中野晃
2015年10月23日09時26分
日本で暮らす韓国・朝鮮人を取り巻く社会について考える雑誌「抗路(こうろ)」が創刊された。ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)、慰安婦問題、民族主義……。日本、韓国、北朝鮮という三つの国のはざまで生きる人たちが向き合う様々なテーマをめぐり、インタビューや小説、詩、ルポなどを通じてアプローチしていく総合誌をめざしている。
制作を呼びかけたのは神奈川大学の元教授で、2年前に東京から京都市に移り住んだ尹健次(ユンコォンチャ)さん(70)。尹さんは1950年、京都・舞鶴港から出る韓国への帰還船に両親と乗るはずだった。出発前日の6月25日に朝鮮戦争が勃発し、出航は中止に。数カ月たっても船は出ず、尹さんは在日2世としての人生を歩むことになった。
朝鮮戦争で韓国と北朝鮮の分断は深まり、対立は今も在日社会に影を落とす。一方、在日の人たちが暮らす日本社会では国民年金加入の国籍条項撤廃といった差別が解消されたものの、現在も参政権はない。ネットや街頭でのヘイトスピーチも激しさを増す。
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