上方落語の会 ▽「シルバーウエディングベル」桂三扇、「竹の水仙」笑福亭鶴二 2015.10.23


「上方落語の会」をご覧の皆さんこんにちは。
春輝です。
いや〜よう来てくれはりました。
モデルの春輝さん。
言うておきます。
私がここ司会ですから。
乗っ取られたような気がしました。
いえいえそんな事ないですよ。
あのね春輝さんね落語聴いて頂くんですけども落語いうもんに対するイメージって一体何なんでしょうね?持ってはります?あ〜やっぱり大喜利だったり古典落語あと扇子の使い方がすごい巧みなイメージが…はい。
それともう一つやっぱり男性の芸能という気しません?そうですね。
皆さん落語家といえば男性っていうイメージがあります。
ありますね。
ところがねこれから聴いて頂きますのは女性の落語家さんが登場するんです。
え?女性の落語家さんもいらっしゃるんですか?はいいてはります。
このごろ増えてきましたんや。
しかも古典落語やなしに現代を描いた創作落語をやらはるんです。
創作落語?はい。
どういうお話なんですか?ですから今の世界を描いたやつなんです。
へえ〜。
モデルの世界でもひょっとしたら落語になるかもしれまへんで。
いいですね。
これからちょっとモデルの落語とかもいろいろお話出てくると…。
何か情報あります?面白いの。
面白い話…。
あのファッションショーとかっていうのは裏で衣装を着替えたりすごい急ぐんですけれどももうみんな下着で走り回ってます。
それ内緒にしときまひょかそういうのは。
それ夢を壊しますんで。
駄目ですか?はい。
では「シルバーウエディングベル」桂三扇さんです。
どうぞ。

(拍手)え〜たくさんのご来場本当にありがとうございます。
え〜続いて出てまいりました私桂三扇と申しまして女流の落語家でございます。
お分かり頂いてますでしょうか?
(拍手)あ分かって頂いてますか。
もうね落語家は男性が多いですからね。
もう男性の中に交じりますとニューハーフかなと間違えられたりなんかする事がありましてええ。
また覚えて帰って頂きたいと思います。
まああの〜ねえ女流の落語家も増えましてね今16人いるんですよ上方落語界にね。
で私が入った時は3人目でございましたですけれどもこのNHKの「朝ドラ」の「ちりとてちん」というので女流の落語家のお話でしたですからねそれきっかけにもう毎年のように女性の落語家が増えてまいりましてですね今勢力を拡大中という感じでございます。
まあその中には結婚も致しまして子育てしてるというのもおりましてね。
ま私もその一人なんですけども。
まあ15年たちますかもう結婚致しましてね。
そうしましたら若い結婚してるその女流の落語家なんかが私に聞いてくるんですよ。
「夫婦円満の方法とか何かありますか?」なんて聞かれたりするんですけども。
女流の落語家が夫婦円満にいく方法というのは家ではあまりしゃべらない事ですね。
もうね夫婦喧嘩の時なんかもうもう旦那と一緒になってダ〜ッ言いましたらですねそれ絶対駄目です。
私は絶対それしないようにしてるんです。
もう「ごめんなさい」ってすぐに謝って黙っとくようにしてるんでございます。
それ言うてもいいんですよ。
言うてもいいですけど言ったら私が勝ちますからね。
(笑い)いうてもしゃべりのプロですからねええ。
やらないようにしてるんです。
でもねそうしてますとストレスたまります。
ですからね後から復讐するんです。
昨日もねちょっとカチンと来るような事私言われましてね「腹立つな〜」思いましたので朝いつも旦那のお弁当を作るんですけれどもお弁当のお握りを砂糖で握ってやりました。
(笑い)今日は甘〜いお握りだったと思いますけれどもね。
え〜まあ本当にあの〜女性というのはね家事もしないかん仕事もせないかんでお忙しい方が多いと思います。
今日来られてる方なんかもそんなんじゃないかと思いますよ。
今日この落語を聴きに行こうと思いましたらですねえ?家族のためにごはん作っとこうという事でそうめんゆがいてきた方とかねカレーライス作ってきた方また昨日のカレーをひと手間かけてカレーシチューに変えてきた方そういう方がいらっしゃると思うんですよ。
もう女性の方がやる事多岐にわたってますからね忙しかったりなんか致しますけども。
でもその方が長生きするんじゃないですか?やっぱり女性の方が長寿でございますからねええ。
もう今の熟年の女性なんかは本当に元気な方が多いですよね。
何か聞くところによりますと昔の60歳と今の60歳では気ぃも体の中も全然今の方の方が若いんだそうですね。
ですから出産なんかでも日本で一番高齢で出産された年齢というのが60歳だそうでございましてね。
でインドの方では70歳で出産した方もいらっしゃるそうでございます。
もう医療がね進んでおりますから。
ですからねよく聞きますわ。
子どもがね結婚致しまして「早い事孫の顔が見たいわあ」なんて言うてるお父さんとお母さんもう孫産んでもらうの待ってたらあきませんよ。
