総合診療医 ドクターG「頭が痛い おなかも…」 2015.10.22


(健太)ママ!さっきの写真見せて。
(孝)あぁ…。
(百合子)パパ?パパ!ちょっと大丈夫!?ねえ…。
すごい熱!ちょっと…。
(健太)パパ大丈夫?痛い…。
(百合子)どこ痛いの?おなか?おなか?ねえどこ!?患者佐藤孝さん。
旅行会社に勤務する働き盛りの45歳。
倒れる数日前からさまざまな症状に悩まされていた。
部長?おお…悪い悪い。
どうした?体全体の…
(百合子)あした遊園地は無理なんじゃないの?しかし息子との約束を果たそうと無理をして遊園地へ出かけとうとう倒れてしまった。
孝さんをむしばんでいた…正体不明の病気に苦しむ患者に向き合い鮮やかに病名を探り当てる医師がいる。
問診と診察を武器に埋もれたピースを拾い上げパズルのようにつなぎ合わせて正解を導きだす。
患者を救え!熱中症だと思うんですよ。
いやでもねその前から結構頭痛ぇとか腹痛ぇとかだるいとか言ってたから…。
それでも無理をして行くっていうね。
例えばどんな病気だと思います?俺昔ね白血病の疑いがあるって言われた事があった。
大変じゃないですか。
しばらく検査とか受けないでほっといたら治っちゃったんですよ。
ほんとに治ってるんですかね。
めまいさっき…症状とかも似てるかもしれないな。
リンゴさんいかがですか?主人がちょっとした糖尿病なんですよ。
例えば自分で糖尿病だって気付かずにいて低血糖になると倒れてしまうというのがよくあってちょっと糖尿病の気があるんじゃないかなとは思いますけど。
まず最初の推測ですよね。
まあ45歳だしねそんなに不摂生な感じはしなかったですけどね。
さあそれではドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは茨城県水戸協同病院矢野晴美先生です。
(拍手)どうぞどうぞ。
先生よろしくお願いします。
矢野先生は総合診療医の中でも感染症が得意だという…。
(リンゴ)「感染症」っていうのは分かるんですけども「総合診療」っていうのがいまいち理解できないんですが。
例えば消化器科とか泌尿器科とかいろいろな臓器の診療科がありますけれども患者さんが抱える問題を包括的に丸ごと解決するというそういう診療になります。
患者の方はちゃんと精密検査してと思うから問診は割とうそつく事も多いですよね。
うそはやめて下さいよ!
(笑い声)なんかちょっといいように…。
この番組じっくり見て下さいよ。
(リンゴ)分かりました。
今回のドクターG感染症内科医矢野晴美先生。
矢野先生のもとには時に日本では珍しい感染症の患者も訪れる。
丁寧な問診や診察に加え欠かせないのが最新の症例報告。
世界のどこでどんな病気がはやっているのか?先進国では頻度は少ないんですけれども…。
リアルタイムで更新される世界中の情報に常に目を光らせる。
そしてその情報を駆使し日々患者の命と向き合っているのだ。
先生が診断した症例ですからね。
はい私自信が。
実際にね。
(リンゴ)そうなんだ。
病気の正体探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)山下先生どうですか?おなかも痛かったり頭も痛かったりという結構全身な疾患なので血管とかそういうのも考えていかなきゃいけないかなと思いました。
絞り込んで下さいよ。
小鮒先生どうですか?数日前から症状が表れてる事や発熱があったりとか同様なんですけど全身の状態が悪いのかなっていろんな疾患が頭の中に浮かんでいます。
(玉ちゃん)山田先生どうですか?どこが悪いのかというのがですね頭なのかおなかなのかフォーカスが絞りにくいなって。
今後また出てくるお話をしっかりと確認して早くあの患者さんのために診断していきたいなと思います。
命に関わる事もあるかもしれませんからね。
それではドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか?
