(テーマ音楽)北海道の東オホーツク海に面した風蓮湖。
海とつながり引き潮によって広大な干潟へと姿を変えます。
秋北極圏などからやって来る鳥たち。
遠くはオーストラリアへ渡る途中のシギやチドリの仲間です。
干潟にあふれる豊かな恵みが鳥たちの旅を支えます。
湖で子育てに励むタンチョウ。
鳥たちの命を育む風蓮湖の秋を見つめます。
北海道東部根室半島の付け根にある風蓮湖。
長さ24kmにわたって広がる湖です。
海とつながる汽水湖で細長い砂嘴によって海と湖が隔てられています。
大小13もの川が流れ込み土砂が運ばれます。
その土砂は波によって海へ運ばれる事がないため湖の底にたまります。
湖の深さは平均1mほどしかなく浅瀬が広がっています。
湖岸に群落をつくっているのはアッケシソウです。
「サンゴソウ」とも呼ばれ秋に色づきます。
塩分濃度が高く波のない場所にしか生えない珍しい植物です。
水辺には特別天然記念物のタンチョウが数多く生息しています。
風蓮湖は魚が豊富でしかも水深が浅いために容易に捕らえる事ができます。
また風蓮湖は子育てにも適し全部で20ものつがいが暮らしています。
この幼鳥は6月に生まれました。
まだ飛ぶ事ができません。
しかしここでは水深が浅いため自由に歩き回れます。
幼鳥でも外敵となるキタキツネが近寄れない中州へ渡る事ができるため子育ての格好の場所になっているのです。
まだ自分で獲物を捕まえられない幼鳥はしばらくの間親鳥から餌をもらいながら水辺で成長していきます。
風蓮湖には天然記念物のオジロワシも住んでいます。
虫を食べに水面に現れる魚を狙うオジロワシ。
残念!失敗してしまったようです。
風蓮湖にいるのは20羽以上。
豊かな恵みが鳥たちの営みを支えています。
海とつながっている風蓮湖は一日に2回その姿を大きく変えます。
引き潮です。
深さ1mの湖が3時間ほどで干潟へと変わります。
湖全体のおよそ1割5もの広大な干潟が出現します。
潮が引いて現れるのはキタキツネ。
干潟に残った魚を探しにきました。
何か見つけたようです。
干潟はキタキツネにとって容易にごちそうが手に入る貴重な食事の場になっています。
8月半ば風蓮湖は早くも秋の気配を感じていました。
渡り鳥がやって来たのです。
遠く北極圏などで繁殖を終え南へ渡る途中のシギやチドリの仲間です。
ここ風蓮湖で1か月ほど羽を休めます。
お目当ては干潟に豊富にいる魚やエビなど。
キアシシギが食べているのはエビジャコです。
くちばしよりも大きな魚をくわえます。
カレイの稚魚です。
生きの良い稚魚にちょっと苦戦しましたが何とかのみ込む事ができました。
貝を好むオバシギが食べているのは小さなアサリ。
なんと殻ごと丸のみしています。
胃の筋肉が強いため胃の中で殻を割る事ができるのです。
ここで見られるシギやチドリの仲間は60種類近く。
風蓮湖は日本で最も多く見られる場所です。
中でも珍しいのは絶滅が心配されているホウロクシギ。
体の半分ほどもある長いくちばしを持っています。
その長いくちばしを地面にさし込んで…。
獲物を捕まえました。
獲物は穴の奥深くにいるアナジャコ。
シギの仲間はそれぞれが好む獲物を取るために独特の進化を遂げました。
ホウロクシギはくちばしの先端に獲物を探り当てるいわばセンサーのような器官を持っています。
それによって奥深くに潜む獲物を探り当てる事ができるのです。
こちらは体長20cm短いくちばしの…メダイチドリが発達させたのは目。
獲物の僅かな動きを見逃さず確実にしとめます。
あっ捕まえました。
およそ2m先でゴカイが穴から僅かに頭を出したその動きを目ざとく見つけ見事に捕らえました。
メダイチドリは発達した目と素早く動ける小さな体を生かして干潟にあふれるゴカイや虫を食べ続けます。
長旅を控えたシギやチドリにとって干潟は栄養を蓄えるためになくてはならない場所なのです。
しかし風蓮湖に干潟が現れているのは僅か数時間だけ。
満ち潮とともに再び水で満たされます。
泳ぐ事ができないシギやチドリですが満ちてくる水の中にとどまり続けます。
陸上にいると外敵に狙われやすいため湖の中に居場所を探さなければならないのです。
浅瀬が広がる風蓮湖は潮が満ちた時にも辛うじて立っていられる場所を提供してくれます。
およそ6時間後再び干潮になる時をじっと待つ鳥たち。
風蓮湖の恵みを受けながらやがて訪れる旅立ちに備えます。
9月中旬風蓮湖は一気に秋めいてきます。
湖岸では深まる秋を知らせる最後の花ウラギクが咲いていました。
湖にはあのタンチョウの親子の姿がありました。
幼鳥が飛ぶ練習を始めています。
飛べるようになるのは10月上旬。
来年の3月ごろには親鳥のもとを離れ独り立ちします。
シギやチドリたちは旅立ちの時を迎えていました。
はるかオーストラリアなどへ向けてこの湖を離れていきます。
入れ代わるように風蓮湖にやって来る鳥たちがいます。
日本で冬を越す水鳥です。
北海道風蓮湖。
豊かな水辺が多くの生き物たちを育みます。
2015/10/19(月) 15:41〜15:55
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 風蓮湖の秋」[字]
北海道東部、平均水深1mと浅い風蓮湖には、干潮時に広大な干潟が出現する。秋、その干潟にシギやチドリが集まり、タンチョウやキタキツネなどの生きものの営みがあふれる
詳細情報
番組内容
根室半島の付け根にありオホーツク海とつながる風蓮湖は、東西20キロもの広大な汽水湖。水深が平均1mと浅いため、干潮時には広大な干潟が出現する。秋、風蓮湖の干潟には、北極圏で繁殖し、遠くオーストラリアまで渡る途中のシギやチドリが現れる。およそ1か月、風蓮湖の干潟で獲物を食べ、1万キロにも及ぶ長旅に備えるのだ。このシギやチドリの他、タンチョウやキタキツネなど、風蓮湖で暮らす生きものの営みを見つめる。
出演者
【語り】羽隅将一
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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