(鼻歌)
(成増清剛)ん?ん?ちょっと寄り道しちゃおうか…な!こんちは!
(マスター)はいいらっしゃい!あっアイスティー!いつものね。
よいしょっと。
(店内の音楽)マスターマスターこの間も見たけど常連さん?ええ。
いつもあんな感じで。
(店内の音楽)はいありがとうございましたー。
(鶴丸りん)ちゃんと送信したの?うん…。
何度も送ってんだけどね…。
ほんとだ。
なんで友ちゃん返信してこないんだろ。
(鶴丸あや)せっかくの海外留学だもの父親の事なんか忘れて羽伸ばしてるんじゃないの?ああ〜いい色!章ちゃんに食べさせたいわこれ。
(りん)ちょっと!え?何?ん?あ…。
ああやあだ冗談よ!友ちゃんがお父さんの事忘れるわけないじゃないの!ねえねえねえいい秋鯖があるの!ねっほら味噌煮にするから食べてってご飯。
ね?ね?鯖の味噌煮なすも…。
お邪魔しました…。
ああ…どうしよう。
すぐ立ち直るって!無理。
ダメージ大きそう。
「LOVEREVOLUTION21」
(一同)イエーイ!焼酎3つと…。
(悲鳴)
(松尾美奈)助けて…!
(店員)どうしました?
(店員)大丈夫ですか?なんだお前…。
(柿沼広明)違う…あっ違う!
(柿沼)俺じゃない!離せよ!違うんだ!俺は…!俺じゃない!
(柿沼)違う…!離せよ!
(店員)お前!コラ!
(柿沼)違うんだ!
(警官)下がってくださーい!お下がりください!容疑者は柿沼広明23歳。
京都洛南大学4回生。
(捜査員)ただ今現場にて身柄確保中。
知らない男に声をかけられてついて行ったの?カラオケボックスに行ったら乱暴されそうになって…。
抵抗する際手の平も切っています。
(救急隊員)神経を損傷している恐れがあるので手術の出来る病院を探しています。
(池内弘二)はいどうぞ。
まだ否認してんのかよ。
(池内)ええ。
それに父親から待ったがかかりまして。
顧問弁護士を署にやるからそれまで取り調べは待ってほしいって。
なんだそれ。
柿沼の親父っていうのがホテル雅チェーンの社長なんですよ。
そんなの関係ねえ。
いいからしょっ引けよ。
ですよねえ!
(松尾保)おい!よくも…!よくも娘を…!おい!やめんか!だーっどけ!被害者の父親のようですね。
おい知ってんのか?連行します!おいこい!柿沼広明さんあなたは9月28日午後5時頃いけす通りを歩いていた松尾美奈さん16歳を高田町のカラオケボックスに誘い暴行しようとした。
しかし抵抗され所持していたサバイバルナイフで美奈さんの左前腕部を刺しさらに必死にナイフを奪おうとした美奈さんの左手の平を傷つけた。
間違いありませんか?さっ最初は…一緒に遊ぶつもりだったんですけど話してるうちになんか変な気持ちになっちゃって…。
そのサバイバルナイフは友人とキャンプに行く予定がありたまたま寺町のアウトドアショップ「アーミージャック」で購入した。
はい。
確認は?
(太田勇一)斉藤。
(斉藤加奈子)はい。
キャンプの予定があった事は友人に確認済みです。
凶器に付着していた被害者被疑者双方の指紋の状況も供述と矛盾はありません。
でもあなた…。
最初は犯行を否定してますよね。
それはどうしてですか?父の顔が浮かんで…。
今まで一度も父に叱られた事がないんです。
けどあんな事やっちゃって父に知られるのが怖くて…。
そんなに怖かったのに弁護士に接見した途端供述を翻し全面自供。
弁護士が父の言葉を伝えてくれたんです。
僕が何をしても絶対僕を見放さないって!だから正直に話そうと思ったんです。
という事で検事早急な処分をお願い致します。
一体何が気に入らないんですか!?証拠は完璧!しかも被疑者は極めて素直に容疑を認めてるんですよ!?気に入らないのは被疑者の父親!警察から事件の知らせを受けてまず弁護士だなんて!息子に会いにも来ないでよ!?第一いい年した息子を一度も叱った事がないなんて!そんなの本当の愛情じゃありませんよ!教育評論家かお前は!教育問題はひとまず置いといてですね…。
柿沼広明の父親に会ってきます。
検事!太田さん…捜査の基本は脚で稼ぐ!それしないから脚短くなっちゃうの!絞め殺してやる…!それ供述調書ですよ。
ああー!!