(玉ちゃん)ドクタージェネラル!よろしくお願いします。
今日はどうされましたか?ええ…。
今日ちょっと無理して遊園地行ったんですけど…。
熱っぽくていろいろと調子が悪くて途中で帰ってきたんです。
体温は39.3度です。
ハァ…頭は痛いしおなかも…。
頭全体がガンガン痛いです。
いいえ。
おとといの日曜日からですかね。
うっ!?
(健太)ねえパパ起きて!
(孝)分かったもうちょっとだけ。
(百合子)ちょっと起きないと。
ほら!今日会社行くんじゃなかったっけ?あ…そうだった。
ハハハハハ!
(孝)
その日は朝起きた時にほんの少し頭が痛い感じがあったんですが…。
息子の小学校の創立記念日に遊園地に行く約束をしていたのでそのかわりに休日出勤をしたんです
あっパパ時間。
(孝)あっほんとだ時間だ。
行ってきます。
(健太百合子)行ってらっしゃい。
はっきりと頭痛がするなと思ったのは職場に着いてからでした
旅行会社の企画部で部長として働いています
ええなんとか。
だるくて頭痛かったんですけど…
ちょっと前通してくれ。
悪い。
ちょっとまたその話をしよう。
しばらくしておなかの調子もおかしくなって…
下痢をしてしまいました
あ…お疲れ。
おとといは4〜5回でしたが昨日は1時間置きに行くほどでした
水っぽい感じでした
いいえ
すみません…ちょっと思い出せないです。
そうですか。
ところで今日はご家族もいらしてましたよね?ええ…はい。
遊園地からそのまま来たんで。
ちょっとお呼びしますね。
どうぞ。
一緒にお話を聞かせてもらってもよろしいですか?はい。
ご主人は…いえむしろ早口です。
動きももっとてきぱきしていて。
今は具合が悪いからだと思うんですが。
昨日ご主人が…朝はいつものパンとコーヒーでした。
(百合子)
前の日は私の実家に行きました。
半年前に父が亡くなって母が元気をなくしていたので時々様子を見に行くようにしてるんです
(孝)ねえどう?いいじゃん!お母さん見て。
あらいいわねぇ。
きれい。
主人が庭をきれいにしてくれたので母が夕食をごちそうしてくれました
(孝)
ああ…みんなですき焼きを食べました
ん!これはうまいな。
おいしいです。
(百合子)
私も息子も母も大丈夫です
いえ…仕事が忙しかったもんで。
(百合子)
ここのところ残業続きで昨日も夜遅く帰ってきました
調子どう?あんまりだな…。
でも大丈夫だよ。
熱測ってみたら?
(百合子)
次の日は遊園地だというのにおとといよりも具合が悪いようでした
(百合子)
38度9分でした
あしたやめよっか。
ううん…あっ。
(百合子)
それで私としては遊園地は半ば諦めて市販の風邪薬をのませてすぐに寝るように言ったんです
(孝)
いや…それがあんまり
(百合子)
寒いって言うんで布団を出してあげたら少し落ち着いたみたいでした
多少楽になった感じはありましたが…。
行くと決めたんでちょっと無理をして。
(健太)あれにパパと乗る!
(百合子)え〜ママと乗ろうよ健太。
(健太)や〜だパパと乗りたい!うん…じゃあ行くか!
(百合子)
無理して息子につきあっていたんだと思います
どうしたの?ごめんごめん。
パパ疲れちゃってな。
ふ〜ん。
(孝)
ええ。
だるいのもありましたし体のあちこちの筋肉が痛かったんです
いや痛みは気になりませんでしたが気分が悪くなってきて…
パパ!今度は一緒にあれ乗ろうよ。
そのあとコーヒーカップに乗ったんです
そしたらどんどん気持ち悪くなってしまって…
ママ!写真見せて!は〜い楽しかった?
(孝)
そのあと倒れてしまったんです
(百合子)パパ!どうしよう…どうしたの!?あ〜!あぁ…。
(百合子)すごい熱!吐きそう吐きそう…。
トイレ?立てる?
(健太)パパ!パパ!
