(最終回)おみやさん4 2015.10.21


(鳥居勘三郎)
10年前著名な日本画家竹見久志が川に落ちて死亡した
日本画の権威ある「雅賞」受賞式典の夜であった
発見したのは妻の竹見雅子
夫を迎えに来た途中川で死んでいるのを発見した
何事にも動じない老舗旅館の女将の性なのか雅子は死んだ夫を目の前にしても表情を崩さずただそこにたたずんでいた
死亡した竹見画伯は艶やかな日本女性を描くことで知られていたが同時に華やかな女性関係も有名で画伯の死を痴情のもつれが原因の殺人事件かと憶測する人は少なくなかった
当然妻・雅子へも疑惑がかけられた
だがすべての痕跡は春の雨に流され事件は殺人の可能性を残しながらも事故として処理された。
そして…

(パトカーのサイレン)
(兵藤兵吾)おいわかった!この人だ。
この本の作者だ。

(茅野太一)本当だ…。
(大滝鉄也)潮喜三郎…知ってるか?
(高岡俊介)知りません。
(会沢桂子)タイトルは?『となりの魔法使い』知ってました?
(茅野)知らない。
桂子ちゃんそれらしい外傷はあるの?初見ではよくわかりませんね。
(星野康夫)死亡推定時刻は?えー昨夜の午前0時から2時の間だと思われます。
(田口浩司)財布は?
(高岡)あります。
(高岡)中身も残ってます。
ということは酔っ払って足踏み外したか?あるいは怨恨か…ですね。
大滝出版社当たってくれ。
ガイシャの住所がわかるはずだ。
(大滝)わかりました。
(七尾洋子)おはよう!
(鳥居勘三郎)おはよう。
何かすっかりうちの住人みたいね。
ん?うれしそうじゃないニヤニヤしちゃって。
お見合い写真!?キャーお見合いするの?見せて見せて。
男…ってことは?優しそうな人じゃない。
ちょっと待ってよ〜。
いくら何でも私ここまで年齢上げるほどおばさんになってないと思いますけど!洋子じゃなくておたまさんの見合い写真。
おたまさん?へーっお見合いするの。
どれどれ…。
あら〜いいんじゃないの?丈夫そうで頭固そうだし。
口うるさくてもじっと耐えてくれそう。
ピッタリって感じ?
(おたま)何ですって?あっおたまさん。
おはようございます。
今朝は一段とお美しい。
何言ってんです。
私は毎朝美しゅうございます。
失礼しました。
おたまさん。
見合い写真なんだけどさ。
聞こえてました。
でもね坊ちゃま。
人の心配をするよりまずご自分でしょう?そんなこと言わないで見るだけでも見てみない?結構です!その人はねこのアバズレ女に差し上げますよ!差し上げられても…。
残念だなぁ。
ゲーリー・クーパーそっくりなんだけど。
はい?ゲ…ゲーリー・クーパーでございますか?ホント!そっくりそっくり。
坊ちゃまがねそれほどおっしゃるんならちょっと拝見させていただきましょうか。
あらっ!?おみやさんの相手が見つかってからですよね?この性悪女!お互い様で!
(村井信治)ガイシャの氏名は潮喜三郎独身。
職業は童話作家。
ま童話作家といってもな出版社の話では自費出版で1冊出しただけだ。
あとは女に食わしてもらってたらしい。
ま要するにヒモだな。
死因は頭蓋骨陥没。
物を盗られた形跡もないので事故か怨恨の可能性が大きい。
現場付近の目撃者探しと同時に潮の知人関係それから借金があったか調べてくれ。
大滝。
はい。
ガイシャと同棲していた竹見さくらを事情聴取。
(村井)それから昨夜のアリバイを調べてくれ。
竹見さくら?大滝!大滝。
はい。
竹見さくらさんって仕事は?ホステスです。
今時「ブルーハワイ」って名前の場末の店らしいんですけど。
サンキュ。
いってきます。
まさか知ってる人?おみやさんホステスさんにも知り合いいらっしゃるの?いやいや。
同姓同名かもしれないけど以前家出した老舗旅館の若女将が竹見さくら。
老舗旅館の若女将?なのに家出しちゃったの?あもったいなー。
うん。
ホステス…。
おやつだ。
え?おやつだおやつ。
あ…はい!