(太田の叫び声)
(高原純之介)鶴丸あやまた暴走か…。
腕の具合どうだ?入院してしばらくリハビリすればちゃんと動くようになるそうです。
ふ〜ん。
まったくひどい目に遭ったな。
けどなんだって知らない男についてったの?
(ドアが開く音)お父さん京都府警の刑事さん。
あっ成増です。
何度かマンションの方伺ったんですけど…。
あっ入院の支度やらなんやらで…。
あっ親父さんに心配かけたからちゃんと謝んなよ?ごめんなさい…。
二度とあんな事しません。
(松尾)リハビリ明日からだそうだ。
一旦戻ってパジャマの着替えとってくるよ。
パジャマの着替えだって。
あっちょっとごめんね。
松尾さん。
ちょっとお聞きしたい事があるんですけど…。
柿沼広明を連行する際私もあの場にいたんです。
あなたは柿沼につかみかかった。
けど彼の顔を見た途端顔色を変えた。
あんたひょっとして柿沼の事…。
すいません。
急ぎますので。
(柿沼修一郎)あの子が小さい時妻と離婚したものでつい甘やかしてしまいました…。
ですが今度ばかりは…。
犯した過ちは息子自身がちゃんと罪を償うべきです。
本当にそう思ってらっしゃるんですね?
(滝本)弁護士としてもお願いします。
正直に自供してるわけですしもう捜査の必要はないと思いますが。
広明さんはあなたと接見した途端なぜそれまで否定していた犯行を認めたのか。
(滝本)ですから私が説得を…。
本当にそれだけですか?
(滝本)ほかに何を言ったとおっしゃるんですか?失礼致します。
京都府警の成増警部補がいらしてますが…。
1つだけ質問に答えて頂ければすぐ帰りますから。
どうぞ伺いますよ。
息子さん被害者の父親と面識あるんじゃないですかね?松尾保という名前息子さんから聞いた事ありませんか?いいえ一度も。
どういう事?被害者の父親と被疑者が知り合いかもしれないなんて。
それになんで成増さんがここにいるのよ!のどに小骨が引っかかっちまってな…。
管理人さんちょうどよかった。
あとやっといて。
あっ…。
大変だねあんたも。
あっあっあっ!ちょっとちょっと!それ!それダメです。
ダメ!おいちょっとちょっと…。
傘はねビニールと柄を分けないと。
これここ外してこう…。
でねこれは…。
あらっもう全然分別してないじゃない!ペットボトルはフタとラベルは不燃ゴミでしょ…。
あっそうやって…そうやってやんの?ほら缶がほら…そうそうそうそう。
こっちは…。
不燃ゴミ。
ね。
わかったわかったわかった。
(松尾)どうぞ。
ああどうも。
すいません。
いやあ助かりました。
でもまさか検事さんだとは…。
松尾さんは?管理人さんになって何年?あっ4年です。
ああじゃあ分別を極めるのはもう少しね。
その前は何を?鰻料理のお店を。
ああだからこんなに行き届いて…。
あっ!松尾って嵐山の松尾?ええ…。
嘘ー!何知ってんの?そうよ!もう食通だったら絶対一度は行きたいお店なのよ!もうねもうねふわふわの食感が絶品なんですって!私もぜひ一度行きたいって…。
どうしたの?いや確かお店は火事で…。
新聞で見ました。
その火事で奥様が…。
(鈴の音)
(松尾)ありがとうございました。
でも奥様お幸せだったんですよね?だってこんなにいい笑顔で…。
お嬢さんのワンピースですか?こういうのが似合うお嬢…。
あら…。
16歳の誕生日に買ってやったんですが気に入らないらしくて…。
きっと似合うのにな。
この人こんな顔してますけど一人娘の父親なんですよ。
いいんだよ余計な事は…。
あっ。
もう一度伺いますけれども松尾さん柿沼の事は…。
知りません。
いい加減にしてください!
(鐘の音)
(成増清一)心ここにあらずですな。
松尾さん柿沼広明柿沼の父親この3人はお互いを知っている。
そして3人共捜査が続く事を恐れている。
何か隠さなければならない事があるって事か…。
今回の事件は単なる傷害事件じゃないわね。
うん。
それにほっとけない…。
あっ松尾さん親子の事だ。
松尾さん娘の目をまともに見ようとしない…。
亡くなった奥さんの事で娘さんに何かうしろめたい事があるはずだ。
俺もついこの間までそうだった。
女房の死に目に会えなかった事がずっとうしろめたくってさ…。
だからわかる。
それ坊主の勘?ん?いや事件に関係ないけどな。
でも多分…はずれ。
奥さんのあの笑顔。
カメラを向けた人への愛情で溢れてたもの。
カメラの向こうにいたのはきっとご主人。
あの二人いいご夫婦だったはずよ。
これ主婦の勘。
そっちこそはずれだよ。
女っていうのはねカメラを向けられればね本能的ににっこりするもんなんだよ。
どうしてそうへそ曲がりなの?生まれつきだから。
失礼致します。
おう。
若。
ん。
どうした?今すぐ行く。
防犯カメラの映像に柿沼広明と美奈ちゃんの映像が映ってたそうだ。
これは…。
(池内)つまりカラオケに誘ったのは彼女の方からって事です。
どういう事だろ…?まあ家に帰りたくなかったんじゃないですかね?4年前の鰻屋の火事の原因なんだと思います?松尾さんのタバコの火の不始末です。
(池内)過失とはいえ父親のせいで母親が死んだんです。
娘としちゃ許せんでしょ。
誰かれ構わず男と遊び歩いて父親を困らせたかった。
だが今回は相手が悪かった。
つまりこの事件はただの傷害事件っていう事ですよ。
いやそれは違うぞ。
松尾さんと柿沼親子はな…。
調べましたが3人に接点はありませんね。
ちゃんとよく調べろよ!第一な美奈ちゃんはな父親への腹いせで男と遊び歩くような娘じゃねえんだよ!そういう思い込みは成増さんらしくありませんね。
とにかくそういう事で捜査は終了させてもらいます。
池内池内待てよこの野郎!成増さん!大事なのは声をかけたのは美奈ちゃんからだったっていう事実よ。
もしかしたら父親の松尾さんだけじゃなくて彼女も柿沼を知ってたのかもしれない。
じゃあ…夕方また来るな。
もう来ないで。
なんでも自分で出来る。
今度の事が終わったら1人で暮らす。
美奈!もう決めたの。
よいしょ。
よしこれも。
ありがとうございます。
おう。
柿沼に声かけたのは美奈ちゃんの方だろ。
防犯カメラの映像にはっきり映ってた。
ごめんなさい。
ちょっとだけ嘘つきました。
お父さんの顔を見るのが嫌で家に帰りたくなかったんです。
親父さんの事そんなに許せないのか?4年前の火事の事聞いたよ。
おふくろさんがあんな事になって…。
つらいのは親父さんも同じなんだよ。
それでもさ親父さん頑張ってるじゃない。
パジャマまで洗ってさ。
あのワンピースだって…。
親父っていうのはねああいうの着せたいんだよ。
それより教えてください。
柿沼はなぜまだ起訴されないんですか?ちゃんと自供したんですよね?柿沼広明はまだ本当の事は言っていない。
美奈ちゃんもだ。
知らない男について行ったんじゃない。
最初から柿沼広明だとわかっていて声をかけた。
柿沼とは一体どういう関係なんだ?私は被害者です。
早く柿沼を刑務所に入れてください。
あの子が美奈ちゃん?うん。
嫌な予感がする…。
普通ならまだ刺された恐怖でいっぱいのはずなのに柿沼広明を刑務所に入れる事しか考えてない。
そこまで憎むのには何か理由があるはずだ。
よし柿沼広明の事もう一度調べてみる。
いつもそうだと助かるんだけど…。
なんか言ったか?ううん独り言。
独り言が多くなんのはな老化現象の始まりだぞ。
そっちこそ!さてと…。
(ノック)京都地検の鶴丸です。
怒ってるわよね?どうして柿沼広明をすぐに起訴しないのかって。
何かご用ですか?あなたに聞いておきたい事があって。
ご仏壇にあるお母さんの写真撮ったのはお父さんよね?事件には関係ないかもしれないけどでもとっても大切な事なの。
おっしゃりたい事はよくわかります。
なぜ柿沼広明の起訴を引き伸ばしているのか。
一体何が問題なんだね?副部長は奥様にご自分のお気持ちを上手に伝えられる方ですよね。
うんそれはもう…。
「愛してる」「ありがとう」これだけはもう事あるごとに言ってるからね。
そういうお父様だからこそ娘のリンダちゃんともいい関係が築けるんですわ。
おかげさまで。
あのね…。
それと今度の事とどう関係があるんだい?世の中には自分の気持ちを妻に伝えられない夫たちがたくさんいます。
そんな父親を見て娘はどう思うか…。
母親に対する愛情がないと誤解して深く傷つきその揚げ句とんでもない事を引き起こしてしまう事も…。
私が聞いてるのは今回の事件の問題点なんだよ!ですから今のが私の答えです。
(ため息)
(柿野たまこ)あーやさん!あやさん!ああ…なんだみんないたんだ。
(桜井麗子)なんなのよボーっとして。
(吉川香織)はい気付け薬!美味しい!どこのケーキかわかる?わかんない。
どこの?どこの?教えて!
