トルコ史上最悪のテロ事件から1週間。
追悼式が開かれました。
家族が、友人が叫ぶのは犠牲者の名前です。
102人が犠牲となった今回のテロ。
このとき開かれていた集会は、対立する政府軍とクルド人武装組織の和平を訴えていました。
犯人はテロの爆発で死亡した男2人とみられています。
国民の怒りが向かうのはテロリストだけではありません。
突き上げる拳は政府への抗議。
立てた2本の指は政府に勝利することを意味します。
それは、なぜ?こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今夜のゲストは気象予報士の井田寛子さんです。
よろしくお願いします。
きょうの時間割りですが2時間目はアメリカ、3時間目はアフリカ。
1時間目は心配です。
トルコ。
今回のテロをきっかけに政府への不満が高まっているんです。
アンカラの繁華街です。
テロ事件のあと、こうした不特定多数の人が集まる場所を避ける人が増えています。
今回テロが起きたのも、人通りの多い駅前でした。
現場には花や写真が飾られています。
首都の中心部で起きたテロは、市民の意識を一変させました。
子どもを遊ばせるのにも神経を使うといいます。
これまで反政府デモと距離を置いてきた市民の意識も変わりつつあります。
カフェで働くオヌルさんもデモへの参加を考え始めた1人です。
きっかけは、事件の3日後に店の前で起きた出来事でした。
市民団体が、商店街に大統領を批判する横断幕を掲げたところ。
治安部隊が現れ力ずくで排除したのです。
完全武装の治安部隊が少人数の市民を追い詰める様子が映像に残されていました。
引きずり下ろした横断幕を押収する治安部隊。
もはや自由な発言が許されなくなっていると感じたオヌルさんは市民団体を訪ねました。
オヌルさんは次のデモに参加する意志を伝えました。
テロ事件以降、反政府デモはトルコ各地で激しさを増しています。
批判を封じ込めようとする政府との溝は深まるばかりです。
私、トルコに以前、観光で行ったことがあるんですが、すごい治安がいい国で、みんな人が優しくていいイメージしかなくてこういうことが想像できません。
別の国みたいです。
テロの原因や影響はもちろんなんですが、トルコ1国の不安だけではなさそうなんです。
その辺りを聞いていきたいと思います。
国際部の西河デスクです。
よろしくお願いします。
西河さんはエジプト帰りで、ひげはまだそのままです。
授業にいく前ですが、まずトルコといえば観光ですよね。
ブルーモスクやカッパドキアなどいろいろありますが年間トルコにはどれぐらいの外国人観光客が訪れているでしょうか。
いっぱい訪れています。
日本は去年、外国人観光客が、およそ1300万人でした。
トルコは2800。
残念です。
実は日本の3倍、およそ4000万人なんです。
そんなにいるんですか。
これは世界の観光客数のランキングです。
こちらを見ていただきますとトルコは世界で第6位。
ドイツやイギリスよりも多いんです。
日本は、すごく低いですね。
これだけ来るのは理由があるんですよね。
トルコはとても安全な国として知られていますね。
国民にとっても治安がいいというのが誇りでした。
4年前、アラブの春というのがありましたが、シリアやエジプト中東で大きな混乱が起きました。
そのときもトルコは治安が安定していました。
だからこそ今回、治安が安定しているトルコの首都で起きたテロ事件は衝撃だったんです。
国内で小さなテロというのはこれまでもあったんですが、ここまで犠牲者がたくさん出るテロ事件というのは今までなかったんです。
私、中東に3年間駐在していたんですが、町なかにいると治安が悪いところだと、いつテロが起こるか分からないという不安を抱えながらいたんですがトルコでは、そういうテロの心配というのはほとんどなかったんです。
観光名所とかですとスリとかは。
実際トルコでスリに遭いそうになったこともありました。
トルコはテロのない安全な国というイメージだったんです。
今回テロが起きたのは首都の中心部のアンカラの駅前。
これは日本で言えば、東京駅前で起きたみたいなものです。
怖くなりますね。
トルコでは来月、総選挙が予定されています。
