(雷鳴)
(絹香)奈々…。
(奈々)ママ…。
奈々!誰がこんな事を…。
ママ…。
(泣き声)
(雷鳴)
(カメラのシャッター音)
(水越和行)お疲れさまです。
身元は?
(武田弘道)服飾デザイナーの東条克典です。
(水越)腹部を刺され財布を奪われてます。
有名人ですから騒ぎになるかもしれませんね。
(志村尚美)先生…!
(東条沙知絵)パパ!沙知絵さん…。
娘さんか…。
はい。
自宅が近所だったので身元確認のために連絡しました。
あっ…そのミサンガ…。
あの…あなたは?
(尚美)東条先生の生徒の志村です。
あのミサンガに見覚えがあるんですか?そ…それは…。
絹香さんの…。
絹香さん?
(水越)大岩さん。
おう。
被害者の携帯なんですが…。
「絹香」…?絹香さんですか?警視庁の者ですが。
警視庁?こちらでどなたかお待ち合わせですか?はいそうですけど…。
その方はあなたのデザインの先生の東条克典さんですか?えっ?
(武田)これはあなたのものですか?それ…どこにあったんですか?アトリエでなくしたんですけど。
(武田)東条克典さんが何者かに殺害されました。
東条先生が…?
(武田)詳しく話を伺いたいので署までご同行願います。
どうして東条先生が…。
えっ?ちょっと待ってください!私が何か…!?
(武田)話は署で伺います。
彼女には4歳になる娘がいるそうだ。
父親はいない。
母一人子一人って事ですか?そうだ。
娘一人になってしまう。
お前世話してやれ。
わかりました。
いちご!
(沙知絵)社長!また来てます。
警察には?その都度通報してすぐ犯人を突き止めてもらえるように頼んであります。
(ため息)どうせただの嫌がらせでしょう。
心配する事ないわ。
行きましょう。
(電話)
(係員)はい現場資料班。
(係員)わかった。
すぐに応援に向かわせる。
(電話)はい現場資料班。
新宿でコンビニ強盗?被害者は?
(電話)
(係員)現場資料班。
(平井真琴)女性は?…死亡。
はいわかりました。
すぐ行きます。
小山田管理官。
青山樹林公園で女性が刺されて死亡。
ホシは?そのまま逃走してます。
行くぞ。
はい。
(電話)大岩だ。
ヤマさんか。
どうした?港区の青山樹林公園でジョギング中の女性が刺殺され犯人は逃走中。
今から現場に向かいます。
わかった。
現場付近に緊急配備を敷く。
私もすぐ臨場する。
青山樹林公園だ。
かしこまりました。
(カメラのシャッター音)心臓をひと突きされて即死です。
周辺の聞き込みをしてホシの逃走経路をつかめ。
わかりました。
いいか?ホシはまだ凶器を所持している可能性がある。
心してかかれ。
(一同)はい。
島村公園の管理事務所で防犯カメラの映像を調べろ。
わかりました。
沢村さんちょっとそれ拝借してもいいですか?どうぞ。
すみません。
それにしてもこんなに若い子が…。
ひどいわね。
本当に。
一課長お疲れさまです。
ヤマさん。
こちらです。
被害者の身元は?服飾ブランドサードシーズン社長秘書の東条沙知絵です。
東条沙知絵!?お疲れさまです。
ご存じなんですか?2年前に殺害された東条克典の娘さんだ。
(小山田)東条克典…あのデザイナーの?いつまで放っておくつもりなの!?もう少しお待ちください。
(尚美)もういいでしょう!あんなところに置かれたままで…ひどいじゃないの!サードシーズン社長志村尚美。
よくテレビにも出てる有名なデザイナーです。
(宇佐美祐介)社長!宇佐美くん…。
(宇佐美)沙知絵なんですか!?沙知絵!これ以上入れません。
沙知絵!!ごめん宇佐美くん。
沙知絵さん私の身代わりになって…。
沙知絵!おい…。
一課長。
これ被害者の携帯なんですけどちょっと見てください。
「志村尚美お前を必ず殺す」「待っていろ」志村社長に殺害予告か…。
犯人は志村尚美さん目がけて突っ込んだらしいです。
(小山田)東条沙知絵は巻き添えで社長の代わりに殺害されたって事か…。
まあそうなりますね。
志村社長は無傷なのか?はい。
ホシは東条沙知絵を刺したあとそのまま逃走したそうです。
そのまま?でも…この殺害予告ほら会社の掲示板に書き込まれてるんですよ。
なんか変ですよね?え?何が変なんだよ?どうして志村社長本人の携帯とかパソコンじゃなくてわざわざ会社の掲示板に書き込んだりしたんだろう?どうしてって…。
だってこんな多くの人が目にする掲示板に書き込むなんて…変ですよね!?…っていう気がするんですけど。
またお前の勘か?あのな捜査っていうのは物証に基づいてやるもんなんだよ。
カンだのビンだの余計な事言うな!ヤマさん大福の勘は特別だ。
頭に入れておこう。
はい。
では頭の隅っこのほうに!隅っこ?あのそれから私大福じゃなくて…平井真琴なんですけど。
失礼します。
警視庁の大岩です。
2年前東条さんの事件で…。
またあなたが捜査するんですか?ええ。
この度は誠にご愁傷さまでした。
「ご愁傷さまでした」って…。
(ため息)私に殺害予告が来てるからなんとかしてくださいって何度も警察にお願いしに行ったんですよ!?どうしてすぐに対応してくださらなかったんですか?おかげで沙知絵さんは私の身代わりになって亡くなった…。
沙知絵さんを殺したのはあなたたちよ!一課長志村尚美とは一体何があったんです?うん…あとで説明する。
ヤマさん一刻も早くホシを確保しろ!わかりました。
東条先生のお嬢さんだそうですね。
ニュースで見ました。
お父様に続いてこんな事になるとは…。
でも大岩さんが捜査一課長なら安心ですね。
は?中途半端な事はしませんよね?必ず捕まえますよね?真犯人を。
その覚悟で捜査するつもりです。
安心だわ。
(捜査員)お疲れさまです。
(小山田)みんな聞け!青山樹林公園の防犯カメラに映っていた犯人の写真だ。
捜査員全員に配れ。
(島村)はい。
これです。
(小山田)身長180センチ前後の男。
しかしこれじゃ顔がわかりませんね。
え?それを突き止めるのがデカの仕事だろう。
はっ!科捜研が防犯カメラ映像から犯人が履いていた靴を解析した。
写真渡ったか?
(一同)はい!
(小山田)ブルーに黄色いラインが入ったスニーカーだ。
採取された足跡から大きさは27センチとわかった。
これでホシを突き止めろ!
(一同)はい!