(孝)あぁ気持ち悪い…。
(孝)
それでトイレで吐いてしまいました
それからすぐこちらへ来られたんですね。
ところでご主人の…いないです。
旅行会社にお勤めでしたね。
あっこの前…仕事でタイへ1人で行っていました。
プーケットです。
1か月前くらいです。
帰国が8日で…。
8月8日ですね?
(百合子)はい。
確か5日間の出張でした。
え〜っと…。
あっあなたスマホに写真があるじゃない。
例えば食事は海沿いのレストランじゃなくて…ローカルな人が来る屋台で地元のものを食べるんだとか新しいツアーの開発のために象に乗って山の中をトレッキングしたり川でラフティングをしたり。
そうですか。
はい。
ん〜なるほど。
(玉ちゃん)佐藤孝さん45歳のバイタルデータでございます。
(玉ちゃん)先生どうでしょう?この患者さんの体温は非常に高い事が分かります。
この体温には見合った脈拍数になってます。
(リンゴ)脈拍って普通はどれぐらいなんですか?大体60〜70回ぐらい。
(玉ちゃん)じゃ倍近くあります…。
かなり速いですね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)ゲストの皆さんどうでした?見て。
(ユカイ)俺もね一回倒れた事あるんですよ突然。
めまいがして周りがグルグル回っちゃってるような状態で。
診てもらったら貧血だったのね。
そうですよね腹痛があるもんな。
でも全員食べてましたから。
何なんだろうな〜気になってしまいますが。
プーケットの屋台っていうの一番怪しいけどな。
氷とかね海外はよく言いますよね。
何日間かたったあとなんですかね。
(リンゴ)ちょうど…研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
一斉にお出し下さい。
フリップオ−プン!
(玉ちゃん)おっきました。
割れましたね。
山下先生から病名お願いします。
(玉ちゃん)小鮒先生。
(玉ちゃん)山田先生。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負。
カンファレンススタート!じゃ皆さんどうしてその病気を選んだのか教えて下さい。
発症の形態として急性の発症になるので大枠で感染症。
命に別状というか関わるような?必ず入院して抗生剤をしっかり使って治療が必要な疾患に…。
心臓から送り出された細菌が血管内で詰まり発熱やだるさ関節の痛みなど全身にさまざまな症状が表れます。
心内膜炎から血栓が飛んだりして頭が痛くなったりだとかおなかが痛かったりだとか記憶障害とかも出てたのでそういった事もつながってくるのかなと思いました。
じゃあ次小鮒先生お願いします。
何かしらの感染物質が体の中に入り込んでおう吐や下痢症状を起こしたり発熱を引き起こしたりするまあ一般的な病気です。
今回の症例だとどのような菌が入ったか…例えば先ほどおっしゃってたようにサルモネラ菌が入ったりとかまた全身が痛かったり筋痛があったりそれは下痢とかによる電解質異常等も表れてる可能性があるかなと思いました。
筋肉痛になったりするんですか?
(小鮒)例えば下痢によって体に必要な電解質がなくなって例えば足がつってしまったりそのような症状が起きる事があります。
(リンゴ)知り合いで急性胃腸炎とか診断された人いるんですけど結局それに対する薬はないのでもうずっと安静にするという事ですよね?ウイルス性でしたら安静にする…。
(リンゴ)しかないって事ですよね。
なんかでもそれってテレビ的じゃないような気がする。
(玉ちゃん)さすがベテラン!考えましたね。
このあとのVずっと安静にしてるだけといったら画がもたない。
テレビ的な展開まで考えて…。
(玉ちゃん)推理しますよ。
じゃあ山田先生どうでしょうか?一つキーとなるのがまあ30日ぐらい前ですかね1か月ぐらい前に海外に行かれてると。
いくつか日本にはない感染源となるものもあってその一つ特に頻度が高いものとしてはマラリア。
マラリアはハマダラカによって運ばれたマラリア原虫が体に入る事で起きる感染症。
発熱や頭痛おう吐の他全身にさまざまな症状が表れます。
頭痛と腹痛とだるさに加えて下痢も。
そして吐き気吐いてしまったり全身かなり…足も筋肉も痛いという事ですので全身かなり症状がきついなと。
それを全て一貫的に説明するのであればマラリアであれば可能かなと。
あの先生もすごいですね全部漢字書けるんですね。
すごいなぁ思て。
「倦怠感」とかね。
(笑い声)すいません…。
(山田)あとは潜伏期間ですね。
30日ぐらいまでであればマラリアではありえる。
病原体によって決まってるんですね大体。
(リンゴ)30日って潜伏期間としては短い方ですか?長い方ですか?