さらに世界の主要20か国の首脳が集まるG20も控えていて警備態勢は整っていたはずだったんです。
それだけにそのトルコで大規模なテロ事件が起きるというのはトルコにとっては非常にダメージが大きかったんです。
誰がテロを起こしたんですか。
今トルコ政府が最優先に捜査を進めているのが、こちらです。
過激派組織ISです。
さらにもう1つ組織があります。
クルド人の武装組織。
政府と長年対立して衝突を繰り返してきた組織です。
この2つのグループに対してトルコ政府は、ことし7月に軍事作戦で空爆を始めたんです。
今回の事件の背景にこの空爆作戦があるのではないかという見方も出ているんですが、この2つの組織いずれも犯行声明は出していないんです。
結局のところまだ分からないないという状況が続いています。
これだけ大きい、ひどいテロですが国民の怒りがテロリストだけじゃなく政権にかなり向いているというのはこれはどうしてなんでしょうか。
それはトルコのエルドアン大統領、政権に対する不満がもともと高まっていたんです。
犯行グループとしてもこのテロを起こせば国民の怒りの矛先が政権に向かうだろうとある程度、見越していたのではないかということが言えます。
ヨーソロー。
国民の不満の高まりについては、俺が説明しよう。
トルコは数年前まで周辺の国みんなと仲よしで平和な国だった。
それが変わったのが4年前。
隣のシリアで内戦が起きたんだ。
トルコのエルドアン大統領はアサド政権と対立。
そこで隣国シリアに影響力を及ぼそうと反政府勢力に肩入れしたりして首を突っ込んだ。
でもトルコ国民も、このときはまあ長引かないだろうって思ってたんだ。
ところが。
内戦は長引いて泥沼化。
シリアから難民がどんどんどんどんやって来て世界最多の200万人。
食糧支援や難民キャンプに金はかかるわ仕事も奪われるかもって不満が高まった。
そこへもってきて今回のテロ事件だ。
国民の不満や怒りは政権に向かったんだ。
だから政権に向かったんですね。
またあるかもしれないって不安ですよね。
テロのあとの政権側の対応も火に油を注いでいるんです。
先ほどのVTRにありましたように政府への抗議デモを禁止したりですとか情報統制をして批判が政権のほうに向かわないように躍起になっているんです。
爆発直後の現場の映像や容疑者に関わる捜査情報も報道を禁止しているほどの徹底ぶりです。
政権としては都合の悪い情報がインターネット上に流れるとツイッターを遮断したりですとかユーチューブを遮断したりしています。
さらに政府に反発するデモを力で抑え込んだり、反対勢力のメンバーを次々と拘束して、厳しく取締りをしてきたんです。
これまでは治安が安定しているということで、こうした批判はなんとか抑え込んでいたんですが今回、首都での大規模テロという過去最悪の事態が起きたことで、今、政権への不満が非常に高まっているんです。
まさに人々の不満が政権に向かっているんですね。
デモを力で抑え込んだりとかって私の行ったことのあるトルコが全然変わっちゃったというような印象があります。
トルコはヨーロッパに近くて自由で民主主義を尊重する国というイメージがあるかもしれません。
しかし、かつてトルコは軍や治安機関、情報機関というのが強い影響力を持っていました。
ですから、ひとたび非常事態ということになれば、人々を取り締まったりですとか情報統制もいとわないという雰囲気は、今もあるんです。
緊張が高まっているということなんですがそれだけでは収まらないんですよね。
ここからが大事ですね。
トルコの問題はトルコ国内にとどまらないんです。
この事態というのはヨーロッパの危機につながりかねないんです。
こちらをご覧ください。
大きな壁ですか。
トルコはヨーロッパにとって防護壁なんです。
どういうことですか。
関係してくるのはこちらISです。
ISはヨーロッパもターゲットにすると言っています。
シリアとトルコというのは国境を接していまして900キロあります。
地形としては、トルコにISが行こうと思えばいつでも行ける場所にはあるわけです。
ただこれまでは、トルコ軍が最前線で目を光らせていて、トルコ国内に入らないようにここで食い止めていたんです。