(小山田)ホシは凶器を持っている。
周辺の警戒も怠るな。
(一同)はい。
(小山田)武田。
並行して志村尚美の怨恨関係も捜査しろ。
わかりました。
(小山田)一課長!?あの…私にも…。
(捜査員)全員起立!
(捜査員)礼!ホシは刃物で若い女性を刺殺した凶悪犯だ。
しかも被害者の東条沙知絵は2年前に殺害された東条克典の娘であり志村社長の身代わりになって殺害された。
被害者の無念悲しみ悔しさを胸に刻み込め!そして必ずホシを挙げる!
(一同)はい!一課長志村社長のもとには2週間前から何度も殺害予告が届いていたそうですが…?一課長!捜査はどうなっていたんですか?秘書が殺されたのは警察の失態ではないんですか?「対応が遅れた」では済まされませんよね!?一課長!説明してください!
(ノック)入れ。
失礼します。
殺害予告が出ていたそうだな。
捜査はどうなっていたんだ?届けを受けた青山署は手順どおり殺害予告の送り主を捜査していましたが犯人を突き止める前に事件が起きてしまいました。
申し訳ありません!事件が起きてからでは謝罪しても通用せん。
しかも巻き添え殺人だなどと…。
(刺す音)うっ…!決して許せん事件だ。
全力を挙げて即刻ホシを挙げろ!かしこまりました。
大岩。
はい!被害者は東条克典の娘だそうだな?そうです。
東条沙知絵。
今はサードシーズンという会社の社長秘書です。
事件の時一緒にいたのは社長の志村尚美。
そして笹川部長も覚えてらっしゃると思いますが現場に水越絹香が来ていました。
水越…絹香!?はい。
いずれも東条克典事件の関係者です。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
(河原茂樹)沙知絵さんが殺されたらしいな。
ここへは来ないでって言ったはずよ。
大事な話がある。
来い。
無理よ!仕事中。
いいのか!?どうなっても!
(ドアの開く音)
(藤田康子)絹香さん?仕事戻るから。
絹香!
(康子)無断で仕事を抜け出して男友達とおしゃべり?それじゃなくてもうちは事情のあるあなたを雇ってるんだから真面目にやってもらわないと。
事情ってなんですか?とにかくやる気がないならさっさと辞めてもらいますからね。
(中津川たんぽぽ)いっぱいだねいちご。
(奈々)うん。
(奈々)ママ!奈々!
(たんぽぽ)こんにちは。
こんにちは。
今日私の誕生日だからたんぽぽ先生といちごのケーキ描いてるの。
お誕生日おめでとう!奈々いちご大好きだものね?うん!今夜の浴衣美人コンテスト先に行って待ってます。
本当は出たくないんだけど…優勝するとハワイ旅行のペアチケットもらえるらしいから!ママ絶対優勝してハワイ行こうね!
(携帯電話)ちょっと…。
あとで折り返します。
もしもし絹香?絹香!?
(舌打ち)すみませんこういう者なんですけれども。
ブルーのスニーカーの男を見かけませんでしたか?ああ…ありがとうございます。
(女性)知らないです。
そうですか。
どうもすみません。
ありがとうございます。
お急ぎのところ申し訳ありません。
近くで事件がありまして皆さんにお伺いしてるんですが…。
(警察官)何をする!?待て!待て!
(電話)大岩だ。
何!?場所は?青山8丁目の住宅街です。
手配のスニーカーを履いていましたので犯人に間違いないと思われます。
現場付近に捜査員を出来る限り投入して捜索しろ。
付近の住民にも警戒するように伝えろ。
ホシはどっちに逃げた?7丁目方向に逃走したそうなんですが路地を曲がったところで見失ったそうです。
付近に潜伏している可能性もある。
徹底的に探せ。
いいか?犯人はまだ凶器を所持している。
気を抜くな。
わかりました。
(花火の音)
(女性)今日はお父さんにもらった浴衣を着て一生懸命頑張ります!きれい。
大きい!きれいだね。
きれい!今日のために浴衣の着付けをたくさん勉強してきました。
応援よろしくお願いします。
(男性)頑張れ!
(司会者)3番長谷川さんお願いします。
(奈々)うわ〜!いちごのケーキ!本当だ!奈々ちゃんのお誕生日祝いみたい。
うん!うわ〜すごいね。
「浴衣美人コンテスト」?参ったな…。
この中に凶器を持った犯人が紛れ込んでいたら…。
あれだ。
いくぞ。
はい。
(男性)火事だ!逃げてください!
(男性)早く早く…。
逃げて早く!慌てないで。
慌てないでね。
(武田)落ち着いて。
足元気をつけてね。
おう怪我人は?うまく避難して一人もいなかったようです。
(奈々)ママ!ママ!ママ!ママ!ママ!どうしました?ママがいないの。
浴衣美人コンテストに出るのに出場順を待ってステージの裏にいたはずなんですけど…。
ママがいないの。
お名前は?
(電話)大岩だ。
確保出来たか?ホシが逃げ込んだ会場で浴衣美人コンテストが行われていたんですが突然火事が起きて…。
消火はしたんですけれど犯人確保に至りませんでした。
そうか…。
うん?ヤマさんどうした?それが火事の最中に女性が1人行方不明になってるんです。
女性?名前は?水越絹香さんです。
水越絹香…。
(小山田)「一課長ご存じなんですか?」2年前にある事件の容疑者になったが証拠不十分で釈放された女性だが…。
容疑者?ヤマさんとにかくその女性を捜してくれ。
拉致されたかあるいは何かに巻き込まれているかもしれん。
私もすぐ臨場する。
水越絹香…。
一課長。
見つかったか?まだなんの連絡も入っていません。
水越絹香さんが容疑者だったとおっしゃいましたがどんな事件だったんです?うん。
殺人事件だ。
殺人事件?奈々!パパ!奈々!火事だったんだね。
怖かったろう?もう大丈夫だ。
(たんぽぽ)水越さん絹香さんがいなくなっちゃって…。
絹香が…?ご主人ですか?今奥さんを捜してるんですが…。
大岩さん。
水越。
ご存じなんですか?うん元捜査一課の刑事だ。
どうして絹香が…。
まだ詳しい事はわかっていない。
(小山田)奥さんの携帯に連絡して頂けますか?わかりました。
どうでした?電源が入ってません。
そうですか。
いやとにかく今全員で捜してますから。
パパママどこ行ったの?大丈夫だ。
ママはすぐ帰ってくるから。
つまり元刑事の彼は殺人事件の容疑者だった女性と結婚したんですか?そうだ。
(島村)一課長!この方が浴衣姿の女性が男性と車に乗って去ったのを見たそうです。
男性と?
(小山田)詳しくお話伺わせて頂けますか?