もう孫は自分で産んで下さい。
(笑い)もうそういう時代でございますよ。
もう第2次ベビーブームを生んだ皆さんが第3次ベビーブームを生んで頂かないともう日本の少子化は止まらないんじゃないかなと私は思うんですけどもね。
まあこうやって長寿の時代になりますと第2第3の人生を考えようなんていう方もいらっしゃいまして。
「お母さんご結婚なさるのはいいですよ。
でもねえ籍だけ入れとかれたらいいんじゃないですか?そんな式とか披露宴そんな事までやらなくてもいいじゃないですか。
年齢考えて下さいよ。
もう78ですよ」。
(笑い)「そうや」。
「『そうや』て。
世間体というものがあるんですからね。
私たち娘の事も考えて下さいよ」。
「いや好子。
私もそない思たんやで。
この年になってな式やとか披露宴そんな派手な事までやらんでもええのんと違うんかいなと思うたんやけどなこういう事ばっかりは相手さんのある事やさかいな。
まあ若い男性というのは彼女の花嫁姿が見たいんかいなと思て…」。
「ちょっと待って下さいお母さん。
『若い』?結婚する男性って若いんですか?」。
「若いねん。
83」。
「どこが若いんですか!お母さんよりも5歳も年上じゃないですか」。
「いやそんな事言うけどな10年前に亡くなったおとうちゃん私よりも一回り年上やったさかいな5歳ぐらい若いと思て。
いや式やとか披露宴をやるというのはな理由があんねん。
相手さんはかわいそうな人やで。
40年前にお連れ合いを亡くさはってからというもの男手一つで3人の娘さんを育ててきはったんや。
この3人娘が私のところへ来て『この苦労人のお父さんにハレの日を迎えさせてやりたい』と言うてタキシードとウエディングドレスをプレゼントしてくれるてこない言うねん。
どない思う?この話」。
「気色悪い話ですね」。
(笑い)「お母さんウエディングドレス着るんですか?78ですよ!」。
「いや向こうの娘さんがな『ウエディングドレスを着てバージンロードを歩いてほしい』ちゅうな事言われてんねやけどね」。
「『バージンロード』てお母さんが歩いたらバーチャンロードになってしまいますよ」。
「何ちゅう失礼な事を言うねんな」。
「それでどこでされるつもりなんです?その式とか披露宴は」。
「いやせやからねウエディングドレスを着るから神式いう訳にいかへんやろ?せやからあのホテルのチャンプルーでやろうと思てんねん」。
「『チャンプルー』てお母さんそれチャペルですよ。
チャンプルーは沖縄料理ですからねぇ」。
「あ〜ああそのチャペルか。
そこでやろうと思てんねん」。
「ああそうですか。
でどこのホテルでされるつもりなんです?」。
「あんた知ってるやろ?あのロイヤル帝国プラザホテルでやろうと思てんねん」。
(笑い)「お母さん何考えてらっしゃるんですか!ロイヤル帝国プラザホテルといいましたらね日本でも超有名なホテルじゃないですか!そんな豪華な結婚式挙げるやなんて。
お母さんね思い出して下さいよ。
私がですよ披露宴を結婚する時ホテルで挙げたいと言った時お母さんどうおっしゃいました?『そんなぜいたくを若いうちから覚えたらいかん。
新郎の正さんの負担にもなんねんさかいそういう事はやめとけ』と言ったんはお母さんじゃないですか!ですから私はね玉姫荘でやらしてもらったんですよ普通の結婚式場の」。
「あ〜あ〜そうそう。
あの時の玉姫荘の企画面白かったな。
新郎新婦がゴンドラに乗せられて天井からフワ〜ッと下りてくんねんな。
ほいであのスモークいうのんか?煙がパ〜ッとたかれてなあ煙の中から新郎の正さん出てきた時煙にいぶし出されたタヌキかと思たな。
ハハハハハ。
あれ面白かったね」。
「ほっといて下さいよそんな事は!」。
「ちょっと好子もうそない怒らんといてな。
これにも理由があんねやな。
あの向こうさんのな長女の婿がなロイヤル帝国プラザホテルに勤めとんねんけどなあこのごろまあ不景気やろ?せやさかい派手な披露宴を若い者は挙げへんらしいねん。
それでシルバープランというのをバンと打ち出して65歳以上の人にも結婚式やとかあと結婚記念日のような金婚式とかそういうようなものを派手にやってもらうという事でな若者よりも3割引きやねん。
『お身内やったら5割引き社員割引きする』言うてはるさかいな安いがな。
せやからやる事になってんねん。
よろしゅう頼むで。
再来週の日曜日やさかいな」。
「再来週!?2週間後ですか!?えらいちょっとそれ急な話ですねえ」。
「いや〜何かシルバープランの決まりでな65歳以上は予約してから2週間以内に披露宴を挙げやないかんねん。
もう半年とか1年先というとどっちかがおらんという事があるさかいな。
ひょっとしたらどっちもおらんという事があるさかいそういう事になってんねや。
よろしゅう頼むで」。
「ちょっと待って下さいよ。
2週間後ですか?え〜っとあ〜空いてますから行きますけども。