(犬の吠える声)大滝ちゃん。
(ノック)
(大滝)竹見さん。
竹見さくらさん。
(大滝)竹見さくらさんですか?
(竹見さくら)何?
(大滝)鴨川東署の者です。
(さくら)警察!?
(茅野)一緒に暮らしていた潮さんお亡くなりになりました。
(さくら)潮が…死んだ!?何で?今それを捜査してるんですが…他殺の可能性もあるんです。
他殺!?昨夜は潮さんこちらにいらしたんですか?午前0時から2時頃までの間のことなんです。
出先から帰って…。
12時頃散歩してくるって出掛けたわ。
散歩?そんな時間にですか?ねえ刑事さん。
(大滝)はい。
あの女よ。
あの女?宝月の女将。
宝月ってあの有名な旅館の?そうよ。
あの女が潮を殺したのよ!
(竹見雅子)いいお天気でようございました。
それお土産でございます。
どうぞお一つお持ちくださいませ。
ありがとう。
どうもありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。
ありがとうございました。
お久しぶりです。
わあ!素敵な絵ですね。
ご主人の作品。
ご主人の。
はい。
女将さんのご主人竹見久志さんって有名な日本画家だった。
「だった」?何年になります?ちょうど10年です。
そうだったんですか。
でもすごーい。
画廊みたいですね。
こんぺいとう?お客様がちょっと甘いものを口になさりたい時にご自由に手を伸ばしていただけるようにご用意いたしました。
いいですねそのアイデア。
色もきれいだし。
よろしかったらどうぞ。
はいじゃあいただきます。
おいしい!何かホッとする。
甘いものはホッとしますよね。
ええ。
おみやさんもいただいてみたら?おみやさん?じゃ何色にするかな?また子供みたいなこと言って!じゃ桃色。
鳥居さんて「おみやさん」て呼ばれてらっしゃるんですか?ええ。
あの後刑事課から資料課に配属になりまして古い事件の資料を整理する部署なんです。
古い事件?迷宮入りした事件を「お宮入り」と言うんです。
それでおみやさんと呼ばれてらっしゃるんですか。
でも資料を整理しているうちにその当時には見えなかったものがハッと見えてきて古い事件を解決しちゃったりしてるんです。
ね〜?そうだったんですか。
どうぞこちらへ。
わあ〜!そっくりですね。
うん!お茶をどうぞ。
さどうぞご一服なさってください。
ありがとうございます。
わあ〜おいしそう。
さどうぞ。
待った!ん?お菓子が先。
だって喉が渇いちゃって。
お茶を引き立てるためにお菓子を先にいただくの。
さすがお坊ちゃま!そうなんですか?じゃあいただきまーす。
どうぞ。
女将さん。
お嬢さんのさくらさんと連絡取れてますか?いいえ。
あれからまったく連絡もくれませんし居所もわからなくって…。
そうですか。
さくらに何か?あの実は…昨夜さくらさんと同棲中の恋人が亡くなりました。
亡くなった!?事件か事故かまだはっきりしてません。
あのそれでさくらは今?たぶん事情聴取受けてるでしょう。
失礼いたします。
女将さん刑事さんが。
たぶんうちの刑事です。
(兵藤)おみやさん!