(川端道雄)はい。
火事騒ぎになったんで様子を見ようと思って表へ出たら浴衣姿の女性が男と手をつないで走ってきたんです。
手をつないで?はい。
(小山田)強引に引っ張っていったという事ですか?いやそういう感じじゃなくって…。
女の人も一緒に走ってましたし止まっている車に乗り込む時も嫌がるそぶりは全然見せてませんでしたし…。
恋人同士みたいな感じっていうふうに見えましたが…。
恋人?では合意のもとに車に乗って走り去ったという事ですか?はい。
私にはそう見えましたが…。
車種は覚えていますか?はい。
火事騒ぎの時になんだろ?と思って気になったんで車のナンバーを覚えておきました。
ああナンバーを。
島村伺って所有者確認。
(島村)こちらへ。
(結衣)一課長。
出火部はそのダンボール箱なんですが油性の反応があります。
油性の反応?放火って事か?その可能性が大きいです。
どうぞこちらへ。
(島村)一課長!車の持ち主がわかりました。
河原茂樹。
住所は練馬区大泉学園町です。
河原茂樹…?知ってる男ですか?水越。
妻の以前の知り合いです。
知り合いというとどのような…?妻の昔の彼氏です。
元カレって事ですかね?ヤマさん。
(小山田)はい。
とにかく捜してくれ。
わかりました。
行くぞ。
水越。
絹香さんの事で何か心当たりがあるのか?ありません。
今朝の東条沙知絵の現場に絹香さんが来ていたぞ。
絹香が…?うん。
絹香さん様子がおかしかった。
何かあったか?いえ別に何も。
お前あれから絹香さんとはどうなんだ?私が決めた事ですのでご心配して頂く必要はありません。
大岩さんには関係のない事です。
関係ない?失礼します。
(絹香)必ず捕まえますよね?真犯人を。
大岩さんには関係のない事です。
(ノック)
(小山田)失礼します。
東条沙知絵殺害犯の情報はまだつかめていませんが青山周辺の警戒は強化致しました。
行方不明の絹香さんの情報もまだありません。
そうか…。
一課長どういう事ですか?サードシーズン社長の志村尚美にまたあなたが捜査するんですか?などと失礼な事を言われ行方不明になった水越絹香は殺人容疑者だった女でその夫は元刑事。
何が起こってるんですか?一体。
2年前著名な服飾デザイナーの東条克典が殺害された。
(尚美)先生…!
(沙知絵)パパ!サードシーズン社長の志村尚美は東条の一番弟子。
殺害された社長秘書の沙知絵は東条の一人娘。
そして今行方不明になっている絹香はかつて東条のアトリエでデザインの勉強をしていたが東条克典殺害容疑で逮捕された。
水越絹香さんがですか?現場に絹香のミサンガが落ちており東条の携帯には絹香との通話記録がずらりと並んでいた。
殺害動機は?東条と絹香には特別な関係があるといううわさがあった。
ああ特別な関係…。
男女の関係という事ですか?その痴情のもつれが殺害動機ではないかと思われた。
それ絹香さんは認めてるんですか?本人は否定したが詳しい事は何一つ話さなかった。
そして2週間の取り調べのあと証拠不十分で釈放された。
捜査員のほとんど全員が絹香が犯人ではないかと考えていた中水越だけが絹香の無実を主張していたんだが…。
(大岩の声)その3カ月後水越から相談を受けた。
水越。
なんだ?話って。
大岩さん。
絹香と結婚したいんですが…。
結婚!?刑事を続けるべきか辞めるべきか迷ってます。
殺人事件の容疑者と捜査をしている刑事が結婚ですか…。
そうだ。
それで一課長はなんと?絹香は無実を証明されて釈放された。
後ろめたい事は何もない。
結婚してもそのまま刑事を続け真犯人を捕まえろと言った。
でも結局水越は刑事を辞めて絹香と結婚したんですね。
うん。
その後捜査本部は規模を縮小しながらも捜査を続けたがいまだに真犯人は捕まっていない。
という事は絹香さんは…。
うん…。
釈放はされたが世間の人はクロでもシロでもなくグレーと見たままだった。
グレーだと世間の人は犯人扱いしますよね?そのとおりだ。
私は警察官として捜査一課長としてあってはならない事をしてしまった。
あってはならない事…。
しかし2年前の東条克典殺害事件に関係した人物たちが今立て続けに事件の関係者になるというのは…。
何かが動き始めているのかもしれん。
まずは沙知絵殺害犯の逮捕。
そして…。
絹香さんですね。
うん。
絹香は沙知絵の現場にも来ていたが何か事情がありそうだった。
水越の様子もおかしかった。
大岩さんには関係のない事です。
東条の娘さんが殺害されたあとでもありただの行方不明とは考えられない。
わかりました。
捜査本部に発破をかけて一刻も早く沙知絵殺害犯を突き止めます。
私絹香さんの事が気になるのでそっち行ってきます。
うん。
ビビ帰ったぞ。
ビビ?
(大岩小春)ビビはお隣さんに行ってる。
昼間お隣さんにお邪魔する時にビビ連れていったらビビったらネネちゃんにくっついて離れないの。
だから置いてきた。
そうかビビも恋する年頃になったか…。
それ高校の同窓会。
うん?欠席…。
行かないのか?こういうの出ると主人の駐車違反なんとかしてとかマンションの上の人の騒音がうるさいから逮捕してとかみんな無茶言うから。
行ってこいよ。
いい気分転換になるよ。
あっそれとも誰か会いたくない人でもいるのか?昔の恋人とか?えっ?冗談。
そんな人いなかったから。
おっビビどうした?ネネと遊んでたんじゃないのか?なんだしょぼくれた顔して。
おいで。
はいおいで。
あら振られちゃったのかしら?それは残念だったな。
でもこれでひと回り大きくなれるぞ。
よかったな。
本当に犯人がわかったの?ああ…。
誰なの?絹香が一番よくわかってるはずだ。
志村尚美に殺害予告を送っていたのは誰なのか…。
俺はもう全てわかったぞ。
フフフ…。
失礼ですけど水越さんですか?警視庁の平井と申します。
絹香さんですね。
警察の者です。
無事でよかった。
みんな心配してました。
奈々は?学校へ行った。
そう…。
(ため息)
(サイレン)身元は?河原茂樹タクシーの運転手です。
河原茂樹?死亡推定時刻は昨夜の10時前後だそうです。
河原茂樹が?
(秋代)「はい」刃物による刺殺です。
晴海埠頭署に特別捜査本部を設置する。
河原茂樹…。
なぜ河原と一緒に行った?あなたには関係ないわ。
俺はお前の夫だぞ。
元刑事だからって人を疑うのを当たり前だなんて思わないでほしいわ。
疑われるほうがどれほど傷つくかわかってる?元刑事として聞いてるんじゃない。
嘘言わないでよ。
なぜ河原と行った?なぜだ?