(漆原さやか)そこの角のねコンビニのロールケーキ。
(たまこ)有名店のケーキと区別つかないでしょ?そっか…コンビニのケーキだ!何の話?この間ね知り合いが茶月堂のロールケーキを送ってくれたのよ。
ネットで3か月待ちでも買えない幻のロールケーキ!それでねりんと一緒に食べようと思って待ってたんだけどあの子帰りが遅くて…。
でひと口だけもうひと口だけ…。
(麗子)まさか1人で全部食べちゃったの?もう母性より食欲!まあでもさそれからが大変だったのよ。
フォークとお皿ときれいに洗って箱とかも細かく切り裂いて全部隠してさもう完璧に証拠隠滅!と思ったら…。
おかえり。
お母さんケーキ食べたの?え?これ何よ!
(さやか)絶体絶命や!とっさにねこう言ったの。
やだもう…コンビニの150円のケーキよ。
許して。
うまい!コンビニのケーキやったら許すわな。
でそれが何?そういう事!
(一同)え?鶴丸検事が登庁してきておりません!行き先も聞いてないし携帯も切られてます。
成増刑事に聞いてみろ。
その成増刑事も行方不明だそうです。
今回は暴走馬2頭か。
ははははは…!あの…笑ってる場合じゃ…。
(高原)笑うしかないだろ!ははははは!ははははは…!あのこの辺りに松尾って鰻屋さんがあったのご存じですか?4年前に火事でなくなったそうなんですけど。
ああそれやったらあの小川の向こうで今空き地になってますね。
あっち?成増さん?主婦の勘と坊主の勘が一致したってわけだ。
つまり柿沼広明にとって今回の傷害事件はコンビニのケーキだったのよ。
下手に言い逃れをして捜査が続くと自分が犯したもっと大きな犯罪がバレてしまう。
うん…。
隠さなきゃならないもっと重大な犯罪とは何か?って考えてここに来たんだろ?そう。
成増さんはどうして?美奈ちゃんが柿沼を刑務所に入れるために今度の事件を起こしたとしたら柿沼は前にも相当卑劣な事を美奈ちゃんにしてるはずなんだ。
けど奴には前科はない。
聞き込みをしたけど美奈ちゃんとの接点は出てこなかった。
唯一引っかかるのは…。
4年前の火事。
そう。
(女性)あああの火事な。
最初は放火の疑いがあって若い男の子が事情聴取されたんや。
え?その子な前の日松尾さんに怒鳴られたんや。
いいから拾いなさい!
(男)あんな店燃やしてやる!