(山田)比較的長い…。
(玉ちゃん)へえ〜。
見逃してはいけない疾患というのあると思うんですよね。
診断に結び付くための大事なプロブレムという事ですけども…。
問診から浮かび上がった佐藤さんのさまざまな症状。
これらの症状から考えられる命に関わる病気は他に何があるのか?皆さんだったらどうでしょうか?頭痛を挙げたいなと思います。
その理由は僕たち生命活動する中で頭がやられてしまうと…病気によって。
生命活動が難しくなったり障害が残ってしまう事がありますのでこの急性経過だと髄膜炎は必ず考慮しなくてはいけない。
髄膜炎は脳を包む膜「髄膜」が炎症を起こす病気です。
小鮒先生は?発熱があるんですけど悪寒を伴う発熱で39度まで上昇してて呼吸も速くて脈拍も速いという事から全身に炎症が回ってる可能性もあると思うので敗血症を起こす可能性のある疾患は必ず鑑別しなきゃいけないと思います。
敗血症ってどういう感じの…?説明できる方いますか?
(山下)敗血症は体の中に感染が起こって血液の流れに乗ってその感染が体中に広がってしまっているという…。
じゃ死に至る場合も多いと…。
(山下)そうですね。
(玉ちゃん)まずいよ。
それはちょっと怖いな。
じゃあ次にですねタイという地域に関連した感染症というのはおさらいした方がいいと思うんですが…。
研修医たちが挙げた病名はいずれも感染症。
だがタイで病気にかかったとする鑑別は山田先生が挙げたマラリアだけだ。
佐藤さんの症状に合致するマラリア以外の病気がタイにあるのだろうか?こんなにいっぱい感染症あるんですね。
そうですねこれらの中ではちゃんと準備していわゆるリスクになるものを避けるという事をしたりワクチンを打ったりしていけば予防できるものもあります。
ここでタイではやっている病気というのを見たいと思います。
ありますねぇさすがに。
(玉ちゃん)これ何?「チクングニア熱」。
聞いた事ないですね。
このチクングニア熱について少しご説明できますか?蚊を媒介されてチクングニアという病原体が私たちの体の中に入って頭が痛くなったりとかいろいろな症状が全身で出てくる事があります。
(玉ちゃん)「日本脳炎」は知ってる。
「リケッチア」もね。
「リケッチア」ってどういう…。
リケッチアといいますのは一般にはダニを媒介にしてダニを通してかかる感染症ですね。
重篤化すると死に至ります。
(リンゴ)全部髄膜炎になるんですね。
そうですね。
レプ…?「レプトスピラ」。
そうですね分かる方いらっしゃいますか?
(山田)レプトスピラの場合ですね汚いお水とかに直接ネズミさんを触ってなくてもその糞とかそこから感染する事もあって特に目が赤くなったり同じように肝臓が障害されて目が黄色くなってきたり。
黄だんが出ちゃう?
