くらし☆解説「“私たちが防ぐ!”振り込め詐欺」 2015.10.23


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうの担当は寒川由美子解説委員です。
この私たちが防ぐというのはどういうことなんでしょうか。
寒川⇒詐欺などの被害に遭わないようにご本人が注意しましょうという話ではなくご家族や周りにいる私たちも被害を防ぐことができるという話です。
まずは被害の現状です。
息子などに成り済ますオレオレ詐欺医療費の還付があると言ってだます還付金詐欺などいわゆる振り込め詐欺の被害の件数です。
増えています。
ことし6月までの半年間では去年の同じ時期より852件増えました。
被害額は過去最悪だった去年よりは30億円ほど減りましたが被害者の8割近くは65歳以上のお年寄りでした。
相変わらずお年寄りの被害が多いんですね。
そこできょうのテーマ、私たちが被害を防ぐです。
被害に遭ってしまった件数に周りの人が声をかけることで被害を未然に阻止したケースを並べてみます。
阻止した件数は増えています。
ことし前半では被害と同じくらい阻止することができました。
もし阻止できなかったら紫色のところはもう倍になっていたということですね。
どうやって防いだんですか。
最も多いのは金融機関で現金を引き出しに来た人に職員が声をかけて防いだケースです。
ほかにもさまざまなところで被害を防いでいます。
例えば、石川県のコンビニエンスストアで60代の女性が携帯電話で話しながらATMを操作しているのを不審に思った店員が声をかけて還付金詐欺だと分かりました。
三重県ではタクシーの運転手が被害を防ぎました。
現金を受け渡しに行く途中の80代の女性が携帯電話で話している内容を不審に思って警察に通報しました。
富山県では配送業者が90代女性の配送依頼について伝票に書かれた宛先の電話番号の市外局番と住所の地域が一致しないということを不審に思って通報しました。
長崎県では航空会社の社員が現金を持って上京しようとした80代女性が往復航空チケットの購入を申し込んだんですが東京での滞在時間が不自然に短かったため詐欺と判明しました。
詐欺が多いことを意識していると仕事中でも気付くことができるんですね。
職業に関係なく銀行のATMで携帯電話をかけながら操作しているお年寄りを見ておかしいなと思って行員に連絡し防いだケースもありました。
私たちも被害を防ぐことができるんですね。
効果が大きい声かけなんですが犯人側はなんとか声かけを免れようと手口を巧妙化させています。
どんな手口ですか。
例えばことし6月に東京で80代女性が被害に遭ったケースです。
息子を装った犯人からかばんを落としたという電話があったのが始まりです。
その後、息子の上司を名乗る男から現金を引き出す前に自動車販売店で新車のカタログを受け取るように指示されます。
女性は犯人が手配していたカタログと見積書を受け取り犯人はそれを持って金融機関で現金を引き出すよう指示するんです。
女性は指示どおり新車の購入代金が必要と説明して500万円を引き出し犯人に渡してしまいました。
こうなると金融機関側も、これ以上疑って声をかけるのは難しいですね。
被害者も気が動転していますので指示されるままにしてしまうということです。
また、広島県の70代女性が被害に遭ったケースでは喪服を着て金融機関に行くように指示され身内に不幸があってお金が必要と説明させて現金を引き出させました。
このケースでは犯人は最初に警察官を名乗り銀行職員が詐欺グループとつながって預金が危ないと言って預金を引き出させていました。
銀行から何を言われても聞く耳を持たないよう誘導していたんです。
このような巧みな振り込め詐欺なんとか防ごうと新たな現金の受け渡し方法に着目した対策も進められています。
そこにも、一般の人の協力が欠かせません。
アパートやマンションの空き部屋対策です。
振り込め詐欺といいましてもATMの一日の利用限度額が引き下げられているので現金を宅配便などで送らせる手口が増えています。
その場合にアパートなどの空き部屋が悪用されるケースがことしに入って増えています。
空き部屋の鍵も閉まっていますよねどうするんですか。
アパートなどの空き部屋は複数の不動産業者が入居者を募集していることが多いので鍵をアパートの一角に保管しているケースもあります。
そこで詐欺グループはネットで空き部屋を探して見学したいと言って不動産業者から鍵の保管場所を聞き出します。
そして、勝手に部屋に入りこんで住人を装って宅配業者から荷物を受け取ります。
もちろん犯人もひどいですが空き部屋の管理もずさんですね。
そこでアパートの大家さんなどでつくる団体が始めた対策がこちらです。
空き部屋の郵便受けやドアに配送厳禁特殊詐欺対策中というステッカーを貼ることで宅配業者に注意を促し犯人グループにも警戒感を抱かせて被害を防ごうという取り組みです。
併せて鍵の管理の徹底も呼びかけていくということです。
さまざまな角度から取り組みが進んでいるんですね。
さらに被害を防ぐ装置や電話機を無料で貸し出す自治体もあります。
東京都が貸し出しをしているのは電話機に設置する装置です。
(音声ガイド)この電話は振り込め詐欺などの犯罪被害防止のため会話内容が自動録音されます。
電話がかかってくると、この音声が流れます。
自動的に会話を録音することで犯行を思いとどまらせる効果があります。
犯人は電話で接触を図ってきますからね。
多くの自治体や警察などでこういった装置を無料で貸し出ししています。
ただこうした機械に頼らなくても被害を防ぐことは十分できます。
いちばんの切り札はなんと言ってもご家族や身近な人がコミュニケーションを取るということです。
65歳以上のうち高齢者のみ、もしくは夫婦のみで暮らしている人は6割に上っています。
こうしたお年寄りが別居している子どもと接触する頻度はほぼ毎日と週に1回以上合わせて半数です。
中には、ほとんど接触がないという人もいます。
これをアメリカと比較してみます。
ほぼ毎日と週1回以上がアメリカでは8割以上です。
ほかの先進国と比べても日本は接触頻度が低いんです。
警察によりますと子どもに連絡するのは迷惑と思ってしまうあるいは自分はだまされないと自信があるこうした方がだまされやすい傾向にあるということです。
まずは高齢の親に近況報告をするその際に自分や家族が大金を扱う仕事などしていないことを伝えて詐欺への注意を呼びかけるまた連絡時の合言葉を決めておくのも有効です。
名前や生年月日は犯人が調べているケースもあるので昔飼っていたペットの名前や好きなタレントなど他人には容易に分からないようなことばにしておくこともいいといわれています。
近況を知っておけば犯人のうそにも気がつきますよね。
なかなか減らない振り込め詐欺私たちにできることも多くあります。
家族や身近な人、目の前にいる人に少し気を配るだけでも被害防止につながることを意識していたいですね。
寒川由美子解説委員でした。
2015/10/23(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「“私たちが防ぐ!”振り込め詐欺」[字]

NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:20442(0x4FDA)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: