(スタッフ)はい間もなく本番です!お待たせしました!いよいよ始まります。
「総合診療医ドクターGシーズン6」その最初の症例は…。
(しゃっくりのまね)
(拍手)久保田君が私どもジェネラル生命に入社して…。
(咳払い)持ち前の明るさで皆に愛されお客様の信頼もあつ…。
(しゃっくり)
(笑い)絢さんという…。
ヒック!すばらしいパートナーに…。
ヒック!めぐり…。
ヒック!もう結構!娘はやれん!
(しゃっくり)所長!どうしてくれるんですか!
(しゃっくり)あなたあなた!あなたったら!あなた!あなた!ハッ!夢か…。
どうしたの?ハァ…。
久保田の結婚式でさしゃっくりが止まらなくてまいったよ。
来月ですもんね久保田さんの結婚式。
いいスピーチをしてやるって約束をしたんだ。
(緑川浩之)
最近ほんとによくしゃっくりが出て困るんです
(しゃっくり)所長?
(しゃっくり)
どんな時でもおかまいなしにしゃっくりが出るので…
(しゃっくり)すみません。
(敦子)ちゃんとお医者さんに診てもらいましょうよ。
そうだな…。
(しゃっくり)この時緑川さんはまだこのしゃっくりに重大な病気が隠れているとは思ってもいなかった。
正体不明の病気に苦しむ患者に向き合い鮮やかに病名を探り当てる医師がいる。
問診と診察を武器に埋もれたピースを拾い上げパズルのようにつなぎ合わせて正解を導きだす。
患者を救え!さあいよいよ始まりました。
「ドクターGシーズン6」です!帰ってまいりました。
今回の患者しゃっくりがひどいという事で何かの予兆じゃないか。
あ〜でもよくある事ですからね。
すごくお酒を頂いた時とか刺激物を頂いた時に…。
辛いものとか。
辛いもの。
ありますけれど…そうですか。
石坂さんは?それも珍しいんじゃないですか?
(玉ちゃん)60年ですか。
お酒飲んでもよくね聞きますけどそんな飲まないせいか…。
石坂さんとしゃべってると先生みたいな気がするんですよ。
お医者さんの役が多いですからね。
さあそれでは患者を救ったドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)「ドクターG」最多出場ミスター総合診療医鈴木富雄先生。
他では診断のつかなかった病気の正体を次々と明らかにしてきた。
ちょっと痛い?はい。
学生の教育も実践的だ。
普通は病名ごとに症状を整理するが鈴木先生はその逆だ。
頭痛めまいといった症状から病名を考えていく。
例えば食欲低下で体重減少があるとすればどんな事が考えられる?え〜「うつ」。
すばらしい!今回鈴木先生は「しゃっくり」という症状からどんな病名にたどりついたのか?
(石坂)今回しゃっくりという症状ってのはそれだけで…というのは診断なかなか難しいんじゃ…。
そうですねそうです。
しゃっくりって非常にやっぱりそれだけだと手がかりがないので我々はやっぱりそれ以外に何かヒントがないかというそういう事なんですが結構今日は悩みました。
悩みましたか!あら〜。
さあ病気を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)高橋先生どうですか?実際にしゃっくりが止まらない人患者さんはご覧になった事あります?私はそのような症状だけでいらっしゃった方はみた事なくて。
これから考えていかなければいけないなと。
初めてです。
(玉ちゃん)どうですか成瀬先生?しゃっくりに関連してる神経に何か起こってるのかななんて思ったりしますけど。
藤原先生どうですか?それ以外の症状とかですねどういう時に発症しているかそれを注目しながらみていきたいと思います。
さあ鈴木先生研修医の感想…。
しゃっくりって非常にやっぱりいろんな病気が隠れてる場合があるんです。
え〜っ!さあそれではドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか?ドクタージェネラル!しゃっくりが出て止まらないんです。
はい。
長い時は5〜6時間も…。
仕事中でも家でもいつでもおかまいなしに出るんです。
おかげで全然眠れなくて…。
2週間ほど前仕事をしてる時でした。
お待たせいたしました。
(緑川)
保険会社の営業所の所長をしています。
このところ思うように業績が伸びなくて弱っていたんですが…
所長あしたのゼンリョウ建設さんとのプレゼンの資料まとめました。
おおっできたか。
いよいよ最終プレゼンだからな。
はい。
入社3年目の若手が大口契約を取れそうだと言ってきたんです
よしこれでいこう。
あしたは所長にも是非立ち会って頂きたく…。
分かった。
この契約をバシッと決めたらきっと彼女のおやじさんもお前を認めてくれるさ。
来月の結婚式俺が…。
(しゃっくり)
その時突然しゃっくりが…
お前が優秀な人間だって事…。
(しゃっくり)ちょっとしゃっくりが…。
所長?
(しゃっくり)わっ!おおっ!何すんだよ!止まるかなと思いまして…。
ばか野郎…。
でもほら…。
ああ…。
はい。
実は次の日にもしゃっくりが出て焦ったんです。
大事な商談の直前の事だったんで…
お待たせしました。
(緑川)勝負の前はやっぱりこれじゃなきゃな。
(久保田)所長カレー好きですもんね。
この店のカツカレーで気合いを入れると不思議と商談がうまくいくんです
久保田。
この案件はうちの会社にとってかなりの大口だ。
うっ…。
お前が諦めず…。
(しゃっくり)もう所長いつも食べるの早すぎなんですよ。
あっすみません!水下さい。
(しゃっくり)
しゃっくりを止めようと水を飲みました
(しゃっくり)止まりませんねぇ…。
困ったなぁ…。
うん…。
商談までに止め…。
(しゃっくり)うん…。
外でタバコ吸ってくる。
(しゃっくり)
仕事柄ストレスがたまるのでなかなかやめられません
商談の直前で何とか治まったんですが…
いや〜実は商談の後が大変だったんです。
(一同)乾杯!・「心配」所長!
契約がうまくまとまって打ち上げをしていたんですが…
・「どんなに困難で」
(しゃっくり)
またあのしゃっくりが…
・「信じることを」
(しゃっくり)所長声出てないですよ!
しつこく出始めたんです…
結局床に就いても止まらず5時間以上は続いたと思います。
大変でしたね。
1週間前近所の病院に行きました。
ああ…。
検査結果です…。
いろいろと異常があったんですがしゃっくりの原因はよく分からないと言われました。
しゃっくりを抑えるための軽い安定剤を頂きました。
あとお酒を控えなさいと言われましたのでこの1週間は飲んでおりません。
薬で楽になりましたか?
いいえ。
しゃっくりは止まらず薬のせいか昼間も眠くてたまりません
保険料が個人向け商品の半分以下でご紹介できます。
へぇ〜それは安いね。
(しゃっくり)あ…失礼しました。
どうしてそんなに安いんですか?あっ…営業手数料が省ける…。
(しゃっくり)すみません。
(しゃっくり)大丈夫ですか?お茶どうぞ。
あっ…すみません。
(しゃっくり)また今度にしてもらえますか。
仕事にもならず地獄のような毎日です
以前より落ちましたね
体調大丈夫ですか?みんな心配してますよ。
最近眠れなくてな…。
もう召し上がらないんですか?まだ残ってますよ。
ああ…。
はい
ハァ…。
いやありません。
咳き込むほどではないんですが咳が少し…。
え〜と…。
昨日久保田君の結婚式のスピーチの練習をしている時に…
「久保田君は早くにお父様を亡くされ母一人子一人懸命に世間の荒波に…」。
(咳)あなた少し聞き取りにくいわよ。
ああそうか練習のしすぎかな。
うん…。
あっ…ありません。
いいえ。
ありません。
ではおなかを触らせてもらえますか?脚を曲げて下さい。
はい。
あ…いいえ。
いいえ。
特に異常はないようですね。
ところで…いえ…別に…。
(しゃっくり)先生これです。
こんなふうに突然出始めちゃうんですよ。
(しゃっくり)まずそのしゃっくりを止めましょうか。
(しゃっくり)このコップの水を鼻をつまんで…そうです。
反対側から覆いかぶさるようにゴクンと飲んでみて下さい。
こうですか?
(むせる音)
(玉ちゃん)結構しんどいよ…。
さあ患者さんの緑川さんの基礎データがこちらでございます。
さあ先生基礎データから分かる事は?ちょっと血圧やはり少し高いですね。
体温と脈拍はまあまあこんなものかなという感じがしますけどもね。
基礎データ以外にも問題のある数字が出てました。
そうですね。
血液検査なんかでも尿酸値であるとかあるいは血糖値あれも高いですよね。
コレステロール中性脂肪両方とも高いです。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
はい。
さあどうでしょう?ゲストの皆さん。
多分だけどしゃっくりだからって胸という事は違うんでしょうね。
呼吸器系じゃないと思うんですよね。
この辺触診して別にどこのリンパも腫れてないという事ですし。
そうなるとこの辺に病巣があるとは思えない。
お〜っさすが金田一さん!いい推論です。
すばらしいです。
すばらしいと思います。
かたせさんどうですかね?お話になる時にすごく息が浅い。
おなかから声が出てなくてすごくかすれてる。
歌声もそうでしたね。
すばらしい。
すばらしいですね。
先生最後に鼻つまんでお水飲んでましたけどあれ僕もやった事あるんです。
あれはもう本当に医学的に…。
あれは結構効きますね。
え〜っ!?そういう刺激を与える事によってしゃっくりを元に戻すと。
割とあれは効果があるんです。
しゃっくりの時点で自分で判断できないじゃないですか。
その辺の判断が難しいんですけど。
しゃっくりで行きにくいという事ですよね。
おっしゃるとおりですね。
これある指標がありましてね「しゃっくり」というのは「吃逆」というふうに医学用語で言うんで「吃逆」という言葉。
しかもこれ2週間とか1か月以上続いてくるとこれいわゆる「難治性吃逆」。
治す事が難しいしゃっくりと言われて。
これはお医者さんの方に行って頂いて相談して頂いた方がいいですけど続かなければ大丈夫だと思うんです。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)どうぞ!さあまずは高橋先生からどうぞ。
3人とも一緒で…。
(玉ちゃん)はい。
成瀬先生。
(玉ちゃん)藤原先生。
さあここからはドクターGと研修医との真剣勝負。
カンファレンススタート!お願いします。
はい。
それではですね今からカンファレンスを始めましょう。
皆さん「胸部大動脈瘤」というのはそろいましたけども少し説明して頂きましょうかね。
藤原先生いかがですか?しゃっくりを引き起こす原因をいろいろ考えたんですけども胸の部分の大動脈の弓部の所に神経が走っておりましてそこを弓部大動脈瘤ができる事で神経を圧迫してそれでしゃっくりが出てんじゃないかなと考えました。
なるほどね。
(しゃっくり)そもそもしゃっくりは横隔膜のけいれんによって起きます。
そのけいれんは横隔膜の運動をつかさどる横隔神経によって引き起こされます。
胸部大動脈瘤は胸の大動脈が膨らんでこぶができる病気です。
動脈瘤が大きくなってそばを通る横隔神経を圧迫するとその刺激によって横隔膜がけいれんししゃっくりが起きると考えられています。
今回は喉の声帯の症状ですね。
しゃべりづらそう。
カラオケで声が出ないとか。
あとはしゃっくりを止めるための水を飲むのでむせてしまうとかそういった声帯の症状は…それが問題があるという事なので。
反回神経は喉の声帯につながる神経です。
動脈瘤によってその働きが悪くなると「声がかれる」「むせる」などの症状があらわれます。
(むせる音)緑川さんの症状は…では今度じゃあ成瀬先生いかがですか?この人の場合血液検査の結果で血糖が高いとかコレステロールが高いとかもう中性脂肪も高くってプラスタバコを吸ってらっしゃるというすごく血管がいたむリスクが高い人なので大動脈瘤のような事が起きてもいいんじゃないかと思いました。