(山田)そういう事です。
レプトスピラ症はネズミなどの糞尿に含まれる菌が体に侵入する事によって起きる感染症。
特徴は「二相性」と呼ばれる経過です。
頭痛や発熱下痢などの症状が出たあと多くは自然に治ります。
ところが再び症状が表れる事があります。
二相目の症状ははるかに強く死に至る事もあります。
一度病気が起こって…ちょっと軽い症状が起こるんですけれどよくなってまたひどくなる。
「二相性」というんですけども。
「にそう…」?あっ二相性。
このように症状が二回繰り返して起こす事が知られています。
いろいろな国で起こる事は知られていますし…。
あるんだ。
あるんだ。
ここでいろいろな病気がありますけれども山田先生が最初マラリアっておっしゃった時に「潜伏期間」というお話が出ました。
(玉ちゃん)おっきた。
病名の右側にあるのはそれぞれの病気の潜伏期間を表したグラフです。
例えばデングウイルスを持った蚊に刺された場合デング熱を発症するのはおよそ2〜14日の間である事を表しています。
まあこういった潜伏期間を踏まえた上でこの患者さんのこのプロブレムに合う病気が何かもしもあればそれを言って頂けたらと思うんですけども。
潜伏期の長いマラリアだったりだとかあとタイではやってる潜伏期の長いものとしてはHIVとか梅毒っていうのも考えなくちゃいけないと思います。
結核については他のせきの症状とかも出てないので可能性としては低いのかなというふうに考えます。
これだけの潜伏期間でいうと結構短いというか30日ないじゃないですか。
例えばさっきから言ってる二相性っていうので自分で気が付かへんかって一回こうなってるのがその30日の間にあったら全部当てはまりますよね。
この点はじゃあ山下先生いかがですか?二相性の病態を考えるのであればタイの旅行中に小さな事でも思い出せる限りでいいので体調不良何かなかったかそういった事を聞いた方がいいかなと思います。
旅行中だけでいいですか?
(リンゴ)今の言い方は旅行中だけやったらあかん聞き方やもんね。
タイの旅行から帰ってきてからの症状があったのかなかったのかを聞いた方がいいですよね。
こんなに旅行行くと…ねえ。
こんなに意識してないですよね。
うん。
それも怖いなあ。
これはどうなるかな〜?まだタイでうつったって確定したわけじゃないですけどね。
…ってところが絞り込みのポイントだね。
さあ診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!ないです。
仕事もしていましたしふだんどおりだったと思います。
あ…でも風邪っぽい時がありました。
え〜っと…。
(百合子)
確か10日くらい前です
(百合子)
今ほどひどくはなかったんですが…
ただいま…。
お帰り。
おなかピーピーなの?
(孝)何で分かったの?誰でも分かるでしょ。
はぁ〜頭痛いな…。
え〜?あぁ…。
ちょっと。
えっ熱あんじゃない?風邪?あっインフルエンザだ。
ちょっと手洗った?トイレ行って…。
違うよ。
あそこに風邪薬あるからのんで。
ね?うん…。
(孝)
今回ほどは痛くなかったです
(孝)
下痢も今回ほどでは…
(百合子)
37度6分でした
症状は…
(百合子)
市販の風邪薬をのんだら3日か4日で治まったと思います
それがプーケットから…
(百合子)はい。
その症状が出た8月29日より前はどこか変わった場所へ行ったり何か変わった事はしなかったですか?いいえ特には。
帰国してからは母の所に行ったくらいです。
いつですか?
(百合子)土曜日でしたから…8月22日です。
(百合子)
荒れ放題だった母の家の庭を見て主人が手入れをしてくれたんです。
草を刈り取ってそのあと掃除もしてくれて3〜4時間はやっていたでしょうか
随分長く作業されていたんですね。
なんか汚ねえな。
(百合子)
汚れていたプランターをまた使えるようにきれいにしてくれました
(孝)あれ?お母さんホースってありませんでしたっけ?なんかこの辺に。
あったかなあ?
(百合子)その下の所にない?
(孝)あっこれだ。
あったあった…。
(百合子)
プランターを洗おうとしてくれたんですが…
蛇口開けろ!は〜い。
おいあっ…何…。
あっ!わっとこれ…お〜!?
