地球イチバン セレクション「世界一の星空がくれたもの」 2015.10.21


皆さん今夜は少しだけ明かりを暗くしてご覧下さい。
電気を1つ消すと星が10個見えるようになるんだそうです。
(高橋)あっ!来た来た来た来た来た!来た来た来た!ヘイヘイヘイヘイ!僕も結構星が好きで日本でもよく星を見ながら台本読んだりとかするんですけどまたちょっと違う星を見れるんじゃないかなと思ってすごく楽しみにはしてるんですけどね。
俳優高橋光臣さんがやって来たのは世界一の星空が見られる場所。
車の中で見るよりこう風があった方が…。
お〜気持ちいい!日本から飛行機と車で16時間。
アイルランドの南西部にあるアイベラ半島。
大西洋に突き出した断崖におよそ4,000人が暮らすのどかな田舎町だ。
いや何より空が広いとにかく。
これがな〜真っ暗で星見えたらすごいだろうなぁ。
すみません。
一番の繁華街で聞き込み開始。
世界一きれいな星が見れるって聞いて日本から来たんですけど…。
えっ昨日は見れたんですか?
(笑い声)ジャパン。
フロムジャパン。
真裏。
サンキューサンキュー。
しかし時間を追うごとに雲行きが怪しくなっていく。
果たして星は見えるのか?地元の人にベストスポットへと連れていってもらった。
着いたぞ〜。
あ〜!風きっつ〜!う〜見えねえか今日は…。
いや〜でもちょっと待ってみたいな。
今から雲が退くっていう可能性はありますか?
(通訳)今晩は駄目だと思います。
ええ〜…。
どんな感じに見えるんだろう?天の川はどんな感じで見えますか?こう?こうか。
お〜!この土地の天気予報は全く当てにならない。
大西洋から年中吹きつける偏西風が雨雲を運んできてはまた取り去っていくからだ。
不思議。
みんな傘差してない。
雨降ってますよ。
みんな誰も傘差さないんだもん。
エクスキューズミー。
アイルランドの降ったりやんだりする天気にビックリしてるんですけど…。
すごく天候が変わりやすくないですか?インタビューOK?リトルリトル。
何で傘差さないんですか?OKサンキュー!傘差してるのがばからしくなってくるような土地ですよねほんとに。
雨は汚れた空気も洗い流してくれる。
翌日は打って変わっての快晴となった。
僅かな晴れ間に見えるからこそ星空は一層美しいのかもしれない。
今日の天気最高ですよこれ。
ねえ。
これぐらいの雲だったら星も全然見えるしね。
ポリッグさん入りますよ。
星空を見に連れていってくれたポリッグさんを訪ねた。
イエスイエスイエス。
太陽の子どもです。
ハ〜イ!ナイストゥミートユー。
マイネームイズミツオミ・タカハシ。
ミツオミ。
あっこんにちは!ジャパンしゃべれる。
ポリッグさんの本業は庭師。
家族4人で暮らしている。
ホワットユアネーム?
(笑い声)カメラ大好きやな〜。
ポリッグさんはこの地の星空に魅せられ仲間たちと写真を撮りためている。
冬のオリオン座を捉えた一枚。
ここでは星の豊かな表情を映し出す事ができる。
星座も分からないほどに空を埋め尽くす星々。
圧巻だ。
ポリッグさんにはお気に入りのコレクションがある。
雲がかかった星空の写真。
邪魔になるはずの雲もあえて一緒に収める。
雲も空の一部だ。
ポリッグさんは14年前北アイルランドでの紛争を逃れこの地に移り住んだ。
両親は故郷に残したまままだ幼かった娘を守るためやむをえない選択だった。
今両親を思い起こさせてくれるのはこの地で星空を眺めるひととき。
ポリッグさんの夢は庭に小さな天文台を作る事だ。
すごいな〜。
いや〜最高!ラグビーできるラグビー。
すごい。
どれぐらいの大きさの天文台を建てるんですか?今だったらもう最高なのに。
夜10時再び星を見に出かけた。
辺りはまだ明るい。
何か昨日とは全然…同じ時間なのに全然違う空が。
サンキューベリーマッチ!今10時20分。
どれぐらいで日が完全に落ちますか?