(高岡)どうして?うん…。
女将さん。
あの…雅子でございます。
事件のことは今鳥居さんから伺いましたがさくらのことですか?ええ。
実はですねそのさくらさんが同棲相手の潮さんを殺害したのはあなただと言ってるんですが。
私が!?そうですか…。
そのまま鵜呑みにするつもりはありませんがそう言われる何か心当たりはあるんですか?あの子は私を憎んでおりましたから。
憎んでる?何で母親を憎んでるわけ?さくらさんは竹見画伯の連れ子でね。
連れ子?10年前もいろんな人に聞き込みした結果女将さんとさくらさん折り合いが悪かったっていう噂があった。
じゃあそれで家出したの?竹見画伯の葬儀が終わってすぐ。
ふーん。
父親が死んであの家にいづらくなったんだ。
そういう噂。
ねえおみやさん。
竹見画伯が死んだのってもしかして事件ですか?ここ。
ここが現場。
あそこから竹見画伯転落死した。
雅賞って日本画の権威ある賞があってその賞を受賞した夜2次会抜け出して家に帰る途中ここから転落死した。
こんな浅い川で?落ちた時頭を打った。
で第一発見者が妻の雅子。
さっきの女将さん。
あの女将さんが?じゃあもしかしておみやさんあの女将さんが怪しいと思ってるとか…?竹見画伯ってとにかく女好きでね。
モデルになった女性次から次に口説いたって噂。
んん?ちょっと待って。
っていうことはあの絵の中に竹見画伯の浮気の記録の絵もあるってこと?とも言える。
えーっありえない!女将さん何でそんなこと許してたのかしら?少しぐらいの浮気ならいい絵を描くために黙認してた。
まあ「出来た奥さん」て言うのかな。
そういうの出来た奥さんて言うのかな?僕も女将の堪忍袋の緒が切れていいかげんにしろって突き落としたのかなとも思ったんだけど…。
その宝月の夫婦の話私も知ってますよ。
週刊誌に載ってたの。
「仮面夫婦殺すほどの愛もない」仮面夫婦?あった。
「竹見画伯東白川転落死」あっ…こんぺいとう。
(桂子)こんぺいとう?あーっ素敵な着物!ねえ見ていい着物。
さすが老舗旅館の女将だけあっていい着物ねえ。
そうなの?はい。
こういう着物はねお祝い事の時なんかに着るんですよ〜。
祝い事…。
ご苦労様〜。
捜査どうだった?竹見さくら怪しいですね。
昨夜潮と大ゲンカしてるのを隣の住人が聞いてました。
午前0時頃に聞いたというんで死亡推定時刻と合致するんです。
ケンカの原因は?金のようですね。
ホステスのヒモですから。
竹見さくら今何してる?遺体を確認してもらって家に帰りました。
(犬の吠える声)さくらさん。
お久しぶりです。
お父さんの事故の時捜査担当した鳥居です。
七尾です。
潮さんのことはご愁傷様でした。
お母さん心配してます。
一度連絡してください。
あんな人…声を聞くだけでも腹が立つ!どうしてそんな嫌うんです?当たり前でしょ!お父さんが好き勝手やってるの文句言えない代わりに私に当り散らしてたんだから。
あの女将さんがあなたに当り散らしたんですか?あの頃いた仲居さんたちに聞いてみたら?若女将修行だって言いながらほとんどいじめよ。
いじめ?もういいでしょうそんなこと。
あんな夫婦のこと思い出したくもないわ!ちょっと!どういうことです?あの人もあの人なら父親も父親ってこと。
竹見さんはあなたの実の父親で有名な画家でしょ?関係ないよそんなこと…。
もう思い出したくないから。
仕事があるんで失礼します。
何かあの女将さんからは想像できないような話ばかり…。
もう一度女将さんに会ってみるか。
ん?何かひらめいた?10年前のヤマ。
こんぺいとう。
こんぺいとう?いらっしゃいませ。
ちょっとお待ちくださいませ。
女将さん!あの…。
たびたびすいません。
さくらに何かあったんでしょうか?そうじゃありません。
さっきいただいたこんぺいとうがあんまりおいしかったもんですからどこでお求めになったのかお伺いしようと思いまして。
あれは百万遍の「緑寿庵清水」という京菓子屋さんのです。
そうですか。
ありがとうございました。
あの…。
