地球ドラマチック選「オーロラの神秘〜人々を魅了する輝き〜」 2015.10.20


夜空に揺らめく魔法の光オーロラ。
人々は大昔からオーロラに魅了され畏敬の念を抱いてきました。
オーロラとは一体どのような自然現象なのでしょうか?大昔から語り継がれる神話や伝説。
最新の科学技術による分析。
大自然が生み出すスペクタクルオーロラの神秘に迫ります。
オーロラは主に北極や南極の周辺で見る事ができます。
今ではオーロラは太陽の活動によって発生する事が分かっています。
かつて人々はオーロラに想像力を刺激されさまざまな神話や伝説を創り上げてきました。
北極圏にある世界最大の島グリーンランド。
グリーンランドの東海岸にある村ティニテキラです。
9月。
短い夏が終わろうとしています。
気温は低く海には氷山が浮かんでいます。
(太鼓と歌声)この地に住むイヌイットの人々には太鼓のリズムに合わせて踊る舞踊が大昔から伝わっています。
(太鼓と歌声)イヌイットの神話にも太鼓が登場します。
太鼓はこの世とあの世をつなぐ役割を果たしオーロラは霊的な存在として描かれています。
「ある夜のこと一人の男が太鼓をたたき始めました。
夢中でたたき続けるうちに男の魂は体を抜け出し辺りをさまよい始めました」。
「男の魂が外に出ていくと空でオーロラが不思議な動きをしていました」。
「人の形をした光がボールのようなものを蹴り合っています。
やがてボールが地面に落ちてきました。
それはセイウチの頭蓋骨でした」。
「人の形をした光が叫びました。
『それを蹴り返してくれ!』」。
「男が蹴り返すと男の魂も一緒に空へ飛び上がってしまいました」。
「男が見たものは遊びに興じる祖先たちの霊でした」。
イヌイットの子供たちもボール遊びが大好きでサッカーは人気のスポーツです。
ティニテキラの人口はおよそ130人。
近年村を出て行く人が増えました。
小さな村で生計を立てるのは難しいからです。
この建物は学校と教会を兼ねています。
グリーンランドに住む人々の多くはキリスト教徒です。
84歳のボアズ・ヨナハンセンは村の最年長者です。
かつてオーロラに命を助けられた経験があります。
タシーラクという村からこのティニテキラまで歩いて帰った事があります。
距離はおよそ40キロ。
日が短い季節で途中には山もありました。
やがて辺りは真っ暗になり道が分からなくなりました。
するとその時オーロラが輝き始めたんです。
オーロラが明るく輝けば輝くほど自分たちのいる位置を知る事ができました。
山の輪郭が見え辺りの風景も確認できました。
オーロラのおかげで無事に帰り着く事ができたんです。
心から感謝しています。
海が凍る前までイヌイットの人々は猟に出ます。
ゲルト・イグナチウッセンが探しているのはアザラシです。
(銃声)村では長い冬に備えてアザラシの肉を干した保存食を作ります。
アザラシの肉は寒い季節の貴重なエネルギー源でありごちそうです。
グリーンランドの昼は日ごとに短くなっていきます。
オーロラが長い時間見られる季節の始まりです。
ある夜ゲルト・イグナチウッセンが外に出かけました。
彼は子供の頃からオーロラを見続けてきたため大人になるとほとんど気にも留めなくなっていました。
しかし最近再びオーロラに興味を持ち始めました。
カメラを手に入れたからです。
撮影の時にはイヌイットならではの技も使います。
(手笛)この音でオーロラを呼び寄せているんです。
音につられてオーロラが近づいてくるように思えます。
写真を撮り始めてからオーロラの魅力に改めて気づくようになりました。
イヌイットの人々はオーロラの音を聞く事ができると言います。
しかし取材班は誰もその音を聞く事ができませんでした。
数時間後オーロラは消えていきました。
グリーンランドから北極海を挟んだ東にはノルウェーがあります。
北部の町トロムソはオーロラ研究の中心地の一つです。
トロムソ博物館には小さなオーロラを人工的に発生させる装置があります。
テレラと呼ばれる装置は内部に磁石を備えた金属の球体で地球の磁場を再現する事ができます。
こうした装置を最初に開発したのはノルウェー人のクリスチャン・ビルケランドです。
ビルケランドはオーロラ研究の先駆者として知られる人物でテレラの前身となる装置を使ってオーロラを人工的に発生させました。
ペルー出身のセザール・ラオスはトロムソ大学でオーロラの研究をしています。