(百合子)
ホースに穴が開いていまして…
(百合子)
はい
その日以来ご家族の中で体調が悪くなった人はいないですね?はい。
それでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
(玉ちゃん)庭いじりする時短パンはよくねえんじゃねえかなって…。
タイだけじゃなくて日本でもデング熱とかありますもんね。
二相性でしたっけ?その話でいうと確実に…。
症状に近いものがありましたよね。
結構手入れしてなかったんですね庭をね。
だから老朽化してますよね。
(玉ちゃん)ダニだダニ。
(リンゴ)ダニね。
これ実家やったらお母さん落ち込みますよ。
(玉ちゃん)大変ですよね。
もう寄りつかないでしょうからね。
「孫なんか連れてけねえ」なんて…。
そんな事をテレビが言うだろうか?すごいテレビ的に考えますね。
(笑い声)さあ研修医の皆さん病名を書き終わったようです。
(玉ちゃん)一体どんな病気が出てくるんでしょうか。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)山下先生からどうぞ!
(玉ちゃん)小鮒先生。
(玉ちゃん)おぉ!変えてない山田先生。
さあ再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!じゃあ山下先生からなぜその病気を選んだのか。
悪寒とか発熱とかは合うと思って…。
頭痛とか倦怠感というのは要は髄膜炎の症状として出てるものとしては合うのかなと思いました。
先ほどのVTRの中でホースが容器の中に入ってたんですけどその中の…細かく見えなかったんですけど糞みたいな塊がいくつかあってネズミの糞だったりとかそういった事が考えられるのでそのホースの中にもともと入ってる水が汚染されている可能性は十分にあると考えました。
小鮒先生いかがでしょうか?VTRで指に絆創膏を巻いててけがしてるのかなというのもあったのでそこからの菌の侵入もあるのかなと思ったのが一点とあと二相性の発熱も合うのかなと思いました。
病名を変えた2人は共にレプトスピラ症。
タイから帰国したあとに感染したと考えた。
10日前に表れていた比較的軽い症状はレプトスピラ症の一相目だったと考えれば説明がつく。
じゃあ次に山田先生。
先ほどのVTRに…まあこのマラリア感染症はですね可能性を上げるような情報はなかったので…。
あるとするとちょっと潜伏期間が変わったなという情報。
う〜ん…やっぱりこっちかなというのも…。
病気の発症が10日前だったとしても潜伏期間は依然合致する。
山田先生はマラリアの可能性は捨てきれないと考えた。
ここで少しプロブレムを整理したいと思うんですけれども時系列タイムラインで表してみましょうか。
一番最初の症状が起こったのはいつごろでした?
(山下)10日前に風邪っぽい最初の37度6の発熱と少し軽度の頭痛と下痢の症状が。
(玉ちゃん)10日前ね。
(山下)その症状はまあ3〜4日間ぐらいで自然に治っていったような状態でした。
それから?
(ユカイ)旅行が5日から8日までですよね。
旅行はまあ30日前だったと思うんですが。
(小鮒)2日前に頭痛と全身倦怠感。
頭痛が増悪するとともに腹痛が生じて下痢もあって。
この時は発熱はどうですか?その日は測ってなくて1日前が38度9分。
で来た時が皆さんが最初に見たバイタルサインですよね。
39度3分です。
(ユカイ)17日前に庭仕事ですね。
(玉ちゃん)おぉ〜。
その時に土と…糞尿なのかなというような汚染水にさらされている。
仮に10日前に発症したとするとタイで何らかの病気に感染した可能性についてどう考えればいいのだろうか?その点では皆さんいかがでしょうか?30日前に旅行されて10日前から出てきたとなれば20日後に発症していると。
で20日後に起きえるものというと比較的長いので一つ僕も挙げさせて頂いたマラリア。
潜伏期間のグラフを見てみると発症が10日前だったとしてもマラリアの可能性は残る。
一方潜伏期間が短い他の病気の可能性は低くなった。
でそのタイの関連性というのを考える時ですけどもその場合やはり疫学情報その現地でどんな病気が正確に発生しているのかどうかが大事になってくると思いますがこの患者さんはどちらに旅行されてましたか?タイのプーケットでは公式な機関特にWHO世界保健機関であったりそれから米国の疾病対策センターCDCと申しますがそういったところが公式に発表しているものですと現時点ではリアルタイムで基本的にマラリアは考えなくてもよいといったような状況にはなっています。
マラリア消えた。
消えた。
現在タイでマラリアに感染する危険性があるのは観光地化されていない限定的な地域。
プーケットなどのリゾート地や大都市は予防薬の服用も必要ないとされています。
渡航先がプーケットだった事から山田先生が挙げた…えっ?て事はタイは関係なかったっていう先生方の読みって事ですか?