はい?それだけですか?ええそうです。
あっ!これ蛇の目傘ですよね?はい。
ちょっと差してみていいですか?どうぞ。
じゃあ…撮って。
きれいに撮ってくださいね。
(携帯カメラ)「ハイチーズ」もう1枚。
はい。
おみやさん?女将さん。
はい。
10年前のあの夜2次会のあった店のママから画伯が歩いて戻られるという連絡を受けて迎えに出たんですよね?はい。
春の雨で酔いをさますと言って帰ったというのでそれで迎えに出たんです。
傘持って蛇の目を持って?はい。
女将さんあの時傘1本だけでしたよね?迎えに出たのにどうして傘1本だけだったんですか?忘れちゃったんです。
忘れた?もてなしのプロのあなたが。
それを言われると言葉もございません。
そうですか…。
最初から殺すつもりだったかもしれないってこと?だから蛇の目傘1本だったってこと?逆のような気がする。
逆?ああれかな。
(店主)ああ宝月の女将さんね。
結婚してからこっちずっと来てくれてはります。
何でもね竹見先生が絵描かはる時そばにこんぺいとうがなかったら怒りはるらしいですわ。
買いに来た時どんな様子です?どんなってそらぁ楽しそうに来てはりますえ。
楽しそうに?ええ。
さくらちゃんが小さい時はねいっつも一緒に2人で楽しそうに来てはりました。
さくらさんと一緒に。
さくらさんもねこんぺいとう大好きらしいですわ。
せやからちょいちょいねアトリエの中のこんぺいとうつまみ食いするってそら女将さん楽しそうに話しましたで。
そうですか…。
はい。
ホントきれいな色だなぁ。
坊ちゃま!おたまさん。
今日はね夕方から急に雨が降るっていうもんで傘をお持ちしましたの。
ありがとう。
おたまさん気が利くね。
それでは。
はーい。
素敵…。
(七尾清一郎)ああおみやさん。
こいつまたおみやさんの家に入り浸ってるそうじゃないか。
居心地がいいみたいで。
そうか。
でもたまには…。
あの…こちらの殿方どなた?あ署長ですけど。
署長!?まあ署長になるだけあってご立派ですこと!私坊ちゃまのお世話をさせていただいてるおたまと申します。
おたまさんでございますか。
初めまして私署長の七尾と申します。
洋子がいつもお世話になっております。
洋子…?ああっ!ここでは内緒なんですけどパパなんです。
嘘ーっ!嘘?いえいえ…。
立派なお嬢様をお持ちですこと…。
何かすごい展開になっちゃったね。
恐ろしい!
(桂子)あっお帰んなさーい。
(大滝)お帰りなさい。
ありえない…。
潮喜三郎?はい!すごいすごい…つまんない!ああそうだ大滝君。
捜査のほうはどう?潮は芸術家気取りであちこちから借金していてそれを竹見さくらが少しずつ返していたようですね。
(村井)大滝!茅野!はい。
そんなことろで油売ってないでさっさと聞き込み行け!はい!はぁーい。
さっき帰ってきたばっかりだっていうのに。
借金か…。
ねえおみやさん竹見画伯はどうだったの?舞妓さんと遊んで飲み歩いてて借金なんかなかったの?あった。
あったの!?じゃあそれが殺しの動機って線は?女将の?うん。
遊ぶだけならまだしも借金まで作ってもう許せないって。
で殺しちゃった。
うん!でもその借金は竹見画伯が雅賞を受賞した直後女将さんが全額返済してる。
えっ?じゃその後殺したってしょうがないか。
逆のような気がするんだよね。
逆って?女将さんは竹見画伯を真剣に愛してた。
そんなはずないでしょ。
そんな浮気三昧の旦那なんて。
(桂子)老舗旅館の女将だから世間体があって離婚できなかっただけでしょう?だから連れ子のさくらさんに八つ当たりしてたんでしょ?そうかなぁ。
(小池仁美)けど感動的な話やねえ。
竹見画伯がもらわはった雅賞って宝月の女将さんが歯食いしばって支え続けてきはったからもらえたようなもんやって噂でしたからね。
(福島重夫)ええ。
ご夫婦で勝ち取った賞いうもんですわな。
いやいや…それがそうでもないらしいの。
何で?仮面夫婦だったんだって。
いやそうなん?だって夫が賞を受賞したのにあの女将さんパーティーにも出てないんだから。