(女性)それを美奈ちゃんが見とってな…。
火事が起きたんはその夜や。
その夜?でな美奈ちゃんの話聞いた警察が車の持ち主を突き止めて19歳の浪人生やってわかったんや。
その浪人生の名前わかりますか?そこまでは知りまへん。
警察はその浪人生を逮捕しなかったんですか?火事の起きた時間友達とゲームしてたって言うたらしいわ。
アリバイ成立っていう事や。
とにかく放火やなかった事は確かや。
松尾さんが警察に言うたんやて。
調理場でタバコを吸ってよく消さないままゴミ箱に捨ててしまいました。
申し訳ありませんでした。
(女性)けど松尾さん気の毒なんや。
保険金一銭も入らんかったらしいわ。
土地は借地やし奥さんも店も全部なくしてしもて…。
4年前19歳だったら今は23歳。
恐らくその浪人生は柿沼広明だろう。
柿沼が隠し通したかったのは4年前の放火だったのよ。
あれだけ鰻の味にこだわる料理人の松尾さんが調理場でタバコを吸うなんてありえないわ。
これ主婦の勘!問題はなぜ松尾さんが自分のタバコの不始末だなんて言ったかだな。
そう…。
…あれ?まさか…。
ん?ちょっと…一緒に来てくれ。
何?いいから!いいからこっち!遅いな…早く!このお店で松尾さんがお茶を?そう。
こんちは!あっいらっしゃい。
あのさ例の常連客なんだけどここいつから来るようになったかな?4年前です。
4年。
それでそん時なんか言ってなかった?あの…金が入ったとかなんとか。
ちょっと待って。
どういう事?お金って。
ちょっと待って。
なんでもいいから思い出してくれない?松尾さんにここを居抜きで売ってほしいって言われました。
即金で5000万出すからって。
5000万…。
断ったんですがあきらめきれないみたいで。
やっぱりな…。
あありがとう。
ちょっとちょっと…。
ちょっと座って。
松尾さんは柿沼の父親から金もらったんだよ5000万。
だから自分のタバコの不始末という事にしたんだよ。
でもどうしてそんな事…。
松尾さんはここを改装してまた鰻屋始める気だったんだよ。
ちょっと待ってよ。
このお店居抜きで買い取ったって鰻屋にはなんないでしょ。
鰻屋にするんだったらもっと他にふさわしい場所があるはずよ。
なんでこの店を買おうとしたの?この花…。
あのすいません松尾さんがいつも飲んでたお茶ってハーブティーですよね?ええ。
松尾さん結構詳しくて季節に合ったハーブを注文するんです。
ハーブの花も大好きみたいで。
メドーセージ。
あの花…。
花?松尾さんが開きたかったのは絶対鰻屋じゃないわ!これ主婦の勘!
(鈴の音)美奈ちゃんは間違った方法で柿沼に復讐しようとしている。
あんた柿沼の顔を見た時全てを知ったはずだ。
なのになぜやめさせようとしない?あんた自信がないんでしょ?父親として。
ハッ…俺も同じだった。
ちゃんと親父らしい事やってきたのか?亭主として女房を幸せにしたのかってね。
だからってこのまま黙って見てていいのか?放っといたら美奈ちゃんもっと傷つくんだぞ。
美奈ちゃんを助けられんのは父親のあんたしかいねえんだよ。
俺はねあんたの口座調べたっていいと思ってんだよ。
だけど俺はあんたの口から聞きたい。
5000万…。
この金は4年前柿沼の父親から受け取ったって事か?金はさっき返してきました。
(松尾)澄恵!美奈ー!美奈ちゃんは無事や!美奈!澄恵ー!
(松尾)警察は柿沼を疑い捜査を始めました。
私は頭の中が真っ白で何も考えられなかった。
そんな時…。
息子の事どうか許してください!金で償えない事はわかっています。
しかしせめてもの奥さんへのお詫びなんです。
頼みます!このとおりです!
(松尾の声)断る気力がなかった…。
何もかもなくした私は金を受け取ってしまった…。
でもさそんなんで大事な娘と向き合えんの?美奈ちゃんが知りたいのはあんたの本心なんだよ!親父ならちゃんと向き合ってさ自分の娘にあんたの思いをちゃんと伝えなよ。
(携帯電話)どうだった?こんなにゴムが伸びちゃって…。
これじゃリハビリなんか出来ないわよね。
よいしょ…。
お父さんの嘘が許せなかったのね?だって大事な調理場でタバコなんて吸うはずないものね。
どうしてそんな嘘をついたのかあなた何遍もお父さんに聞いたんでしょ?でもなんにも答えてくれない。
つらかったね。
でももう1人で苦しまなくっていいのよ。
はい出来た!父さんは火事のあと変わってしまったんです。
私何度も聞きました。
何度も…。
柿沼からお金をもらったんじゃないかって。
お父さんは否定しませんでした。
もうどうしていいかわかりませんでした。
そしたらあの日偶然柿沼を見たんです。
はいありがとうございました。
(美奈の声)二度とない巡り合わせだと思いました。
柿沼は私の誘いに簡単に引っかかり…。
ねえ名前聞かせてよ。
松尾美奈。
美奈ちゃん…。
嵐山にあった鰻料理屋の娘よ。
…え?やっぱりあなたが火をつけたのね?うっ!ちょっと…何!?このナイフにはあなたの指紋がついてる。
あなたがいくら違うって言っても今度は警察も信じないわ!やめろ!ほら!うわー!あなた命懸けで…。
お父さんがお金をもらってたなんて警察に言えないから…だから…。
許してくれ。
父さんは柿沼から金をもらった。
火事になる1年前母さんを見たんだよ。
ちょうど今の季節だ。
澄恵何してんだよ?
