東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 #08【ハンカチ必須の名作!】 2015.10.20


(雅也)遅刻やー!・
(鳴沢)中川!こっち。
悪かねぇー。
イラストレーターの中川です。
どうもー。
基本1時間遅刻する人なんで彼だけ2時集合にしたんですが。
(一同の笑い声)
(鳴沢)ではミーティングを始めます。
今回創刊します雑誌「inc」のコンセプトは「次々と生み出される新しい文化をデザインやアートを通じて発見する」ということです。
中川にならこの雑誌のコンセプトにぴったりなイラストが描けると思います。
(一同)おおー。
かわいい。
どうでしょう?
(スタッフ)うんいいんじゃない?
(雅也)生き生きしとるね。
前の雑誌より向いとるんやない?どうだろうね。
まあ楽しむ努力だけはしようと思って。
お母さん元気?まあ相変わらず元気すぎて困るったい。
(雅也)
オカンと僕の東京生活
(栄子)マー君!
のんびりとした穏やかな時間
(栄子)マー君!
(雅也)おはよう。
(栄子)おはようさん。
平和であることしか…
いただきます。
いただきます。
特徴のない風景
どうね?うん。
うまか。
うん。
大体のことがうまく運んでいる気がしていた
(雅也・まなみ)おおー!
(雅也)さすがやねー。
(まなみ)やるねー。
このときまでは…
うっ!ああ…。
(雅也)ただいまー!オカン!オカンどうした!?息ができんと?水飲む?オカン!心配せんでよか。
大丈夫やき。
死ぬかち思うた。
(栄子)うっ…。
うっ…。
オカン!?大丈夫ね!?オカン。
その発作が起きる間隔は次第に短くなっていった
ああ…。
(看護師)中川さん。
(雅也)はい。
(小暮)お呼び立てして申し訳ありません。
(雅也)いえ…。
(小暮)ほかにご家族の方は?えっと…。
いえ僕だけです。
(小暮)そうですか。
じゃあ早速ですが先日行いましたお母さまの精密検査の結果についてなんですがこちらがCTの画像です。
分かりますかね?ここの膨らみが気道をふさぎつつあるために発作の原因となってます。
声帯の付近と食道の一部に至るまでガンの再発が見られます。
再発?
(小暮)ええ。
今までの治療は?
(小暮)残念ながらお母さまのガンには効果がなかったようです。
中川さん。
このままですと命にかかわる病状に発展しかねません。
手術のほかに選択肢はありません。
ただかなりの確率で声を失うことは覚悟してください。
ご家族で話し合っていただけますか?お帰りー。
おでん煮えとうよ。
ご飯にしよう。
ほれ。
大根もよう染みとる。
検査どうやった?ガンなんやろ?一度やっとるからよう分かるんよ。
うん。
ガンらしいわ。
そうなん。
うん。
それでなオカン。
手術しよう。
せなしかたなかろう。
せんよ。
あげな痛い思いはこりごりやき。
腕のいい先生ば紹介してくれるち言うけん。
ほれ。
東京の先生たい。
もう手術して治したらよかろうが。
しゃべれんようになるんやろ?そら…。
そらそうかもしれんけど。
手術はせんよ。
手話を勉強しよう。
俺も一緒に習うけえ。
その…。
つらいんはオカンだけやあらんよ。
世の中にはもっと大変な人もいっぱいおるんよ。
ねえオカンそうやろ?ひと事やち思うてから。
そらひと事や。
ばってんとにかく手術せんといけん。
決まりや。
もうオカンの決めることやないけね。
ねえオカンそうしよ。
ねっ?手術は…。
うん。
せんよ。
(レオ)ああー!
(徳本)腹へったー!
(雅也)もう何で分かってくれんと!?手術するっち言うまでオカンとは口利かんけね!マー君!どこ行くん!?邪魔たい!
(耕平)先輩?
(耕平)おばちゃん。
ああ…。
おでんよう染みとるけんほれ食べんしゃい。
(香苗)もしもし。
あっマー君。
どげんしたと?オカン全然言うこと聞かん。
まるでだだっこや。