動脈瘤というのは手術とかも必要になってきますしその後の生命予後に大きく関わる病気なのでこれだけは外したくないなと。
胸部症状例えば胸の痛みとか違和感。
胸が圧迫されるようなとか締めつけられるとか。
締めつけられるような圧迫されるような痛みですかね…があってもいいと。
では高橋先生いかがですか?前病院を受診してレントゲンを撮って問題なかったという情報があって…。
それだけはっきりした胸部大動脈瘤になるとレントゲンで写ってもおかしくないんですが…。
ちょっとそこが合わないなという点ですね。
ありがとうございます。
緑川さんの病気は胸部大動脈瘤では合わない点もある。
しゃっくりというものにちょっと焦点をあてて…。
じゃあしゃっくりというもので一体ですね…高橋先生どうですか?縦隔の中で神経を刺激するものがあればしゃっくりが起きておかしくないので縦隔の中の腫瘍…。
縦隔を通っている横隔神経を腫瘍が刺激するとしゃっくりが起きると考えられます。
その他には縦隔に限らず上の喉頭とか咽頭あと食道その辺の腫瘍でもしゃっくり否定はできないかなと思います。
その他胃で起こってきてもいいですし例えば肺がんで起こってきてもいいですよね。
ペースメーカーを入れているような人がペースメーカーで心臓を刺激する時にきちんと刺激してほしい部分だけじゃなくってちょっとその脇に刺激が波及してしまうと横隔神経を刺激してしゃっくりのような症状が出る事もある。
なるほど。
すばらしいですよねペースメーカーによる刺激ですよね。
しゃっくりを起こす病気として胃がんや肺がんなど直接横隔神経と関係しないような病気まであがってきた。
そうですよね。
しゃっくりというのが一体どうして出てくるのかというのを少し図解をして解説してみましょうかね。
横隔膜というのはですね大体この辺にこうこんな感じであるわけですよね。
どうですか?高橋先生しゃっくりを起こす仕組み。
ですからここがけいれんするわけですよね。
だから横隔膜からこう横隔神経というのがず〜っとこちらの方に上がってきてるわけですね横隔神経が。
横隔神経大体どこまで行きますか?首の辺り。
首の辺りまでこう行きますよね。
ず〜っとこう。
で恐らく頸椎の辺りに入ってまたそのままこうね脳の方に何らかの信号起こってるとこういう感じですよね。
その他…迷走神経ですよね。
「迷走神経」というのは「迷う」「走る」。
「迷走神経」。
「迷走神経」は脳から直接のびている神経で多くの臓器につながっています。
しゃっくりは横隔膜のけいれんを起こす横隔神経と共にこの迷走神経も関係しています。
迷走神経によって喉にも刺激が伝わる事でしゃっくりが起きると考えられています。
何かの症状を軽くしようとしてしゃっくりが出るんでしょう。
嫌ですよねしゃっくり起こるのは。
あのしゃっくりは「エッ」って音を出すじゃないですか。
あれはなぜなんですか?いい質問ですねそれね。
石坂さんどうですか?気道がしまる。
すばらしいですね。
その時に…自分でしゃっくりやってみると分かるけど横隔膜をけいれんさせただけではしゃっくり出ない。
その時にキュッと喉をしめる。
(しゃっくりのまね)なかなか上手でしょう。
(笑い)普通必要ないですよね。
しゃっくりが必要だった時。
むせてしまうというか…そういう時ってどういう時ですか?そうそう!すばらしいですすばらしい。
胎児ですよね。
胎児の時は水の中に住んでて何かの拍子にやっぱり水が入ってくる事があるんですよ。
水を外に出すために反射が起こって横隔膜をキュッとけいれんさせて同時に声帯を「ヒック」とこうする事によってこれが持続的に「ヒックヒック」と起こる事によって水を排せつできる。
