リッツのうえにのっけてこそキャビアですよね。
≫でも、ご飯の上にのせるとおいしいって言う人もいますよ。
(雅也)
東京に出てきて10年目の春が来ていた
(徳本)あっ!マー君お疲れ!
(レオ・耕平)ああお疲れ!
(栄子)お仕事お疲れさん。
(雅也)うん。
オカンはすっかりやつれてしまったけれど抗がん剤治療をやめて吐き気や痛みは治まり前より少し調子がよさそうだった
(雅也)笹塚で飯食いよるみたいやね。
うんそうやねぇ。
あれ。
うん?ああー。
もう春なんやねぇ。
(徳本)笹塚の桜並木ももうすぐ満開っすよ。
(耕平)元気になったら花見ばしたかね。
(レオ)うん。
みんなでね。
そうやねぇー。
入院して以来3か月外出していないオカンをおばちゃんに旅行へ連れていってもらうことにした
(雅也)オカン。
楽しんでおいで。
そしたらちょっと行ってきますね。
行ってらっしゃい。
はい。
(香苗)じゃあ。
(鳴沢)そんなに喜んでたんだ。
楽しい気持ちになれるんが何よりの薬やからね。
・・はい。
おばちゃん?・
(香苗)マー君?すごいんよ。
どげんしたと?
(香苗)姉ちゃんね刺身ば食べたんよ。
・
(雅也)よう食べれたねぇそげなん。
(香苗)代わるね。
もしもし。
・刺身食うたちね?おいしいもんやったら食べられるごとあるばい。
・そう。
よかったね。
これから二人で枕並べておしゃべり大会やき。
・あんまり夜更かししたらいけんよ。
はいはい。
そしたらね。
(レオ)どう?僕の焼きビーフン。
うん。
うまか。
(レオ)本場の味だからね。
(耕平)次は俺がもやし炒め作っちゃるけん。
(徳本)はい。
飯!ありがとう。
・・
(鳴沢)俺取るよ。
悪かね。
はい。
中川ですが。
ああどうも。
はい。
えっ?
(耕平)先輩。
(鳴沢)中川!お母さんが倒れて救急車で病院に戻ったってすいません!
(雅也)先生!有馬先生!
(有馬)あっ中川さん。
オカンは?
(有馬)運ばれてきたときは痛みがひどかったのですが今はモルヒネで落ち着かれてます。
どこに!?個室に移させていただきました。
(雅也)おばちゃん!
(香苗)マー君。
ごめんね。
オカン。
起きたと?
(栄子)いつ帰ってきたんね?俺?大分前に来とったよ。
やっぱりウチはよかねぇ。
あんたあれ。
あれよ。
冷蔵庫にたいの刺身が入っとる。
オカン?どうした?鍋にはなすびの味噌汁があるけんぬくめて食べんしゃい。
なすびの味噌汁たい。
うん…。
(有馬)体力の低下が際立ち症状が安定しません。
あと数日だと思ってください。
先輩。
少し落ち着いとるけん会ってやって。
オカン。
みんな来てくれたよ。
よう来たねぇ。
おばちゃん。
「ぷよぷよ!」する相手がおらんでつまらんよ。
早治してもらわな困るけね。
(徳本)そうっすよ。
俺なんかもう腹ぺこで限界なんすから。
(レオ)家にいてくれないと。
日本のママなんだから。
そやねぇ。
(鳴沢)来月号持ってきました。
相変わらず評判いいんですよ中川のイラスト。
優しかねぇ。
それが鳴沢君のいいとこやき。
これからもマー君の仕事ばお願いしますね。
任せてください。
腐れ縁ですから。
何ね。
みんなして。
顔見せんね。
困った息子たちたい。
(まなみ)お母さん。
大事な娘が一人おった。
(雅也)悪かね。
わざわざ遠くから来てもろうて。
(まなみ)ううん。
しばらくこっちにいるから。
家の仕事もあるやろ。
あんまり無理せんで。
(まなみ)いいの。
わたしにとっても大事なお母さんだから。
(手塚)マー君のことなら大丈夫ですよお母さん。
そりゃあすべての節目につまずく不器用なヤツですけど。
でも遠回りした分ちゃんと一つ一つ何かをつかむ男ですから。
今までも。
きっとこれからも。
手塚さん。
はい。
これからもよろしくお願いしますね。
(雅也)オカン。
東京タワーにのぼろうっち約束しとったやろ。
行かんといけんね。
オカン。
覚えとう?俺が初めて東京出てきたときんこと。
一人で育ったような顔してから飛び出したね。
相変わらず朝は起きれんし部屋も汚か。
飯も食っとらん。
あのころとまだ何も変わっとらんのかもしれん。
俺…。
俺まだ何にもなっとらんのよ。
東京来てまだ何も。
そやけんオカン。
まだ…。
まだいかんでよ。
一人にせんで。
オカン…。
・
(ドアが開く音)
(雅也)オトン。
(兆治)よう寝とるわ。
(兆治)よいしょ。
よいしょ…。
(兆治)ああー。
そのときの眠りは僕が今までに経験のないくらい深くて優しい眠りだった
オカンの最後の願いは三人がこうして同じ場所で眠ることだったのだろう
(栄子)う…。
う…。
う…。
う…。
オカン?オカン?オカン!オトン!オトン!うん?オカン!オカン!オカン…。
オカン!何て言いよるん?オカン!何て言いよるん!?もうよか…。
オカンの言いたいことは分かるけん。
心配しなさんな。
もう俺のことは心配せんでよか。
オカン。
オカン!ねえ…。
オカンお願いやから頑張り。
ねえオカン…。
ちょっと失礼します。
(心電計の警告音)オカン…。
オカン!オカン!