(チャイム)先ほど晴海埠頭で河原茂樹さんが他殺体で発見されました。
ご存じだったんですね?ゆうべ河原さんと一緒に晴海埠頭に行かれましたよね?車で。
絹香…。
行ったわ。
それで?私が殺したんじゃないわ。
飲み物を買いにちょっと車を離れて戻ったら…。
ああ…!
(絹香の声)…殺されてた。
どうしてすぐに警察に連絡しなかったんですか?そんな事したらまた人殺しにされる。
人殺しにされる?それって2年前の東条克典さんの事件の事ですよね?でもあの時は無実で釈放されましたよね?無実で釈放?そのあとの2年間私と奈々がどうやって生きてきたかご存じ?あの女は釈放はされたけど人殺しだってみんなにそう見られて暮らしてきた。
殺人犯のまま世の中に放り出されたのと同じだったわ。
奈々を迎えに行くわ。
ご一緒させて頂きます。
(電話)大岩だ。
武田か。
どうした?河原が勤務していたタクシー会社の同僚に聞いたんですが…。
河原はあちこちに借金をしていたそうなんですがもうすぐ返せると言っていたそうです。
借金?金の出所は?わからない…。
続けて聞き込みをしろ。
…うん。
(ノック)
(小山田)失礼します。
なんでしょう?ヤマさん。
はい。
東条沙知絵殺害事件の青山署と河原茂樹殺害事件の晴海埠頭署。
捜査本部を合体させる。
合体?合同捜査本部だ。
青山署に置け。
そっ…どうして?殺害された河原茂樹はかつて呉服店に勤務しており東条克典の担当だった。
東条克典の?…とするとまた2年前の事件の関係者が?やはり動き始めたようだな。
2年前の事件の真犯人が…。
一課長。
2年前の事件で容疑がかかったのは絹香でしたよね?絹香の容疑は完全に晴れたわけではなかったんじゃありませんか?東条克典の死亡推定時刻にアリバイがあったと送検する直前に絹香が証言した。
送検直前…。
どうしてそれまで絹香はアリバイを主張しなかったんですか?水越が絹香から聞き出してアリバイを証明した。
水越が?そうだ。
釈放後水越は絹香と結婚した。
…とすると捜査中に絹香に惚れていたという事もあり得るわけですよね。
だとしたら…。
だとしたらなんだ?あっいえ…。
あの…。
2年前にプロポーズされた時ってどんな感じだったんですか?いやあのこれは警察官としてというより1人の女性としてちょっと聞いてみたいだけなんですけど…。
かわいそうな女扱いされてるんだなと思ったわ。
かわいそう?私がシングルマザーで子供を抱えて大変そうだから助けてやろうと思ったんじゃない?
(絹香)奈々!ママ!どこ行ってたの?どこ行くかパパとか奈々に言っていかないとみんな心配するでしょ?ごめんね。
じゃあ帰りに公園で遊んで帰ろうね。
うん!
(絹香)あの頃お金がなくて家賃も払えなくなったから奈々と一緒に水越の部屋に転がり込んだ。
そのまま2年経った。
それだけの話。
そういう言い方はちょっと失礼な事ないですか?だって水越さんは全警察官の目標である捜査一課を捨ててまで殺人の容疑者であるあなたと結婚したんですよ。
相当な覚悟があったと思うんですけど…。
人殺しの容疑者と結婚したいって水越が自分で勝手に決めた事でしょ?私はそれを利用しただけ。
(母親)奈々ちゃんとは駄目なの。
(女の子)奈々ちゃんと遊ぶ!
(母親)奈々ちゃんは駄目だって言ったでしょ?でも…。
(母親)奈々ちゃんとは駄目なの。
わかる?これが無実とやらで釈放された母とその子の実態よ。
(絹香)奈々。
(笹川)まだ難航してるのか?申し訳ありません。
大岩捜査一課長は部下を信じすぎてないか?は?刑事も人の子だという事を忘れてないか?ほれ大福でも食って気分転換せい。
(笹川)はいはいはい。
ええ大福は黒いあんこを白い餅で包むという警察にとっては縁起物だが大福にはもう1つの意味がある。
もう1つの意味?大福の色は黒と白だ。
グレーではないぞ。
グレーの大福なんぞう〜んフフフ…食えん。
特に警察ではな。
申し訳ありません。
2年前のような事は二度と繰り返しません。
お前には辛い結果になるかもしれん。
それでもクロかシロかはっきりさせろ。
それが大岩捜査一課長が背負う宿命だ。
はい!あっ一課長。
ご苦労さん。
大福。
はい!あっ…平井です。
大好物の大福笹川刑事部長の差し入れだ。
えっ刑事部長から?ありがたく頂け。
みんなも!
(一同)はい!何調べてるんだ?あああの…絹香さんと水越さんについてです。
いや容疑者と刑事が結婚して夫婦になるってどうなのかなと思ってそれでちょっと調べてみたんですけど…。
どうだったんだ?はい。
絹香さんは幼い頃に両親が離婚して…。
ところがどちらの親も引き取りたがらなかったそうなんですよ。
まあそれで施設に預けられて…。
で水越さんも両親が離婚してまあ水越さんは母親に引き取られるんですけどそのあと母親が男と失踪しちゃったんですよ。
それで1人で置いてけぼりにされて。
でそのあと親戚に引き取られて…。
まあこういう過去があったからこそ2年前追い詰められた2人が求め合ったのかなって…。
追い詰められた2人か…。
2年前の絹香さんのアリバイだが送検直前にお前の単独捜査で判明した。
2週間という長い取り調べを受けても絹香さんは自分のアリバイを主張しなかった。
きっと言え難い理由があったんだと思う。
だが絹香さんの事を信じていたお前になら話してもいいと思った。
だから告白した。
違うか?また絹香を逮捕するんですか?絹香さんの事は無実だと信じたいと思っている。
だからこそ…。
信じたい?捜査一課長の言葉とは思えませんね。
親兄弟であろうとまず疑うとこから捜査は始まる。
違いますか!?違うな。
捜査はまず信じるところから始めるんだ。
2年前何があった?水越。
送検間近のあの日たまたま取調室に私と絹香が2人きりになった時がありました。
あの…。
なんですか?アリバイなんですけど…。
アリバイ?公表されないようにする事って出来ないんですか?アリバイが証明されてあなたが無実だとわかれば警察内部だけの情報でそのアリバイを公表する必要はありません。
やはりあなたにはアリバイがあるんですね?娘には絶対に言わないでほしいんです。
娘さん?あなたならその約束を守ってくれますよね?守ります。
娘さんには決して言いません。
信じていいですよね?もちろんです。
緑商店街の雑貨屋さんで閉店間際に万引きしたんです。
万引き?娘の傘を…。
傘?娘さんのための傘を万引きしていたのか?それだけは娘に言えないと黙秘してたそうです。
