最近校正の仕事とかしてて思ったことなどをつらつらと。
校正をしていると、異なる表現に言い換える提案をすることがよくあります。
筆者の書きたいことはわかるけど、この単語じゃない方がいいんじゃないかとか、
表記ルール的にいまいちとか、表現をもっと柔らかくしたいとか理由は様々です。
最近はちょっと意識して、言い換え提案をするとき、可能な場合は
案をたくさん書くようにしています。その方が自分の頭の訓練にもなるのと、
言葉の選択肢を狭める必要はないしなぁと思うからです。
ちょっと前にこの本を読んだんですが、
それ以来、言葉の選択を以前よりも意識するようになりました。
「書く」というのは、言葉を選び取っていく作業です。
つまりこの過程の裏では、たくさんの選ばれなかった言葉が発生します。
そして校正や推敲をする段階で、
この選ばれなかった言葉に再び目を向けることになります。
例えば「怒った」と書きたい場合でも、
「憤った」「顔を赤くした」「声を荒げた」「憤慨した」などなど、
様々な表現があるわけです。
でも選べる言葉は一つで、あとは選ばれなかった言葉になります。
何気なく書いていると意識しないんですが、選ばなかった言葉に
考えが至るようになると、単語選びにえらい時間がかかるようになりました。
選ばなかった単語に未練はないか、価値はないか、大丈夫か、と自問自答。
どの言葉を選ぶか、それはなぜか?
という理由をすべて言えないとなんか言葉に失礼だなとか。
ちなみに、校正の立場で言い換え案を提示するときは、
この筆者はこの中からあえてこの単語を選ぶのか、なるほど、
みたいな面白さを発見できるようになりました。
似たような話で、音楽で「楽譜に無駄な音符はない」と言われたことがあります。
メロディではない伴奏で、例え小さな音だったとしても、
音符が存在しているのであれば、必ず存在意義はあるという話です。
低音楽器などの伴奏中心のパートの意識向上に意義のある言葉だと思うのですが、
古典なんかのクラシックでは特に、計算されつくしていて、
無駄な音など一音もないわけです。
言葉を選ぶ作業もそういう風であるべきだなぁなどと思いつつ、
早く書きたいのを押さえて今日もプロット作ってる秋の夜長でした。
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