(通訳)星が見えてきましたよ〜。
おお!あ〜1個だけ見える!ああ!おおおお!あそこあそこあそこあそこ!今日見えるぞこれ!火星?空が完全に暗くなるまで待つ事に。
分かんねえなぁ。
あとちょっと待ちます。
そして深夜12時過ぎ。
お〜!ちょっとじゃあ…。
すっげえ…すっげえ冷えてるんです。
(通訳)どうぞ上向いて下さい。
おお〜!お〜!すげえ!うわ〜すごい!一面に広がる星の海。
天の川が白くはっきりと浮かび上がる。
すごい!すごい…。
いや何か不思議と星見てると何かこう…哲学的になったりするのかなとか思ったんですけどほんと何かね無になる。
何か難しく考えなくていいんだよとか言われてるような。
空を彩る星の数はおよそ4,000個。
肉眼ではこれ以上の数の星を見る事はできない。
世界一の星空だ。
それにしてもなぜこの地の星空が世界で一番なのだろうか?その秘密はダークスカイグループという星の守り人たちの活動にある。
リーダーは主婦の…メンバーには家具職人バーテンダーなど町の人がボランティアで参加している。
今年1月には彼らの活動が世界的に評価されアイベラ半島の夜空は世界最高のゴールド認定を受けた。
4,000人が暮らす地域でのゴールド認定は世界でここだけ。
数々の厳しい条件をクリアーした。
その一つは見える星の数。
肉眼で見える限界6.8等星以上およそ4,000個の星々が見えなければならない。
その数は平均的な日本の郊外と比較するとおよそ10倍にも上る。
夜空を保護する活動とはどんなものだろう?あっ何かかわいい玄関。
ダークスカイグループを立ち上げたジュリーさんに会いに行った。
お邪魔しま〜す。
何かいろいろ…カエルとか。
あれは見た事ある妖精なんだけどこれ見た事ないなぁ。
これなじみあるけどこれなじみねえな〜。
何だろう?これ。
あっビックリした!ハリネズミ本物が寝てんのかなと思った。
フフフフ!
(ノック)これでいいのかなぁ?
(ノック)あっ来た来た来た。
ハイ!ハ〜イ!ジュリーさんは18年前首都ダブリンから引っ越してきた。
あっそうなんですか。
うわ〜すごいきれい。
この木とかも…。
5人の子どもを育てるジュリーさん。
星空を守ろうと考えたのはある出来事がきっかけだった。
都会にはない美しい星空。
それは夜の明るさの違いがもたらしていた。
トウキョウ。
明かりを1つ消すと星が10個見えるようになるという。
この暗さにこそ価値がある。
しかしそれは都会から来た自分だからこそ分かる事だった。
ジュリーさんは暗さを作り出す事の価値を住民一人一人に説いて回った。
だって一軒一軒回るっていったってすごい…一つ一つが距離あるから。
ハ〜イ!ハイ!マイネームイズミツオミ・タカハシ。
ウエルカム。
こうした地道な活動が世界一の認定へとつながったのだ。
ハ〜イ!その当時ジュリーさんがそういうダークスカイの活動をしているのを見てどういう気持ちでしたか?家の明かりや外灯の交換など暗闇を作り出す取り組みは広がっている。
ダークスカイグループのメンバーは今や130人を超えた。
しかし全ての住民が賛同してくれる訳ではない。
この日訪ねたのは一軒のパブ。
店の明かりを暗くする事を拒んでいた。
パブのオーナーに掛け合う。
ブライディさんは足が悪く1人暮らしだ。
後日表のライトを交換する事になった。
暗闇を守るダークスカイグループには町の電気工事士も参加している。
デニス・オコナーさんはこの日レストランのライト交換にやって来た。
費用はオーナーが持つ。
ライトを光が拡散しにくいLEDに替える。
光が空に漏れず地面だけを照らせるように設置する。
OK!レストランの駐車場のライト3つ全て交換した。
光は下向き空は真っ暗になった。
住民たちの手によって作り出されていく暗闇。
それは思わぬところにも恩恵をもたらしている。
アイベラ半島から16キロの沖合に浮かぶ…世界遺産のこの島では珍しい野生生物を見るツアーが組まれている。
6世紀に先住民ケルト人が建てた修道院跡が残るこの島だが今は誰も住んでいない。
代わりに住み着いたのが渡り鳥たち。
この鳥は周りに光があると方向感覚が狂い巣に戻れずに死んでしまう事もある。
対岸の街明かりが少ないこの場所は鳥たちの理想的な住みかなのだ。
暗闇があるからこそ見られる貴重な野生生物たち。
そのツアーを行っているのもまたダークスカイグループの一員だ。
首都ダブリン出身の…ハイ。
ハ〜イ!妻と息子の3人暮らし。
ここで暗闇の価値に気付いたヴィンセントさん。
明かりが生物に及ぼす影響について研究している。
この鳥は光に集まる習性がありひなが外灯に飛び込んでしまう事もある。