でそのお父さんのお名前は何とおっしゃるんです?」。
「ふぁ?」。
「いや『ふぁ』じゃないんですよ。
お父さんのお名前ですよ」。
「『お父さん』て誰?」。
「いや『お父さんて誰』て結婚される方は私たちのお父さんになられるんですからね。
お名前教えて下さい」。
「え〜?それ嫌や」。
「何が嫌なんですか?」。
「いやあんた狙うてるやろ?」。
「狙いますかいなそんなもん!83歳のおじいちゃんじゃないですか」。
「まあそれやったら教えるけどな大八木秀治郎さんいうねん。
皆からはな『ヒデさん』とか『ヒデ』とか呼ばれてんねん。
あのヒデとロザンナのヒデになちょっと若い時似てたんやて。
せやから私の事はロザンナと呼んで」。
「何を言うてるんですか!」。
という事でですね披露宴が始まるんですけどももうこの結婚式披露宴に来られてる方の平均年齢というのが75歳でございまして。
まあ正直申し上げて結婚式に来てるのか法事に来てるのか分からないというそういう状態でございます。
司会者の方も大変高齢でございまして。
「それではただいまより大八木秀治郎さん香川波江さんのご結婚ご披露宴を開かせて頂きます。
司会は私横山フミでございます。
新郎新婦とはゲートボール仲間でございます。
よろしくお願い致します。
それでは新郎新婦の入場です。
あっすんません。
ホテルの方すみません。
あのねさっきあの入場のリハーサルした時にね新郎新婦が『ちょっと音楽のテンポが速すぎる』言うてはりました。
もうちょっとゆっくりめのでお願い致します。
新郎がリューマチ患うとりましてね新婦が腰痛持ちですんでちょっとゆっくりめのでお願いします。
え〜それでは新郎新婦の入場です。
どうぞ!」。
さあ入場してくるのでもゆっくりですよ。
もう30分ぐらいかかってゆっくり入場してきましてですね。
もうお客さんの方も拍手するのが途中で嫌になるというそんな状態でございます。
「それではただいまより大八木秀治郎さん香川波江さんのご結婚ご披露宴を開かせて頂きます。
司会は私横山フミでございます。
新郎新婦とはゲートボール仲間でござい…。
え?さっき言いました?え私言いました?あら〜このごろねちょっと物忘れが出とりましてね。
いやもう孫にも言われますねん。
『同じ事何べんも言うで』言うてね。
でまた今日は老眼鏡自分の忘れて人のん使てるからプログラムが見えにくうてね。
え〜続きましては仲人の古田留三郎さんです。
どうぞ!え?『古田』違う?誰?え?吉田?」。
(笑い)「あ〜下に一本線ありましたわ。
吉田留三郎さんですどうぞ!」。
「ああああああ。
入ってまっか?入ってまっか?え〜先ほどご紹介頂きました仲人の吉田留三郎でございます。
寿老人クラブの現会長でございまして。
前会長が新郎のヒデさんでございました。
お二人は寿老人クラブでお出会いになられました。
もう仲がようてねえいつも2人でグッと手つないで歩いておられるんですけど。
『もうそない見せつけんでもええのと違うんかい!』とこういうふうに冷やかしましたらね『2人で手つないでる方がこけんでええねや』言うてはりました。
いや〜私はええ事やと思いますなあ。
いくつになってもこうやって情熱的に生きる。
寿老人クラブの若い皆さんにも見習って頂きたいなと私は思っております。
またお二人のご経歴でございますがあまりにも長すぎますのでもう割愛させて頂きまして。
どうしても聞きたい方は直接本人に聞いて下さい。
とにかくお二人には末永く…と言うてもあんまり長い事おまへんけど。
ま共に白髪も…抜けとりますな。
とにかく幸せに暮らして頂きたいなと思っております。
ありがとうございました」。
「続きまして新郎の小学校時代の恩師でいらっしゃいます新貝益蔵先生にご祝辞をお願いする予定でございましたが益蔵先生が今朝方玄関先で倒れられそのままあの世へ行かれました。
102歳でございました。
新郎の希望で故人をしのんで黙とうをささげさせて頂きます。
黙とう!ナンマンダブナンマンダブ。
ご協力ありがとうございました。
続きましては新婦の主治医でいらっしゃいます中村クリニック病院長中村慶子先生にお願い致しましょう。
中村先生よろしくお願い致します」。
「どうも。
中村でございます。
おばあちゃんきれいですよウエディングドレス姿。
もう私よりも先着るやなんて嫌やわほんまにもう!もうおばあちゃんとは長いおつきあいでございましてね私の祖父の時代からずっとうちの病院に通って頂いておりまして。
祖父の時代と申しますと木造の2階建ての時でございました。
今は鉄筋ビルの4階建てが建ってるんでございますけれども。
多くの患者さんにほかの病院よりも多めに薬をのんで頂いたおかげで鉄筋ビル4階建て建てる事ができました。
今日は来賓の皆さんの中にうちの患者さんもたくさんお越し頂いておりますのでひと言お礼を述べさせて頂きたいと思います。
本当にご協力ありがとうございました。
