大分県は地方創生の「人口ビジョン」と「総合戦略」を策定し、今月から本格的なスタートを切った。県内人口の減少を抑え、2080年ごろから増加に転じる構想を描く。ただ人口推計に用いた出生率と転出入の数値は、現状よりかなり高めに設定。実現には相当の政策実行が不可欠で、険しい道のりになりそうだ。 推計は国が掲げた想定をベースに構築。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、国の「30年に『国民希望出生率』の1・8程度、40年に人口維持に必要な2・07程度」を参考にした。大分県は14年時点で1・57だが、30年には国と同様、意識調査に基づいて算出した「県民希望出生率」の2・0程度になると仮定。40年には国の上昇幅と連動して2・3程度まで高まるとした。 転出入による人口増減も、東京圏への転入超過が年間10万人に上る現状を地方の雇用創出で改善し「20年に転出入を均衡させる」とした国の目標がベース。大分県は14年時点で2538人減だが、20年に増減均衡、25年以降は国立社会保障・人口問題研究所の推計に年間千人程度(全国ベースの1%)を上乗せした。 県は「ハードルの高いところに向かって政策を打ち込んでいく」(県政策企画課)とし、結婚から子育てまでの総合的支援や、魅力ある仕事づくりで5年間に4300人の雇用創出といった施策に取り組む。ただ9月の定例県議会では「より高い目標を掲げ、より高い効果を得るという積極的な考え方もあるが、これまでもいろんな政策を進めてきた」(二ノ宮健治県議)と難しさを指摘する声も。 大分大学経済学部の下田憲雄教授(理論経済)は「フランスでは育児・教育費の支援を手厚くして出生率が回復した。子育てがしやすくなれば、希望出生率も現状より上がる可能性はある」と説明。転出入については「政府は東京圏からの転出を掲げるが、企業にとって経済の集積がある東京に本社を置く意味は大きい。県内で魅力ある企業をどう成長させるかが課題」としている。