(ユカイ)この病気だとそうですよね。
レプトスピラ症ってあんまり聞かないんですけどこれは日本ではよくあるんですか?日本でも見られる事が知られてまして…。
国立感染症研究所によると日本で発症したレプトスピラ症の大半は海外ではなく国内が感染源だと報告されています。
(リンゴ)レプトスピラの説明をされる時に「充血」とかそういう症状おっしゃったじゃないですか。
一応見る限りではなかったように見えました。
肝臓が悪くなってるふうでもなかったんですけど。
これから患者さんの身体所見を取りにいく事になりますけれど取ってみたい身体所見。
やっぱり黄だんが出るのは肝臓に障害が出てきてるからなので肝臓に腫大が出ていないかどうか。
あと髄膜炎の症状がないかというので…あっ首ですか?はい。
首が固いかどうかです。
その他はどうでしょうか?首をこう横に…こう何回か振ってもらうと頭が痛いのが更に悪くなるっていう。
頭が痛いのがどんどん悪くなってくっていうのが…。
はあ〜。
いっぱい確認できんねや。
実際はどうだったのかという事で身体診察の様子をみんなで見たいと思います。
診察をしますのでまずは目を見せてください。
はい。
はい。
イテテテテテ…。
それではおなかを診察していきますね。
息を吐いて下さい。
吸って下さい。
続けて下さい。
吸って下さい。
それでは脚を触りますので痛かったら教えて下さい。
どうですか?イテテテ…。
反対側も触ります。
アタタタタタ…。
いかがですか?イテテテッ。
反対側も触りますね。
イテテテテ!あぁ…。
ドクターGは診察の結果から入院を決定。
ある病気を狙って抗生物質の投与を開始した。
(看護師)佐藤さ〜ん。
佐藤さんご気分いかがですか?うん。
(看護師)大丈夫ですか?大丈夫。
そして…
(走る足音)血圧は70台意識レベルは300です。
佐藤さん!分かりますか?分かりますか?え〜!ここで終わるの?
(玉ちゃん)残念な結果になりましたよ。
残念な結果というか「ドクターG」史上初の誤診?これ。
(笑い声)
(リンゴ)そんなパターンあるんですか?いやないですよ。
初めてですよ。
皆さんは今のVTRの情報どう思われますか?血液の中に感染が起こってその感染が血液を巡って全身に広がってしまうと血圧が下がったりだとか意識のレベルが落ちてしまって…。
(山下)そうですね。
さっき聞いたやつですね。
その状態になってるというのが一つ考えられるかなと…。
死ぬって言ってたじゃないですか敗血症。
小鮒先生はいかがでしょうか?もしかすると抗生剤を使ったためのアレルギー反応とかもちょっと時間的には遅いですけどあるのかなと思いました。
この他は山田先生いかがですか?この経過としては僕自身今ので…その理由をじゃあ教えて下さい。
この抗菌薬を使った時にですねスピロヘータという…。
(玉ちゃん)「スピロヘータ」?難しい。
抗菌薬を治療してレプトスピラが死んでいくわけですね。
死んでいってしまったものが急に体の中に流れていくわけです。
死骸が。
必ず起きるわけではないんですがやはりレプトスピラ症を治療するとまあまあの確率で起きるとは知られているのでやはり「あっ起きてしまったかな」という…。
レプトスピラ菌などのスピロヘータ目の細菌の場合抗生物質を投与したあとに特異な反応が起きる事があります。
細菌の死骸が体内を巡って血圧低下や意識障害を来しショック状態に陥る事があります。
しかしこの反応は適切な対応をとれば落ち着きます。
何ていう反応ですか?