(香苗)またそげんこつ言いよるん?そやけおばちゃんからガツンと。

(香苗)すぐ電話しとくけね。
うん。
そしたら…。

(香苗)マー君。
うん?小倉のお義兄さんは知っとるん?いや…。
オトンは別に…。

(香苗)家族の一大事なんやから。
オトンはほかの女の人と住んどるんよオトンはもう家族やないけん。

(香苗)何言いよるん!?何が何でん姉ちゃんば説得せないけんのやろ?義兄さんからもガツンと言うてもらうごと頼み。
分かったね?
(通話の切れる音)せや…。
(ため息)・
(スタッフ)佐々木!
(まなみ)はい!
(スタッフ)4番に電話。
北海道のお母さんから。
(まなみ)はい。
(まなみ)もしもし。
お母さん?見てくれた?えっ?
(男たち)はい。
小倉11レース…。
3番5番8番。
・・
(男)はいもしもし。
はい。
兆さん電話です。
(兆治)おう。

(兆治)誰や?オトン?チビ。
珍しいのう。
どうか?そっちは。
うん。
まあ…。

(兆治)ほうか。
もう小倉なんか景気が悪いでからどうしようもないけえのう。
オトン。
何や?オカンのガンが再発したんよ。
ほうか。

(雅也)それでなオカンが手術…。
(兆治)まあそっちはそっちでよろしく頼むけえ。
オトン!・
(兆治)そしたらのう。
(通話が切れる音)あっ…。
(ため息)まるで役に立たん。
親子の関係とは簡単なものだ
生まれた瞬間からそれは永遠に約束される
だが家族とは息苦しい生活の中で時間をかけ努力を重ねつくり上げていくものだ

5月にある人は言った
「幸せな家族をつくることが本当はどんなことより難しいのだ」と

(まなみ)お母さんが?
(雅也)うん。
(まなみ)それでどうするの?納得できんのは分かっとるんよ。
(徳本)お代わり!はいはい。
(雅也)あれだけおしゃべり好きで歌って笑ってそういう人やけん。
ばってん今度は縛りつけてでん手術ば受けてもらわな。
前の手術んときは…。
駆けつけただけで結局何もできんかった。
俺が何とかせな。
どげんしたと?マー君。
うん?ううん。
何でもない。
もう1回お母さんにちゃんとお願いしてみよう。
(香苗)もう!バカチンが!おばちゃん?どうしても手術受けんつもりね?そうやねぇー。
もし声が出らんごとなってもマー君が一緒に住んどるんやし心配せんでよかよ。
これ以上マー君に迷惑かけたくないんよ。
東京に呼んでもらっただけで十分やき。
手術したらお金もかかるやろ?その後やって…。
なーんかね。
考えると…。
涙が出てくるんよ。
「マー君起きんしゃい」って言えんやろ。
「お帰りなさい」も言えん。
「マー君」ち呼ばれんけん。
優しい子やきねそんなわたしと暮らしとったらあの子ずーっと気ぃ使うっち思うんよ。
何ば言うと?マー君。
いらっしゃい。
オカン。
これおばちゃんがお土産に持ってきて…。
オカン!何で俺がオカンなんかに気ば使うん?家族なんやけ迷惑なわけなかろうが。
オカンに死なれたほうがずっと迷惑たい!
(まなみ)マー君。
ご飯できたよ。
冷めちゃうよ。
あっ?何ね?何?分かんないの?「飯食え」や。
(香苗)これは「風呂入れ」
(香苗)こうしたら「金くれ」やからね。
三人で手話考えたの。
(香苗)朝起きんときはけとばしちゃる言いよるよ。
オカン。
手術しようかね。
花札もしゃべらんでできるしパチンコも黙っててできるけんね。
(香苗)あれはハナから黙ってするもんたい。
そうね!
(香苗)アハハハハ!じゃあ食べようかね。
(香苗)食べよう食べよう。
いただきまーす。
(まなみ・香苗)いただきまーす。
わぁー。
筑前煮。
姉ちゃんの作った筑前煮や。
どうね?
(香苗)やっぱりうまかー!清さんたちは元気しとう?
(香苗)相変わらず「栄子ちゃーん」言うとう。
・「あーあんまり飲んではいけないよ」・「あー帰りの車は気をつけて」・「ひとりの身体じゃないなんて女がほろりとくるような」・「優しい嘘のつける人」はあーお粗末さまでした。
(耕平)おばちゃん最高や!
(徳本)いよっ日本一!
(レオ)アンコール!もう十分やき。
思い残すことはなか!次はマー君が歌います!
(一同の歓声)いやー!いやいやいやいや!
(耕平)はい。
早歌わんね!
(一同)マー君!マー君!マー君マー君マー君…!おおー!しかたなかねえ。
・『夜の銀狐』
(せきばらい)あれ!?この曲オトンがよく歌ってたんよ。
そうなん?DNAなんかねえ?何言うとるん!・「淋しくないかい」・「うわべの恋はこころをかくして」
(雅也・兆治)・「踊っていてもソーロ・グリス・デ・ラ・ノーチェ」・「信じておくれよ…」
(耕平)よいよいよい…。
(徳本)おいおいおいおい。
はいはい乾杯。
はい。
(由子)飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで。
(まなみ)お母さん。
お魚いい感じ。
あっ。
ああもうええよ。
(たい子)栄子さん。
大根も煮えてきましたよ。
どれどれー?はい。
あんた小倉の義兄さんには連絡したと?したばってん全然話にならん。
(徳本)マー君。
親父いたんだ?まあ昔からほとんど会う機会なかったけん。
ばってん昔は一緒に小倉で住んどったやろ。
もう全然覚えとらん。
再発したガンの手術を受けるためにオカンが入院したのは東京タワーのふもとにある総合病院だった
(橋本)首の傷あとをもう一度開いて再発したがん細胞を切除します。
あのー。
声は?うん。
まあ手術をしてみないと分かりませんが部分摘出が可能であれば声帯を極力残すように最善を尽くします。
あの。
どうかよろしくお願いしまーす。
きれいやねえまなみちゃんの写真。
気持ちの明るうなる。
(まなみ)よくなったらいろんなとこ行きましょうね。
楽しみにしとこ。
(まなみ)はい。
毎日ありがとね。
いいえ。
うん。
おいしか。
こんなとこ行ってみたかぁ。
うんここも。