トルコの兵力はNATOでも2番目と言われるぐらいですから、ヨーロッパにとっては壁になっていたんです。
それはトルコ国内が安定しているというのが大前提です。
ですからトルコが混乱した場合、この壁が崩れるとどうなるかというと。
トルコには今200万人のシリア難民がいます。
シリア難民が一気にヨーロッパに流入するということになります。
さらにもう1つ、難民に紛れてこちらです。
ISですね。
難民に紛れてISのメンバーあるいは支持者が大量にヨーロッパに入ってくる可能性があるんです。
先週、EUの首脳会議が開かれたんですがこれ以上、難民がヨーロッパに来るのは食い止めたい。
なんとか難民の人たちはトルコ国内にとどまっていてほしいというヨーロッパ側の本音も見えたんです。
ですからこれはトルコという1つの国の危機というよりはヨーロッパ全体の危機にもなりかねない動きになっているんです。
まだこの壁は大丈夫だけれども、そういうおそれがあるということです。
このトルコの動きというのは注意深く見ていく必要があると思います。
ヨーロッパにも広がってしまうんですね。
トルコについて西河デスクでした。
ありがとうございました。
次は久しぶりのこちらの話題。
アメリカの大統領選挙です。
まずは過激な言動でおなじみのこの人の発言からお聞きください。
トランプ氏がやり玉に挙げたのは13日、初めて行われた民主党の候補者のテレビ討論会です。
そして、その結果は。
アメリカメディアの多くが経験の豊富さを示したクリントン氏が優勢だったと伝えました。
そして、今回の討論会で存在感を示したのがバーニー・サンダース氏です。
74歳。
バーモント州選出の無所属の上院議員です。
みずからを民主社会主義者と称し格差の是正を訴えてクリントン氏に次ぐ支持を集めています。
言いたい放題のこの人は早速、攻撃。
マイク、奪われちゃったんですかね。
さらに。
ともあれ。
クリントン氏が制する形で終わった討論会。
しかし。
民主党には、いまだ立候補を表明していない有力候補がもう1人。
現職の副大統領、バイデン氏です。
アメリカで目下、最も注目されているのが有力なライバルになり得るバイデン副大統領の決断です。
立候補するのかしないのかアメリカのメディアでもさまざまな情報が錯綜していますが仮に出なければクリントン氏が民主党の候補者選びでは優勢を築くことになります。
ただクリントン氏には私用のメールアドレスを公務に使っていた問題があり今週、この問題について議会で証言する予定です。
クリントン氏がこれを乗り切って1年後の大統領選挙に向けてさらに前進できるのかこれがもう1つの注目点になります。
トランプさん、相変わらずですね。
あの人が大統領になったら大変ですね。
アメリカの大統領選挙、予備選本選はこれからですが場外バトルというのも見逃せませんね。
次は、こちら。
アフリカナイジェリアのイスラム過激派組織ボコ・ハラムに連れ去られた少女たちです。
拉致されてから1年半がたちますがいまだに消息は分からないままとなっています。
ナイジェリアだけではなくてアフリカ各国で紛争が長期化する中、いろいろな武装勢力が女性に対する性暴力を戦闘を有効にする道具として捉えていまして、それが黙認あるいは奨励されている実態が明らかになりました。
もはや常態化しているアフリカ各国の紛争。
国連によるとこの5年で多くの難民が出る紛争などが起きた国は8か国に上っています。
特にイスラム過激派組織ボコ・ハラムはナイジェリア北東部を中心にイスラム国家の樹立を目的にテロや政府軍との戦闘を繰り返してきました。
その中で少女たちは狙われました。
敵側の女性を拉致し性暴力を加えることは敵側に心理的なダメージをもたらすだけなく味方の戦闘員への報酬としても有効とされ、女性を性暴力の対象にする傾向は紛争地域全体に広がっています。
一方これまで泣き寝入りするばかりだった女性たちが、ようやく声を上げ始めています。
国際部、柳澤記者が取材しました。
私が向かったのはアフリカ中部ルワンダにある難民キャンプです。
ルワンダでは隣のコンゴ民主共和国から逃れてきた難民、7万人以上が暮らしています。
コンゴの紛争は20年にわたって続いています。