(山田)ど忘れしたんですよ〜。
この本のここに書いてあるというのはあるんですけど。
先生が覚えられないって相当ですよ。
ちょっと最初の1文字ヒント。
(リンゴ)そんな合コンみたいな…。
(笑い声)「最初の1文字」とか。
「ヤ」で始まりますけど。
すげえクイズ王みたいですね。
(玉ちゃん)先生今ので合ってるんですか?そうです。
「ヤーリッシュ・ハックスハイマーリアクション」。
これは覚えられねえわ。
フルに言えたらドヤ顔になるな。
もしもこの反応について知らなかった場合例えば小鮒先生だったらどうされますか?まずはその抗菌薬が原因かなって考えてまずその抗菌薬を中止を考えてしまうと思います。
もしこの反応を知らなかった場合はその患者さんの治療を止めてしまう事になるのでこの反応をしっかり知っとく事は重要かなと思いました。
ドクターGは治療のために…佐藤さん分かりますか?ICUには既に連絡を入れてあります。
すぐ運びましょう。
はい。
ICUでの…じゃ今のカンファレンスを踏まえまして皆さんに最終診断を一斉にお願いしたいと思います。
(玉ちゃん)病名ですね。
せ〜の…。
正解です。
(リンゴ)すご〜い。
(拍手)今日の症例は非常に難しかったと思うんですけれども実際の医療現場ではいろいろな決断をしないといけません。
患者さんにとってリスクが少なくなるように医師として迅速な判断が必要になってくる場合があります。
そういった判断の訓練こそが大事ですしそういった判断が実際に独立してできるようになれば患者さんの命を救う事ができるようになると思います。
佐藤さんは2週間後無事に退院。
遺伝子検査でレプトスピラ菌が検出されたのはちょうどそのころの事だった。
いろんな情報がふだんの診療でもあるんですけどこういった形で分かりやすく一旦整理してまとめる事が重要っていうのも改めて感じました。
問診をしっかり取って身体診察を取って診療を進めていく事がやはり一番大事なのかなと思いました。
原因をいろいろな情報から突き詰めていってそこで突き止めた原因を治療できていい結果になったのでほんとによかったなと思います。
先生がね「ヤーリッシュ・ハックスハイマーリアクション」を言った瞬間すごかったですよね。
得点高いですよ。
「ヤマダリアクション」となると思いますよ。
(笑い声)
(玉ちゃん)さあさあゲストの皆さんどうでしたでしょうか?大人の番組だなっていうか。
いやいや…。
玉ちゃんも博士もねいい仕事してるなぁと。
出てても見てても楽しかったです。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
サスペンスドラマの中にいるみたいでしたよね。
二転三転していくからもう絶対タイが原因やと思ってたし。
ドラマの中にいるみたいな展開でしたね。
矢野先生今日はどうもありがとうございました。
研修医の皆さんもお疲れさまでした。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか。
さようなら!どうもお疲れさまでした。
2015/10/22(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「頭が痛い おなかも…」[字][デ]

病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。今回の患者は「頭が痛い、おなかも…」と訴える40代の男性。感染は海外か、日本か?いったい病名は何なのか

詳細情報
番組内容
頭痛、高熱、下痢に悩まされていたにもかかわらず、遊園地に行くという息子との約束を果たそうと無理をした40代の男性。しかし、とうとう倒れてしまう。症状を見ると普通の感染症ではない!患者は東南アジアへの渡航歴がある。潜伏期間から考えると、まさか日本での感染?研修医たちは大混乱。病名を突き止めたと思った途端、患者の病状が…。海外の流行の最新情報にも精通するドクターGが、鮮やかに解決する。
出演者
【出演】水戸協同病院医師…矢野晴美,【ゲスト】ハイヒールリンゴ,ダイアモンド☆ユカイ,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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