そうなんや。
そんな冷たい女には全然見えないんだけどさ。
せやけどそれはそれでまた奥ゆかしいって言えるんちゃいますか?え〜そうかなあ?私だったら思いっきりお化粧して着物も買っちゃってバリバリで行くんだけどな。
着物買っちゃうの?当然!ねえ?うん…。
ふーん。
童話作家の潮喜三郎さんの好物って何?あの人はアーモンドチョコ。
アーモンドを食べると頭の回転が良くなるんだって童話を書く時にはいつも食べてたわ。
そうなんだ。
いくら頭の回転が良くなったって才能がなきゃダメなのにね。
才能なかったの?1冊出した本も前の女が金を出して自費出版したものだもの。
でもね彼は私に夢を語ってくれた。
世界中の子供たちが読む童話をいつか書くんだって。
あの時私は彼を愛したのかな。
ダメでもいいしだらしない男でも…好きだった。
そんなとこお母さんに似てるね。
やめてよ!あんな人と一緒にされちゃたまんないわ。
そうかなあ?僕にはとってもいい人に見えるけど。
女将だから外面がいいだけ。
授賞式の時着物作ったの?ということは出席するつもりだったんだ。
そのつもりだったみたいだったんだけど…。
(竹見久志)おい!何をしてるんや。
授賞式のお着物を。
賞をとったのはこの俺やで。
何でお前が晴れの舞台についてくるんや。
お前は来るな。
(さくら)何言ってるのよお父さん。
招待状には「ご夫婦で」って書いてあるじゃない。
授賞式には飛鳥のママに花を添えてもらう。
ちょっ…お父さん!どうして怒らないの?お母さんが行くべきじゃないの?いいのよ。
何がいいのよ…。
それじゃみんなが言うとおり仮面夫婦じゃない!
(さくら)信じられない…。
あれでもう頑張る気力が全部失せた。
何かあるとふた言目には「あなたは将来宝月の女将になるのよ。
そんなことでどうするの?」っていつも叱られてばっかりいて。
それが父のせいの八つ当たりだとわかっても父のためだし私を育ててくれた母のためだと思って頑張ってきたけど。
あんな仮面夫婦の娘だと思ったら全部嫌になって…。
それで家出したの?僕はご夫婦のこと思い違いしてました。
どうしてご主人の思い出の品であるこんぺいとうが旅館のあちこちに置いてあるのか。
どうして授賞式の時着物を新調したのか。
それに旅館に置いてある母と子の絵。
あのモデル間違いなくあなたです。
あの絵をどうして旅館に飾ってあったのか。
いろんなことを重ね合わせて考えてみるとあなたは画伯を真剣に愛してた。
それに1本の蛇の目の傘…。
あれ忘れたんじゃなくて1本だけしか持っていかなかったんですよね?春の宵葉桜の季節。
2人で1本の傘に入ってあの夜あの道を歩きたかった。
せめてご主人が賞をとった夜だけでも。
違います?そうだとして…それがどうしたっていうんです?成立するんです。
あの当時いくら聞き込んでも成立しなかったあなたの嫉妬が。
あなた本当はご主人の女遊びに嫉妬してた。
そうだとするとあなたはあの夜ご主人を殺害する動機を持つことになる。
違いますか?おみやさん。
ちょっとよろしいでしょうか。
すいません。
潮のバッグの中からこんな物が出てきました。
宝月で女将がお客に配る土産ですよね。
潮が宝月に泊まったってことですよね?聞き込みした結果事件当夜現場近くで潮と女将が会っていたのを目撃していた人間がいたんです。
どうして隠していたんですかね。
どうぞ。
さくらさん。
あなた潮さんの件でお母さんに会いましたよね?着物姿の女性がこの部屋に入っていくのを見たという人がいるんです。
だから言ったでしょう?あの人が潮を殺したのよ。
どうして?別れろとかうるさく言ってたし。
余計なお世話よ。
帰ってよ。
あの男は作家なんかじゃないわ!ねえさくらあの男とは別れなさい。
あの男の目的は旅館なのよ。
さくらあんたは騙されてんのよ。
あんたに何がわかんのよ。
私はあの人の夢が好きなの。
夢を持つあの人を愛してるのよ。
その夢だって女を騙すための嘘よ。
