ると、窓を挟んで互いに別れを惜しむ

離散家族再会:結婚半年で生き別れの夫婦「あの世でまた会おう」

 薄暗い空模様の中、霧雨が降り出した。第1次の南北離散家族再会行事最終日となった22日、バスから降りた北朝鮮の家族たちはハンカチで目頭を押さえながら、最後の出会いの場が設けられた金剛山の面会所に向かって歩き出した。先に会場で待機していた韓国側の家族たちは、中から窓に顔を押し付けて自分たちの肉親の姿を探した。

 北朝鮮から来たオ・インセさん(83)が席に着くと、韓国に住む妻のイ・スンギュさん(85)は夫のネクタイを締め直した。妻がうつむいて涙を拭くと、夫は妻の白い髪をなでた。二人は6・25戦争(朝鮮戦争)が起こった1950年、結婚からわずか6カ月と20日で生き別れとなり、この日65年ぶりに再会を果たしたのだ。

 面会が許された2時間が過ぎようとする頃、オさんは妻の手を取り「気をしっかり持って、あの世でまた会おう」と語り掛けた。イさんは「分かりました。元気で」と応えた。

 北朝鮮からやって来たイ・フンジョンさん(88)は娘のイ・ジョンスクさん(68)と再会した。忠清南道礼山に住んでいたフンジョンさんは、6・25戦争が始まると当時2歳だった娘のジョンスクさんを置いて行方不明になった。韓国に住む親戚たちがフンジョンさんにクンジョル(両手を額に当て膝をゆっくり折り曲げて座り頭を深く下げる礼節作法)をすると、娘のジョンスクさんは「明日の朝また会えるのに、なぜそんなことを」と言った。誰かが「今が最後だ」と言うと、娘は父の膝に顔を埋めて泣いた。涙で目が腫れた父は、65年ぶりに再会した娘の顔を両手でなでながら「力強く生きていきなさい」と語った。娘は父に黄緑色のハンカチを手渡し「私のと同じものですから、大切にしてください。私が結婚していないことを悲しまないでください」と言った。

 午前11時20分になると「10分後に終了する」という放送とともに、北朝鮮の歌謡曲「また会いましょう」が流れた。パク・ヨンドゥクさん(81)は北朝鮮に住む姉のヨンスンさん(82)の手を取り「姉さん、このまま一緒にソウルに行こう。2-3日一緒に過ごして、それから車で北朝鮮に送ってあげるから」と言った。

 最後の出会いを終えると、まず北朝鮮側の参加者たちが先に会場を後にした。彼らは外に出るとまた振り返り、家族の名を呼んだ。韓国の参加者たちは駆け寄って抱き締め、声を上げて泣いた。

 北朝鮮の参加者たちが全員バスに乗ると、韓国側の参加者たちはバスの周りに立ち、窓から手を入れて北に戻る家族の手を取りながら「また会おう」「愛してる」「今度はいつ会えるのか」と互いに大声で叫んだ。北朝鮮の監視担当者がバスの窓を閉めると、互いに窓をたたきながら別れを惜しんだ。韓国側の参加者389人は2泊3日、計6回12時間の再会を終え、午後3時40分ごろに軍事境界線を越えて帰還した。

チョ・ベッコン記者 , 金剛山共同取材チーム
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 離散家族再会:結婚半年で生き別れの夫婦「あの世でまた会おう」

right

関連ニュース