辺野古移設:環境監視委の運営業務 事業請負業者が受注
毎日新聞 2015年10月21日 01時09分
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設工事を巡り、工事の関連業務を請け負った業者が、工事を環境面から監視する国の第三者委員会の運営業務も受注していたことが分かった。事業を行う業者が、事業をチェックする第三者委に関与する異常な構図に批判の声が上がっている。
この業者は環境保全コンサルタント「いであ」(東京)。
沖縄防衛局の公表資料によると、同社は昨年3月、防衛省の設置した第三者委「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」の運営業務を沖縄防衛局から約2460万円で受注した。更に先月、地元企業と共同体を組み、約5184万円で同じ業務を受注した。いずれも第三者委の「運営、学識者の指導・助言を整理」する業務などで、技術力の高さで業者を選定する随意契約の一種「簡易公募型プロポーザル方式」で受注した。
一方、同社は2012年度以降、辺野古沿岸部でのジュゴンやサンゴ類などの調査、環境影響調査の補正評価書作成など、少なくとも10件の移設関連事業を受注し、その総額は33億円を超えている。
同社は14、15年度、第三者委の委員に計800万円の寄付をしていたことも既に判明している。宮崎公立大の有馬晋作教授(行政学)は「『第三者委の判断が偏っている』と市民に誤解を抱かせかねない。沖縄防衛局は認識が甘かったのではないか」と話した。沖縄防衛局は20日、毎日新聞の取材に回答せず、同社は「業務内容は第三者委の運営を補助することであり、事業を監視したりチェックしたりする立場にはない」と説明した。【川上珠実】