道具なのよ!ねえさくらお願い目をさましてちょうだい!帰って!帰ってよ。
私が言うこと聞かないから潮を殺しちゃったのよ。
でもさくらさんそれは話の辻褄が合わないわ。
どうして?だってお父様のことであなたに八つ当たりしてたような人がどうしてあなたの恋人のことで心配なんかするの?そんなこと…知らないわよ。
わかった!さくらさんあなたの推理合ってるかもしれない。
どういうこと!?女将さんが潮さんを殺したっていうの?その反面大きな勘違いをしてる。
(さくら)勘違い?洋子。
兵さんに大至急連絡して。
宝月に向かうように。
女将さんが心配。
心配って…はい。
さくらさんあなたも行きましょう。
どうしてよ?行きましょう。
兵さん。
おみやさん。
女将は?ついさっきこれをさくらさんに渡してほしいと言って出掛けたんだそうです。
仲居頭によると仲居1人1人に声を掛けていったそうです。
どういうこと?…まさか!茅野さんと大滝さんが捜しにいったんですがまだ連絡がないんです。
さくらさんあの絵はどこで描いたんです?母と子の絵。
こっち。
…これ。
これが女将さんでこれあなた。
あなたまだこんなに幼い。
たぶん出会った当時でしょう。
これどこだか覚えてますか?これはたぶん柊野です。
柊野?父と母が出会った場所です。
兵さんすぐ行って。
女将さん死ぬかもしれない。
はい!でもどうしてこんなところに…。
あなたが描かれてるからです。
私?それにこのこんぺいとうお父さんの大好物かと思ったらもちろんそれもあります。
それとあなたの大好物だった。
私…?あなたがいつかここに帰って来てくれることを願ってあなたの大好物のこんぺいとう旅館のあちこちに置いたんです。
そんな…。
中見て。
あっ!旅館の登記書?誰の名義?竹見さくら…!日付けは?平成5年…。
私が高校を卒業して女将修行を始めた時…。
さくらさんわかった?女将さんあなたいじめてたんじゃない。
1日も早く宝月の立派な女将になってもらいたくて一生懸命だった。
女将さんあなた愛してた。
自分の娘のように。
「いつか女将になるさくらへ女将の心得」あなたのためにこんなにたくさん…。
さくらさん行きましょう。

(雅子)放して!お願い逝かせて!逝かせてください!
(兵藤)やめなさい!お願いです…!放して…放して!女将さん!お母さん!
(雅子)さくら…。
ごめんなさいさくら…。
お母さんあなたの気持ちも考えないで厳しくばかりして…。
お母さんねあんたに立派な女将さんになってもらいたかったの。
だけど…八つ当たりしてたのかもしれないわね。
さくら…つらかったでしょうごめんなさい!これ見たわ。
私が若女将になった時はもう旅館は私の名義に変えてあったのね。
女将の心得も私のためにこんなに書いてくれてたなんて。
ありがとう。
さくら…。
(さくら)うれしかった。
お母さんの気持ち全然わかってなかった。
こんなに思われてたなんてわかってなかった…。
ありがとう…お母さん。
さくら…。
鳥居さん。
申し訳ありませんでした。
主人を殺したのは私です。
あの日おっしゃるとおり私は主人と2人であの道を歩きたかったんです。
権威ある賞をいただいた夜でしたしせめてその時ぐらいはって。
(雅子)でも私の気持ちとは裏腹にあの人は…。
あなた!あなた。
おめでとうございます。
(久志)何やお前何しに来たんや。
ほら濡れますって。
せっかくの気分が台無しや。
どういうことです?私のおかげで主人は賞をとりました。
私が陰で支えているから主人は自由に絵を描けているんです。
いつもそういう顔や。
私はそんなつもりじゃ…。
もうええ!女房というのはただ陰で主人を支えていればええってもんやないねん。
すいません。
でも私はあなたに好きな絵を描き続けてもらうために満足いく絵を描いてもらうためにはどうすればいいかいつも考えて…。
もう冷めてしもうた。
今の俺は金のためにお前と別れへん。
老舗旅館の旦那でいれば働かんでも好きな絵を描いていける。
それに娘の世話もやってもらえるしな。
もうええ!あなた…あなた!?