(シャッター音)
(まなみ)もしもし。
お母さん?・
(恵子)うちの旅館の土地とうとう抵当に入ったのえっ?
(恵子)このままじゃ近々手放すことになるかもしれない。
もう一人じゃどうにもならないのよ。
どうしても帰ってこれない?
(徳本)大丈夫かな?おふくろさん。
大丈夫だよ。
(耕平)とにかく今日は先輩ば勇気づけてあげんと。

(ドアをたたく音)早かね。
(徳本)うん。
鍵忘れたのかな。
(レオ)じゃあ僕開けてくる。
どうした?ジャパニーズヤクザ?借金の取り立てやなかと?こんなときにかよ。
(ドアをたたく音)
(徳本)何だよ。
俺が追い払ってやるよ。
うるっせえな。
今それどこじゃねえ…!
(兆治)誰や?お前。
(たたく音)
(兆治)ああー。
(徳本)おい。
誰?
(耕平)先輩のオトンたい。
(徳本)これが!?モノホンじゃねえかよ。
僕帰る。
ねっ?ちょっと。
ちょっちょっちょっと。
えい!
(徳本)あの!お父さん!初めまして。
オトン!?来たと?
(兆治)おう。
しばらくやのう。
もっと強ぅせんかい。
(レオ・耕平・徳本)はい!
(兆治)おい。
火。
(レオ)はい!灰皿。
(徳本)はい!
(兆治)何か食うもんないかのう?
(耕平)はい!
(店員)はい。
焼き鳥お待たせ!
(レオ・徳本・耕平)おおおー!
(耕平)俺ツクネ大好き!
(徳本)俺ネギマ!
(レオ)俺タンとハツ!オトン。
早せな面会時間終わってしまうき。
うーん。
病院はしんきくさいけえのう。
先輩を超えるスーパーマイペースやね。
すげえ親父だな。
ホントにママの旦那?もうよかろう?早行くばい。
(兆治)もう1杯飲むけえ。
おう。
オトン!いつもありがとね。
感謝しとうよ。
ほれ。
どしたん?ありがとうなんて言わないでください。
フフッ。
ずるいんですよわたし。
お母さんのところに逃げ込んでるだけ。
実家の旅館経営がうまくいかなくてつぶれちゃいそうなんです。
ずっとわたしが母から逃げてたからかも。
お母さん今一人でおるん?ひどい娘ですよね。
誰でんそうやけえ。
はあー。
家族となると難しかねえ。
甘えて意地張り合って勝手してから。
ばってん人間弱くなったときはやっぱり家族のことやき顔見ただけでホッとするんよ。
家族なんてそれだけで100点満点。
食べんしゃい。
はあー。
オトン!早来んね!こん先の病院に入院しとると。
東京タワーやのう。
オトンが16で東京に出てきたころはできたばっかりやったけえ。
そりゃあでかいでからどぎもを抜かれたっちゃ。
もうすっかりほかの建物の陰に隠れとう。
そしたら行こうか。
もう1杯飲んでいくけえ。
オトン!早病院行くばい!いつでんよかろうが。
いいかげんにせんね。
いつでんそうや。
他人事たい!オカンのことも俺んことも!何しに来たん!?勝手にせんね。
うーん。
結局朝まで帰らんかったとか。
(恵子)本当に申し訳ありません。
(銀行員)次の期限までにはお願いしますよ。
(恵子)はい。
申し訳ありません。
(恵子)どうかよろしくお願いします。
お母さん。
頑張ってはみたんだけどね。
はあー。
この旅館もうダメかも。
お母さん。
(まなみ)お土産。
(まなみ)お母さんの好きなリンゴ。

