くらし☆解説「変わるがん検診 気になる乳がん・胃がん」 2015.10.21


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうはこちらのテーマです。
最近、著名人ががんで亡くなったり、がんが見つかったことを公表したといった話題が相次いでいます。
そのがんを見つける方法の1つががん検診ですが、来年度から内容が変わるそうです。
担当は土屋敏之解説委員です。
がん検診、何かと最近話題になっていますけれどもそもそもがん検診はどういうものがあるんですか?こちらの5種類が公費で補助されて自治体や職場で行うように決められているものです。
女性の乳がんと子宮頸がんそして男女の胃がん、肺がん大腸がんとあります。
このほかにも企業によって前立腺がんの検診を導入していたり人間ドックでもっと高度な検査を行っていたりということもありますが、公的の制度としてはこの5つになります。
今回どこが変わるんですか。
定期的に厚生労働省の検討会で見直しが行われているんですが来年の4月以降乳がんと胃がんについて内容が変わる見通しになってきました。
乳がんについては、現在はマンモグラフィーいわゆる乳房専用のレントゲンのようなものです。
それと視触診が併用となっているんですが、これがマンモグラフィーだけに変わる。
胃がんは現在、40歳以上の方は年に1回X線を受けることになっています。
これがかなり変わりまして50歳以上、2年に1回X線または胃カメラということになる見通しです。
これまでよりもちょっと緩くなる感じですかね。
乳がんについてはそうも言えないんです。
確かにぱっと見るとマンモグラフィーと視触診、2つあった検査が1つに省略されている感じに見えますが実は現在の制度というのは、まだマンモグラフィーが全国的に十分普及していないときに作られたものなのでマンモグラフィーができなければ視触診だけでいいですよと解釈ができる内容だったんです。
それが今は設備も普及して熟練した医師なども増えているということで今後はマンモグラフィーを必ずやりましょうということになる見通しです。
最近、北斗晶さんが毎年受けていたのにがんが見つかって乳房を全摘したということが話題になりました。
検診は本当に意味があるのかなと思った方がいると思います。
実際、北斗さんの場合は検診は2年に1回でいいとされているのを自主的に毎年受けていて去年の秋もマンモグラフィーなどを受けて異状はなかったそうなんです。
ところがその後痛みなどを感じて受診したところ、ことしの7月に2cmの乳がんが見つかったということで、どうして去年の検査で見つからなかったの?などと話題になりました。
40代という若さなので進行が早い場合もありますけれどもやはり検診というのも発見率が100%ではないんです。
毎年受けていても、がんが見つからなかったというケースは残念ながらあるんです。
ただそうはいっても定期的にがん検診を受けているほうが進行する前の段階で見つけられる確率が高いというのも事実ではあるんです。
北斗さんも検診を勧めていらっしゃいますね。
ご自身のブログの中でも、私の発表をきっかけにしたくさんの人が乳がん検診を受けてくれたらうれしい、と書かれています。
ですから、やはり乳房全摘はもちろん非常に大きなことなんですけれども、この段階で見つかったから治療ができたということも一方でいえるわけです。
検診は定期的に受けたうえで気になる症状があったら医療機関に行くということがやはり大切なんだと改めて感じます。
もう1つ検診で気になるのはマンモグラフィーよりもエコー、超音波の検査のほうがいいと聞いたことがあります。
よく話題になりますね、今まさに議論になっているところなんです。
エコーというのは若い女性の乳がんを見つけやすいとされているんです。
というのも日本人の特に40代50代以下の女性の場合、乳房の中で脂肪よりも乳腺という組織が占める割合が多くて、そういう方はマンモグラフィーだと画像が真っ白になってしまってがんが見分けにくいという課題があるんです。
エコーのほうが見つけやすい場合があります。
ただエコーだけでいいというとそうはいえなくてマンモグラフィーで写るがんが逆に見分けにくかったりエコーのほうは検査する人の技量で見え方がかなり差があるということもあってできれば両方を組み合わせると効果的なんじゃないかといわれています。
ただこの超音波のほうは検診に入っていないですね、なぜですか。
疑問に思う方も多いと思います。
ひと言で言うとエコー検査をやることで死亡率を下げられるという結果まではまだ出ていないからなんです。