さて波江おばあちゃんですけれども腰痛を患っておられましてですね腰痛というのはやっかいな病気でございまして。
体の中で大事なところといいますと肝臓腎臓腰と申しましてねこれ肝腎要といわして。
『腰』という漢字を思い浮かべて頂きたいと思います。
『要』という横に『月』がついてございます。
ですからもう肝腎要肝臓腎臓は本当に大事なところなんでございますね。
だから腰痛というのは皆さんいつでも起こりうる事なのです。
二足歩行をしだしてからずっと腰痛の歴史が始まってる訳でございますから。
アメリカのマイケル・ピート博士が先日『腰痛予防の108つの方法』というのを発表致しましたので今日はそれを講義させて頂きたいと思います。
まず1つ目でございますが適度な運動これが大事でございますね。
適度な運動と申しますとうっすら汗をかく程度の運動でございます。
そして2つ目は…」。
まあこの祝辞が長い長い。
もう108つもあるんですからねえ。
普通でしたらもう来賓の皆さん祝辞が長いとだれましてね居眠りしたりする方なんかもいらっしゃったりするんですけどもうこの来賓の皆さんは腰痛につきましては切実でございますから一生懸命メモとったりなんか致しまして。
「腰痛予防の方法をしゃべらして頂きましてお祝いの言葉と代えさせて頂きます。
ありがとうございました」。
「それでは長らくお待たせ致しました。
そろそろお食事へと進めさせて頂きます。
今日のお食事は新郎新婦の希望で豆腐会席という事になってございます。
先ほど男性の洗面所に入れ歯の忘れ物がございました。
早めに取りに来て下さい」。
「楽しく過ごしてまいりましたご結婚ご披露宴そろそろお開きの時間がやってまいりました。
二次会の予定でございますが今日の夜の7時30分からここのホテルの地下のラウンジでという事でございましたんですが新郎新婦が『もう眠たい』と申しておりますのでもう二次会はなしです。
でまた新婚旅行でございますが今日の披露宴の疲れがとれてから10日後に行かれるという事でございます。
東京へ行かれるんだそうでございまして新婦の夢やったそうでございます。
『浅草の観音さんへお参りして東京ディズニーランドへ行ってジェットコースターに乗りたい』。
『もうその年でそれは危ないんと違うか?』と止めたんでございますけども『私はもう思い残す事はない』とおっしゃっておられまして。
大阪空港から8時30分発の飛行機で行かれるという事でございますので皆様ご出棺のお見送り…失礼致しました。
ご出発のお見送りをよろしくお願い致します。
さてそれではクライマックスの花束の贈呈でございます。
普通でしたらご両親にという事でございますがお二人のご両親は既に他界されておられますので新郎新婦の娘さん息子さんご夫婦にという事になってございます。
それではどうぞお届け下さい」。
「今まで育ってくれてありがとう。
たくさんすねをかじり続けてくれてありがとう。
おかげで幸せな人生を歩む事ができました。
これからはシルバーに輝く人生を歩んでいきたいと思います」。
高砂の席に並んだ尉と姥。
「シルバーウエディングベル」という一席でございました。
(拍手)え〜桂三扇さんの「シルバーウエディングベル」でした。
いかがでした?もうバーチャンロードがツボにはまっちゃいましたね。
あともうほかに2週間以内に挙式をやらなきゃいけないとかも一つ一つがすごい面白かったです。
この話独特の話…実はこれ今の六代文枝さん前の三枝さんが作った話で…。
あそうなんですね。
それを女性風に変えたらしいですよ。
やっぱり同じ同性としてすごい見やすかったです。
分かりやすかったでしょ。
次は古典でございますんで聴いて下さいね。
続きましては笑福亭鶴二さんの「竹の水仙」です。

(拍手)え〜ようこそのお運びでございまして厚く御礼申し上げておきますけども。
笑福亭鶴二という名前でございましてね。
どうぞ顔と名前と覚えて帰って頂きたいと思いますが。
いろんなところでしゃべらせて頂きますと最近はこの終わってからねお客様が声をかけて頂くというこの声援というのはうれしいもんですね。
こないだもね私が終わりまして道を歩いておりましたら…。
「さっき見ましたよ。
ええ?なかなかよかったですねえ。
もうやっぱり10年ぐらいやってはるんですか?」言うて。
「29年です」言うて落ち込んで帰った事ありますよ。
(笑い)まあいろんな方いてますね。
中にはあの〜「つまらない物ですけど」言うて「これでお茶でも飲んで下さいね」言うて紙に包んだ物持ってきはったりなんかしてね。
でそういう時は日本人の美学としましてね一回は断るんです。
「受け取れません結構です!」言うてねええ。
ここでお客さんの方も「そうですか」って直したら駄目なんです。
これはモラルに反するんです。
(笑い)打診するんですもうちょっとね。
「どうぞ!」ね。
でまたこの噺家の方もそこでその…見るというのはまあこれは品がないですね。