(くしゃみ)フフッ。
そんな格好してたら寒いに決まってるじゃない。
東京と違うんだから。
早く入って。
オカン?あっ。
(兆治)そげんいると?オトン。
オトンどれがええ?これを忘れとったよ。
ハハハ。
これ。
(兆治)何ね?何ね?何ね?オトン。
そのときのオカンの顔は忘れもしない。
オカンはガンのくせしてとっても楽しそうだった

(看護師)手術は長時間かかりますので一度ご自宅にお帰りください。
よいしょ。
そしたら行こうか。
オトン。
飯買うてきたばい。
はあー。
もう。
本気で寝らんでよ。
8時には戻らないかんのやからね。
(ため息)
(いびき)うーん。
うん?うわああーっ!遅刻や!遅刻や!うわあー。
あああー。
あーあ。
オトン!早せんね!おう。
オトン!早せんね!
(兆治)はいはい。
分かったよ。
チビ。
あー!あっすいません!
(看護師)はい。
あの。
あの。
橋本先生は?
(看護師)はあ?とっくに帰られましたけど。
えっ?オカン?おう。
ナースステーションで聞いてきたけえ。
それで?成功やち。
声は?まあ大丈夫やち言いよるけえ。
はあー。
オカン。
オカンよかったねえ!オカン!ハハハ。
何ね?あんまり動かすな。
見らんでよかよ。
オカンって。
あっ。
・『蕾』おう。

鏡に映っても同じ形でよかった

なぜか僕たちは今ここにいる
バラバラに暮らした三人がまるで東京タワーに引き寄せられたかのようにここにいた
2015/10/20(火) 14:55〜15:48
関西テレビ1
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 #08[再][字]【ハンカチ必須の名作!】

「時々オトン〜家族の絆」
速水もこみち 香椎由宇 浅田美代子 平岡祐太 泉谷しげる 倍賞美津子ほか

詳細情報
番組内容
 中川雅也(速水もこみち)は、鳴沢一(平岡祐太)が携ることになった新雑誌のイラストを依頼されるなど、仕事は順調。一方、オカンこと栄子(倍賞美津子)の雅也との東京暮らしも、同年代の友人が出来るなど、穏やかな日々を過ごしていた。
 そんなある日、栄子のガンが再発。今回は、声帯まで取らなければいけないという担当医の説明に、栄子は頑として手術を拒否。兆治(泉谷しげる)に説得してもらおうとするが、
番組内容2
まるで頼りにならない。そこで、雅也は藤本香苗(浅田美代子)、佐々木まなみ(香椎由宇)と栄子を説得。何とか、手術を承諾させる。
 だが、まなみには悩みが…。実家の母、恵子(朝加真由美)から旅館を手放すことになるかもしれないと連絡があったのだ。まなみは、そんな悩みを雅也や栄子に話せずにいる。
 一方、栄子が手術のために入院すると、さすがの兆治も上京してくるのだが…。
出演者
速水もこみち 
香椎由宇 
平岡祐太 
柄本佑 
チェン・ボーリン 
高岡蒼甫 
朝加真由美 
佐々木すみ江 
浅田美代子 
泉谷しげる 
倍賞美津子 ほか
原作・脚本
【原作】
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー(扶桑社刊)
【脚本】
大島里美
監督・演出
【プロデュース】
中野利幸
【演出】
久保田哲史
音楽
河野伸 
澤野弘之
【主題歌】
『蕾』コブクロ(ワーナーミュージック・ジャパン)

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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