それでお前が単独で裏を取ったんだな?はい。
閉店間際の午後8時頃絹香は店に客が来てるのを覚えてました。
(木本克代)おばちゃん。
(水越の声)豹柄のブラウスを着た常連客が来てたらいを買っていったと…。
(克代)本当!?よかった間に合って…。
(川上恭子)お待たせしちゃって…。
それでそのたらいを買った女性に確認は取っているんだな?はい確かに閉店間際に来店してたらいを買ったとそう証言しました。
(恭子)あああの女の子の傘ね。
ええ。
あの時警察の人に言われて在庫帳で合わせたら1本足りなくなってて…。
あっこの傘…。
あとで聞いたんだけどそのお母さん…。
(恭子の声)お嬢ちゃんが悪ガキにいじめられて傘も壊されてびしょ濡れで帰って来たんだって…。
でもお給料日前で傘を買うお金もなくて思わず万引きしちゃったって言うでしょ?もうそんなんだったらさひと言言ってくれたらお金なんかあとでいいからって言ってあげたのにね…。
そのたらいを買いに来た女性は常連客だそうですね。
ええすぐそこのスナックのママさん。
しかし今時たらいを置いてるなんて珍しいですね。
置いてないわよ取り寄せたの。
取り寄せた?ええ。
(恭子)なんで今時たらいなの?明日孫が来るから庭で水遊びさせてやろうと思って…。
だから今日中にどうしても欲しいのよ。
置いてないの?ないわよ。
え〜今から頼んでも閉店間際になるけどそれでもいい?ああ!じゃあ閉店間際に取りに来るから…。
何時だっけ?8時。
8時ね。
(恭子)たらいね。
(克代)たらいね。
8時に届いたんですか?ええぎりぎり夜8時に届いてママさん嬉しそうに持って帰ったわ。
8時に取りに来た時も昼間と同じ豹柄のブラウスを着ていましたか?ええあの人トレードマークみたいにいっつも豹柄着てるから目立つのよね。
失礼。
《あの日この店に2回来た》
(たんぽぽ)また明日ね。
(男の子)たんぽぽ先生ありがとう。
(たんぽぽ)おっばいばい。
(母親)ありがとうございました。
あっ刑事さんこんにちは。
こんにちは。
水越絹香さんいらしてますか?いいえまだです。
あっ!この傘懐かしい。
どうしたんですか?これ懐かしいんですか?私これ絵に描いた事あるんです。
絵に?すみません…これです。
これはどういう?これ奈々ちゃんなんです。
奈々ちゃん?
(たんぽぽ)2年くらい前私がまだ美大に通ってた時なんですけど…。
フフフ…わあすごい!フフフ…。
フフフ…。
(たんぽぽの声)奈々ちゃんがこの傘を差して嬉しそうに踊ってて…。
あんまりかわいいんで描いちゃったんです。
その奈々ちゃんに学童クラブで再会してもうびっくりしちゃって…。
あのこの黄色の線は?あっこれ太陽の光です。
太陽?傘。
買った途端に晴れちゃったって絹香さん笑ってました。
じゃあこの絵を描いたのは昼間なんですか?はい。
昼間奈々ちゃんが買ってもらったばかりの傘を差していたんですか?そうですけど…。
はあ…。
あっ奈々と同じ傘!そう。
わかりますね。
太陽が差し込んでいる。
ママ〜!あなたが雑貨屋さんに行ったのは午後8時ではなく昼間だったのではありませんか?その時豹柄のブラウスを着たスナックのママがたらいを買いに来ていて閉店間際の夜8時に取りに来るという話をあなたは聞いた。
傘を万引きしたのはその時です。
そして午後8時にそのママがたらいを取りに来る事を予想して午後8時に雑貨屋から娘さんのための傘を万引きしたと水越にアリバイを主張した。
水越がそのアリバイの裏を取りあなたは釈放された。
その時あなたの無実を信じていたのは水越だけだった。
この刑事なら自分の嘘を信じてくれるそう思って閉店間際に万引きしたと偽証したんですね。
そうだったのか絹香?俺をだましたのか?だからなんなの?警察はよってたかって私を犯人にしようとしてた。
あのままだったら私は東条先生を殺した犯人にされてた。
だから一番だましやすいお人よしの刑事を狙って嘘をついた。
いけませんか!?だって私は東条先生を殺してない。
偽証したから殺したっていうなら私が犯人だっていう決定的な証拠を見せてよ。
ないんでしょ?もっとも証拠なんかなくてもアリバイが証明されて釈放されても私はずっと人殺し扱いだけど…。
申し訳ない。
あなたに疑いをかけたままにしてしまった。
必ず真犯人を逮捕して真実を明らかにします。
(天笠)一課長!おおどうした天笠。
これを見て頂けませんか?うん。
男性モデルたちの私服のコーディネートを特集したページなんですが…。
このスニーカーは…。
(小山田)ブルーに黄色いラインが入ったスニーカーだ。
はいこのブルーのスニーカーを履いているのは志村尚美が経営するサードシーズンの専属モデル宇佐美祐介です。
沙知絵!
(ノック)失礼します。
失礼します。
どれだ?この写真です。
あのスニーカーに間違いないわ。
(小山田)宇佐美の身長は?181センチ。
靴のサイズは27センチ。
犯人と合致する。
横顔もそっくり!宇佐美祐介は社長の志村尚美を襲おうとして誤って恋人の東条沙知絵を刺したって事か…。
(刺す音)うっ…。
天笠!申し訳ありません。
私は一課長車の運転担当係です。
でも…。
一課の刑事だ。
はい。
…えっ?うっ。
でかしたぞ天笠!あっ…ありがとうございます。
ヤマさんすぐにガサ状を請求する。
取れ次第宇佐美の家を家宅捜索しろ。
いやしかし一課長もし何も出てこなかったら…。
その時は私が責任を取る。
頼んだぞ見つけのヤマさん。
わかりました。
必ず見つけてきます。
(女性)こんばんは。
(小山田)武田。
(武田)はい。
宇佐美の家のガサ状が出たぞ。
わかりました。
おい行くぞ。
(2人)はい。
(小山田)よし見つけるぞ!
(一同)はい!よし…。
あったぞ!さすが見つけのヤマさんですね。
そっちはどうだ?はい。
このパソコンから志村尚美の殺害予告を書き込んだ形跡は見当たりませんね。
削除したのかもしれんな。
科捜研に回して分析しろ。
(2人)はい。
(刺す音)うっ!
(電話)大岩だ。
宇佐美祐介が殺害されました。
何!?宇佐美が!?
(武田)腹部をひと突きです。
(ため息)
(ノック)
(秋代)失礼します。
科捜研から鑑識結果の報告が来ました。
どうだった?はい。
(秋代)スニーカーから拭き取られた血痕が検出されそれが東条沙知絵のDNAと一致したそうです。
そうか。
それにガソリンが若干検出されたそうです。
ガソリン?