やはりこの…部屋に戻ってから?おもむろに?封を開けましてのぞくというね。
「お茶飲んで下さいね」言うて「ありがとうございます」言うて封切ったら中からお茶のティーバッグ出てきました。
(笑い)まああの〜旅へ参りますといろんなお客様とね出会えるというのもうれしいもんですけども。
昔は大津という所は宿場町やったんやそうでございましてね。
たくさんに宿屋さんが並んでおりまして。
大津の宿で近江屋佐兵衛という宿屋さんまあそんな高級な宿屋さんではございません。
まあいわゆる木賃宿というやつで。
もう今朝も朝早うから夫婦喧嘩の真っ最中で。
「ちょっとあんた。
2階のお客さん今日で泊まって10日になるやないの!ええ加減にお勘定もうてきておくれやす」。
「あほかお前は。
こういう商売してたらお前客が10日泊まろうが20日泊まろうがたつ時に宿賃もらうちゅうのが決まりやないかい」。
「そんな事あんたに言われんかて分かったあるわ。
そやけどなわてもむかむか来てんねん」。
「何をそないむかむか来てんねん?」。
「そうでっしゃないかいなえ?来た日に宿帳をつけてもらうのはあんたも知ってるやろうけども書いた事がむかつくで。
名前が『桃太郎』や」。
(笑い)「行き先が『鬼ヶ島』や」。
(笑い)「仕事が『鬼征伐』てばかにしてるがな。
それにまあ来た日ぃから『酒出せ〜酒出せ〜』てよう食らうでほんまに。
朝に1升昼に1升晩に1升夜中に1升寝酒に1升!日に5升も食らうがな。
当てちゅうたらまあタイやのヒラメやの竜宮城みたいにぜいたくな事ばっかり言うて。
あの客がそんなぜいたくな事言えるような客か?ほんまに。
着てる着物いうたらボロボロの着物着て襟なんか垢で黒光りしたるがな。
帯なんか伊勢音頭みたいな帯締めやがって」。
「何やその『伊勢音頭みたいな帯』ちゅうのは?」。
「『七とこ回してヤートコセ芯が出ていてヨーイヤナ』ちゅうな帯やがな」。
(笑い)「そういう…どこで聞いてくんねんそういう事を」。
「とにかくお金が入ってけえへんねん。
うちにある物はみんな切れたで。
米は切れた味噌は切れた醤油は切れた砂糖は切れた。
切れへんのは台所にある包丁とわてとあんたの腐れ縁だけや!」。
「ようしゃべんなお前は。
分かったがな。
宿賃もうてきたらええのやろ!ほんまに。
朝からやいやい言うなほんまに。
これやさかいしゃべりの嫁はんもらうもんやあれへん。
朝からやいやいやいやい。
お客さんあのちょっとお邪魔を致します」。
「こらこらご亭主何ぞ用事か?」。
「朝からあんまりこういう事やいやい言いたい事おまへんねんけどね嬶がもうやかましいもんですさかい。
お客さんねえ今日でうち泊まってもうてちょうど10日になりまんねん。
この辺でいっぺん宿賃の方払うてもらう訳にいきまへんやろかな?」。
「あ…10日になる?あ〜月日のたつのは早いな。
でなんぼになりますな?」。
「へえ締めて7両2分3朱ちゅう事になっとりまんので」。
「7両2分3朱!?安いな〜!あれだけ飲み食いして7両2分3朱!こんな安い宿屋泊まった事ない」。
「うちはねよそよりせぇだい勉強さしてもうてますさかい」。
「こら安いわ〜。
安い事は安いけど金ないわ」。
(笑い)「やっぱりな。
昔から『安い安い』ちゅうやつに限って払うたためしないねん。
ほんだらあんたうちんとこの宿賃倒すつもり…?」。
「いや倒すとは言うてへんがな。
今から払う段取りつけよ」。
「段取りってどないすんねん?」。
「この辺に竹藪はないか?」。
「竹藪?それやったらうちの裏が竹藪やがな」。
「あちょうどええわ。
あんたな私についてきて。
うんノコギリ一丁持って裏の竹藪まで来て。
あ〜そこで宿賃払お」。
(笑い)「ノコギリ?竹藪?はは〜お前わしバラバラにするつもり…」。
「誰がそんな恐ろしい事するかいな。
とにかく言うたとおりしておくれ」。
あの竹がええかこの竹がええかいろいろ調べました結果これぐらいの太さの孟宗竹ちゅうやつ。
これを手ごろな長さに切りまして部屋へ持って帰ると一人でこのコツコツ〜コツコツやりだしよった。
夜中の2時か3時ごろ。
「ご亭主ご亭主。
あのなちょっと上へ上がってきておくれ」。
「ふぁ〜こんな夜中に呼び出しやがってほんまにもう。
何じゃい?」。
「『何じゃい』ちゅうやつがあるかいな。
あんたとこの宿賃払う段取りがついたんや。
おお。
ちょっとこれ見ておくれ」。
「何やそれ?」。
「『何やそれ』って見て分からんか?竹でこしらえた水仙のつぼみや」。
「はあ?それどないすんねん?」。
「『どないする』てこれを売ってあんたとこの宿賃払お」。
「お前頭の空気抜けてんのと違うか?お前。
そやないかいお前そんな物売ったところでたかだか1文か2文…」。
「あほな事言いな。
あんたとこの払いが7両2分3朱。
そんな安うに売る訳にはいかん。
とにかくな私の言うたとおりして。