(雅子)危ないあな…!
(久志)わあーっ!あなたっ!?
(雅子)でも私助けませんでした。
見殺しにしたんです私もう我慢ができなかったんです。
あの人が外で作ってくる借金で先代から受け継いだ旅館はもう火の車だったんです。
私何とかして旅館を守っていかなければいけない。
さくらに旅館を残してあげたいって…。
もう必死だったんです。
さくら…。
ごめんねさくら…。
お母さん…。
潮は宝月に来たんですね?はい。
あの日あの男が突然現れてさくらと結婚して旅館の後継ぎになるって言い出したんです。
(雅子)私ひと目見てこの男はさくらのことを愛してないとわかりました。
それで何日か後に彼を呼び出したんです。
後生ですからあの子と別れてください。
お願いします!
(潮喜三郎)そうはいきませんよ。
あのね私もねあなたのご主人とおんなじように女将になったさくらに支えられて童話を書くんです。
嘘おっしゃい!あなたが童話作家じゃないことぐらいよくわかってるんです。
とにかく俺はさくらと結婚する。
そしてあなたの息子になりますよ。
旅館の後継ぎにね。
(笑い)お待ちなさい!待って!放せ!待ってくださいねえ待って!うるせえんだよ!あっ!
(雅子)キャアッ!
(潮)うっ…!さくら…。
お母さんを許して。
さくらさん。
お母さんどうしてすぐ自首しなかったかわかりますか?お母さん宝月をあなたに引き継がせたかった。
すべてをあなたに託したかった。
今旅館の権利書や女将の心得と一緒にあなた女将の心を受け継いだ。
女将の心…。
確かに。
私にできるかどうかこれを何度も読ませてもらって精いっぱい頑張る!鳥居さん。
いろいろありがとうございました。
長かったでしょう。
(嗚咽)でもわかってくださる方がいて私とってもうれしかったです。
今はわかり合える人があなたの心に戻ってきた。
はい…。
もう新緑の季節が始まってます。
パパいい感じじゃない。
(七尾)でその熟女ってのはいくつぐらいの人?いくつぐらいなんだろ?あの人歳わかんないからなー。
そうか。
今流行りのエイジレスってやつかな?そうそうエイジレス!んっ!いかん。
心臓がバクバクしてるよ。
やだ!まだ死なないでよ?死ねるか!この合コンが終わるまで。
合コン?坊ちゃまねえねえ。
あっちの着物のほうが良かったかしら?いえいえそれでいいですよ。
そうですか?はあ〜ドキドキ。
おたまさん落ち着いて。
こういう時死んだらもったいないからね。
恋のために命を落とすのは惜しくございません!いざ参りましょう!2015/10/21(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]おみやさん4[再][字]

京都鴨川東署。資料課の窓際課長・鳥居勘三郎が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難解事件を鮮やかに解く、渡瀬恒彦主演の好評シリーズ第4弾。

詳細情報
◇番組内容
(最終回)潮喜三郎という童話作家が路地の石段から転落死した。大滝刑事(加勢大周)らが現場に駆けつけるが、事故か事件性があるのか判断がつかない。潮は童話作家といってもまったくの無名で、同棲中のホステス・竹見さくら(今村恵子)に養ってもらっていたらしいとわかる。
◇出演者
渡瀬恒彦 櫻井淳子 加勢大周 七瀬なつみ 谷啓 菅井きん 他
(ゲスト)音無美紀子 今村恵子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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