朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が米国から帰国した翌19日、大統領府の朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保主席が辞任し、後任に金奎顕(キム・ギュヒョン)国家安保室第1次長(62)が起用された。さらに来年の国会議員選挙に出馬を予定している国土交通部(省に相当、以下同じ)の柳一鎬(ユ・イルホ)長官と海洋水産部の兪奇濬(ユ・ギジュン)長官も辞任し、また国防部の白承周(ペク・スンジュ)次官など次官級も複数交代した。
これら一連の人事の目玉は誰が見ても朱氏の辞任だろう。大統領府はこの人事について特別なコメントも説明も行っていないが、おそらく国産戦闘機(KFX)開発事業を巡る混乱の責任を取らされたとみるのが妥当だろう。今問題となっているのはKFXに必要な四つの核心技術移転に関する虚偽の発表や、政府が行ったとは信じられないほどずさんな仕事の仕方などだが、これらについて大統領府民政主席室は1カ月以上にわたり真相解明に取り組んできた。
国産戦闘機の開発と量産には18兆ウォン(約1兆9000億円)の予算が必要と見込まれているが、最終的に事業の成否を分けるのはこの4大技術と言っても過言ではない。ところが防衛事業庁をはじめとする外交・安全保障関連部処(省庁)はどこも1年以上にわたり勘違いと認識不足に気付かず、さらには意図的に虚偽の説明まで行っていた事実が、ここ2カ月の間に次々と明らかになってきた。
問題は昨年9月、韓国政府が次世代戦闘機として米国ロッキード・マーチン社のF35を40機、7億3000万ドル(約870億円)で購入することが決まった直後から始まる。当時、防衛事業庁は「4大技術の移転を受けることが決まった」と発表した上で、その経済効果は14億ドル(約1670億円)に上るなどと説明していた。これは完全なうそだった。防衛事業庁はさらに今年4月、米国から技術移転不可の通知を受けていたにもかかわらず、大統領府への報告を2カ月後の6月に先送りした。大統領府は当初、この報告があった事実を否定していたが、結局は認めた。大統領府がこの問題についてしっかりと認識し対応していれば、今のような状況にはならなかったはずだ。