(小山田)じゃああのコンテスト会場の放火も宇佐美の仕業って事か…。
それから河原の車から検出された指紋の一つと宇佐美の指紋が一致しました。
という事は…。
ああ…!
(小山田)河原を殺害したのも宇佐美という事か…。
しかしその宇佐美も殺害された。
宇佐美を口封じした人物…事件の黒幕がいるっていう事ですか?うん…そうなるな。
(電話)大岩だ。
事件直後路地から逃げ出した女の姿を見たという目撃証言が出ています。
女?詳しい情報を調べろ。
…うん。
一課長これ宇佐美の携帯なんですが殺害される直前に通話履歴がありまして…。
「水越絹香」!絹香!?宇佐美祐介の携帯に通信履歴が残ってたんですよ。
ゆうべ宇佐美祐介と会ったんですよね?絹香さん!また逮捕されてもいいんですか!?2年前の東条先生を殺した犯人を教えるから志蔵町のスナック街へ来いって言われたのよ。
そしたら…。
宇佐美さん…!?でも警察には届けなかった。
疑われるから…。
そんなはずないわ!だって宇佐美くんは東条先生の時代から私たちみんなと懇意にしてた人だし…。
私に殺害予告なんて送るはずないでしょ!それに彼は沙知絵さんの恋人だった人ですよ。
宇佐美のスニーカーから沙知絵さんの血痕が検出されました。
えっ!?そんな…!その宇佐美が殺害され共犯者あるいは黒幕の存在が疑われています。
何か心当たりはありませんか?小春…?私が宇佐美さんを殺したと思ってるのね?違うなら違うと言え。
2年前東条先生を殺したのも私だと思ってるんでしょ?世間の人が私を人殺し扱いするのと同じで…。
だってずっと私を疑ってたじゃない。
妻にしたくせに…夫のくせにあなたはずっと刑事で私を疑い続けた。
そうでしょ?そんな事はない。
痴情のもつれでやっぱり私が東条先生を殺したそう思ってるんでしょ!?東条克典の携帯にお前の…絹香の名前が並んでた。
しかも取り調べでお前は東条の事について黙秘を通した。
(水越)なぜだ!?クソッ…。
あの人は私の先生よ。
先生が一方的に言い寄ってきて困ってましたなんて先生の名誉を傷つけるような事言える!?言い寄られていたのか?はっきり断ったりしたら東条先生のところでデザインを習う事が出来なくなる。
だからうまく逃げ続けていただけよ。
だって先生には…!先生には?なんでもない。
絹香…。
私?ああ。
今日2時頃だったか青山で見かけた。
何か用事だったのか?ああ…今日は駅前のアーケードで買い物しただけでそっちには行ってないですけど…。
行ってない?ええ。
ご飯すぐ出来ますから。
その服いいな。
あっ…これ?今日駅前のお店で衝動買いしちゃったの。
着物の生地で作った部屋着。
かわいいでしょ?うん。
ああそうそうこれあのサードシーズンと呉服屋さんがコラボして作ったヒット商品なんですって。
サードシーズンって志村尚美が社長のか?ええ。
今ワイドショーとかでいろいろやっててあなたが捜査してるんだろうな偶然だなと思って。
あっヤマさんか?明日の朝一番で調べてほしい事がある。
(ノック)失礼します。
一課長がおっしゃっていた着物の生地を使った洋服の件ですが河原が勤めていた呉服店で確認してきたんですがあの商品は河原茂樹とサードシーズンの東条沙知絵が2人で発案したコラボ企画だという事がわかりました。
河原と東条沙知絵はつながっていたか…。
はい。
どうやら河原は呉服店を辞めたあとも頻繁に沙知絵と会っていたようなんです。
でも…それっておかしくないですか?何がおかしいんだよ?おい大福お前さお前の口の利き方のほうがよっぽど…。
いやいやいやだってだって河原さんと沙知絵さんがもし知り合いだったとしたら沙知絵さんは巻き添えで亡くなったんじゃなくてつまり犯人はこの2人を…河原さんと沙知絵さんを最初から狙ってたっていうふうに考えられませんか?ほう大福もそう思うか?2人とも2年前に殺された東条さんとは近しい人物でした。
つまりあの2年前の事件に関して何か…何か情報をつかんでいたとすれば…。
2年前東条を殺害した真犯人が2人の口を封じた可能性もあるな。
(小山田)しかし一課長2人を殺したのは宇佐美で決まりですよね?証拠も揃ってますし…。
うん。
つまり宇佐美は志村尚美を襲うふりをして最初から恋人の東条沙知絵の命を狙っていたという事ですか!?
(刺す音)うっ…!私志村社長の殺害予告が会社の掲示板になされてたのがどうしても引っかかってたんですよね。
どうして志村社長本人の携帯とかパソコンじゃなくてわざわざ会社の掲示板に書き込んだりしたんだろう?でもようやくスッキリしました。
おい大福お前だけ先にスッキリするなって。
あの殺害予告は東条沙知絵の命を狙った犯行だと悟られないためにわざと人目につく会社の掲示板に書き込んだっていう事だな?そしてその宇佐美を殺害した人物こそが宇佐美を使って一連の事件を陰から操っていた黒幕だ。
一課長2年前のこの事件で何か見落としてる事があるんじゃないでしょうか。
ちょっと…ちょっと失礼します。
「事件当日の夜8時頃被害者の東条克典は自分のもとで働いていた絹香に“今から散歩に出かけるが話したい事があるので途中で会おう”と電話をして自宅を出た」「そのあと散歩コースにある工場跡地で東条克典は遺体となって発見された」えー「被害者は…」。
あれ?どうした?大福。
東条さんのこの靴…。
(小山田)えっ?小山田管理官のと似てる。
知るか!そんな…。
俺のいい靴と散歩で履くような靴と一緒にするなよ。
ヤマさん…。
(小山田)はい。
今なんと言った?一課長までわたくしのファッションセンスを疑うつもりですか?私はですよ女房に頭を下げて買ったこの大切な靴をですよ工場跡地へ散歩になんか履いては行き…。
ヤマさんの言うとおりかもしれん。
東条は散歩に出たわけではなかったとすると…。
別の場所で殺害され工場跡地に運ばれた。
うん。
東条さんが散歩に出る前に殺害されたっていう事は…自宅でって事ですか!?一連の事件を解く鍵は東条の家にあるのかもしれん。
ヤマさん青山署の合同捜査本部に捜査員を集めてくれ。
一課長…。
(天笠)一課長東条の家が消えました!天笠東条の家をいつ誰が取り壊したのか至急調べろ。
はい。
(水越)遅かったですね大岩さん。
証拠消えちゃいましたよ。
お前2年前の何を知ってるんだ?俺が知ってるのは絹香が犯人じゃないという事だけです。
今度こそ俺が真犯人を捕まえようと思ったのに…。
お前はもう刑事じゃない。
捜査に協力する気があるのならお前がつかんだ情報を全部俺に話して手を引け。
大岩さん…。
絹香の潔白を証明出来なかった俺もまたグレーな男のままなんです。
警察を辞めて絹香と奈々を守っていこうと思ったのにそんなんじゃ何も解決出来なかった。
俺が捕まえます。
水越!なんですか?気をつけろ。
全員起立!礼!みんな聞け。
一課長より指示がある。
東条沙知絵河原茂樹宇佐美祐介…。
この3人が殺害された事件は2年前の東条克典殺害事件につながっていた。
この一連の事件を解決する鍵は東条沙知絵名義で先月取り壊されたばかりの東条の自宅に隠されてると見て間違いない。
はい。
家具じゅうたん置物いずれかに東条克典殺害の痕跡が残されている可能性がある。
今から全員で東京都内のリサイクル店骨董品店古道具店全ての店を当たって東条克典の家から出た家具や置物を買い取っていないかしらみつぶしに調べろ!
