(岩谷圭介)では飛ばしますね321
風船はカメラをぶら下げてどこまでもどこまでも上昇を続けた
風にあおられ翻弄されながら雲を抜ける
旅客機が飛ぶ高度さえ超えてはるかな高みへ
そこはもう紛れもない宇宙空間だ
飛び込んでくるのは鋭い光
その光を浴びて太陽系第三惑星・地球が浮かんでいた
風船が力尽きると…
カメラは3万mの上空から落下する
打ち上げも回収もたった一人
ありましたよ
岩谷圭介29歳
北海道を拠点に宇宙から見た地球を撮影してきた
用意するのは大きな風船とヘリウムガス
小型カメラとGPSの発信機を入れた発泡スチロールの機体
それに手作りのパラシュートだけ
このシステムで初めて撮影に成功したのは3年前だった
もうぐっちゃぐちゃで全然見れたものでなくてすごいがっかりしてたんですけど執念深く全ての映像を見直してみたら1枚だけすごいきれいに写ってる写真があっていや〜あれはうれしかったですね大人になって子供のようにはしゃぐようなことが来る日が来たんだと…大人になって子供のようにはしゃぐことってなかなかないじゃないですかあの時は言葉だと童心に返ったようなっていう…月並みですけどまさしくそんな感じでしたね
札幌の自宅が仕事場だった
北大で宇宙工学を学んだ岩谷は学生時代から特別な機械など何も使わない宇宙撮影に挑み始めた
方法は至ってシンプル
カメラを付けた風船は高度3万mに達すると気圧の変化に耐えられず破裂する
カメラは浮力を失いパラシュートで減速しながら落ちてくる
(アラーム)
風船の旅はおよそ2時間
落下地点は風向きなどの気象条件からある程度予測できる
近くまで行けばあとはGPSの信号が頼りだった
撮影のプロセスよりも回収することのほうがずっと厄介らしい
多分あれですよねあったおっ!最後の衝撃で外れただけで無事だ動いてる
この時は腕時計メーカーに頼まれて時計に宇宙を旅させてきた
関係者たちが見守る中でカメラの映像を確認
OKだった
失敗が続き風に流された機体が海に落ちたことがある
回収は不可能だった
こんなことはもうやめようと決めかけた
だが…
これは苫小牧まで流れて…そして偶然拾って見つけてくれる方がいてここで結構…
新たな依頼が舞い込んだ
コンビニチェーンがお客のメッセージを宇宙に届けたいという
その打ち合わせ
僕自身夢を持って自分自身の夢をかなえたいなと思ってやってきた活動でこんな夢のある企画をご一緒できること非常にうれしく思います
メッセージを運ぶのは怪獣ピグモンのミニチュアだった
よろしくお願いしますよろしくお願いいたします
機体の設計に取り組んだ岩谷は問題に直面した
いつもより大きく重いカメラを搭載して画質を優先させなければならない
しかもピグモンはモニターを抱えそこにメッセージが映し出されるという趣向だった
これを扱うこと自体がすごく大変なんですよねその辺は…その辺がちょっと難しいところですね
高度3万mでは気温が−70℃まで下がるという
北海道には岩谷の夢に共感し協力してくれる人々がいた
ファイルが小さいなぁ
どうやら耐久性に問題はなさそうだ
パクって商売しようみたいな人たちも出てきたりしててあっありがとうございます
機材が重くなる分パーツも頑丈にする必要がある
材料は専らホームセンターなどで調達していた
これは持っていくの大変だなどうしようかなちょっと何買おうか忘れちゃってます完全に
パラシュートもふだんより大きめ
身の回りで手に入るものばかりでNASAにも匹敵するような映像を撮影してきた
結構いろんな…パラシュートの出来上がりですねこれでちゃんと安定して開くものが出来上がりましたこれ自体非常に強靭で…大人2人で引っ張っても抜けないでしょうね
去年長男が生まれたばかり
妻の沙矢花さんとは同じ北大で知り合った
まさか…ずっと多分…やっぱりそれはいいかなと思うし私もうれしいですね
ピグモンカメラ打ち上げの前日
(沙矢花さん)大丈夫かねうんじゃあ気を付けて頑張って行ってくるねじゃあねじゃあね
向かったのは帯広の外れ
市街地を避けできるだけ安全な場所に落下するよう打ち上げポイントの候補地を探す
事故はもちろん失敗も許されない
今回は自分自身のための撮影とは違って企業プロジェクトの一環だ
その分責任は重かった