ですから胎児はよくしゃっくりしてんですよ。
子供の時にしゃっくりが多いのはその時の影響があるんですか?そうです。
要らない反射だから。
しゃっくりはだんだん大人になってくるとなくなってくる。
子供の方が多いんだやっぱり。
ありがとうございます。
ちょっとカンファレンスを続けましょう。
ああ分かりました。
診断を更に絞り込んでいくために…成瀬先生どうですか?脳の疾患中枢性のものと考えるんであれば脳神経の症状がないかとか神経学的に異常がないかの診察などがあると思いますね。
脳から横隔膜につながる…実際どんな事をやりたいですか?手足のマヒがないかどうかに関しては「バレー徴候」と言って手をこういうふうに伸ばしてもらってどちらかの手が落ちてきたりとか内側に回ったりしないかとかいう事を診たり…。
マヒを診るわけですね。
これ「バレー徴候」と言って。
大脳は右と左に分かれています。
脳から出る神経も右と左に分かれます。
従って脳の一部に障害が起きると顔や体の左右どちらかに異常が起きます。
緑川さんの感覚や運動に…感覚ですね。
顔の感覚を触って左右差がないか診るという。
あるいはまぶたをギュッと閉じたりギュッと開けたりする事ができるか。
他あとは口をギュッと閉じたりそういう事になると思います。
それでは診断を絞り込むため再現ドラマの続きをご覧下さい。
はい。
ドクタージェネラル!では手を前に伸ばして手のひらを上に向けて目を閉じて下さい。
はい結構です。
これからティッシュで顔を触っていきますので左右で感じ方が違ったら教えて下さい。
分かりますか?はい。
ここは分かりますか?はい。
左右同じですか?変わりません。
こことここはどうですか?同じです。
こことここはどうですか?いやぁ同じですね。
こことここはどうでしょう?変わらないです。
今度は人さし指を出して下さい。
私の指とご自分の鼻を往復して下さい。
はい。
それでは目をギュッと閉じましょう。
はい。
口を横にグッと真一文字にして。
舌をベーッと出して。
声を出して下さい。
あ〜…。
ここんとこあまり食欲がなくて少し体重は減ってるかもしれませんね。
いやぁ…。
食べたい気持ちはあるんですが…。
おいしく…ないんです。
なるほど。
何だか味がしなくて…。
あらっ!
(かたせ)え〜っ?
(笑い声)VTR見てて…。
そうなんですよね…。
さあでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
はい。
やっぱり総合診療の原則なんですがすぐに検査をした方がいいんじゃないかとかあるいはそういう希望される患者さんもおられるかもしれませんけども例えば胸が痛いといった病気でも心臓とは限りませんよね。
それが肺が悪かったりあるいはおなかの影響があったりあるいはストレス性であったり。
そういった場合に検査をしようとするといくら検査しても足りないわけですよね。
じゃあどこが悪いのかというのを少し追求していったあとで必要な検査をすると。
これはやっぱすごく大事だと思います。
(一同)う〜ん。
結構…結構苦労してるね。
ちょっとお待ち下さい。
大丈夫?まだ書けてないです。
ああやっぱり悩んでるなぁ…。
悩んでるなぁ…。
それぞれ書きましたけどもどうですか?自信のほどありますか高橋先生。
いや最初よりむしろなくなってきちゃって…。
(玉ちゃん)むしろ!なるほど。
成瀬先生どうですか?いやぁちょっと漠然とした答えになっちゃった気がしますね。
(玉ちゃん)藤原先生。
自信はないです。
(玉ちゃん)ちょっとどうしたんだろう…?それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあじゃあまずは高橋先生からお願いします!