(松尾澄恵)若い時ねこういうハーブティーのお店を持つのが夢だったの。
ふーん。
ハーブってねとっても優しいのよ。
心もね体も癒やしてくれるの。
これはメドーセージっていってね…。
帰ってご飯にしましょっか。
(松尾)ああ。
(松尾の声)それだけで聞き流してしまった…。
俺は鰻の事しか頭になかった。
(松尾の声)母さんが何を考えてるか何をしたいか考えた事もなかった。
けど母さんの葬式が終わって気がついたんだ。
母さんにもやりたい事はあったんだ。
なのに全部捨てて俺についてきてくれた。
その母さんに俺は何一つしてこなかった…。
それどころか…。
親父さんは柿沼広明より自分の事が許せなかったんだ。
金を受け取ったのはねそのハーブティーの店を買うためだったんだ。
お父さん…お母さんの夢をかなえてあげたかったのよ。
ありがとうって言えなかった代わりに…。
お父さんにはそれしか…出来なかったの。
バカな親父だよな。
男ってほんとバカなんだよ。
けどな親父さんあのお金は返したんだよ。
美奈ちゃんと一緒に闘うために。
だからもう許してやってくれ。
なっ?頼む!お父さん何もわかってない!お母さん火事になる前言ってたんだよ。
ねえお母さんお父さんのどこが好き?え…?うん…。
鰻を焼いてお客さんを喜ばすとこ。
お母さんね誰かを笑顔にする事が夢だったの。
お父さんはその夢をかなえてくれたのよ。
ふふっ…。
お母さんお父さんといるだけで幸せだったんだよ!私だって…そんなお父さんの事大好きだったのに!
(泣き声)美奈…。
4年前の放火容疑であなたは警察に再逮捕されます。
送致されれば担当はこの鶴丸検事だ。
現住建造物放火並びに殺人の罪。
犯行時未成年だったとしても相当の刑罰が科せられます。
美奈ちゃんどうなるの?虚偽告訴罪に当たるとしても起訴はされないわ。
松尾さんも不起訴になると思う。
法律は人を救うためにあるって事だな。
まあ今回ばかりは主婦の勘に脱帽だよ。
でも坊主の勘がなかったら真実には行き当たらなかった。
まあだからおあいこって事ね。
まあそういう事にしとこっか。
あら!美奈ちゃん!まあよく似合うわ。
あの…ご報告があって。
はい。
板前の仕事が見つかりました。
よかった!松尾さんの腕ならまたお店が持てますわ。
親父としてはまだまだですが…。
まあ娘っていうのはさ鰻より厄介だからね。
ひと言余計!ふふふ…。
お二人にはどうお礼を言ったらいいか。
ああいいっていいってそんな事は。
あ美奈ちゃん親父さんの事よろしく頼むね。
はい。
いい親子ねえ。
ああ。
嫌になるぐらいいいね。
(携帯メールの受信音)あ友ちゃんからのメール?ちょ…ちょっとごめんな。
タイミングよすぎる。
もしかしてお母さんが友ちゃんに頼んだの?ついでに文面も考えてあげて章ちゃんに送ってる殺し文句も教えっちゃった!「お父さんお仕事がんばって!!」「刑事のお父さんって素敵だもの」「大好きよ!!チュッ」「チュッ」はないでしょ?お母さんだってバレちゃうよ!友子…。
嘘…。
大成功!うふふ…。
おしゃべりあるき目です
見てくださいこの色鮮やかでかわいいキャラクター
実はぜ〜んぶ和菓子なんです
2015/10/21(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女6[再][字]
女子高校生がナイフで切りつけられた!この事件の裏には、父(川野太郎)と娘が抱える悲しい過去が隠されていることに、同じく娘を持つ成増刑事(寺島進)は気付いて…!?
詳細情報
◇番組内容
名取裕子主演▽“主婦の勘”を武器に難事件に立ち向かう女性検事・鶴丸あやの活躍を描く検察ミステリー第6弾!心に響く深い人間ドラマを京都情緒たっぷりにお届けします!
◇出演者
名取裕子、寺島進、益岡徹、大島蓉子、みやなおこ、山口美也子、小林きな子、小林千晴、脇沢佳奈、福本清三、渡辺いっけい、蟹江敬三
《ゲスト》
川野太郎、岡野真也、少路勇介、正司照枝
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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