(雅也の泣き声)
(有馬)ボスミン1投。
(看護師)はい。
貴様!早せんか貴様!
(有馬)下がっていてください。
オカン!オカン頑張りよオカン…。
(有馬)ドーパミン10ガンマ。
オカン…。
オカン!いかんでよ。
オカンお願いだからいかんでよ。
栄子!オカンのぬか漬け食いたいよ!オカン!また一緒に朝ご飯食べたいよ。
オカン!お願いやから!オカン!
(心停止の音)
(心停止の音)
(有馬)午前7時30分。
ご臨終です。
僕のいちばん大切な人。
たった一人の家族。
僕のために自分の人生を生きてくれた人。
僕のオカン
オカンが死んだ
オカン。
オカン!オカーン!
その日東京は突き抜けるような快晴で青空がどこまでも広がる中赤羽橋の交差点から真っ赤な東京タワーが空にはしごをかけていた
(香苗)どうぞ上がってください。
姉ちゃんは楽しいことが好きな人やったけん暗ーくならんごと楽しくやってください。
(男)いい写真ね。
(男)楽しくやらんと。
(男)ああどうもどうも。
(前野)失礼します。
あっ。
おばちゃん。
(香苗)あっ前野君。
励ましてやって。
(清原・谷原・松原)おい。
こっち来いよ。
こっち来い。
バカボン。
(耕平)うん?あっ先輩。
(花子)これお願いね。
(たい子)はーい。
はいお願いします。
(花子)はーい。
(たい子)筑前煮?
(まなみ)九州ではがめ煮っていうんですよ。
うん。
おいしい。
さすが栄子さんの一番弟子ですね。
(徳本)お父さん!借りてきました!
(レオ)こういう感じでいい?
(兆治)まあよかろう。
(兆治)火。
(徳本)はい!バカチン。
うじうじしてから。
(耕平)おばちゃんの宝物や。
バカボン引き継いだらどげんね?三日坊主も直るやろ。
えっ?俺には無理ばい。
そげんなら一緒に引き継いでほしかもんがあるとよ。
何ね?
(耕平・香苗)・「タンタランタタンタタンタ…」
(前野)いよっ!二代目!待ってました!
(一同)・「月が出た出た」・「月が出たヨイヨイ三池炭坑の上に出た」手塚さん。
うん?おう。
(一同)・「煙突が高いので」いろいろありがとうございました。
でっかいお屋敷じゃなくたっていいんだよな。
えっ?いい家ってさこういうことなのかもしれないな。
(清原)・「栄子栄子」
(一同)・「奥に咲いたる…」
(葬儀屋)最後に喪主さまから皆さまにご挨拶を。
それは父から。
(葬儀屋)それではお父さま。
お願いします。
オトン。
えー。
栄子とわたしは…。
栄子と…。
(兆治の泣き声)
(栄子)「マー君へ。
心優しい息子に恵まれてオカンは幸せな最期を迎えることができます」「マー君と一緒に暮らすことができてたくさんの人と出会えて東京の生活はとても楽しかった」
(栄子)お世話になります
(栄子)よく似合う!巣鴨で買うたんよ
(雅也)巣鴨はもうええち!そげん意地悪しても帰る家のないけんね
(栄子)「小さいころは泣き虫で病弱だったので神仏にお願いするときはまず健康。
そして素直な子に育つように」「大きくなってからもやはり健康が一番。
最近は欲張って彼女と二人分の健康を祈願しています」「これからもまなみちゃんと仲よくしてください。
彼女は実の娘のようだった」「お母さんお母さんと甘えてくれるのがとてもうれしかった」「友達やお仕事の人も大切にね」「中学の先生に中川君は男の子にも女の子にも好かれていますと言われたことがうれしかった」「勉強のできる子よりそういう人間になってもらいたかったから」「オカンは幸せな幕引きができて何も思い残すことはありません」「マー君。
本当にありがとう」「そしたらちょっと行ってきますね。
オカン」
(泣き声)
(栄子)「マー君。
本当にありがとう」
(泣き声)
(泣き声)ありがとう。
オカンもきっと感謝しとるけね。
(まなみ)大丈夫?大丈夫やき。
あのー。
あの。
オカンの指輪これからも持っとってくれんね?うん。
(目覚まし時計の音)どああーっ!いただきます。
よいしょ。
ほれ。
おはよう。
(かねの音)
今日も東京にはどこからか人が集まりあふれかえっている
(鳴沢)もう遅いよ!悪かね。
(鳴沢)すいません。
これからは1時間前集合させますんで。
(一同の笑い声)
(鳴沢)すいません。
(スタッフ)じゃあ行きましょうか。
(鳴沢)はい。
今度遅れたら罰金。
鬼マネジャーやね。
(鳴沢)誰かがケツたたいてやらないとね。
この後飯でもどうって。
ああ。
今日は約束があるけん。
あっそっか。
(耕平)この最新型のフラフープ。
どげんでしょうか?