桶にいっぱいの水を張ってなこの竹でこしらえた水仙のつぼみその中へ放り込んで『売り物』ちゅう札を下げといて朝になったら必ず買い手がつく。
買い手がついたら宿賃払お」。
「『つい…たら』?『たら』で念押したな。
昔から『たら』とか『れば』ちゅうの当てにならへんねんぞ。
まあええわ。
こないなったらなお前の言うたとおりしようか」。
気のええ宿屋の亭主桶にいっぱいの水を張りまして竹でこしらえた水仙のつぼみその中へ放り込みまして「売り物」ちゅう札を下げてゴロッと横になってしまう。
5時か6時ごろこの店先を通りかかりましたのが肥後熊本の大名で55万5,000石細川越中守の大名行列。
この先頭先払いをしておりますのが大槻玄蕃という侍。
まことに恰幅のええ顔中髭だらけ。
どっから見ても強そうなお侍ですがこの人2つほど病気がございまして。
一つはと申しますと極度な近眼近目でございます。
ただいま眼鏡がございますが昔はそういうのなかったんで皆目前の方がこうぼやけて分からなんだんやそう。
もう一つはと申しますとキョトの慌て者ときとる。
今日も今日とて大きい声を張り上げまして。
「控え〜よれ〜!」。
「控え〜よれ。
大名行列のお通りじゃ。
あこりゃこりゃその2階の窓から足袋をはいて足を出しとる町人足を引っ込め。
控え…こりゃその2階の窓から足袋をはいて足を出しとる町人足を引っ込めんか!控え…こりゃその足袋をはいて足袋…。
あ〜足袋屋の看板か」。
ええ加減なやつがあったもん。
お日ぃさんが昇ってまいりますと朝日がそれへ指してサ〜ッとさし込んでくる。
どういう仕掛けがしてあったのか知りませんが今まで置いてありましたこの竹でこしらえた水仙のつぼみ。
朝日が当たると同時にパチ〜ンという音をたててきれ〜いな花を咲かせる。
周りにはもう何とも言えんええ香りが漂います。
「駕籠を止めい!大槻玄蕃はおらぬか?」。
「はっ殿何かご用で?」。
「宿の前に置いてある竹でこしらえた水仙の花買い求めてまいれ。
余は本陣宿で待っておる」。
お殿さん宿の方へ帰ってしまう。
後に残りました大槻玄蕃。
「は〜ほんまにもう。
うちの殿だけはちょっと珍しい物見ると『欲しい欲しい〜。
欲しい欲しい〜』。
あんな物が欲しいねやったらわしがなんぼでもこさえてやんねや。
亭主許せ」。
「あこらこらお侍さん。
何ぞご用で?」。
「うん宿の前に置いてある竹でこしらえた水仙の花買い求めてまいる。
値はいかほどじゃ?」。
「はあ?」。
「値はいかほどじゃ?」。
「『あたい』?あたいはわたいでんねん」。
「何を申しておる。
『いくらか?』と聞いておる」。
「『いくら』?え?あっ『なんぼや?』と?あ買うて頂ける?あさようでございますか。
そうでございましたらなそこへお掛けになってお待ち下さいませ。
いやいやあのこれこさえたやつね2階にいてまんのでちょっと聞いてきますさかい。
ちょっとどうぞ掛けて待っといておくんなはれ。
あ〜買い手がついたな。
おい喜べ。
買い手がついたで」。
「あ〜結構結構。
ほんで相手どんなやっちゃ?」。
「『どんなやつ』てお前聞こえたら怒られんで。
びっくりすなよ。
肥後熊本の大名でな55万5,000石細川越中守様や!」。
「は〜越中が来たか!」。
「ふんどしみたいに言うなお前」。
(笑い)「聞こえたら怒られるで。
せやけどお前なかなかええ仕事するがな。
あれな昨日見た時まだつぼみやってん。
今見たら花が咲いてる。
竹でこさえた物花が咲く。
これちょっと珍しいでええ?相手まあ侍やなあ。
足元見る訳やないけどちょっと高い事言おうかなあ。
1両でどないや?1両で」。
「1両では売れんなあ」。
「いや『売れんなあ』てそない納まってんねやあれへんねや。
高い事言うて売れなんだら元も子もあれへんがなええ?ほなお前一体なんぼで売るつもりやねん?」。
「そうやなあまあほかの大名やったらもうちょっと欲しいとこやけど相手が越中なら200両にまけとこか!」。
「それお前言うてこいお前」。
(笑い)「わしそんなあほな事よう言わんわお前。
んなもん言うてみぃ!相手は侍やで。
長い物持っとんねん!『たかだか竹でこしらえた水仙の花200両とは法外な事ぬかすな!』言うて長い物ズラ〜ッと抜かれてバサッといかれてみぃお前。
こんなもんな秋になったら生えてくるマッタケ違うねんぞ」。
「心配せんでもええ。
なんぼ相手侍ちゅうたかてそんなにむやみやたらに人は斬らん。
せいぜい2〜3発どつかれる程度や」。
「どつかれんのわしやで。
どないしても言わなあかん?か〜ほんまにもう。
えらいやつ泊めてもうた。
もう宿賃もらおと思やこそ。
お待っ遠さんで」。
「いかがであった?」。
「いやそれがあの…何でんねんあのこれ…。
うわ〜恐ろしい顔しとんな。
目ギョロっとむいて…。
こんなん言うたら殺されるでほんまに」。
「いかほどじゃ?」。
「いやそれがあの何でんねん。
あお侍さんあのね今からやなわたいが言うてんねやおまへん。