このコウモリは光を嫌うため明るいと餌を捕るなどの活動ができなくなる。
収入は半分以下になったが暗闇は安らぎをもたらしてくれた。
真っ暗!夜の森を一緒に探検。
あっ!おっおっおるおる。
あっいたいたいた。
いや何かねシュッと通る。
あそこら辺シュッと通った。
いつも1人で歩いているんですか?この道を。
暗闇は小さな命の揺りかごを生み出している。
(カエルの鳴き声)アイルランドではこの辺りでしか見る事ができない。
ケリースラッグというナメクジも現れた。
氷河期を越えて生き残ってきた珍種だ。
あっこれ遺跡?2,000年前の人の営みの跡が動物たちの住みかとなっている。
すご〜い!ここら辺はもう遺跡の跡が。
あっここら辺はじゃあ遺跡の中だ。
これ。
ここはヴィンセントさんとっておきの場所。
お〜!ああすげえ!動物たちの気配に包まれながら見上げる星空。
暗闇が作り出す時間の流れに身を委ねる。
ミルキーウェー。
天の川。
アマノガワ?天の川。
5月末ダークスカイグループは新たな一歩を踏み出していた。
メンバーイチオシの場所に本格的な天文台を作ろうというのだ。
あっ今ほんとに作ってるところだ。
あ〜ほんとだほんとだ。
夢が広がりますね。
すごいスケールが大きい話になってきてるなぁ。
(笑い声)ノー!マイケルさんいつもニコニコされてるけどあんまりふだんしゃべらないキャラ?
(笑い声)
(笑い声)写真担当のマイケル・シーハンさん。
ふだんはパブのバーテンダーをしている。
中心メンバーの中で唯一ここで生まれここで育った。
シャイで勤勉。
これまで仕事一筋で生きてきた。
(笑い声)
(笑い声)活動に加わる前は家とパブの往復。
そんな毎日が少しずつ変わり始めている。
マイケルさんが住んでいるのはパブに程近い小高い丘の上。
静かですよね。
何か…何でだろう?すご〜く静か。
だって時計の音が聞こえるってなかなかないですよね。
それぐらい静か。
マイケルさんはここを離れた事は一度もない。
町の移ろいを見つめてきた。
本当に真っ暗…今よりも更に暗かった時の星空を見てるって事ですよね?今再び取り戻しつつある暗闇。
マイケルさんに新たな喜びをもたらしている。
ああ!すごい!ワ〜オ!これいつごろ撮られたんですか?ずっと夜空を見上げて待ってたんですか?そんな時間までお一人で?偶然写った奇跡の流れ星。
運がよければ今日も見えるかもしれない。
一緒に待つ事にした。
雨がやんでるんです。
雨がやんでる。
どれくらい見えるんだろう?ああでもうっすらと雲がかかってんのかなぁ。
あっでもだんだんだんだん…。
これ北斗七星でいいのかな?あ〜流れ星?あっ違う人工衛星か。
人工衛星動いてるのがはっきり見える。
あっ来た来た来た来た!来た来た来た!ヘイヘイヘイヘイ!今今すっごいの流れた!マイケルさん一番のお気に入り。
家の庭から眺める星空。
60代になり改めて見上げるようになった空だ。
(シャッター音)今回この町の人たちを見ていてすばらしい星空に気付けた身近にある大切なものに気付けたっていうのは本当に一つの奇跡だと思うんですよね。
あの…自分たちが日本にいても本当に身近にある大切なものに気付かずに生きていく人だっているだろうし…。
僕も考えましたねここにいる間に。
自分の身近な大切なものって何だろうとか。
6月外灯を替える相談をしたブライディさんの店に新しいライトが届いた。
また少し夜が暗くなった。
2015/10/21(水) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
地球イチバン セレクション「世界一の星空がくれたもの」[字]

肉眼で4000個の星が見えるという世界一の夜空と出会う旅へ。のどかな自然あふれるアイルランド・アイベラ半島を世界一にした一人の母親の物語とは? 旅人・高橋光臣

詳細情報
番組内容
電気ひとつ付けると、星が10個見えなくなるという。今夜は世界一美しい星空と出会う旅へ。アイルランドのアイベラ半島は、夜空の保護活動を評価する国際ダークスカイ協会から、最高級の“ゴールド認定”を受けた地域。肉眼で見える星の数は4000個。宇宙にいるかのような錯覚に陥るほど。地元では当たり前だった宝物の価値に気がついた一人の母親が起こした奇跡の物語とは?【旅人】高橋光臣【ナビゲーター】役所広司
出演者
【ナビゲーター】役所広司,【旅人】高橋光臣

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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