真空のケースの中にテレラを入れてスイッチを押すとオーロラが発生します。
オーロラが現れるのは地球で言えば北極と南極の周辺ですがそれぞれのオーロラには微妙な違いがあります。
北極のオーロラも南極のオーロラもエネルギー源は同じものです。
例えばエネルギー源が変化した場合それに合わせて北極と南極のオーロラにも変化が生じます。
大まかに見ればどちらのオーロラもほぼ同じものです。
しかし北極と南極とでは地理的な条件によって微妙な違いが生じます。
オーロラの源となっているのは太陽風。
太陽から絶え間なく放出される電気を帯びた粒子です。
太陽風が地球の磁場にぶつかると太陽に向いた部分の磁場は圧縮され逆に反対側の磁場は引き伸ばされます。
太陽風の一部は北極と南極そして引き伸ばされた磁場の隙間を通って地球の大気圏に侵入してきます。
そこで大気を構成する原子とぶつかって光を放ちます。
酸素原子とぶつかると高度200キロメートル以上では赤い光をそれより低い場所では緑の光を出します。
光の色はぶつかる原子や高さなどの条件によってさまざまに変化します。
地球の磁場の形状はしばしば変化します。
その際北極や南極の周辺に太陽風の粒子が侵入しオーロラが発生します。
こうしてリング状に発生するオーロラをオーロラオーバルと呼びます。
(波の音)トロムソの北東60キロメートルの所にあるアルン島です。
夏の間は数千頭のトナカイが放牧されています。
この群れを管理しているのはメイトリル・シリと夫のニルス・ヨハンです。
2人はサーミと呼ばれるスカンジナビア半島北部の先住民族です。
サーミの人々は何百年にもわたってトナカイを飼い続けてきました。
現代的なものを取り入れながらも伝統的な文化を大切にしています。
彼らにとってオーロラは特別な存在です。
オーロラは天のサインのようなものです。
オーロラが現れると天気が悪くなるからです。
サーミの間ではささやく光とも呼ばれています。
音が聞こえるからです。
でもそれ以上に天気が悪くなる前兆としてオーロラは重要な意味を持っています。
イヌイットもサーミもオーロラの音が聞こえると言います。
オーロラの音は本当に存在するのでしょうか?メイトリル・シリは学校の先生でサーミの伝統的な歌の歌い手として知られています。
(歌声)昔から伝わるオーロラと2人の兄弟の物語があります。
「あるところにトナカイの世話をして暮らす2人の兄弟がいました」。
「太陽が昇るとイタズラ好きな弟はふざけて太陽をからかい始めました。
兄がやめるように言っても聞き入れません。
すると太陽が姿を消し激しい嵐が起こりました」。
(雷)「怖くなった兄弟はテントに逃げ込みましたがその後何日も嵐はやみませんでした」。
「ようやく嵐が静まり月が顔を出すと弟は月をからかい始めました。
すると空から氷の塊が次々と降ってきました」。
「兄弟はまたもやテントに籠もるしかありませんでした」。
「ようやく満天の星空になりました。
すると弟は外に出ていき今度はオーロラをからかい始めました」。
「これには天も容赦しませんでした」。
「異変に気づいた兄が弟を捜しにやってきました」。
「しかしそこにはわずかな灰が残されているだけでした。
天を敬わなかった弟はオーロラに焼き尽くされてしまったのです」。
人々はオーロラに美しさだけでなく恐怖や畏敬の念を抱いてきました。
中央ヨーロッパでもまれにオーロラが見られますが赤い光を放つ事が多いため恐ろしいものと受け止められていました。
16世紀の絵画はオーロラで空が赤くなる様子をロウソクと炎で描き不吉なものとして表現しています。
人々はオーロラを戦争や疫病飢きんなどの前兆だとみなしました。
実際に飢きんに見舞われた事もあります。
オーロラは太陽風によって起きるため時には太陽活動の異変を知らせるサインにもなるのです。
オーストリアにあるカンツェルホーヘ太陽観測所です。
研究者が毎日太陽の活動を観測しています。
観測結果は全て記録保管されます。
基本的にはコンピューター制御のカメラで記録します。
しかし重要なデータであるため研究者自身が望遠鏡で観測した結果も併せて書き留めます。
注目しているのは太陽の黒点です。
黒点は太陽表面の温度が低い部分で11年周期で変動します。
太陽の活動が活発な時ほど黒点が多くなり活動が穏やかな時期には全く見られない事もあります。
