ソウルをはじめとする韓国の首都圏で19日、粒子状物質「PM10」の濃度が急上昇した。韓国では例年、10月末や11月から濃度が高くなるが、今年はこれより10-20日ほど早くPM10が襲来したことになる。
ソウルではこの日、江南の高層ビルから漢江北側の南山がよく見えないほど、1日中かすみがかっていた。京畿道の一部地域ではPM10の濃度が一時、1立方メートル当たり189マイクログラム(マイクロは100万分の1)まで急上昇し、仁川市南洞区(153マイクログラム)などでも高濃度が観測された。健康に深刻な悪影響を与える高濃度のPM10は今週ずっと続くとみられ、環境部(省に相当)は高齢者や体の弱い人はできるだけ外出を控えるよう呼び掛けている。
■例年より早く濃度が上昇
この日、PM10の1日平均濃度(午後9時基準)は京畿道が107マイクログラム、仁川市が113マイクログラム、ソウル市が95マイクログラムだった。先月平均(25-37マイクログラム)や昨年10月平均(32-40マイクログラム)に比べ、2-4倍ほど高い。環境部国立環境科学院によると、ソウル市、京畿道、仁川市の19日のPM10濃度は今秋で最も高く、こうした高濃度のPM10は23日ごろまで続く見通しだという。
この日は首都圏をはじめとする中部地方の各地でPM10や微小粒子状物質「PM2.5」の注意報が発令された。注意報が出ているときは、体の弱い人はもちろん健康な人も屋外での長時間の活動を控える方が望ましい。PM10は粒子の大きさが髪の毛の太さの7分の1ほど、PM2.5は30分の1ほどと小さいため、これに含まれる鉛・水銀などの重金属やさまざまな有害物質が呼吸器や肺に入り込む恐れがあり、健康管理に格別の注意を払う必要がある。
■原因は東寄りの風と干ばつ
例年より2週間ほど早くPM10の濃度が高くなったのは、いくつかの気象条件が重なったためだ。
一つは中国から飛来したPM10が西海(黄海)上や首都圏エリアに長くとどまっていることだ。例年、徐々に寒くなる10-11月から中国で化石燃料の暖房が使われるようになり、PM10濃度が急上昇する。中国からのPM10は偏西風に乗って韓半島(朝鮮半島)を通過し、東海(日本海)に流れていくのが普通だが「近ごろ東風寄りの風が吹き、PM10が首都圏にとどまる形になった」(環境科学院関係者)という。
最近の干ばつも原因の一つだ。気象予報会社Kウェザーのパン・ギソン予報センター長は「少しでも雨が降ればPM10が洗い流されるが、最近の全国的な干ばつがPM10の濃度をさらに上げた」と説明。「しばらくはPM10がシャワー室にこもった湯気のように韓国の上空にとどまり、悪影響を与えるだろう」と見込んだ。
PM10の濃度が高くなる季節のため、日ごろからPM10の予報に耳を傾ける必要がある。環境科学院のホン・ユドク大気環境研究課長は「秋冬はPM10注意報などの警報をよく見て、子どもや高齢者は必ずマスクを着用して外出する習慣をつけてほしい」と話している。