(玉ちゃん)ほぉ〜。
成瀬先生。
(玉ちゃん)藤原先生。
咽頭喉頭がん浸潤による神経障害を考えました。
(玉ちゃん)3人割れましたね。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!ではですねまた始めましょう。
今回は分かれましたよね。
分かれましたね。
まず病名ですね。
どういう病名であったかという説明からちょっとして頂きましょうかね。
高橋先生それどういう病名ですか?「頸静脈孔症候群」というのはまず「頸静脈孔」は脳の中の脳の神経の通り道になります。
「頸静脈孔」は頭蓋骨の底に開いている穴で頸静脈の通り道です。
その穴にはいくつかの神経も通っています。
ここで問題が起きるとこれらの神経が関係しているさまざまな感覚に異常があらわれます。
喉の左右差があったんですね。
実は喉「あ〜」って声を出せば喉の奥両方上がって口蓋垂真ん中に垂れている…。
こう…喉垂れてますよね。
あの部分が声を出すと同時に「あ〜」というふうに言われると普通は上がると。
きれいに上がるはずなのですが今回は正面からみてみると口の右側が上がらずその結果左側だけ上がって引っ張られていたという。
これは「カーテン徴候」と言って舌咽神経の障害が起きているという所見です。
カーテン徴候とは喉の奥の片側が下がりカーテンをひいたように見える症状です。
カーテン徴候は脳から舌や喉につながる舌咽神経と迷走神経の障害によって起きます。
これらの神経はいずれも頸静脈孔を通っています。
あとは…おいしくないという話だったんですが。
味覚は脳神経の中だと2つ。
顔面神経とあとは喉の神経舌咽神経が支配しているのですが診察上顔面神経には問題がなかったのでまとめると喉の神経舌咽神経の障害があるという事になります。
成瀬先生いかがですか?私は迷走神経が主に損傷なりマヒなりしているのではないかと考えまして「迷走神経麻痺」としました。
いいですよね。
じゃあ合わない点はどうです?では藤原先生お願いします。
「咽喉頭がん」をあげました。
「咽喉頭がん」は喉の辺りにある咽頭や喉頭にできる悪性腫瘍です。
腫瘍によって舌咽神経が侵されむせ味覚障害などが起きるとされています。
(藤原)VTRの中で神経診察が一とおり行われていたんですが舌咽神経のマヒがありましたのでそこが障害されているのは確かかなと思います。
アルコールやタバコを嗜好している事もありますしリスクはあるのかなと考えました。
もっと苦しかったりとか。
まあ実際に飲み込み自体も…いいポイントですよね。
がんが浸潤してきていろんな症状が出るにしてはちょっともう少しいろいろ飲み込みとかいろんな問題が出てきてもいいのかもしれないという事ですよね。
迷走神経のマヒだけではカーテン徴候や味覚障害などの説明がつかない。
咽喉頭がんで見られるはずの症状があらわれていない。
2人のあげた病気の可能性は低くなった。
もう一つ聞きたいのは最初ね「胸部大動脈瘤」だったですよね。
それなぜ変えましたか?首から上の問題がないと舌咽神経の障害が説明できないと思い変えました。
緑川さんには舌咽神経に明らかな異常がみられた。
とすると……と高橋先生は考えたのだ。
(しゃっくり)頸静脈孔症候群ならば緑川さんの症状は全て説明がつく。
要はさっき言った舌咽神経という神経がやられてると考えればあんまりこの辺に関しては首から下は考えにくいんじゃないかと…。