2階の客が言うてまんねん。
せやさかいお宅がカ〜ッてねムカッと来たらねもうその怒りをグ〜ッとこらえて私やなしに2階の客の頭をボンボン…」。
「何を申しておる?さっぱり分からんではないか。
いかほどじゃ?」。
「『いかほど』ね。
あのそれが何でんねんあの…」。
(せきばらい)「ふぁんふぁん両やろう…」。
(笑い)「何?」。
「いやあのね…。
ふぁんふぁん両やろう…」。
「破れておるのか?その方。
さっぱり分からんではないか。
はっきり申せ」。
「いやあのねその2階の客の言うのにはね『ほかの…ほかのお大名やったらもうちょっと欲しいところやけども相手がお殿さんとこやったらこれだけにまけとこか』てこない言うてまんねん」。
「お〜2文か?」。
(笑い)「そら言うわな」。
「もうちょっと上でんねん」。
「2分か?」。
「話がしにくい。
もうこないなったら言いますけどね200両でんねん」。
「200両?ハッハッ。
たかだか竹でこしらえた水仙の花200両とは法外な事をぬかすな!」。
「痛っ!やっぱりどつかれたがな。
もうどつかれても買うてくれりゃええわい。
どつかれるわ帰られるわこれじゃいかれこれやがな。
ほんまにもう!おいやっぱりなどつかれたやないかい!どつかれてもな買うてくれりゃええわい。
どつかれるわ帰られるわ…」。
「もうやかましいなえ?心配せんでもええ。
今の侍必ずもういっぺん戻ってきよる」。
「『戻ってくる』って何しに戻ってくんねん?」。
「『亭主先ほどはすまなんだ。
物を見る目がなかったんじゃ。
金はこのとおり200両持ってきた』ちゅうて必ず戻ってくる」。
「それ何の宗教や?お前」。
(笑い)「ほんまかいな?」。
一方大槻玄蕃の方はもう「200両」ちぃ言われたもんですさかいに腹立ち紛れに戻ってきよって。
「何が200両や!ほんまに。
あんな物が200両で売れんのやったらこの道の両側にあんな物の問屋が並ぶわ。
こんなばかな事を殿に言わないかんとは。
殿。
ただいま戻りました」。
「うむ大槻玄蕃か。
苦しゅうない。
近う近う。
竹の水仙いかがであった?」。
「えそれがこの…。
こんなあほな事よう言わんわほんまに。
宿屋の亭主困んの無理ないでほんまにもう。
え〜それがこの…え〜先方が申しますには少々高価なように思いまして」。
「いかほどじゃ?」。
「はいそれがこの…先方が申しますには…『ほかの大名ならもう少々欲しいところじゃが相手が当家なれば…これだけじゃ』と。
このような無礼な事を申しております」。
「『これだけじゃ』と言われたか。
そうであろう。
2万両か?」。
(笑い)「どないなってんねやろな?おい。
あの…おおそれながら200両で」。
「何?200両が高いと言うて買わずに帰ったか。
この大ばか者!千両万両積んだところで作ってくれない名人の品。
もう一度行って買い求めてまいれ。
首尾よう買うてくればそれでよし。
買わずに帰ったその時はその方家は断絶その身は切腹」。
(笑い)「どないなってんねやほんまに」。
「嬶。
最前の侍戻ってけえへんな」。
「当たり前やがな。
あんたな大体な人がよすぎんねんで。
さっきもあんたあの何や高野山から下りてきた坊さんちゅうのにスッとお金恵んでたやろ?あれも高野山の坊主や何や分からへんで。
この町内あんたのたくち回っとるあんた願人坊主か分かれへん。
それになもうスッとお金…。
大体あんたはな人がよすぎんねや」。
「やいやい言うなお前」。
「おい見てみぃお前。
最前の侍えらい勢いで走ってきよったで。
草履と下駄と片っぽずつ履いとるがな」。
(笑い)「あの2階の客どっかの教祖様と違うか?ほんまに。
ええ?せやけどな今度はそないあっさり売らんぞ。
ちょっと意地悪したろ」。
何を思ったか宿屋の亭主品物うちらへ引っ込めて「売り切れました」ちゅう札下げよった。
「亭主先ほどはすまなんだ。
物を見る目がなかったんじゃ。
金はこのとおり200両持ってきた。
もう一度品物を見せてくれ〜!」。
「何をぬかすか腐れ侍」。
「何でそない偉そうに言われな…」。
「見せてやってもええけどなさっきとちょっと事情が変わるぞ」。
「『事情が変わる』とは?」。
「さっきなお前わしの頭一発ボワンとどついたやろ!あれものすごい痛かったんや。
せやさかいなどつき賃100両増えて300両」。
「300両でも…。
100200…300!金は…金はここへ置いていく。
品物の方はもうて帰る」。
「何やおい300両言うたけど喜んで持って帰りよったがな。
…て事は何か?あれよっぽどええ品物やねん。
それを作った2階の客よっぽどええお客さんやねんがな。
そんな事知らんさかいわしゃ昨日からボロクソに言うてんねや。
なあ。
やっぱりおら物を見る目がないねやな。
わしの命も夏のぼた餅や。
今晩一晩もたんこらほんまに。
まあええわ。
とにかくこないなったらなこの金持ってな2階へなご機嫌伺いにな行かしてもらう事にしようかなあ」。
