韓国が今後10年間、対北人道支援を大幅に拡大した場合、統一費用を1700兆ウォン(現在のレートで約180兆円、以下同じ)以上も削減でき、南北格差が緩和される時期も11年早まるという研究結果が出た。
韓国国会予算政策処(予政処)の朴容周(パク・ヨンジュ)経済分析室長は19日、「南北交流協力の水準に伴う統一費用と政策課題」に関する討論会(予政処主催・本紙後援)において、このような研究結果を発表した。
予政処は、2026年の統一を前提に、今後10年(16-25年)の間に韓国が取る対北協力によって、統一費用に大きな差が出ると分析した。
今のように限定的な交流協力にとどまる場合、北朝鮮の所得水準が韓国の3分の2に当たる水準まで上昇する「統一完成」の時期は2076年になり、統一費用は計4822兆ウォン(約512兆円)に達する見込みだ。
ところが、今後10年間、食糧および農業開発(272兆ウォン=約28兆9000億円)、保健医療(193兆ウォン=約20兆5000億円)など466兆ウォン(約49兆5000億円)規模の支援を行った場合、「統一完成」時期は11年短縮されて2065年となり、また統一費用も1722兆ウォン(約183兆円)減の3100兆ウォン(約329兆円)となる。予政処は「北朝鮮の出生率が向上することで高齢化が緩和され、労働生産性など経済の潜在力を高めることができる。また統一後、医療費はじめ各種の福祉需要が減る効果も期待される」と説明した。
SOC(社会間接資本)など全面的な経済協力拡大で546兆ウォン(約58兆円)を投入した場合の期待効果(統一完成2060年、統一費用2316兆ウォン=約246兆円)は、さらに大きい。しかし、北朝鮮が受け入れる可能性や、費用対効果などを考慮して、人道的支援が優先推進課題として提案された。予政処の朴容周室長は「特に民間が主導する人道的支援は、韓国国民の財政負担を減らしつつ統一完成を速めることができる良案。これを通して、南北間の信頼形成や理解促進、民族の同質感回復などの効果も期待できる」と説明した。
続く討論で、チョ・ドンホ梨花女子大学教授は「開城工業団地レベルを超え、北朝鮮経済に実質的な波及効果を与えることで変化を引き出す経済協力案を整備すべき」と語った。また、キム・ビョンヨン・ソウル大学教授は「民間レベルの交流や経済協力を手始めに南北間の信頼が積み重なれば、統一に至る道も短縮できる」と語った。