(どよめき)東京都内全ての店のリストです。
(どよめき)みんなすまない!2年前の事件を解決しないままグレーなまま今日を迎えてしまった事が全ての原因だ。
捜査を指揮する立場の者として本当に申し訳ない。
だが我々刑事は最後の最後まで事件解決を諦めてはいけない!容疑者をグレーのままにしてはいけない!白いものは白く黒いものは黒くする。
それが捜査の鉄則だ。
たとえわらの中から針を探すような捜査でも我々警視庁の威信をかけて必ずホシを挙げる!
(一同)はい!恐れ入ります。
はい。
こういう者なんですけど…。
すみません。
ちょっとお聞きしたいんですが…。
すみません。
顧客リストをお見せ頂けますか?このじゅうたんいつ頃誰から購入されたかわかりませんか?
(笹川)水越和行…。
(笹川)まさか…。
売れた?東条克典さんの家にあったじゅうたんだって言われて買い取ったんですがほんの1週間ほどで売れました。
誰が買ったんですか?それは…。
誰です!?お願いします!水越!なんだ?あいつ。
行くぞ。
(刺す音)うっ…!
(電話)大岩だ。
ん?水越が刺された!?水越!
(水越)ちょっと待ってください…。
すみません。
大岩さんすみません…。
またヘマしちゃいました。
馬鹿野郎!勝手なまねしやがって。
どうして俺を頼らないんだ?俺たち仲間じゃないのか?犯人はじゅうたんを買い取って車で運んだそうです…。
その車の中に痕跡が…わかったわかった。
あとは任せろ。
黒岩さん…絹香と奈々を頼みます。
馬鹿言うなよ!絹香さんと奈々ちゃんを守れるのはお前だけだ。
必ず帰ってこい!はい。
お願いします。
(絹香)大岩さん!水越は?大丈夫です。
あいつなら大丈夫です。
パパ…。
申し訳ない。
水越を止める事が出来なかった。
私の責任です。
ですが絹香さんあいつの気持ちだけはわかってやってください。
あなたの容疑を晴らして真っ白にしたい。
その一心だったんです。
元刑事としてではなくあなたを心の底から大切だと思ったからです。
私のために…水越が?ええ。
あいつは不器用で口下手な男ですが芯の通った男です。
あなたと結婚したのはかわいそうに思ったからではなく愛していたからだと思います。
浴衣コンテストの時いちごのケーキの形をした花火が夜空に上がったんです。
(花火の音)いちごのケーキってもしかしたら奈々ちゃんが大好きだとか?ええ。
あの日はいちごのケーキが大好きな奈々の誕生日だったんです。
水越が頼んで上げた花火だったんですか?すぐにわかりました。
水越が私と奈々のために上げてくれたんだって。
(絹香の声)水越が本当に私と奈々を愛してくれてるんだって。
(花火の音)あ〜いちごのケーキ!嬉しかった。
でもすぐには素直になれませんでした。
水越に「ごめんなさいありがとう」って言えば済んだのに出来ませんでした。
水越が刑事を辞めた事そして今でも奈々が人殺しの娘だっていじめられてる事全部を拭い去りたかった。
そのためには自分の無実を自分で証明するしかないと思ったんです。
それであの晩河原についていったんですね。
河原さんはあの2週間ほど前から東条先生を殺した犯人の事で話があるとにかく会おうと言ってきたんですけどもう関わりたくなかったので断っていたんです。
でもいちごのケーキの花火を見て気が変わった。
ええ。
河原さんが何かを知ってるなら聞きたい。
聞いて無実を証明したいと思ってあえてついていったんです。
本当に犯人がわかったの?ああ…。
誰なの?絹香が一番よくわかってるはずだ。
志村尚美に殺害予告を送っていたのは誰なのか…。
俺はもう全てわかったぞ。
河原と沙知絵さんの2人は2年前の事件の事を調べていたんですよね?はい。
2人とも東条先生を殺害したのは私ではなく別の人物だと思っていました。
だから河原さんは沙知絵さんと私の3人で協力して事件を調べ直そうと言ってきたんです。
そんな沙知絵さんが父親の死の真相が隠されているかもしれない自宅を取り壊した。
不自然だとは思いませんか?尚美さん…。
東条さんのご自宅をなぜ沙知絵さんが急いで取り壊したかあなたその理由をご存じですか?お父様との思い出が詰まってるんですもの。
つらかったんですよ沙知絵さん。
家を解体した業者によると手続きは全てあなたが代行したそうですね。
ええ。
沙知絵さんを言い含めてそうさせたんじゃありませんか?はあ?あなたは東条さんが工場跡地ではなく自宅で殺された事を隠すために沙知絵さんの名をかたって家を取り壊した上血痕の付いたじゅうたんを古物商に売った。
だが河原と沙知絵さんが真相を暴こうと動いていると知りあなたはじゅうたんを慌てて買い戻し車で運んで処分した。
違いますか?ちょっと待ってくださいよ刑事さん。
一体どこにそんな証拠があるんです?2年前あなた方が絹香にしたように証拠もなしに私を容疑者扱いするんですか?ハハッ!
(小山田)証拠ならありますよ。
先ほどあなたの車を調べたところじゅうたんの繊維が見つかりその繊維を分析した結果東条さんの血液が検出されました。
捜査でシロクロつけられずグレーにすればその捜査対象者は生涯あらぬ疑いを持たれたまま生きていかなければなりません。
絹香さんには本当に申し訳ない事をしました。
そのためにも私は刑事人生をかけてこの事件の真相を明らかにしなければなりません。
2年前東条さんと特別な関係にあったあなたは東条さんの気持ちが絹香さんに移った事が許せなかった。
それで東条さんを殺害しその罪を絹香さんに着せた。
尚美さん…。
どうして私を?どうして?才能もないのに私の大事な人を色仕掛けで奪おうとしたでしょ?尚美さんそんな言い方しないで。
尚美さんは私が一番尊敬するデザイナーなんです!
