(ナレーション)
東山…
陶器神社とも呼ばれる若宮八幡宮の隣に焼き物の工房がある
明治時代からこの地で陶磁器を商っている
人間国宝・清水卯一の生家で卯一は昭和45年に滋賀・蓬莱山麓に窯を開くまでここ五条坂で作陶していた
昭和54年卯一に孫ができた
「志郎」と名付けられた男の子は祖父そして父と同じ陶芸家の道を歩んだ
京都で採れる土にこだわった力強く現代的な志郎さんの作品
祖父はもう滋賀県の方に行っていたのでここでは仕事してなかったんですけど父はいつも…いるという状態ですね。
「五条坂清水」の歩み
五条坂の一角にその存在を忘れ去られていた窯元がある
時が息を潜め忍び足で通り過ぎていく
江戸後期に築かれた登り窯
二代目・井野祝峰がこの窯を手に入れたのは昭和24年
もともとは5つの窯が連なっていたが現在は一の間と二の間を残すだけである
昭和40年代中頃まで五条坂の陶工たちはこの窯に集い共同で器を焼いていた
清水卯一もこの窯を使った一人である
だが…
(井野さん)電気とかガスとか窯が発達してきまして登り窯で焚くお客さんが少なくなってきたんですね。
そうすると自分のところだけではとても焚けませんので親父が元あった窯を潰して小さくして自分のところで焚こうとして作った窯なんです。
焼くつもりで作ってグズグズしている間に京都市の煤煙規制に引っ掛かりましてまったく焚けなくなったんです。
ですから焼かずじまいで残ってしもうた窯なんです。
当代・祝峰の盆栽鉢
その世界では高く評価されている
焼き物の町五条坂の歴史を物語る登り窯
その存在を知ってもらおうと井野祝峰窯の見学会が計画された
数十年ぶりの大掃除
地域の陶工や学生たちが作業に当たる
この見学会を牽引するのが清水志郎さんである
(清水さん)8月の7日から「陶器まつり」の期間なんですけども78910と陶器まつりがありましてその期間ですと五条坂に多くの方もお見えになるのでその期間に合わせてお披露目をして五条坂の方だけではなくても他の方にもぜひ見てもらいたいなと。
五条坂で生まれた陶工の使命…
京都市東山区にある…
京都の陶芸関係者の間では訓練校と呼ばれている
昭和21年の創設以来およそ3000人もの職人を輩出してきた
訓練生は絵付けや轆轤を1年または2年かけて学ぶ
正確に効率よく器を量産するための技術を身につける
職人として経験を積んだあと陶芸家になることを目指している
やはり職人として働いたあと絵付けを主とした作家を志す…
東山の夏の風物詩…
今年も大勢の人が五条坂を訪れた
陶器まつりに合わせ予定どおり井野祝峰窯の見学会が開かれた
4日間の期間中大勢の人々が忘れられていた登り窯を訪れた
こんな所にあるのは…。
(2人)知りませんでした。
これは電気窯。
今使ったはる。
これね。
うん。
孫にも見せたいなぁと思いまして。
初めて見させていただいたんですこの子はね。
私はちっちゃい頃から見てますけど。
はい。
今では5基を残すだけとなった五条坂の登り釜
貴重な産業遺産の発掘調査も行われた
考古学者の木立雅朗さんはこの見学会の発起人の一人
清水志郎さんをはじめ陶芸家をはじめ茶農家の方やお花の先生や当然陶器の関係の方々含めて幅広い人がこの登り窯に向けて何かしたいっていうことでお手伝いしていただいたんです。
ここは盆栽鉢も作ってますので盆栽研究家の方も来られてこの井野祝峰の窯が盆栽にとってどれだけ有名なものであるか。
で盆栽鉢っていうのが焼き物の世界でどれだけ礼遇されてきたかっていうことをとうとうと資料の中にも書いてくださって。
はあ〜なるほどなってねかえって勉強しますね。
井野祝峰窯の轆轤は昔ながらのベルト式
最後に使ったのはいつのことだろう…
何しろね古いですからね。
ベルト自体が伸びてますのでね。
何しろそら何十年ぶりに使うたんやから。
はははっ。
貴重なベルト式轆轤
訓練校の友田さんと谷澤さんが実演を任された
(友田さん)なんかいつも学校で使ってる轆轤と比べて回転がちょっと遅かったりとかあとこの変速の仕方が特殊なんでちょっと使いにくい部分はあるんですけど。
でもすごい伝統的な轆轤なんで使わせていただいてすごいうれしいです。
めったに使えないものなので。
(谷澤さん)本人の技術があからさまに出る轆轤やなぁと思いました。
これでお皿とかひいてはったんやなぁと思うと昔の方ってすごいなって思いましたね。
この轆轤で職人されてたのが。
先人の仕事を敬い歴史に思いをはせる
かけがえのない場所
(清水さん)その時代に共同で焚いて切磋琢磨の時間が流れてたのかなっていうことを想像したりそういうところはやっぱり惹かれるところなんですけどね。
土と瓦で出来た使い途のない構造物が陶工たちの心に語りかけている
洛北を走る叡山電車をお送りします
2015/10/18(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「東山の陶工たち・5」
詳細情報
◎この番組は…
古都1200年の歴史の中で守り続けられてきた寺社仏閣・祭り・伝統工芸などの中より「美の再発見」をテーマに、ハイビジョン撮影による高画質映像でお送りする「映像美術館」。
音楽
久石譲
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/kyoto/
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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