■現実を反映しない経済指標
最も頻繁に指摘されるのは、現実をしっかり反映できていない統計指標だ。代表例が失業率。失業率は失業者数を経済活動人口で割り、100をかけて算出されるが、就職を断念した人、就職活動をせずに休養中の人が増えるほど失業率が低下する。また、インターン、アルバイトのように本人が正式な就職だとは認識していなくても、統計上は就業者にカウントされる。
物価も現実とかけ離れた指標だ。物価は国民が最も消費する481品目の価格変動を加重平均して算出するが、品目リスト、加重値が実生活とかけ離れているとの指摘が相次いでいる。例えば、たばこ、交通費、生活必需品の値上がりは庶民に大きな負担となるが、実際の物価上昇率与える影響は小さい。
■景気に敏感な自営業者
自営業者の割合が高い点も体感景気が悪化する要因だ。月給を受け取る勤労は景気が悪化してもそれを認識しにくいが、自営業者は景気が悪化した瞬間にそれを感じ取る。韓国は自営業者の割合が経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も高い。実際に自営業者の体感景気は給与労働者よりもはるかに悪いことが分かった。
今回の調査で、給与労働者は体感成長率をマイナス0.2~マイナス0.3%と答えたのに対し、自営業者は平均マイナス0.6%だった。体感所得の面でも正社員は前年比で所得が0.8%増えたが、自営業者は所得が2.8%減少したと答えた。
■ネット経由でネガティブ心理拡大
体感景気が実際よる悪いと感じられる理由には心理的な要因もある。韓国開発研究院(KDI)のキム・ヒサム博士は「所得が100万ウォン増える際に感じる便益よりも、100万ウォン減少するときに感じる不幸のほうが大きいという『認知偏向』が起きる」と指摘した。インターネットやソーシャルメディアを通じてネガティブな心理が広がる面もある。例えば、「雇用が好転した」という記事は、コメント欄が「それなのになぜ自分は採用されないのか」「うそじゃないのか」といった書き込み一色となる。そうしたコンテンツを通じ、「感情の伝染」が起き、体感景気がさらに悪化するという構図だ。