(東条克典)何生意気な事を言ってるんだ。
俺が誰に手を出そうとお前にどうこう言われる筋合いはない。
(尚美)こんなに長い間先生に仕えてきたのにいらなくなったらそんなふうに捨てるんですか?お前だって俺からどれだけのものを得た?コンクールで大賞を取ったのも誰のおかげだと思ってる?俺が裏に手を回して取らせてやったんだ。
えっ!?どうしてそんな事…。
俺の生徒が入選もしなかったら俺が恥をかくんだ。
俺の名誉のためだ。
じゃあ私はただ利用されていただけなの?
(東条)愛し合っていたとでも思っていたのか?馬鹿馬鹿しい。
馬鹿馬鹿しい…?もう行くぞ。
絹香を待たせてある。
なんだ?それは。
二十歳の時から20年以上も…先生に捧げてきたのに…。
馬鹿馬鹿しいなんて!
(刺す音)う…。
(東条)あ…ああっ…!あぁ…。
う…うぅ…。
そしてあなたは東条さんに内緒で関係のあった宇佐美を使い…。
遺体を工場跡地に運んで遺棄した。
遺体のそばには絹香さんのミサンガを置いてその罪を絹香さんに着せた。
(武田)署までご同行願います。
どうして東条先生が…。
えっ?ちょっと待ってください!だが最近になって河原さんと沙知絵さんは東条さんを殺害したのはあなたではないかと睨み証拠捜しを始めていた。
そこであなたは2人の殺害計画を立てた。
自分で自分の殺害予告を人目に触れやすい会社のホームページにある掲示板に書き込み…。
(沙知絵)社長!また来てます。
(尚美)ハァ…どうせただの嫌がらせでしょう。
心配する事ないわ。
行きましょう。
まるで自分が命を狙われているように装った上で巻き添えになったように見せかけて沙知絵さんを宇佐美に殺害させた。
沙知絵さん!どうして私を…?まさか…宇佐美くん?ごめんな沙知絵。
お前と付き合ってたのも全部嘘だったんだ。
そんな…。
あとは計画どおり頼むわね。
はい。
キャー!誰かー!さらにあなたは2年前の東条さん殺害事件の真相を闇に葬るためその罪を着せた絹香さんを殺害し口封じをする計画まで立てていた。
(小山田)コンテスト会場に火をつけ騒ぎに乗じて絹香さんを殺害しようとした。
(河原)火事だ!火事だ!火事だ!
(小山田)だが絹香さんに会いに来ていた河原が絹香さんを連れ去った事でその計画は失敗。
(小山田)するとあなたは宇佐美に河原を追って殺害するように命じ…。
(刺す音)
(河原)ああ…!東条と沙知絵と河原を殺した犯人を知ってる。
今すぐ志蔵町のスナック街に来い。
(小山田)絹香さんを電話で呼び出させた上で…。
(刺す音)うっ!
(小山田)それまでいいように使ってきた宇佐美まで殺害した。
(小山田)絹香さんが到着するのを待って殺害したのはその罪を絹香さんに着せるためだった。
宇佐美さん!
(小山田)さらにあなたは水越さんも殺害しようとした。
(刺す音)うっ…!あなたは自分の罪を隠すためどれだけの人の命を犠牲にしてきたかわかってるのか?あなたの身勝手さのせいで絹香さんはずーっと殺人犯の汚名を着せられたまま生きてこなきゃいけなかったんですよ。
それになんの罪もない奈々ちゃんにまでずっとつらい思いさせてきたんですよ?東条先生を愛し続け憎む事が私のデザイナーとしての糧だった。
私にとって先生が全てだった…。
そうですか。
しかしあなたがした事は絶対に許されない。
たとえどんなに巧妙な罪を重ねようと我々は被害者の無念を胸にホシを挙げるまでは絶対に諦めません。
連行しろ。
(武田)はい。
行くぞ。
水越さん。
手術うまくいったそうです。
ありがとうございました!これでやっと本物の夫婦になれたような気がしますね。
ん?えっ違うんですか?えっ?水越無事退院か。
よかったな。
ありがとうございます。
絹香と奈々は?何か用事があるとか言っていた。
用事…そうですか。
水越ちょっと付き合え。
はい…。
絹香…?私の身勝手でご迷惑をおかけしましたがよろしければ末永く妻でいさせて頂きたく思います。
あ…こちらこそぜひ…よろしくお願いします。
あなた…。
絹香…。
パパママ結婚おめでとう!ありがとう奈々。
ママきれいだよね。
うん。
世界一の花嫁さんだ…。
水越。
おめでとう。
お前が絹香さんを文字どおり真っ白にした。
最高の仕事をしたな。
ありがとうございます!やっと夫婦になれたんですね。
何から何まで大岩さんのおかげです!見ちゃいられませんな。
泣いてるんですか?うるせえなお前は!汗だよ汗!まあ年取るとね涙もろくなりますよね。
うるせえな!本当に…。
ただいま。
あなた…。
どうした?何かあったか?ごめんなさい!私…嘘をつきました。
ああこの間の事か。
あれはやっぱり小春だったんだな?はいそうです…私です。
どうして違うなんて言ったんだ?実はこの間受けた健康診断で再検査するよう連絡を受けて…。
再検査?あなたに心配かけちゃいけないと思ってあの日あなたに内緒で再検査を受けに行ったんですけど…。
どこが悪かったんだ?再検査の結果は?あ…それが…。
全部話せ。
夫に心配させるのも妻の役目だ。
隠し事をされるのが一番寂しい。
ありがとうございます。
で再検査の結果は?食べすぎですって…。
(鳴き声)2015/10/17(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「警視庁捜査一課長〜ヒラから成り上がった最強の刑事!」[デ][字]
美人容疑者が刑事と偽装結婚!?晴天なのに雨傘を持つ母娘のアリバイトリック…お洒落に散歩する死体の謎
詳細情報
◇番組内容
内藤剛志主演の人気シリーズ第5弾!ヒラの刑事から捜査一課のトップへと上り詰めた、叩き上げ刑事を熱演!マスコミで取り上げられることのない、日本一の名刑事・警視庁捜査一課長の知られざる秘密が、次々と明らかに!
◇出演者
内藤剛志、斉藤由貴、床嶋佳子、金田明夫、本田博太郎、黒谷友香、有森也実、デビット伊東、岩田さゆり、竹財輝之助
◇スタッフ
【脚本】石原武龍
【音楽】山本清香
【監督】猪原達三
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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