国連はコンゴだけで推計で20万人もの女性が性暴力の被害を受けたと指摘しています。
しかし、これまでその実態はなかなか国際社会にさらされませんでした。
被害の実態を証言する人が少ないからです。
取材を始めて5日。
ようやく、被害者の女性に出会うことができました。
18歳のウムレルワ・フローランスさんです。
もうすぐ3歳になる息子と2人で暮らしています。
3年前、フローランスさんはコンゴ東部の村で政府軍の兵士に暴行を受けました。
妊娠が分かったのは、家族とはぐれ難民キャンプに逃げたあとでした。
誰にも相談することができないまま息子を出産しました。
しかし、生まれてきた子どもの世話をするうちに少しずつ気持ちが変化してきました。
ただ1人の血がつながった家族として受け入れ子どものためにも生きなければと思うようになりました。
今では同じキャンプで暮らす少女たちに性暴力を受けたとしても周囲に助けを求めるよう呼びかけています。
女性が勇気を出し被害を語っても差別や偏見を受けるおそれがある中で、あえて自分の体験を伝えています。
一生消えない痛みを背負い続ける女性も少なくありません。
インガビレ・アリスさん。
コンゴ東部の村で11年前、武装した集団に襲われました。
子ども2人とともに男たちのアジトに連れて行かれたアリスさん。
そこで繰り返し、暴行されました。
監視が緩んだ隙に逃げました。
子どもと一緒でした。
草むらに隠れながら移動。
途中で国連の部隊に会い救助されました。
こうした被害に遭った女性が元の集落に戻るのは困難です。
男尊女卑の傾向の強いアフリカでは常に好奇と軽蔑の目にさらされるからです。
行き着く先は難民キャンプしかありませんでした。
誰かに被害を話すことなどできません。
傷の重さに耐えきれず酒に溺れました。
地域の人ともけんかを繰り返しました。
HIVに感染していることも分かりました。
2度、自殺を図りました。
被害から7年、カウンセリングを受け自分の過去を話すことができるようになり顔をあえて出すことが性暴力への抵抗になるならと私の取材に答えてくれた、アリスさん。
しかし、苦しみは今も消えません。
同じ女性としてすごくつらい気持ちが。
こういう方が20万人もいたということがびっくりだし、こういう問題は許せないですね。
スタジオには取材した柳澤記者に来てもらっています。
よろしくお願いします。
現地の女性に話を聞いたと思うんですがどういうことを感じましたか。
性暴力の実態は、考えていた以上に悲惨でした。
今回、取材を受けてくださったお二人の女性は、心の中に癒えない傷を抱えてはいるんですがなんとかして性暴力を止めたい、これ以上、自分と同じような思いをする人が出ないようにと思っていて、その覚悟は彼女たちの重い口を開く決断を、後押ししているんだと感じました。
最近、世の中では、女性の権利をちゃんと確立していこうという声が高まっていると思うんですが、そんな中でアフリカはそれに逆行するような深刻な人権問題ですよね。
2015/10/18(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽トルコ史上最悪の爆弾テロ発生・怒りの矛先なぜ政権へ[字]
トルコの首都で爆弾テロ発生、90人以上が死亡する最悪の事態に。和平訴えるデモの近くで起きた今回の事件。怒りの矛先はなぜ政権に?その背景に迫る。【ゲスト】井田寛子
詳細情報
番組内容
【ゲスト】井田寛子,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】井田寛子,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
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ニュース/報道 – 定時・総合
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ニュース/報道 – 解説
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