いや〜僕は今回…バルーンの中に1個入れてもう片方はこっちに入れときます怖いですこれ時速で…全く何も付いてないとそうなると結構やばいですよまぁお参りしても何にも変わりませんけどね気休め程度ですか怖いんですよいくつに膨らませるかとか例えばこれにすると上昇速度毎秒3.7mとか出てくるんですけど
原理こそシンプルだがカメラが回収できなければ全て水の泡
岩谷は深夜までシミュレーションを繰り返した
そして当日の朝
プロジェクトのスタッフも打ち上げに立ち会った
特注の風船にヘリウムガスを送り込み直径2mまで膨らませる
風船による宇宙撮影のアイデアは初め周囲から見向きもされなかった
でも何事もやってみなければ分からない
失敗を繰り返しながら電波法や航空法も勉強したそうだ
機体には位置情報を知らせるGPSを組み込んでいるが万が一に備え連絡先を記したシールも貼り付ける
準備完了
はいでは揚げます321
ピグモンカメラはゆらゆらと揺れながら成層圏を目指した
あとはもう無事に帰還することを祈るばかりだ
高度1万5000mを超えるとGPSの信号は一旦途絶する
岩谷はパソコンをにらみ風船の位置を予測し続けた
それすっごい嫌ですね
打ち上げから1時間半
そろそろ落下地点に移動しなければ
もともとの飛行予測だと2時間20分となってるんで鹿追町から近場ですね鹿追から音更に行く道に行ってもらっていいですか?
GPSの信号に従ってたどりついたのはおよそ20km離れた広々としたじゃがいも畑だった
ないよね
(スタッフ)この中にあると?ありそうな気がしますねこの辺に10番…もっと向こうだなうん…多分あの辺でしょうね回らないと
GPS信号の精度には限界があるため機体には半径30m以内に近づくとアラームで教えてくれる装置も取り付けてあった
(アラーム)あっあった
(アラーム)
土地の持ち主に許可を得て麦畑へ
(アラーム)あった!あったあったあったよいしょよいしょ
ピグモンの台座は折れていたが回収成功
ありましたよよいしょご心配おかけしました畑がこんなに大きくて…LUMIXだったんだここいやこれはLUMIXのレンズですねとりあえず無事帰ってきてほっとしてますけどね一応ゆっくり落下してきたというのも見れましたけどでもまぁそれでもほどほど形がゆがんでたりはするので…
ピグモンの宇宙の旅がこれだ
この日は子供たちを対象にしたワークショップに招かれた
はいはいちょっと待ってねプレゼントがあるんだはい今日はよろしくねうん
みんな宇宙のポストカードに目を輝かせる
よろしくねきれい
主催はJAXAの実験施設がある北海道・大樹町
子供たちが宇宙に興味を持ってくれたらと喜んで引き受けた
おっうまいうまいうまいよしよしよし
目玉はパラシュート作りだ
はい開いた開いた
(子供)来るよ
(子供)「せ〜の」で来た!取りに行け!…と思うんですよね…だと思っていてそれがこの…
幼い頃から発明家になるのが夢だった
大学で宇宙工学を学びふうせん宇宙撮影の可能性に魅せられた
この秋岩谷は新たな試みに取り組んだ
プラネタリウムを利用して観客に宇宙の旅を体感してもらいたいという
そうですねこれは…それを…
打ち上げ場所は宮古島
海の上で機体を回収するほうがリスクも少ない
何か斜めってるな南国の洗礼を受ける前に終わらせてしまいましょう
スコールが近づいていた
すごくやばい感じがします南の島は天気変わりやすいって聞いてましたけどここまでとは思いませんでした
宇宙の広大さをパノラマで表現するため魚眼レンズ付きのカメラを搭載している
出来ました海に向かいましょう風ありますね「321」で飛ばします3…あっこっちからやりますねちょっと風あるんで321
地上が雨でも雲の上には完璧に澄みきった青空がある
・あぁ降ってきたね撤収しましょう・とりあえず揚がったな・ホントに降ってきたねホントにスコールだねいや〜もう全然晴れてたんですけどね
風向きから計算すると落下するのは伊良部島の沖
自前でチャーターした漁船で海に出る
(船の航行音)
だがなぜかGPS信号をキャッチできない
GPS電波さえ受ければ…
最後に信号を確認した地点にはもう機体の姿は見当たらなかった
・高い所行って…
潮の流れに詳しい漁師の意見を聞き漂着しそうな場所へと急ぐ
でもアラームは沈黙したままだ
沖っぽいですか?
