Q:米国の戦略は何か
A:米国は南シナ海に関連する経済・安全保障利益を中国に渡すことはできないとの立場だ。初期にけん制しなければ、南シナ海だけでなく、世界各地で中国の勢力拡張を見守るしかなくなることを懸念している。このため、日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、インド、ベトナムなど中国の周辺国と安全保障協力を拡大し、中国と対抗しようとしている。9月にはフィリピン、日本などと実際に紛争地域周辺で合同上陸演習を行うなど武力もアピールしている。今年に入り防衛協力指針(ガイドライン)、日本の安全保障関連法改正で自衛隊の活動範囲を周辺国に拡大したことも南シナ海での中国での挑発が念頭にあるとされる。米国はいわゆる「航行の自由」を掲げ、人工島周辺の航行を引き続き試みるとみられる。「領海」内をを航行しなければ、中国の主張通りに人工島周辺12カイリを中国の領海として認める誤ったシグナルを中国に与えかねないからだ。
Q:中国と米国の立場をどう考えるべきか。
A:専門家は双方の主張について、いずれも国際法上の根拠があいまいで、国際社会の合意が必要だと考えている。中国は南シナ海の人工島工事は自国の主権地域に当たるため、米国を含むいかなる国も干渉できないと主張する。しかし、峨山政策研究院のイ・ジェヒョン研究委員は「中国の領有権主張はまだ国際社会の公認を受けられていない。国際法上の根拠も十分ではない」と指摘した。別の専門家も「フィリピン、ベトナム、米国は南シナ海を『紛争地域』と考えている。フィリピンは2013年に南シナ海の領有権をめぐり中国を国際海洋法裁判所に提訴したが、まだ結果が出ていない」と述べた。
一方、米国についてはどうか。韓国国防研究院安保戦略研究センターのイ・ヨンハク上級研究員は「対立の核心は軍事的問題だ。米国は『航行の自由』を掲げ、南シナ海でも偵察、監視活動を行うということであり、中国はそれが邪魔なので阻止するという立場だ」と分析した。