これまであがったほとんどの病気の可能性は低くなった。
緑川さんの病気は頸静脈孔症候群なのか?ところがドクターGは思わぬ方向に水を向けた。
じゃあこっから上っていうと何がありますか?咽喉頭もあるしいわゆる頸静脈孔もあるけど何がありますか?脳がありますよね。
脳がありますよね。
脳がある。
どういう所が問題があるとやられます?延髄ですよね。
延髄なんですよ。
ここの所延髄というのがですねこれここにあるわけですね。
「延髄」は脳の一番下にある部分です。
延髄の断面です。
「外側」と呼ばれる部分には…重要な神経が通っています。
延髄外側に障害があればめまい温度感覚の異常体の片側だけ汗をかかなくなる発汗異常などさまざまな症状があらわれます。
またしゃっくりはこの延髄網様体がコントロールしている事も分かっています。
しかし延髄外側の障害であらわれるはずのめまいや感覚の異常がみられていない。
こことここはどうですか?同じです。
延髄かもしれないという事を判定するためにどんな身体診察をしたらいいと思います?温痛覚。
いいですね。
延髄を調べるためには温痛覚が問題でそこをチェックすると延髄の障害があるかどうかが分かるという事でやってあります。
じゃあVTRお願いします。
じゃあこのペンで触っていきますよ。
この冷たさ分かりますか?はい。
こちらは?はい。
分かりますね?はぁ…。
ええ…。
もう一度しますね。
はい。
うん…はい。
じゃあ気になる点ちょっと言ってもらいましょうか。
成瀬先生どういうとこ気になりました?ピタッと当てて冷たさっていうの分かってましたけどそのあと滑らす動作をしててそれが何を意味するところなのかというところがちょっと…。
ちょっと分からないですよね。
皆さんボールペンないですもんね。
あ…。
ちょっとボールペンやってみて普通に。
(成瀬)あ〜…!すばらしいですよね。
すばらしいですね!汗をかいていないかどうかがそこで分かるという事ですよね。
これどうですか?成瀬先生どういう事ですか?これ滑るという事は…?滑るという事は…これはっきりしないのでまだ汗が出てるかどうか。
もう一個検査やってみました。
これもみてみましょう。
緑川さんもう一度ティッシュを顔に当てますね。
はい…。
これは要は左側の方はティッシュが落ちない。
つまり汗をかいてるからひっついてる。
こっちは汗をかいていないからティッシュが落ちてしまう。
という事でこちらが汗かいていないという事ですよね。
延髄外側には発汗をコントロールする交感神経が通っています。
右側の延髄外側に障害が起きると顔の右側だけ汗をかかなくなります。
頸静脈孔には交感神経は通っていないためここで問題が起きても無汗症は起きません。
延髄外側の障害なら無汗症の説明もつく。
しかし緑川さんにはめまいや他の感覚異常など典型的な症状がない。
考えてほしいのは…いいですか?皆さんが頭の中で考えられてる疾患というのはいくつかいろいろ症状が出そろっていないと考えられないと思っているかもしれないですよね。
でもやっぱり教科書どおりにはいかない場面って多いですよね。
…という事を踏まえて考えればどうですか?ですね。
…という事ででは皆さんね頭の中にいろいろ疾患を思い浮かんだと思います。
ではそれを一斉に言って頂きましょう。
では…いいですか?はいせ〜のはい!はい正解です。
すばらしい!
(拍手)出ましたね!