気の毒に思ったのだろう
漁師たちも捜索に力を貸してくれた
・向こうの岩礁ちょっと岩がゴツゴツ出てる所あそこかそっちかのどっちかでしょうねあっありますね何かあれだあれだ
あった
・あぁあれかあれですね確かに・船だ・うん
もう一度船を出してもらわなければならなかった
たった一人の挑戦はいくつもの厚意の上に成り立っている
ありがとうございますいいえ
スケールこそ違うがあのはやぶさの帰還を思わせた
よかったですありがとうございますまたよろしくお願いします今日ほど苦労せずに回収できるようにちょっと改良しておきます・そうだねはいありがとうございます
だが問題は映像だ
パスしてますね「321」
カメラには異常なし
記録された宇宙の旅がプラネタリウムに持ち込まれた
札幌のプラネタリウムを借りて映写実験が行われた
ふうせん宇宙の旅が初めて投影される
集まったのは会場の関係者たち
こんにちはお好きな所にお座りください
(男の子)イェ〜イどういうふうに見えるかそんなことをいろいろ…
打ち上げ直後は雨だった
さあ嵐の積乱雲越えてしまいました風船さっきと比べて気持ちちょっと大きくなったような気がしませんか?
風船の力だけで目指す果てしない空
やがて天井一面に成層圏が広がった
見上げる誰もが宇宙飛行士だ
(子供)あれ風船の下で小さいフニャフニャなってる…あっ割れちゃったふわ〜
見えない世界を見てみたい
感動を分かち合いたい
岩谷圭介は自分の活動を小さな宇宙開発と呼んできた
新たな挑戦への思いは風船のように膨らみ続ける
あれから3年…
「情熱大陸」の新イベント11月開催
一流シェフの料理講座脳科学で恋愛を分析など貴重な体験がいっぱい
2015/10/18(日) 23:00〜23:30
MBS毎日放送
情熱大陸[字]【岩谷圭介/風船で宇宙撮影する男、手作りで見事成功!地球は青かった!】
ふうせん宇宙撮影/岩谷圭介▽風船にカメラをつけて上空30kmまで飛ばすという方法で、個人による宇宙撮影に試行錯誤しながら成功した男の、苦労や挑戦の様子に密着!
詳細情報
番組内容
岩谷は子供の頃から発明家に憧れ、就職の道を行く周囲をよそに、アメリカの学生が風船での宇宙撮影に成功した記事を読み自分でも出来るのではと模索し始めた。失敗に次ぐ失敗を重ね試行錯誤しながら、少しずつ成功を積み重ね 、次第に広告に使用したいという企業が現れ、岩谷の実験は生業にもなっていった。番組では、岩谷が沖縄・宮古島で風船を打ち上げ、全方向を撮影して、その様子をプラネタリウムに投影する挑戦などを追う。
プロフィール
岩谷圭介
1986年福島県生まれ。
大学在学中にアメリカで風船にカメラをつけて飛ばしている学生の映像を見つけ、自らも挑戦を始める。
卒業後の2012年9月、日本で初めて上空30kmからの風船による宇宙撮影を実現。
2013年から約1年間、札幌日大高校にて講師を務め、学生による宇宙撮影を成功に導く。
プロフィール続き
その後も開発を進め、民間世界最高高度の記録を樹立、世界初となる上空30kmから初日の出の撮影を行うなど、世界最高水準の技術を確立。
著書「ふうせん宇宙撮影」を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、夢を追う若者が増えていくことを願い、活動を続けている。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】ホリプロ
関連公式URL
【ツイッター】@jounetsu
番組の感想に#jounetsuをつけてください!
http://twitter.com/jounetsu
【フェイスブック】
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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