(店員)いや。
うちではちょっと。
・
(ゲーム音楽)
(子供)チャンス。
(子供)クソ。
(子供)よし!
それぞれが一人で生まれ一人で生きているような顔をしている
けれど当然のことながらその一人一人には家族がいて大切にすべきものがあって。
そして母親がいる
この先いつかあるいはすでにこのすべての人たちが僕と同じ悲しみを経験する
今までだったら単に街の風景でしかなかったその一人ずつがとても大きく見えた
みんなすごいなぁ。
頑張ってるんだな
オカン。
あれから何年かたったけど今でも僕はさみしいでたまらんよ
何かっちゅーていーっつもオカンの姿を思い出しよる
もっといろんな話したらよかった。
いろんなもん食わせてやればよかった。
たくさん旅行させてやればよかったっちいーっつも後悔してから涙が出よる
いつでんできたのに何でせんかったんやろうか。
オカンの毎日は楽しかったんやろうか?
俺のほうは相変わらずや。
仕事はちぃーっとマシになりよるけどまだどうなるか分からん。
結婚もしとらん。
相変わらずオカンが心配するような生活をしよる
ばってんオカン。
僕ももう少しこっちで頑張るけん見とってね
今までいろいろごめんね。
そしてありがとうね
オカンに育ててもろうたことを僕は誇りに思うとるよ
オカン。
すごかねぇ!オカン。
今日は天気がいいでよかったねえ。
2015/10/23(金) 14:55〜15:50
関西テレビ1
[終]東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 #11[再][字]【ハンカチ必須の名作】
「涙の最期」
速水もこみち 香椎由宇 浅田美代子 平岡祐太 柄本佑 石黒賢 泉谷しげる 倍賞美津子ほか
詳細情報
番組内容
中川雅也(速水もこみち)の母、栄子(倍賞美津子)の抗ガン剤治療が打ち切られ、雅也は医師から、栄子の余命があと2、3カ月と告げられた。それから2カ月後、栄子は外泊許可をもらって藤本香苗(浅田美代子)と病院近くのホテルへ。久しぶりの外出を喜んでいた栄子だが、深夜、ホテルで胃痙攣を起こして、すぐに病院へと逆戻り。入れられた病室は個室だった。
以来、栄子の体力は著しく低下。
番組内容2
雅也は医師から、あと数日だと思って欲しいと宣告される。病室には、山田耕平(柄本佑)たちいつものメンバーが集まり、代わる代わる栄子を励ます。佐々木まなみ(香椎由宇)の姿もあった。
みんなが帰ると、雅也は眠っている栄子に、自分は東京に来た頃と何も変わっていない、何も見つかっていない、だから独りにしないで欲しいと訴える。そして、兆治(泉谷しげる)も病院に駆けつけた。
番組内容3
栄子の顔を見て安心した様子の兆治は、自分もすぐに眠りだす。栄子と兆治の寝顔を見ていた雅也も、やがて静かに眠りについた。家族3人が同じ場所で眠る…それはまさに栄子が長年望んでいたことだった。
翌朝、雅也は栄子の苦しむ声に目を覚ました。慌てて兆治を起こし、ナースコールをかける雅也。栄子は、苦しみの中、雅也に何かを告げようとするが…。
出演者
速水もこみち
香椎由宇
平岡祐太
柄本佑
チェン・ボーリン
高岡蒼甫
山崎裕太
りりィ
石黒賢
浅田美代子
泉谷しげる
倍賞美津子 ほか
原作・脚本
【原作】
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー(扶桑社刊)
【脚本】
大島里美
監督・演出
【プロデュース】
中野利幸
【演出】
久保田哲史
音楽
河野伸
澤野弘之
【主題歌】
『蕾』コブクロ(ワーナーミュージック・ジャパン)
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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