(かたせ)すごい!我々は知らない病気ですが…。
先生どういう病気なんでしょう?「延髄外側症候群」というのはその名のとおり…延髄に血液を送る血管が詰まる脳梗塞の発症などで引き起こされる病気です。
脳梗塞によって刺激された延髄網様体はしゃっくりを起こす信号を頻繁に出しそれが横隔膜と声帯に伝わってしゃっくりが出続けていたと考えられます。
延髄外側症候群っていうのは教科書的にはどういうふうに覚えてる?高橋先生。
そうですよね。
これ実際ですねフィルムがありますこの患者さんの。
ちょっとみてみましょうか。
これが延髄という脳の真ん中です。
でこれみますとねほらここにちょっと白いモヤモヤとした影ありますでしょ。
これが梗塞です。
脳梗塞です。
分からねぇな。
そうなんだ。
非常に狭い部分の脳梗塞ですよね。
非常に微細な脳梗塞だったため典型的な症状があらわれなかったのだ。
普通にMRIをざっくり撮っていてここに注意をしなければ見逃されるんですよね。
すごく大事なんですよね。
ですから最初に症状と身体診察からそこに問題があるんじゃないかと絞り込んだうえでMRIを撮る。
そしてそこに確認する。
これがやっぱり非常に大事なんですよね。
(玉ちゃん)先生緑川さんはどうやって治すんですか?緑川さんは脳梗塞ですからあと血液をサラサラにする「抗血小板剤」というのをのんであと少しいろんなリハビリをしていって…。
リハビリというのは喉のリハビリですね。
声を出すか飲み込みですよね。
ただ一番やっぱり大事な事は彼らもあげて下さった生活歴。
糖尿病とか脂質とか高血圧ありますでしょう。
やっぱりそれがもとになっての延髄外側症候群脳梗塞ですからそこに介入して改善して今度同じような事が起こらないようにする。
そこが非常に大事ですよね。
喫煙や飲酒などで動脈硬化になり延髄外側症候群を引き起こした緑川さん。
再発を防ぐため生活習慣の改善に取り組む事になった。
それではドクターGの今回の症例に込めたメッセージをお願いします。
え〜どうですか皆さんちょっと難しかったかな。
皆さん方が「延髄外側症候群」として覚えている教科書で出てくるのはあくまで教科書的な知識なんですよね。
でそれを覚えるのも非常に大事でしたよね今までは。
ただ厳しい事を言うとそれは…そうじゃないんですよ。
医学というのはこういうものです。
…というのを解剖学的にそして病態生理的にきちっと整理して…でも今日は皆さん何やられたかというと方便から抜け出して医学をやったんですよ今日は。
これですよ。
こういう勉強をやっぱり是非してほしいですね。
これは非常にやっぱり大事です。
それこそがやっぱり総合診療医の本態なんですよね。
ですから是非皆さん方もそんなような診療を行ってほしいと思います。
(玉ちゃん)さあ研修医の皆さんどうですか?ドクターGのメッセージ。
教科書的な知識だけで患者さんに対応してしまうと診断に結び付かなかったりだとかひいては患者さんに悪影響を及ぼしてしまう事もあるんだなと改めて認識して教科書的知識から脱皮して医学を追究できるように頑張れたらなと思います。
(玉ちゃん)そうですね。
ああ…。
ありがとうございます。
さあゲストのお二人。
かたせさんどうですか?こうやってお医者様に診て頂くと患者としたら本当に喜びと感謝ですね。
しゃっくりというほんとに病気か病気じゃないかよく分からないものからなんと脳梗塞ですよ。
総合診療の良さというのはやっぱりどこを集中的にこれから調べていくかというのを絞るというのが総合診療はすごいなと思いました今日はほんとにしみじみ。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか?お楽しみに!ありがとうございました。
さようなら。
2015/10/22(木) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG[新]「しゃっくりで眠れない」[字][デ][再]
病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。新シリーズ第一弾の患者は「しゃっくりで眠れない」。その背景には、予想もしない恐ろしい病気が隠れていた!
詳細情報
番組内容
誰もが経験するやっかいな症状・しゃっくり。今回の患者は、2週間前からしつこいしゃっくりに悩む50歳の男性だ。仕事中も、食事中も、寝ているときにもおかまいなしにしゃっくりが出て、ひどい時には5時間も続く…。ドクターGはしゃっくりが出る仕組みをもとに論理を組み立て、鮮やかに病名を絞り込んでいく。ゲストの石坂浩二さんの「50年もしゃっくりが出ていない」という謎も解明され、最終的にわかった患者の病名とは?
出演者
【出演】大阪医科大学附属病院医師…鈴木富雄,【ゲスト】かたせ梨乃,石坂浩二,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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