観測所の記録保管庫には80年にわたる記録が保管され記録写真はデジタル化されています。
最新の観測結果はベルギーにある国際的なデータセンターに送られます。
太陽表面の温度はおよそ6,000度ですが黒点は5,000度です。
黒点は太陽の磁場が変動する事で発生します。
3210。
2010年2月。
NASAアメリカ航空宇宙局はSDOと呼ばれる人工衛星を打ち上げました。
太陽を詳しく観察するためです。
SDOは4つのカメラを搭載し太陽をそれぞれ異なる色で記録します。
色の違いは温度の違いを表すため研究者は太陽の活動を視覚的に捉える事ができます。
一つの例が2011年7月7日に起きたフレア太陽面爆発です。
一番左の映像ではほとんど確認できませんがあとの3つにはフレアの様子が克明に記録されています。
フレアは地球と同じくらいの大きさがあるものも多く計り知れないエネルギーを秘めています。
このような激しい活動が太陽風を起こし太陽系全体に影響を及ぼします。
太陽風と地球の磁場が接する領域で起きるオーロラを含むさまざまな現象は宇宙天気と呼ばれています。
ベルギー王立天文台に勤めるイーヴァ・ロブレヒトは宇宙天気の専門家です。
さまざまなデータを基に宇宙天気を予測し大きな影響を受ける衛星通信事業者や電力会社などに情報を提供しています。
2011年2月14日。
太陽で大規模なフレアが発生し黒点の新たな活動周期が始まりました。
私たちは太陽の表面を観察し磁場の変化も測定しています。
今太陽の表面にこのような活動が見られますが数日前まではなかったものなので驚きました。
こちらは磁場の測定結果です。
白いのがプラス黒いのがマイナスの磁場です。
映像を動かすと4日間で活動領域が急速に発達し複雑化していく様子が分かります。
現在この活動領域は白いプラスの磁場と黒いマイナスの磁場が混ざり合ったとても複雑なものになっています。
このような複雑な磁場ほど強力なフレアを起こす事ができるんです。
近年太陽の活動は活発になっています。
2011年2月以降もいくつかのフレアが観測されています。
フレアの影響によって起きた現象を国際宇宙ステーションのカメラが捉えました。
地上400キロメートルの高さから見たオーロラです。
NASAや欧州宇宙機関などは衛星を打ち上げて太陽風と地球磁場との関係を観測しています。
目的は宇宙天気予報をより正確なものにする事です。
オーロラは宇宙天気が目に見える形で現れた現象です。
ドイツにある欧州宇宙運用センターは人工衛星の観測データを収集しています。
センターの研究者はこれまでに何度も太陽風に苦しめられてきました。
激しい太陽風は人工衛星に影響を及ぼすからです。
先日は金星の周りを回る探査衛星が巨大なフレアの影響で20時間も制御不能になりました。
その状態があと十数時間続いたら取り返しのつかない事になっていたでしょう。
衛星と地球の交信は途絶え太陽電池も作動しなくなり私たちは大切な探査衛星を失う事になったと思います。
同じような事故は過去に何度も起きています。
精密な電子部品が太陽風の直撃を受けると最悪の場合人工衛星は宇宙のゴミと化してしまいます。
現代の社会は電気エネルギーによって成り立っています。
電子機器や送電のシステムが突然まひすれば影響は計り知れません。
そうしたシステムに影響を及ぼす太陽風は大きな脅威となっています。
フレアが原因で起きる強力な磁気嵐によって送電システムがまひする危険性が指摘されています。
1989年3月に発生した磁気嵐では大きな被害が出ました。
カナダのケベック州では送電システムがまひ。
大規模な停電が発生し600万人の生活に影響が出ました。
宇宙天気予報は事前に正しい警報を出せる事はもちろん誤った警報を出さない事も極めて重要です。
もし誤った警報を出せば経済的に大きな損失を与えるからです。
ですから宇宙天気予報は速さだけでなく正確さも大切です。
高い信頼性を確保し本当に必要な時だけ警報を発しなくてはなりません。
欧州宇宙機関とNASAは宇宙天気警報システムを地球規模で作り上げようとしています。
そのため南半球の人口が少ない地域でも研究を進めています。
南極大陸を除けばニュージーランドは南半球でオーロラを観測できる数少ない場所の一つです。
ニュージーランド南部の町インヴァーカーギルは地磁気の変動を観測するのに適しているため近郊に研究施設が造られています。
7月半ば。
南半球は冬です。