「お客様!」。
「気持ち悪いなあんた!どっから声出して…」。
「売れましたがな。
見ておくんなはれこれ。
100200300両で売れました!」。
「あ〜300両。
それは結構結構。
私の言うたんは200両や。
あとの100両はあんたの儲け。
取っといておくれ」。
「100両も頂いてよろしいんで?」。
「あ〜それからな別になここにこれ…うん。
10両あります。
これあんたんとこの払いにな…。
え?あ多い?あ多かったらなおかみさんに着物の一枚でもこさえてやっておくれ」。
「何から何まで相すまんこって。
いやわたしらなこんな宿屋家業やってまっけども世間の事にはとんと疎いもんで。
よかったらお客さんのお名前だけでも聞かしてもらう訳にいきまへんやろかなあ」。
「私の名前は…桃太郎」。
「いやそら堪忍しとくんなはれ。
すんまへんほんまの名前…」。
「ほんまの名前というのもおかしいがな名乗るほどの者やないが聞いといてもらいましょ。
播州明石の出ぇでな墨縄という者の弟子になりまして今では飛騨高山に住まい致します左甚五郎と申します」。
「お宅が!?あの有名な彫り師の甚五郎先生…。
さようか。
それやったらあれぐらいの品物作んの何でもおまへん訳や。
けどなんぼ甚五郎先生やいうたかてねそんなボロボロの着物着てはったんでは誰や分からしまへんがな」。
「ご亭主こんな事私の口から言うのも何やけどな宿屋家業といや客商売。
いつ何時どんなお客さんが来はるやも分からん。
薦は着てても寒椿。
あんまり人を身なりで決めつけん方がええのと違いますかな?」。
「あ〜もうこれから重々気ぃ付けまんのんで。
ああさよか。
お宅があの有名な…。
おい嬶!嬶!ちょっと上がってこい」。
「何やねんなあんたこの忙しいのにもう!どないしてんな?」。
「いやお前な…お前なここに…ここにおわすこちらのお方をどなたと心得る!」。
(笑い)「水戸黄門か?」。
(笑い)「お前やっぱり底抜けのあほやなお前は。
この人があの有名な彫り師の左甚五郎先生やがな」。
「この人が!?」。
「そうやお前。
さっきの竹の水仙300両で売れてそのうちの100両をうちにくれはったんやで」。
「えっ100両も!?」。
「お前が腰抜かしてどないすんねん!とにかくなさっき追い返した高野山の坊さんちゅうのもういっぺんこっち引っ張ってこい!」。
「何でやねんな?」。
「いやお前ここにいてはるこのお方が左甚五郎さんやったらさっきのお坊さん弘法大師か分からんわ」。
(笑い)
(拍手)笑福亭鶴二さんの「竹の水仙」でございました。
いかがでした?あの〜竹の作りがすごい気になります。
本当にどうやって開くんだろうとか。
それ聞かんといて下さい。
わしも知らんので。
あとお侍さんのその殿様とかとのみんなとのやり取りが面白かったです。
今日一日聴いてもうたんですけど落語聴いてもうて何か印象変わりました?落語の。
落語ってすごい堅い難しいイメージあったんですけどほんま面白かったです。
ハハハハハ。
最後に大阪人である事…白状しましたな。
でも今日は一日おつきあい本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
またこういう機会に落語を聴きに来て下さい。
はい是非。
お願いします。
では。
では皆さんもこれでお開きでございます。
さよなら。
2015/10/23(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会 ▽「シルバーウエディングベル」桂三扇、「竹の水仙」笑福亭鶴二[字]

▽「シルバーウエディングベル」桂三扇、「竹の水仙」笑福亭鶴二▽第354回NHK上方落語の会(27年7月2日)から▽ゲスト:春輝▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)

詳細情報
番組内容
第354回NHK上方落語の会から、桂三扇の「シルバーウエディングベル(作:桂三枝)」と笑福亭鶴二の「竹の水仙」をお届けする。▽シルバーウエディングベル:83歳を過ぎた父親が再婚して結婚式を開くという。息子が驚いて相手の年齢をきくと71歳だと言うが…。▽竹の水仙・左甚五郎が大津の宿に泊まる。数日後、宿賃をとりにきた主人に払えないと言い竹を削り水仙の花を作るのだが…▽ゲスト:春輝、ご案内:小佐田定雄
出演者
【出演】桂三扇,笑福亭鶴二,【ゲスト】春輝,【案内】小佐田定雄
キーワード1
落語
キーワード2
漫才

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – トークバラエティ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

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