がん検診というのは世界的にその検査をやることで将来の死亡率が下がりますということが確認されたものが取り入れられる仕組みになっているんです。
ところがそもそも欧米でいいますと乳房に脂肪が多くてマンモグラフィーのほうが効果的だという人が多いものですからエコーの効果がどれぐらいかそもそもあまり調べられていないんです。
欧米と事情が違うんですね。
ですから日本は独自に調べる必要があってまさに今東北大学などが大規模に多くの女性に参加してもらって効果がどのぐらいあるのか研究してるところなんです。
近い将来エコーも検診に加えられる可能性があります。
現時点でも自治体によっては独自で超音波を取り入れているところもあります。
マンモグラフィーで画像が見えにくいと言われた方や家族に乳がんの方がいるような方は人間ドックなどでエコーも追加して調べたほうがいいんじゃないかと個人的には思います。
ここまでは乳がん検診でしたけれどももう1つ胃がんのほうもかなり変わりますね。
現在40歳以上で年1回X線となっているのが50歳以上で2年に1回でいいとなります。
X線または胃カメラどちら受けましょうとなります。
これは緩くなりますね。
これは確かに胃がんの死亡率やり患率が近年下がってきているので回数や年齢を変えてもいいんじゃないかという考え方なんです。
ただ統計的には減ってきているとはいっても誤解してはいけないのは決して50歳以下だと胃がんにならないということはありませんので特にご家族で胃がんの方がいるような人の場合40代でも人間ドックを受けたりする意味は十分あります。
自治体などによっては4月以降も40歳以上ということで制度を継続するところもあるんじゃないかとみられています。
検査にこれまでX線だけだったのに胃カメラが加えられたのはどういうことですか?胃カメラをすることによって死亡率を下げられることがはっきりしてきたためです。
これまでもX線で何か引っかかると胃カメラで詳しく調べてみましょうとなりますね。
それだけ検査としての効果が高いことが分かっていて以前から最初から胃カメラでいいんじゃないかという意見もあったんです。
ただX線の場合大勢の方を順番に短時間で撮っていくことができるんですが胃カメラはそれはなかなか難しいので全国でがん検診を一斉に胃カメラに切り替えるのはお医者さんの数も足りないですし無理があります。
X線または胃カメラということで併記してどちらでもいいということになったんです。
胃カメラは飲むのが苦しいですしまれに胃の壁に穴をあけてしまうという深刻なことが起きることもあります。
検査としての効果は高いのでもしお住まいの自治体や職場で胃カメラを導入されているのであれば今後十分いい選択肢の1つになると思います。
公費で補助されるがん検診というのは5種類ということでしたがほかにもいろいろがんがあるのになぜこの5種類なんですか?確かに深刻ながんはほかにもたくさんあります。
先ほどもふれたようにがん検診というのは死亡率を下げられると分かっている検査法があることそしてその検査が広く大勢の方に行えるものであることが必要なんです。
現在、例えば死亡率が高いすい臓がんや胆管がんといったものにはそういういい検診法がまだないという状況なんです。
ただ最近では1滴の血液や唾液、尿、がん特有のにおいの成分などを使って早期に診断しようという技術の研究も進んできています。
こうした新技術ががん検診として採用されるようになるまでにはまだ何年もかかると思うんですけれども研究者やメーカー国にはさらに開発を進めていってほしいと思います。
しかし一方でどれだけいい検診があっても受けなければ意味がありませんよね。
日本は以前から欧米に比べてがん検診の受診率が非常に低くて問題になっているんです。
がんの死亡者というのは年々増えていますので、ぜひ定期的にがん検診を利用していただくとともに自分で体調の変化に日頃から気をつけるように心がけたいですね。
土屋敏之解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
気になる火山活動の状況や噴火予知の難しさを説明するとともに登山の噴火対策はどこまで進んだのか解説します。
担当は二宮徹解説委員です。
どうも〜小林幸子です。
今私は自撮りをしております。
2015/10/21(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「変わるがん検診 気になる乳がん・胃がん」[字]

NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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