牧草地にあるアンウィンレーダー基地です。
(羊の鳴き声)アンウィンレーダー基地は宇宙天気などを観測する国際共同プロジェクトで重要な役割を担っています。
このプロジェクトで観測している現象の一つは極地の上空100キロの所で発生する円形の電流です。
地球の磁場が大きく変動すると電流は巨大なものになりオーロラが現れる範囲は赤道方向に広がります。
インヴァーカーギルに住む医師スティーヴン・フォスは宇宙と地球をめぐるさまざまな現象に魅せられ自宅の庭に小さな天文台を作りました。
アマチュアの天文学者であるフォスはこの天文台で銀河や星雲を観測し写真に収めています。
彼が最も興味を持っているのはオーロラです。
インターネットでさまざまなデータを集めオーロラを見られそうな時にはカメラを持って車を走らせます。
何年もかけてフォスはオーロラを撮影するのに適した場所を見つけました。
ニュージーランドでオーロラが見られる機会はそれほど多くありませんがフォスはすばらしい写真をたくさん撮ってきました。
スティーヴン・フォスはオーロラに強くひかれています。
オーロラはとても神秘的な現象です。
科学を学び太陽風のデータを集めいつオーロラが現れるのかを予測しますが必ずしもその予測が当たるとは限りません。
だからこそオーロラに魅力を感じるんです。
北半球のオーロラは人口が多い地域に現れるため多くの人が目にします。
一方南半球は陸地が少なく南極大陸にはほとんど人がいないためオーロラを見る人の数はずっと少なくなります。
しかし南半球でもオーロラは先住民の文化に根づいています。
ディーン・ワンガはニュージーランドの先住民マオリ族の一人です。
(祈りの言葉)マオリの人々は聖なる丘で母なる自然に祈りの言葉を捧げます。
(祈りの言葉)マオリにもオーロラにまつわる伝説があります。
その一つがオーロラを求めてカヌーで南極に渡ったタマラレティの物語です。
タマラレティの冒険を今に伝えるのが聖なる丘のふもとに並ぶ木彫りの彫刻です。
言い伝えによれば南極大陸にたどり着いたタマラレティと仲間たちは何日かを過ごしオーロラを目にしました。
しかし帰り道故郷の海岸まであと少しの所でカヌーが沈没しタマラレティたちは溺れ死んでしまいました。
仲間のうち2人だけが生き残り物語を人々に伝えました。
マオリの人々とオーロラとのつながりはこれだけではありません。
北部に住むマオリ族が「タフ・ヌイ・ア・ランギ」空の炎と呼ぶ伝説があります。
マオリ族が初めてニュージーランドにやって来た時の伝説です。
私たちの祖先はカヌーに乗ってやって来て北の島と南の島にそれぞれ住み着きました。
そして一部の者はさらに南へと進みました。
「ある日勇敢な男たちが南の海に向けてカヌーをこぎ出しました」。
「あとに残った家族や友人は男たちの無事を祈り海のかなたに消えてゆくカヌーをいつまでも見送り続けました」。
「はるか沖合で一行は突然嵐に襲われました」。
「風は荒れ狂い高波が小さなカヌーを翻弄しました」。
「水平線のかなたにようやく陸地が見えてきました。
男たちは最後の力を振り絞って海岸にたどり着きます」。
「疲れ切った男たちは暖を取るため火をおこしました」。
「すると炎の明かりが夜空に反射し遠く離れたふるさとまで届きました」。
「ふるさとの家族や友人はその明かりを見て男たちが無事新天地にたどり着いた事を知ったのです」。
太平洋のはるかかなたにある北アメリカにもオーロラにまつわる物語が語り継がれています。
カナダの西海岸沖に浮かぶ群島ハイダグアイ。
かつてクイーンシャーロット諸島と呼ばれた群島は先住民ハイダ族の言葉を基にハイダグアイに改名されました。
(太鼓と歌声)グージョウはハイダ族の長老です。
グージョウという名前は太鼓を意味します。
ハイダ族は自分たちの文化や伝統を大切にしてきました。
精霊など超自然的な存在はさまざまな形で私たちの前に姿を現します。
海虹そしてオーロラもそうです。
私たちにとってそのような超自然的な存在との交流は毎日の生活に欠かせないものです。
同じ土地に生きるさまざまな生き物の中にも精霊が宿っています。
手つかずの自然が広がるハイダグアイで人々は伝統的な生活を送っています。
ハイダ族にもオーロラにまつわる言い伝えがあります。
「長老はこう語った。
『空は我々が住むテントと同じ形をしている。
獣の皮でできたテントがそのまま大きくなったようなものだ。
空がどんな獣の皮でできているかを知る者は今はいない』」。
「『毎晩その皮はゆっくりと大地に降りてきて辺りを暗くする。
星は皮に開いた穴から日の光が漏れて輝いているのだ』」。
「『皮に火がついて燃え上がる事がある。
それがオーロラだ』」。
ハイダグアイからカナダ沿岸を北上するとアラスカです。
フェアバンクスとその周辺には世界的なオーロラの研究所がいくつもあります。
フェアバンクスから車で30分の所にあるポーカーフラット観測所もその一つです。
アラスカ大学の研究員ドナルド・ハンプトンはこの観測所で光学機器を使ってオーロラを観測しています。
初雪が降り気温は氷点下10度まで下がっています。
ハンプトンは目的に合わせて光学機器やカメラの調整を行います。
レーダーや人工衛星から得られるデータに光学的な観測結果を加える事でオーロラの全体像を見る事ができます。
魚眼レンズを取り付けるとこのカメラ1台で地平線の端から端までを写す事ができます。
他にも複数のカメラを使って広い範囲を撮影しいつどこでオーロラが発生しているのかを把握できればオーロラの活動の様子や太陽からどの程度のエネルギーを受けているのかが分かります。
こちらは狭角レンズと呼ばれるものでオーロラをより細かく観察する事ができます。
これを使うと形状の変化などがよく分かりオーロラが生まれる秘密に迫る事ができます。
研究者たちはオーロラのメカニズムをさらに詳しく理解するため日夜研究を続けています。
オーロラにまつわる謎の一つは北極地方に暮らす多くの人々が「オーロラから音が聞こえる」と主張している事です。
アラスカ大学の研究者たちは長年この謎に取り組んできました。
物理学者のチャールズ・ウィルソンはオーロラが超低周波の音を出す事を発見しました。
しかしその音は極めて低いため人間には聞こえないはずです。
超低周波の音が生じる原因は電流を帯びたオーロラが速い速度で動く時の衝撃波だと考えられています。
これは超低周波を2,000倍に増幅して人間の耳に聞こえるようにしたものです。
(オーロラの音)では「オーロラの音が聞こえる」という人々の主張はどういう事なのでしょうか?輝きながら動くオーロラにはいかにも音が聞こえてきそうなイメージがあります。
実は私も1958年に南極で体験しました。
こんな音が聞こえた気がしたんです。
シー。
他にも同じような音を聞いた人がいます。
原因として考えられるのは脳の神経回路の混線です。
視覚と聴覚の神経はすぐ近くにありますから目で受けた刺激が耳にも影響を与える可能性があります。
それで実際には聞こえない音が聞こえる気がするんです。
サーミやイヌイットの人々がウィルソンの説に納得するかどうかは分かりません。
彼らの耳にはこれからもオーロラの発する音が聞こえ続ける事でしょう。
オーロラは大昔から極寒の地に暮らす人々の生活に深く関わってきました。
天空の神秘オーロラに対する畏敬の念が多くの物語を紡ぎ出してきたのです。
宇宙には地球以外にもオーロラが発生する惑星があります。
土星もその一つです。
他の惑星のオーロラも宇宙の闇に美しい輝きを放っているかもしれません。
しかし先人たちのロマンに思いをはせながら地球で見るオーロラの魅力に勝るものはないでしょう。
2015/10/20(火) 14:05〜14:50
NHK総合1・神戸
地球ドラマチック選「オーロラの神秘〜人々を魅了する輝き〜」[二][字]

大自然が生み出す輝き、オーロラ。大昔から人々を魅了し続け、北の大地にはさまざまな神話や伝説が語り継がれている。物語と最新の科学技術をもとにオーロラの魅力に迫る。

詳細情報
番組内容
北極や南極で見ることができるオーロラ。大昔から人々はオーロラに畏敬の念を抱いてきた。グリーンランドには先祖の霊であるという言い伝えがあり、ノルウェーにはオーロラに敬意を払わなかった子どもが罰を受けたという物語がある。世界各地のさまざまな物語を通してオーロラの魅力を伝える。また、最新の研究で明らかになったオーロラ発生のメカニズムも紹介する。美しく輝くオーロラの映像が満載!(2012年オーストリア)
出演者
【語り】渡辺徹

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz

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